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公開番号
2025001989
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-01-09
出願番号
2023101839
出願日
2023-06-21
発明の名称
機能性成形体およびその製造方法
出願人
独立行政法人国立高等専門学校機構
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
B01J
20/30 20060101AFI20241226BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約
【課題】ウイルスや、重金属等を捕捉することができる機能性成形体を提供することを目的とする。
【解決手段】基材に電子線照射して前記基材の表層にラジカルを発生させる工程(A)と、
前記基材の表層のラジカルに、エポキシ基を有するポリマーブラシ用モノマーを反応させてポリマーブラシを二次重合し、前記基材の表層にポリマーブラシを設ける工程(B)と、 前記ポリマーブラシの前記エポキシ基に、導入用物質を反応させることで、前記ポリマーブラシに、前記導入用物質を用いたホストゲスト反応のホスト構造となる機能性構造を導入する工程(C)と、を有し、
前記ホストゲスト反応が、抗体・抗原反応、リガンド・レセプター反応、および、キレート・錯体反応からなる群から選択されるいずれかである、機能性成形体の製造方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
基材に電子線照射して前記基材の表層にラジカルを発生させる工程(A)と、
前記基材の表層のラジカルに、エポキシ基を有するポリマーブラシ用モノマーを反応させてポリマーブラシを二次重合し、前記基材の表層にポリマーブラシを設ける工程(B)と、
前記ポリマーブラシの前記エポキシ基に、導入用物質を反応させることで、前記ポリマーブラシに、前記導入用物質を用いたホストゲスト反応のホスト構造となる機能性構造を導入する工程(C)と、を有し、
前記ホストゲスト反応が、抗体・抗原反応、リガンド・レセプター反応、および、キレート・錯体反応からなる群から選択されるいずれかである、機能性成形体の製造方法。
続きを表示(約 1,000 文字)
【請求項2】
前記ポリマーブラシ用モノマーが、メタクリル酸グリシジル、または、アクリル酸グリシジルである請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記導入する工程(C)における前記導入用物質として、ジアミン化合物、タンパク質架橋剤および機能性物質を用いるものであり、
前記導入する工程(C)が、前記ポリマーブラシの前記エポキシ基とジアミン化合物を反応させて前記ジアミン化合物由来のアミノ基を結合させる工程(C-1)と、
前記アミノ基と反応する前記タンパク質架橋剤を反応させる工程(C-2)と、
前記タンパク質架橋剤と反応する前記機能性物質を反応させる工程(C-3)を行う、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記タンパク質架橋剤が、二価性試薬および/またはジアルデヒド化合物であり、前記機能性物質が、機能性タンパク質である、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記二価性試薬が、N-(11-Maleimidoundecanoyloxy)sulfosuccinimide, sodium saltであり、前記ジアルデヒド化合物が、グルタルアルデヒドである請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記導入用物質が、アミンおよび硫黄原子を含む構造を有する含硫黄アミン系化合物であり、
前記ホスト構造が、前記含硫黄アミン系化合物に由来する窒素原子と硫黄原子とを有する請求項2に記載の製造方法。
【請求項7】
前記含硫黄アミン系化合物における前記硫黄原子を含む構造が、チオール、スルフィド、およびジチオカルボン酸からなる群から選択されるいずれかである請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記含硫黄アミン系化合物が、4-イミダゾールジチオカルボン酸、3-メチルチオプロピルアミン、2-アミノエタンチオール、および2,2´-チオビスエチルアミンからなる群から選択される1以上の物質である、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
基材と、前記基材の表層に設けられたポリマーブラシ層と、前記ポリマーブラシ層に導入されたホストゲスト反応のホスト構造となる機能性構造と、を有し、
