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公開番号2025004110
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-14
出願番号2024174383,2020557856
出願日2024-10-03,2019-11-29
発明の名称ペプチド化合物、またはアミド化合物の脱保護法および固相反応における脱樹脂方法、並びにペプチド化合物の製造方法
出願人中外製薬株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類C07K 1/02 20060101AFI20250106BHJP(有機化学)
要約【課題】ペプチド化合物に含まれるアミド結合の切断または転移などの副反応を抑制して、酸性条件下で除去可能な保護基を除去する反応、および固相反応において樹脂を除去する反応の手法を提供し、脱保護、および/または脱樹脂されたペプチド化合物を簡便な操作にて高収率かつ高純度で得る方法を提供する。
【解決手段】出発ペプチド化合物/出発アミド化合物をシリル化剤と接触させることにより、シリル化剤によって脱保護可能な保護基を出発ペプチド化合物から脱保護する段階を含む、保護基が脱保護されたペプチド化合物を製造する方法とする。当該方法は、主鎖の損傷を引き起こすことなく、所望の保護基が脱保護された、および/または固相合成用樹脂から脱樹脂されたペプチド化合物/アミド化合物を製造できる。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
天然アミノ酸残基および/またはアミノ酸類縁体残基を含む出発ペプチド化合物と、シリル化剤とを溶媒中で接触させることにより、該シリル化剤によって脱保護可能な保護基を該出発ペプチド化合物から脱保護する段階を含む、該保護基が脱保護されたペプチド化合物を製造する方法であって、
該シリル化剤は、シリル化合物または酸と、求電子種捕捉剤とを混合することによって生成され、
該出発ペプチド化合物は、該脱保護可能な保護基を少なくとも1つ含み、かつ、
該出発ペプチド化合物は、少なくとも1つのN置換アミノ酸残基を含む、方法。
続きを表示(約 5,400 文字)【請求項2】
天然アミノ酸残基および/またはアミノ酸類縁体残基を含む出発ペプチド化合物と、シリル化剤とを溶媒中で接触させることにより、該シリル化剤によって脱樹脂可能な固相合成用樹脂を該出発ペプチド化合物から脱樹脂する段階を含む、該固相合成用樹脂が脱樹脂されたペプチド化合物を製造する方法であって、
該シリル化剤は、シリル化合物または酸と、求電子種捕捉剤とを混合することによって生成され、
該出発ペプチド化合物は、該脱樹脂可能な固相合成用樹脂に連結されており、かつ、
該出発ペプチド化合物は、少なくとも1つのN置換アミノ酸残基を含む、方法。
【請求項3】
出発ペプチド化合物が、下記一般式(I):
JPEG
2025004110000323.jpg
36
149
[式中、


は、水素、PG

、天然アミノ酸残基、またはアミノ酸類縁体残基であり、


は、水素、およびC

-C

アルキルからなる群より選択されるか、あるいはR

とR

もしくはR

とR
4’
は、それらが結合する窒素原子および炭素原子と一緒になって、ヒドロキシまたはC

-C

アルコキシによって置換されていてもよい3~7員の複素環を形成し、ここで、R

とR

が一緒になって複素環を形成する場合、R
4’
は水素であり、R

とR
4’
が一緒になって複素環を形成する場合、R

は水素であり、


およびR
4’
は、R

とR

またはR

とR
4’
が一緒になって複素環を形成する場合を除き、
(a)R
4’
が水素であり、かつR

が、水素、置換されていてもよいC

-C

アルキル、C

-C

シクロアルキル、C

-C

シクロアルキルC

-C

アルキル、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいフェニルメチル、置換されていてもよいフェニルエチル、2-(メチルチオ)エチル、-CH

SPG

、N-PG

-インドール-3-イルメチル、4-(PG

O)ベンジル、PG

-O-メチル、1-(PG

O)エチル、2-(PG

O)エチル、PG

-OCO(CH

)-、PG

-OCO(CH

【請求項4】
出発ペプチド化合物が、そのC末端に下記一般式(II):
JPEG
2025004110000324.jpg
33
149
[式中、

1’
は、式(III)で表される基であり、
JPEG
2025004110000325.jpg
43
149
*は結合点を意味し、


は、水素、PG

、天然アミノ酸残基、またはアミノ酸類縁体残基であり、


は、水素、およびC

-C

アルキルからなる群より選択されるか、あるいはR

とR
10
もしくはR

とR
10’
は、それらが結合する窒素原子および炭素原子と一緒になって、ヒドロキシまたはC

-C

アルコキシによって置換されていてもよい3~7員の複素環を形成し、ここで、R

とR
10
が一緒になって複素環を形成する場合、R
10’
は水素であり、R

とR
10’
が一緒になって複素環を形成する場合、R
10
は水素であり、

10
およびR
10’
は、R

とR
10
またはR

とR
10’
が一緒になって複素環を形成する場合を除き、
(a)R
10’
が水素であり、かつR
10
が、水素、置換されていてもよいC

-C

アルキル、C

-C

シクロアルキル、C

-C

シクロアルキルC

-C

アルキル、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいフェニルメチル、置換されていてもよいフェニルエチル、2-(メチルチオ)エチル、-CH

