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公開番号2024162567
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-21
出願番号2023078196
出願日2023-05-10
発明の名称成膜方法
出願人株式会社アルバック
代理人弁理士法人青莪
主分類C23C 14/34 20060101AFI20241114BHJP(金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパッタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般)
要約【課題】低抵抗で平滑性の良好な銅膜を比較的厚い膜厚で成膜することができる成膜方法を提供することをその課題とする。
【解決手段】本発明の成膜方法は、真空チャンバ1内に設けたステージ2に基板Swを吸着し、真空雰囲気の真空チャンバ内が所定の圧力領域に保持されるようにスパッタガスを導入し、基板に対向配置された銅製のターゲットTg1~Tg6に電力投入し、基板とターゲットとの間の空間にプラズマ雰囲気を形成し、各ターゲットをスパッタリングすることで基板表面に1μm以上の膜厚で銅膜を成膜する。スパッタリング中、ステージとの熱交換で基板を所定温度以下に保持し、このとき、基板とステージとの間の熱伝達率係数を50W/m2・K以上とする。
【選択図】図1

特許請求の範囲【請求項1】
真空チャンバ内に設けたステージに成膜処理すべき基板を吸着し、
真空雰囲気の前記真空チャンバ内が所定の圧力領域に保持されるようにスパッタガスを導入し、
前記基板に対向配置された銅製のターゲットに電力投入し、前記基板と前記ターゲットとの間の空間にプラズマ雰囲気を形成して前記ターゲットをスパッタリングすることで前記基板表面に1μm以上の膜厚で銅膜を成膜する成膜工程を含む成膜方法であって、
前記ターゲットのスパッタリング中、前記ステージとの熱交換で前記基板を所定温度以下に保持する保持工程を含むものにおいて、
前記基板と前記ステージとの間の熱伝達率係数を50W/m

