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公開番号2024175591
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-18
出願番号2023093492
出願日2023-06-06
発明の名称耐腐食膜
出願人一般財団法人電力中央研究所
代理人個人,個人
主分類C23C 18/12 20060101AFI20241211BHJP(金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパッタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般)
要約【課題】熱膨張係数が大きい部材に施工しても、熱膨張収縮による剥離を抑制する。
【解決手段】部材5と酸化アルミニウムを主成分とした耐熱膜12との間に熱膨張収縮に耐性を有するケイ素酸化物膜11(SiO2)を形成し、耐熱膜12の表面に耐熱膜12の成分の溶け込みが抑制されたチタン酸化物膜13(TiO2)を形成し、部材5の熱膨張収縮による内部応力によるクラックの発生が防止された状態で耐腐食性を有した状態にする。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
基材の表面に設けられ、前記基材の熱膨張収縮に耐性を有するケイ素酸化物膜と、
前記ケイ素酸化物膜の表面に設けられ、酸化アルミニウムを主成分とした耐熱膜と、
前記耐熱膜の表面に設けられ、前記耐熱膜の成分の溶け込みが抑制されたチタン酸化物膜とを備えた
ことを特徴とする耐腐食膜。
続きを表示(約 480 文字)【請求項2】
請求項1に記載の耐腐食膜において、
前記チタン酸化物膜の表面に設けられ、酸化アルミニウムを主成分とした第2耐熱膜と、
前記第2耐熱膜の表面に設けられ、前記第2耐熱膜の成分の溶け込みが抑制された第2チタン酸化物膜とを備えた
ことを特徴とする耐腐食膜。
【請求項3】
請求項1に記載の耐腐食膜において、
前記チタン酸化物膜の表面に設けられる機能性塗膜を備えた
ことを特徴とする耐腐食膜。
【請求項4】
請求項2に記載の耐腐食膜において、
前記第2チタン酸化物膜の表面に設けられる機能性塗膜を備えた
ことを特徴とする耐腐食膜。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の耐腐食膜において、
前記基材は、オーステナイト系ステンレスである
ことを特徴とする耐腐食膜。
【請求項6】
請求項5に記載の耐腐食膜おいて、
前記基材は、ボイラの過熱器の部材である
ことを特徴とする耐腐食膜。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、高温腐食に対する耐腐食膜に関する。
続きを表示(約 1,500 文字)【背景技術】
【0002】
例えば、火力発電設備などでは、燃料を燃焼させた際に発生するガスによって、構造部材の高温伝熱管(水冷壁管、過熱器管、再熱器管など)の外面の高温腐食が問題となっていた。腐食対策の技術として、肉盛溶接、溶射皮膜の施工、耐熱塗装などが挙げられる。
【0003】
例えば、酸化チタン粒子をコーティングして(耐熱塗装して)酸化チタンからなる被膜を構造材などに設けることにより、構造材の耐硫化腐食性を向上させることが提案されている(特許文献1)。耐熱塗装は安価かつ簡便であるという利点があり、実際の火力発電ボイラでも高温腐食対策技術として広く使われている。
【0004】
火力発電設備のボイラの伝熱管のうち、過熱器の伝熱管は、管内面の蒸気温度、管外面のガス温度が最も高いことから、高温耐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼が用いられることが多い。しかし、オーステナイト系ステンレス鋼はクロムモリブデン鋼などの熱交換器用の低合金鋼に比べて熱膨張係数が大きい。このため、500℃から600℃以上の高温状態にさらされた場合、熱膨張収縮により耐熱塗装が剥離する虞があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開平9-272990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、熱膨張収縮による剥離を抑制することができる耐腐食膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための請求項1に係る本発明の耐腐食膜は、基材の表面に設けられ、前記基材の熱膨張収縮に耐性を有するケイ素酸化物膜(SiO
2
)と、前記ケイ素酸化物膜の表面に設けられ、酸化アルミニウムを主成分とした耐熱膜と、前記耐熱膜の表面に設けられ、前記耐熱膜の成分の溶け込みが抑制されたチタン酸化物膜(TiO
2
)とを備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項1に係る本発明では、ケイ素酸化物膜(SiO
2
)が基材との間に介在することで、基材の熱膨張収縮による内部応力によるクラックの発生が防止される。熱膨張係数が大きい基材に施工しても、熱膨張収縮による剥離を抑制することが可能になる。
【0009】
基材としては、鉄鋼、アルミニウム合金、ニッケル合金などが適用される。そして、膨張係数が高い部材で高温にさらされる、ボイラの過熱器の部材であるオーステナイト系ステンレスに施工しても、熱膨張収縮による剥離を抑制することが可能になる。ケイ素酸化物膜(SiO
2
)、チタン酸化物膜(TiO
2
)の膜厚は、それぞれ、最大で1μm程度が好ましく、ケイ素酸化物膜(SiO
2
)、酸化アルミニウムを主成分とした耐熱膜、チタン酸化物膜(TiO
2
)のトータルの膜厚は、20μmから40μm程度が好ましい。
【0010】
そして、請求項2に係る本発明の耐腐食膜は、請求項1に記載の耐腐食膜において、前記チタン酸化物膜の表面に設けられ、酸化アルミニウムを主成分とした第2耐熱膜と、前記第2耐熱膜の表面に設けられ、前記第2耐熱膜の成分の溶け込みが抑制された第2チタン酸化物膜とを備えたことを特徴とする。
(【0011】以降は省略されています)

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