SPG

、N-PG

-インドール-3-イルメチル、4-(PG

O)ベンジル、PG

-O-メチル、1-(PG

O)エチル、2-(PG

【請求項5】
出発アミド化合物と、シリル化剤とを溶媒中で接触させることにより、該シリル化剤によって脱保護可能な保護基を該出発アミド化合物から脱保護する段階を含む、該保護基が脱保護されたアミド化合物を製造する方法であって、
該シリル化剤は、シリル化合物または酸と、求電子種捕捉剤とを混合することによって生成され、
該出発アミド化合物は、下記一般式(II):
JPEG
2025004110000326.jpg
33
149
[式中、

1’
は、水素原子、またはPG

であり、

12
およびR
12’
は、独立して、水素、PG
10
-O-メチル、-(CH



COO-PG
10
、-(CH



COO-RES、および-(CH



CONH-RESからなる群より選択され、
RESは固相合成用樹脂であり、
nは、0、1、または2であり、


は、水素、およびC

-C

アルキルからなる群より選択され、

13
は、C

-C

アルキル、または-(CH



CON(R
17A
)(R
17B
)であり、
mは、0、1、または2であり、

17A
およびR
17B
は、独立して、水素、C

-C

アルキルであるか、あるいはR
17A
およびR
17B
はそれらが結合している窒素原子と一緒になって、1つまたは複数の追加のヘテロ原子を含んでいてもよい4~8員環を形成し、
PG

は、Fmoc、Boc、Alloc、Cbz、Teoc、およびトリフルオロアセチルからなる群より選択され、
PG
10
は、t-Bu、トリチル、クミル、ベンジル、メチル、エチル、アリル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアリールC

-C

アルキル、置換されていてもよいヘテロアリールC

-C

アルキル、および(2-(トリメチルシリル)エチルからなる群より選択される]
で表され、かつ
【請求項6】
出発アミド化合物と、シリル化剤とを溶媒中で接触させることにより、該出発アミド化合物を固相合成用樹脂から脱樹脂する段階を含む、該固相合成用樹脂が脱樹脂されたアミド化合物を製造する方法であって、
該シリル化剤は、シリル化合物または酸と、求電子種捕捉剤とを混合することによって生成され、
該出発アミド化合物は、下記一般式(II):
JPEG
2025004110000327.jpg
33
149
[式中、

1’
は、水素原子、またはPG

であり、

12
およびR
12’
は、独立して、水素、PG
10
-O-メチル、-(CH



COO-PG
10
、-(CH



COO-RES、および-(CH



CONH-RESからなる群より選択され、
RESは固相合成用樹脂であり、ここで、R
12
およびR
12’
の少なくとも一方は、-(CH



COO-RES、または-(CH



CONH-RESであり、
RESは固相合成用樹脂であり、
nは、0、1、または2であり、


は、水素、およびC

-C

アルキルからなる群より選択され、

13
は、C

-C

アルキル、または-(CH



CON(R
17A
)(R
17B
)であり、
mは、0、1、または2であり、

17A
およびR
17B
は、独立して、水素、C

-C

アルキルであるか、あるいはR
17A
およびR
17B
はそれらが結合している窒素原子と一緒になって、1つまたは複数の追加のヘテロ原子を含んでいてもよい4~8員環を形成し、
PG

は、Fmoc、Boc、Alloc、Cbz、Teoc、およびトリフルオロアセチルからなる群より選択され、
【請求項7】
脱保護可能な保護基が、t-Bu、トリフェニルメチル、2-(トリメチルシリル)-エチル、Boc、Teoc、Cbz、メトキシカルボニル、テトラヒドロピラニル、1-エトキシエチル、メトキシトリチル、およびクミルからなる群より選択される、請求項1、および3~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
シリル化合物が下記式1:
JPEG
2025004110000328.jpg
25
149
[式中、R
AX
、R
AY
、およびR
AZ
は、独立して、C

-C

アルキルまたはフェニルであり、Xは、-OTf、-OClO

、Cl、Br、およびIからなる群より選択される]
で表される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
シリル化合物が、TMSOTf、TESOTf、TBSOTf、TIPSOTf、TBDPSOTf、TTMSOTf、TMSCl、TMSBr、TMSOClO

、およびTMSIからなる群より選択される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
酸が、HX(式中、Xは-OTf、-OClO