・K以上としたことを特徴とする成膜方法。
続きを表示(約 360 文字)【請求項2】
前記銅製のターゲットに電力投入している間、当該ターゲットのスパッタ面に400G以上の最大水平磁場強度を持つ漏洩磁場を作用させ、スパッタリング中の放電電圧を550V以下としたことを特徴とする請求項1の成膜方法。
【請求項3】
前記保持工程に、前記ステージに吸着された前記基板裏面にアシストガスを供給する工程を含み、
前記成膜工程にて成膜速度を0.5μm/min以上に設定することを特徴とする請求項1または請求項2記載の成膜方法。
【請求項4】
前記基板は、少なくとも一辺が1m以上の長さを有するものであり、前記ターゲットは、複数枚のターゲットを並設して構成され、各ターゲットにスパッタ電源から負の電位を持つ直流電力が投入されることを特徴とする請求項3記載の成膜方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、成膜方法に関し、特に、スパッタリング法により銅膜を1μm以上の膜厚で成膜するものに関する。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
近年、次世代ディスプレイとして、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイと比較して消費電力が小さく、高コントラストや高輝度が得られるといったデバイス特性の優位性から、回路基板の画素内に微小なLEDチップを実装したマイクロLEDディスプレイやミニLEDディスプレイの開発が進められている。LEDチップを駆動する回路基板としては、ガラス基板、石英基板やサファイア基板といった透光性のある基板とその表面に形成したTFTとを備えるものが挙げられ、マイクロLEDやその他の回路を駆動させるための配線には例えば銅が使用される(特許文献1参照)。このことから、例えば、少なくとも1辺が1mm以上の比較的面積の大きいガラス基板表面に1μm~10μmの範囲内の膜厚で銅(配線)膜を形成する技術についても需要が高まることが予想される。
【0003】
このような銅膜の形成には、銅製のターゲットを用いたマグネトロン方式のスパッタリング装置を使用することが考えられる(例えば、特許文献2参照)。この種のスパッタリング装置は、一般に、真空雰囲気の形成が可能な真空チャンバを有し、真空チャンバの上部には銅製のターゲットが配置され、ターゲットに正対させて真空チャンバ内の下部には成膜しようとする基板が設置されるステージが設けられている。ステージは、基台とこの基台の上面に設けたチャックプレートとを有し、チャックプレートには、静電チャック用の電極が埋設されている。そして、電極にチャック電源から直流電圧を印加することで、成膜面を上に向けた姿勢で載置された基板をチャックプレート上面に静電吸着できるようにしている。
【0004】
基台には、チラーユニットから供給される冷媒を循環させる冷媒循環路が形成され、ターゲットのスパッタリング中、ステージとの熱交換でチャックプレート上面に吸着された基板を所定温度以下に保持できるようにしている。このとき、チャックプレートに静電吸着された基板の裏面にアシストガス(例えば、ArガスやHeガス)を供給することで、ステージと基板との間の熱伝達率係数を高めることができる。そして、ステージに基板を静電吸着した状態で真空雰囲気の真空チャンバ内に希ガスを導入し、ターゲットに例えば負の電位を持った直流電力や所定周波数の交流電力を投入する。これにより、真空チャンバ内にプラズマ雰囲気が形成され、プラズマ中で電離した希ガスのイオンがターゲットに衝突してターゲットがスパッタリングされ、ターゲットから飛散したスパッタ粒子が基板表面に付着、堆積して、銅膜が成膜される。
【0005】
上記スパッタリング装置によりガラス基板表面に1μm以上の膜厚で銅膜を成膜する場合、生産性などを考慮すると、0.5μm/min以上、好ましくは、1μm/min程度の成膜レートが必要になるが、これには、ターゲットへの投入電力を高めるだけでなく、成膜時間も長くならざるを得えない。このため、成膜中、プラズマからの基板への入熱量が多くなることが予想される。このような場合、スパッタリング中の基板温度が高くなると、銅の粒成長が過度に促進され、成膜した銅膜の表面が凸凹状になってその表面平滑性が損なわれる一方で、スパッタリング中の基板温度が低く過ぎると、銅膜の結晶粒の粒径が小さくなって比抵抗値が高くなってしまうことが一般に知られている。他方で、基板が大型で板厚の薄いのもの(厚さが0.5mm~0.7mm)であるような場合、スパッタリング中の基板温度の上昇に伴って基板に反りが生じ、これに起因して成膜された銅膜の表面の平滑性が局所的に損なわれることがある。このときの反り量は、少なくとも一辺が1m以上である基板の場合、顕著に大きくなる傾向がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2022-36709号公報
国際公開第2020/136964号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上の点に鑑みなされたものであり、低抵抗で平滑性の良好な銅膜を比較的厚い膜厚で成膜することができる成膜方法を提供することをその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の成膜方法は、真空チャンバ内に設けたステージに成膜処理すべき基板を吸着し、真空雰囲気の前記真空チャンバ内が所定の圧力領域に保持されるようにスパッタガスを導入し、前記基板に対向配置された銅製のターゲットに電力投入し、前記基板と前記ターゲットとの間の空間にプラズマ雰囲気を形成して前記ターゲットをスパッタリングすることで前記基板表面に1μm以上の膜厚で銅膜を成膜する成膜工程を含み、前記ターゲットのスパッタリング中、前記ステージとの熱交換で前記基板を所定温度以下に保持する保持工程を更に含み、前記基板と前記ステージとの間の熱伝達率係数を50W/m

・K以上としたことを特徴とする。
【0009】
ここで、本願発明者らは、スパッタリングによる成膜時における単位長さあたりの反り量に着目して鋭意研究を重ね、成膜中の基板温度を制御することによって、単位長さ(m)あたりの反り量を1mm以下に保持できれば、平滑性の良好な銅膜を成膜できることを知見するのに至った。そして、所定板厚を持つガラス基板に所定膜厚の銅膜を成膜したときの膜応力と熱応力とを求め、これを基にストーニーの式と基板温度とから基板の反り量を算出したところ、成膜中の基板温度を100℃以下に保持できれば、反り量を1mm以下にでき、これには、基板と前記ステージとの間の熱伝達率係数を50W/m

・K以上にすればよいことを見出した。
【0010】
以上によれば、生産性を維持するために成膜レートを0.5μm/min以上にしたとしても、基板温度を100℃以下に維持できることで、平滑性の良好な銅膜を成膜でき、その上、銅の粒成長が過度に促進され、成膜した銅膜の表面が凸凹状になってその表面平滑性が損なわれるといった不具合も生じない。なお、熱伝達率係数の上限については、銅膜中の結晶粒の粒径が小さくなって比抵抗値が高くならない範囲で適宜設定される。この場合、熱伝達率係数を100W/m

・Kであるとき、約2μΩcmの低い比抵抗値が得られることが確認された。
(【0011】以降は省略されています)

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