前記ホストゲスト反応が、抗体・抗原反応、リガンド・レセプター反応、および、キレート・錯体反応からなる群から選択されるいずれかである、機能性成形体。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性成形体およびその製造方法に関する。特に、本発明は、ポリマーブラシ層を有し、このポリマーブラシ層に機能性基を設けることで、機能性基による、各種の対象物質の捕捉や濃縮などに適した機能性成形体に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)
【背景技術】
【0002】
近年発生しパンデミックを起こしたCOVID-19により、ウイルスに対する関心が高まり、下水モニタリングにより感染症の流行予測を行う、下水サーベイランス事業が日本含め諸外国にて実施されている。しかし、この技法では、感染者の糞便中でのコロナウイルス検出量が少ないため下水の濃縮が必要不可欠である他、採取から検出までのタイムラグ、操作方法の確立など課題点も多い。ウイルス濃縮技術として、(a)抗体法、(b)陰電荷膜濃縮法などが挙げられる。
【0003】
(a)抗体法は、対象となるウイルスを特異的に認識する抗体を、基材の表面に吸着させる能動的吸着法または直接結合する受動的吸着法がある。前者の能動的吸着法は静電相互作用を主な駆動力としており、調製は簡便であるものの、吸着された抗体の剥離、構造変性による抗原結合サイトの遮蔽が生じる問題点がある。後者の受動的吸着法では、カルボキシ基やアミノ基を有する基材を二価性試薬により中間活性化状態とし、目的の抗体と共有結合を形成する手法であり、前述した能動的吸着法のような問題は生じない。しかし、基材表面への単層吸着であるため、抗原濃縮率は低いという問題点がある。
【0004】
(b)陰電荷膜濃縮法は、ウイルスが有する負電荷と、対となる陽電荷を有する膜を調製し、静電相互作用によってウイルスを吸着する。この方法は樹脂でも応用可能であり、非常に簡便な方法である一方、ウイルス以外の負電荷をもつ物質(例えばタンパク質)等も吸着してしまうため、濃縮効率が悪いという問題点がある。
【0005】
また、近年、途上国では急速な産業発展に伴い、非鉄金属の生産や化石燃料の燃焼によって重金属を排出している。このように環境中に排出された重金属が生命にとって欠くことのできない資源である水を汚染している。急速な産業発展により濃いスモッグが発生し、大気、水、土壌、農産物が重金属によって汚染されるなど、環境に深刻な影響を及ぼしていると報告されている。つまり、重金属の汚染は、水中だけでなく、大気や雨を媒体とした移動によって土壌中にも生じる。
【0006】
重金属の中でも、例えば水銀は、米国環境保護庁(EPA)によって規制されている有害汚染物質であり、生物蓄積性と非生物分解性に基づく毒性により、脳や神経などに疾患を引き起こすことが知られている。また水銀汚染の脅威は、水銀がメチル化されることによって引き起こされる健康被害である。このような背景のもと、商業目的による水銀の使用を世界的に減らすために「水銀輸出禁止法」が定められている。つまり、排水に含まれている水銀を除去処理できる技術が必要とされている。排水処理技術として、化学沈殿法、イオン吸着法、膜ろ過法などが適用されてきたが、低容量であることや、選択性が低いという問題点がある。
【0007】
また、水銀をはじめとする有害金属を分析するためには高額な装置が使用されているが、現地において簡易的に測定するニーズが高まっている。しかし、この簡易テスター等での測定において、対象金属の濃度が低いため現地での測定が困難という問題がある。そのため、特定の有害金属を回収、濃縮する前処理用の材料開発が必要である。
【0008】
水銀の濃縮には(c)活性炭、(d)溶媒抽出法、(e)イオン交換樹脂、(f)キレート樹脂、等が用いられている。
【0009】
(c)活性炭は、水銀に対して高い吸着力を示す一方で、選択性が皆無であり、共存物質による濃縮の阻害や、吸着後の分離操作の面で問題がある。
(d)溶媒抽出法は、水銀と親和性の高い硫黄系の官能基を有する抽出剤を用いた手法であり、選択性は高いものの、大量の有機溶媒を使用すること、および分離操作が必要であるという問題がある。
(e)イオン交換樹脂を用いた濃縮の駆動力は静電相互作用であり、水銀以外の陽電荷を有する物質も吸着するため、選択性が著しく低いという問題がある。
(f)キレート樹脂は、水銀と親和性の高い硫黄系の官能基を樹脂内に固定したものであり、水銀選択性に優れている。一方で、官能基は樹脂の細孔表面に単層で存在するため、吸着容量を上げるためには大量の樹脂が必要になるという問題がある。
【0010】
ところで、基材の表面等にグラフト重合したいわゆるポリマーブラシ等を設けて、様々な物性を付与することも検討されている。例えば、特許文献1は、ポリオレフィン、又はオレフィンとハロゲン化オレフィンの共重合体からなる基材膜に、電離性放射線を照射した後グリシジルメタクリレート又はグリシジルアクリレートを気相中でグラフトさせ、その後、必要に応じて酸性液で部分的にエポキシ基を開環させた後、アンモニアまたは有機アミンを付加させることを特徴とする、中性ヒドロキシル基とアニオン交換基とを有するアニオン選択吸着性多孔膜の製造方法を開示している。
(【0011】以降は省略されています)
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