、Cl、Br、およびIからなる群より選択される)で表される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ペプチド化合物またはアミド化合物の脱保護法および固相反応における樹脂からの脱樹脂方法、並びにペプチド化合物の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
ペプチドはアミノ酸が多数連結した分子であり、生命体が産生するペプチド合成研究はもとより、ペプチドの構造を人工的にデザインして所望の機能を有するペプチドの研究が盛んに行われている(非特許文献1)。
【0003】
ペプチドの製造は、(i)N末端に保護基を持ちC末端無保護のアミノ酸のカルボキシル基を縮合剤などで活性化させた活性エステルを、(ii)N末端無保護のペプチドに対して作用させて新たにアミノ酸が伸長したペプチドを得、(iii)伸長したペプチドのN末端の保護基を除去する工程、の(i)~(iii)を繰り返すことで、複数のアミノ酸を連結させることで行うことができる(非特許文献2)。
【0004】
ペプチドの製造は、固相法と液相法に大別される。固相法の場合、クロロトリチル基やベンジル基などを含む、CTC樹脂、Wang樹脂、SASRIN樹脂などの固相合成用樹脂に、アミノ酸もしくはその誘導体(保護されたアミノ酸)、またはペプチドもしくはその誘導体のC末端を担持させたアミノ酸あるいはペプチドのアミノ基を求核点とし、N末端が保護されたペプチドあるいはアミノ酸のカルボニル基を求電子点とする、カップリング反応により行われる。また、液相法の場合、N末端が保護されたアミノ酸あるいはペプチドのカルボニル基を求電子点として、アミノ酸あるいはペプチドのアミノ基を求核点としたカップリング反応により行われる。これらのカップリング反応によって、アミノ酸またはペプチドの側鎖が、望まない官能基の変換を受けてしまう場合には、これら側鎖に保護基を導入しておく必要がある。アミノ酸またはペプチドのC末端を保護する保護基、アミノ酸またはペプチドのN末端を保護する保護基、およびアミノ酸またはペプチドの側鎖を保護する保護基としては、Boc基、t-Bu基、またはトリチル基のような酸性条件で除去可能な保護基が汎用されている。また、固相合成用樹脂と結合したペプチドを固相合成用樹脂から切り出す脱樹脂反応において、CTC樹脂、Wang樹脂、SASRIN樹脂のような酸性条件で除去可能な固相合成用樹脂が汎用されている(非特許文献4)。
【0005】
さらに、酸性条件下で脱保護される保護基には、3,5-ジメトキシフェニルイソプロポキシカルボニル(Ddz)基や、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)基、ベンジル(Bn)基、あるいはシクロヘキシル(cHx)基なども挙げられる(非特許文献4、5)。これらの脱保護反応、または脱樹脂反応の反応条件では、ペプチドのアミド結合の切断や、アミノ酸側鎖の目的としない官能基変換などの副反応を起こすことがあり、目的としない配列のペプチドが副生することがある。したがって、アミド結合の切断反応や、ペプチドの主鎖の転移反応に例示される、主鎖の損傷反応がおこらずに、目的のペプチドが得られることが求められる。
【0006】
上述の酸性条件で除去可能な保護基は、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、TFAで処理して除去される場合が多い(非特許文献2、3、4)。また、固相合成における脱樹脂反応は、通常TFAを用いる(非特許文献6)。しかし、これらの中で緩和な酸であるTFA酸性条件下でも、アミド結合が切断される場合のあることが記載されている(非特許文献7)。
【0007】
また、アミド結合の切断という問題に対して、希釈したTFA条件下で、および脱Boc化反応を温和な条件下で行うことによる解決が試みられたが、いずれの条件でも改善されなかったと記述されている(非特許文献8、特許文献1)。また、より酸性の弱いTFEを用いることで、保護されたアミノ酸の保護基を除去する方法が報告されている(非特許文献5、特許文献1)。これらの文献では反応変換率が低いため、反応を進行させるためにさらに酸を添加する、または、反応温度を上昇させるなどの、より厳しい反応条件で反応を行う必要がある。しかし、酸の添加や反応温度を上昇させた反応条件をペプチドに適用した場合、ペプチドの主鎖が損傷をうけることが懸念される。実際にBoc-Leu-MeLeu-Thr(OBn)-MeGly-OAllylに対し、TFE中、塩化水素を作用させ、脱Boc化反応を試みたが、脱Boc化反応終結前に主鎖の切断が確認された。
【0008】
また、低温条件下で反応を行いかつ、副反応が起きる前に反応を停止することでアミド結合の切断を抑制できたという報告がある(非特許文献9)。しかし、この手法は、厳密な反応時間の制御が必要であり、短時間で反応を停止することが困難な大量生産においては、その制御が困難となることが容易に推定される。
【0009】
酸性条件下での脱保護法として、Boc基またはt-Bu基の脱保護の際に、共生するt-Buカチオンが側鎖と副反応を起こすのを抑制するために、カチオン捕捉剤を加えることが試みられている(非特許文献10)。
【0010】
この場合、t-Bu基に由来するt-Buカチオンを捕捉するために、ジメチルスルフィドやチオアニソールなどの含硫黄添加剤を添加して、酸性条件下に脱保護する方法が試みられているが、その際に、アミド結合が切断される副反応が起こり、収率と純度低下を招いたという報告がなされている(非特許文献7)。
(【0011】以降は省略されています)

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