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公開番号
2024174594
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-12-17
出願番号
2023092495
出願日
2023-06-05
発明の名称
水溶性フィルター
出願人
個人
代理人
弁理士法人三枝国際特許事務所
主分類
B01D
39/16 20060101AFI20241210BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約
【課題】耐久性及び粒子捕集効率が高い水溶性フィルターを提供する。
【解決手段】微粒子を捕集する水溶性フィルターであって、ポリビニルアルコールを含有する繊維を含む不織布を備え、前記不織布の繊維の平均繊維径が20~300nmである、水溶性フィルター。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
微粒子を捕集する水溶性フィルターであって、
ポリビニルアルコールを含有する繊維を含む不織布を備え、
前記不織布の繊維の平均繊維径が20~300nmである、水溶性フィルター。
続きを表示(約 720 文字)
【請求項2】
前記不織布の目付が5~50g/m
2
、厚みが10~150μmである、請求項1に記載の水溶性フィルター。
【請求項3】
前記ポリビニルアルコールの重量平均分子量が70,000~120,000である、請求項1に記載の水溶性フィルター。
【請求項4】
前記水溶性フィルター1質量部を水100質量部と混合し、80~90℃で撹拌した場合に、1時間以内に溶解する、請求項1に記載の水溶性フィルター。
【請求項5】
通気線速度0.6~0.9cm/s時の圧力損失が300Pa以下であり、かつ粒子径0.3μm以上10μm以下の微粒子の捕集効率が95%以上である、請求項1に記載の水溶性フィルター。
【請求項6】
微粒子の捕集及び分析用である、請求項1に記載の水溶性フィルター。
【請求項7】
エレクトロスピニング法を用いる、請求項1に記載の水溶性フィルターの製造方法。
【請求項8】
5~20w/v%のポリビニルアルコール溶液を調製する工程と、
前記溶液を用いてエレクトロスピニング法により不織布を形成する工程を含む、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
請求項1に記載の水溶性フィルターを用いる微粒子の捕集方法。
【請求項10】
請求項1に記載の水溶性フィルターを用いて微粒子を捕集する工程と、
前記フィルターに捕集された前記微粒子を、前記フィルター上に保持した状態で分析する工程と、
を含む、微粒子の分析方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性フィルターに関する。
続きを表示(約 2,700 文字)
【背景技術】
【0002】
大気粒子の有害性発現メカニズムを解明するためには、粒子を細胞や生物に直接曝露し、その有害性と粒子特性(サイズ、形状、化学組成、細菌叢等)との関連付けを調べる必要がある。
【0003】
しかし、化学分析の分野においては、一般的に、大気粒子を石英繊維や四フッ化エチレン(PTFE)等を素材とするフィルター(例えば、特許文献1等)に採取して分析を進める。一方、生物分析の分野においては、一般的に、大気粒子をゼラチン等を素材とする水溶性のフィルター(例えば、特許文献2等)に採取して分析を進める。
【0004】
このように、大気粒子の化学分析と生物分析とで、使用するフィルターが異なるために、化学分析と生物分析を横断的に行うことが困難であり、大気粒子の有害性発現メカニズムの解明が進んでいない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開平5-202217号公報
特表2001-523549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、化学分析と生物分析の両方を実施可能な、耐久性及び粒子捕集効率が高い水溶性フィルターを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、発明者らは鋭意研究を重ねた結果、ポリビニルアルコールを含有する繊維を含む不織布を備える水溶性フィルターにおいて、高い耐久性及び高い粒子捕集効率が得られることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものであり、以下に示す広い態様の発明を含むものである。
[項1]
微粒子を捕集する水溶性フィルターであって、
ポリビニルアルコールを含有する繊維を含む不織布を備え、
前記不織布の繊維の平均繊維径が20~300nmである、水溶性フィルター。
[項2]
前記不織布の目付が5~50g/m
2
、厚みが10~150μmである、項1に記載の水溶性フィルター。
[項3]
前記ポリビニルアルコールの重量平均分子量が70,000~120,000である、項1又は2に記載の水溶性フィルター。
[項4]
前記水溶性フィルター1質量部を水100質量部と混合し、80~90℃で撹拌した場合に、1時間以内に溶解する、項1~3のいずれか1項に記載の水溶性フィルター。
[項5]
通気線速度0.6~0.9cm/s時の圧力損失が300Pa以下であり、かつ粒子径0.3μm以上10μm以下の微粒子の捕集効率が95%以上である、項1~4のいずれか1項に記載の水溶性フィルター。
[項6]
微粒子の捕集及び分析用である、項1~5のいずれか1項に記載の水溶性フィルター。
[項7]
エレクトロスピニング法を用いる、項1~6のいずれか1項に記載の水溶性フィルターの製造方法。
[項8]
5~20w/v%のポリビニルアルコール溶液を調製する工程と、
前記溶液を用いてエレクトロスピニング法により不織布を形成する工程を含む、項7に記載の製造方法。
[項9]
項1~6のいずれか1項に記載の水溶性フィルターを用いる微粒子の捕集方法。
[項10]
項1~6のいずれか1項に記載の水溶性フィルターを用いて微粒子を捕集する工程と、
前記フィルターに捕集された前記微粒子を、前記フィルター上に保持した状態で分析する工程と、
を含む、微粒子の分析方法。
[項11]
項1~6のいずれか1項に記載の水溶性フィルターを用いて微粒子を捕集する工程と、
前記微粒子を捕集した前記フィルターを溶媒に溶解させることにより、前記微粒子を含む溶解液又は分散液を取得する工程と、
前記溶解液又は分散液中の微粒子を分析する工程と、
を含む、微粒子の分析方法。
[項12]
項1~6のいずれか1項に記載の水溶性フィルターを用いて微粒子を捕集する工程と、
前記微粒子を捕集した前記フィルターを溶媒に溶解させることにより、前記微粒子を溶媒に溶解又は分散させる工程、
を含む、微粒子の溶媒への回収方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、耐久性及び粒子捕集効率が高い水溶性フィルターを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
エレクトロスピニング法の概略図を示す。
実施例1の捕集効率及び圧力損失の測定の概略図を示す。
実施例1における、フィルターの粒子捕集効率および圧力損失測定の装置の配置を示す。
実施例1における、アルミ製フィルターホルダーにおけるフィルターの設置位置を示す。
実施例2における耐久性確認試験の結果を示すグラフ。
実施例2における耐久性確認試験後のフィルターの状態を示す写真。
実施例4における粒子捕集の概略図を示す。
実施例4における捕集粒子の成分分析結果を示すグラフ。
実施例4におけるPTFEフィルターに対する水溶性フィルターV1の捕集質量比を示すグラフ。
実施例5にて用いた粉塵捕集用装置の写真。
実施例5にて用いた粉塵捕集用装置の配置の概略図を示す。
実施例5におけるフィルターでの捕集部分の構成の概略図を示す。
実施例5における捕集粒子の成分分析結果を示すグラフ。
実施例6におけるWST-1アッセイの概要図を示す。
実施例5における、粒子を捕集していない状態のフィルターのWST-1アッセイにおける細胞生存率を示すグラフ。水溶性フィルターは、細胞生存率に影響を与えていないことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において、「水溶性」とは、水に溶解できるものを広く包含し、冷水(10℃以下)で溶解するものから、沸騰水(100℃程度)で溶解するものまで包含される。また、イオン化合物、タンパク質、他の添加剤等を含む水に溶解できるものも包含される。
(【0011】以降は省略されています)
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