特許ウォッチ

公開番号2025006515
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-17
出願番号2023107352
出願日2023-06-29
発明の名称露出型柱脚基礎構造
出願人大和ハウス工業株式会社
代理人個人,個人
主分類E04B 1/24 20060101AFI20250109BHJP(建築物)
要約【課題】露出型柱脚基礎構造の柱型基礎体に対してアンカーボルトやベースプレートを介して作用する引張力と圧縮力のうち、圧縮力に起因する圧縮割裂ひび割れを抑制することができる、露出型柱脚基礎構造を提供すること。
【解決手段】鉄筋コンクリート製で直方体状の柱型基礎体10の天端11に直接的もしくは間接的にベースプレート41が載置され、ベースプレート41の上面に鉄骨柱30が固定され、ベースプレート41に固定されている複数のアンカーボルト50が柱型基礎体10に埋設され、柱型基礎体10の4つの側面13の少なくとも1つに鉄筋コンクリート製の基礎梁20が固定されている、露出型柱脚基礎構造100であり、切欠き65を備える鋼板60の該切欠き65に対して、基礎梁が固定されていない側面近傍にあるアンカーボルト50Bが嵌め込まれ、鋼板60の上面61が天端11に面一となるようにして柱型基礎体10に埋設されている。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項１】
鉄筋コンクリート製で直方体状の柱型基礎体の天端に直接的もしくは間接的にベースプレートが載置され、該ベースプレートの上面に鉄骨柱が固定されており、該ベースプレートに固定されている複数のアンカーボルトが該柱型基礎体に埋設され、該柱型基礎体の４つの側面の少なくとも１つに鉄筋コンクリート製の基礎梁が固定されている、露出型柱脚基礎構造であって、
切欠きを備える鋼板の該切欠きに対して、前記基礎梁が固定されていない側面の近傍にある前記アンカーボルトが嵌め込まれ、該鋼板の上面が前記天端に面一となるようにして前記柱型基礎体に埋設されていることを特徴とする、露出型柱脚基礎構造。
続きを表示（約 640 文字）【請求項２】
鉄筋コンクリート製で直方体状の柱型基礎体の天端に直接的もしくは間接的にベースプレートが載置され、該ベースプレートの上面に鉄骨柱が固定されており、該ベースプレートに固定されている複数のアンカーボルトが該柱型基礎体に埋設され、該柱型基礎体の４つの側面の少なくとも１つに鉄筋コンクリート製の基礎梁が固定されている、露出型柱脚基礎構造であって、
ボルト孔を備える鋼板の該ボルト孔に対して、前記基礎梁が固定されていない側面の近傍にある前記アンカーボルトが挿通され、該鋼板の上面が前記天端に面一となるようにして前記柱型基礎体に埋設されていることを特徴とする、露出型柱脚基礎構造。
【請求項３】
平面視において、前記切欠きが前記柱型基礎体の中心側に向けられていることを特徴とする、請求項１に記載の露出型柱脚基礎構造。
【請求項４】
前記ベースプレートの平面視形状が矩形であり、
前記鋼板が、前記ベースプレートの１／４以上の平面寸法を有する平面視矩形もしくは略矩形を呈していることを特徴とする、請求項１又は２に記載の露出型柱脚基礎構造。
【請求項５】
前記基礎梁の天端が前記柱型基礎体の天端よりも低い場合に、該基礎梁が固定されている前記側面は、前記基礎梁が固定されていない側面として見なされ、該側面の近傍にある前記アンカーボルトに前記鋼板が設置されていることを特徴とする、請求項１又は２に記載の露出型柱脚基礎構造。

発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は、露出型柱脚基礎構造に関する。
続きを表示（約 2,000 文字）【背景技術】
【０００２】
鉄骨造の柱脚の基礎構造として、鉄筋コンクリート製の基礎（柱型基礎体）に埋設されるアンカーボルトにより固定されるベースプレートが柱型基礎体の天端に露出している、露出型柱脚基礎構造や、ベースプレートが基礎（根巻きコンクリート基礎）に埋設されている、根巻き柱脚基礎構造、鉄筋コンクリート製の基礎にベースプレートが埋設されている、埋め込み柱脚基礎構造などがある。その中で、露出型柱脚基礎構造は、一般に半固定柱脚として設計され、設計の際にピン柱脚から固定柱脚まで剛性を変化させることができ、他の柱脚基礎構造に比べて施工が容易であるといった利点を有している。
【０００３】
上記する露出型柱脚基礎構造を形成する柱型基礎体の側面には、一方側もしくは複数側に延びる基礎梁が固定されることが多く、基礎梁を形成する主筋（上端主筋と下端主筋）が柱型基礎体に定着されることにより、例えば直方体状の柱型基礎体の４つの側面の少なくとも１つに基礎梁が剛接合されることになる。
【０００４】
地震時の水平力が柱を含む建物架構に作用し、柱に押込力と引抜力が繰り返し載荷される際に、アンカーボルトやベースプレートを介して柱型基礎体に繰り返し作用する圧縮力と引張力により、柱型基礎体にひび割れが生じるといった課題がある。このうち、アンカーボルトに作用する引張力に起因するひび割れは、例えば異形鉄筋からなるアンカーボルトと柱型基礎体との間の付着割裂ひび割れである。この付着割裂ひび割れに対する対策は種々提案されており、その一例として特許文献１には、アンカーボルトと同心にその周りにスパイラル筋を配設して基礎コンクリート内に埋設している、鋼管柱の露出型固定柱脚が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
特開昭５９－３１３３６号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
特許文献１に記載の鋼管柱の露出型固定柱脚をはじめとして、露出型柱脚基礎構造におけるひび割れ対策として、アンカーボルトに作用する引張力に起因する付着割裂ひび割れ対策に関する技術の公開は様々存在する一方で、ベースプレートを介して柱型基礎体に作用する圧縮力に起因する圧縮割裂ひび割れに対する対策に関する技術の開示は見受けられない。
【０００７】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、露出型柱脚基礎構造の柱型基礎体に対してアンカーボルトやベースプレートを介して作用する引張力と圧縮力のうち、圧縮力に起因する圧縮割裂ひび割れを抑制することにより、付着割裂ひび割れと圧縮割裂ひび割れによる全体ひび割れを抑制できる、露出型柱脚基礎構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
前記目的を達成すべく、本発明による露出型柱脚基礎構造の一態様は、
鉄筋コンクリート製で直方体状の柱型基礎体の天端に直接的もしくは間接的にベースプレートが載置され、該ベースプレートの上面に鉄骨柱が固定されており、該ベースプレートに固定されている複数のアンカーボルトが該柱型基礎体に埋設され、該柱型基礎体の４つの側面の少なくとも１つに鉄筋コンクリート製の基礎梁が固定されている、露出型柱脚基礎構造であって、
切欠きを備える鋼板の該切欠きに対して、前記基礎梁が固定されていない側面の近傍にある前記アンカーボルトが嵌め込まれ、該鋼板の上面が前記天端に面一となるようにして前記柱型基礎体に埋設されていることを特徴とする。
【０００９】
本態様によれば、切欠きを備える鋼板の当該切欠きに対して、基礎梁が固定されていない側面の近傍にあるアンカーボルトが嵌め込まれ、鋼板の上面が天端に面一となるようにして柱型基礎体に埋設されていることにより、ベースプレートを介して作用する圧縮力を鋼板を介して柱型基礎体の可及的広範囲に分散させることができ、圧縮力がベースプレートにおけるアンカーボルトの近傍等に集中的に作用することにより生じ得る圧縮割裂ひび割れを抑制することができる。このことにより、圧縮割裂ひび割れと付着割裂ひび割れによる全体ひび割れを抑制することが可能になる。
【００１０】
本態様では、柱型基礎体の側面のうち、鉄筋コンクリート製の基礎梁が固定されていない側面の近傍にあるアンカーボルトに対して鋼板を嵌め込み、基礎梁が固定されている側面の近傍にあるアンカーボルトに対しては鋼板を嵌め込まない。これは、ベースプレートを介して柱型基礎体に作用する圧縮応力の一部を近傍にある基礎梁が負担し、柱型基礎体に作用する圧縮応力が軽減されることによって、柱型基礎体に圧縮割裂ひび割れが生じ難くなるといった本発明者等による知見によるものである。
（【００１１】以降は省略されています）

関連特許