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公開番号
2025000760
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-01-07
出願番号
2024166252,2024538462
出願日
2024-09-25,2024-03-05
発明の名称
感熱記録体
出願人
日本製紙株式会社
代理人
個人
主分類
B41M
5/333 20060101AFI20241224BHJP(印刷;線画機;タイプライター;スタンプ)
要約
【課題】顕色剤としてクラフトリグニンを用いた、環境に優しい感熱記録体であって、印字した際にヘッド腐食性が優れた感熱記録体を提供する。
【解決手段】支持体上に、無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料及び電子受容性顕色剤を含有する感熱記録層を設け、該感熱記録層が電子受容性顕色剤としてクラフトリグニンを含有する感熱記録体であって、該クラフトリグニンが、硫化水素をほとんど含有しない又は多くとも400ppmしか含有しない、感熱記録体である。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
支持体上に、無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料及び電子受容性顕色剤を含有する感熱記録層を設け、該感熱記録層が電子受容性顕色剤としてクラフトリグニンを含有する感熱記録体であって、該クラフトリグニンが、硫化水素を含有しない又は多くとも400ppmしか含有しない、感熱記録体。
続きを表示(約 760 文字)
【請求項2】
前記クラフトリグニン中のリグニンの含有量が、90%以上である請求項1に記載の感熱記録体。
【請求項3】
前記クラフトリグニンの密度が、0.4~0.5g/cm
3
である、請求項1に記載の感熱記録体。
【請求項4】
前記感熱記録層中のクラフトリグニンの含有量(固形分)が0.5~20重量%である請求項1に記載の感熱記録体。
【請求項5】
前記感熱記録層が、前記クラフトリグニン以外の電子受容性顕色剤を含有し、該クラフトリグニン以外の電子受容性顕色剤が、4,4'-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4'-イソプロポキシジフェニルスルホン、又はウレア構造(-NHCONH-)を有する顕色剤である、請求項1~4のいずれか一項に記載の感熱記録体。
【請求項6】
電子供与性ロイコ染料に対する顕色剤の重量比が、0.05~4.0である請求項5に記載の感熱記録体。
【請求項7】
感熱記録層がクラフトリグニンを含有する感熱記録体にサーマルヘッドにより印字する際の該サーマルヘッドの腐食を低減させる方法であって、請求項1~4のいずれか一項に記載の感熱記録体に印字する段階を含む方法。
【請求項8】
感熱記録層がクラフトリグニンを含有する感熱記録体にサーマルヘッドにより印字する際の該サーマルヘッドの腐食を低減させる方法であって、請求項5に記載の感熱記録体に印字する段階を含む方法。
【請求項9】
感熱記録層がクラフトリグニンを含有する感熱記録体にサーマルヘッドにより印字する際の該サーマルヘッドの腐食を低減させる方法であって、請求項6に記載の感熱記録体に印字する段階を含む方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料(以下、「ロイコ染料」ともいう。)と電子受容性顕色剤(以下、「顕色剤」ともいう。)との発色反応を利用した感熱記録体であって、顕色剤としてクラフトリグニンを使用する感熱記録体に関する。
続きを表示(約 5,000 文字)
【背景技術】
【0002】
一般に、感熱記録体は通常無色ないし淡色のロイコ染料と顕色剤とを含有する塗工液を、紙、合成紙、フィルム、プラスチック等の支持体に塗工したものであり、サーマルヘッド、ホットスタンプ、熱ペン、レーザー光等の加熱による瞬時の化学反応により発色し、記録画像が得られる。感熱記録体は、ファクシミリ、コンピューターの端末プリンタ、自動券売機、計測用レコーダー、スーパーマーケットやコンビニなどのレシート等の記録媒体として広範囲に使用されている。
この顕色剤として、一般に、ビスフェノール類、アルキルフェノール類、ノボラック型フェノール樹脂、芳香族カルボン酸の誘導体やその金属塩、ヒドロキシ安息香酸エステル、スルホニル尿素系化合物、活性白土などが用いられている。
また、環境に優しい顕色剤を用いた感熱記録体を提供するために、顕色剤として単離リグニンを用いることが知られている(特許文献1等)。
また、感熱記録体の印字に用いるサーマルヘッドの腐食に対して、いくつかの対策が知られている(特許文献2~4等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2020-104274
特開昭62-87362
特開平10-264425
特開2000-79715
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
感熱記録紙の印字装置のうち、サーマルヘッドは基盤の上にグレーズ層、発熱体、電極、保護膜から構成される。電極には一般的にアルミニウムが使用され、ナトリウムイオンや塩化物イオン、硫化物イオンなどに代表されるイオン性の物質により腐食することが知られており、電極が腐食すると正常に印字できなくなる。
一方、環境に優しい感熱記録体を提供するために、顕色剤としてクラフトリグニンを用いると、使用条件によっては、感熱記録体の印字に用いるサーマルヘッドに腐食の問題があることが分かった(後記の比較例1等を参照されたい。)。しかし、サーマルヘッドの腐食については、従来印字装置側からの対応策しか知られていなかった(特許文献2~4等)。
本発明は、顕色剤としてクラフトリグニンを用いた、環境に優しい感熱記録体であって、印字した際にヘッド腐食性が優れた感熱記録体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記の課題を解決するために、鋭意検討した結果、製造工程において、従来とは異なり、酸化工程を加えて製造され、その結果硫化水素の含有量が低減されたクラフトリグニンを用いることにより、上記問題が解決されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、支持体上に、無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料及び電子受容性顕色剤を含有する感熱記録層を設け、該感熱記録層が電子受容性顕色剤としてクラフトリグニンを含有する感熱記録体であって、該クラフトリグニンが、硫化水素をほとんど含有しない又は多くとも400ppmしか含有しない、感熱記録体である。
また、本願発明は、感熱記録層がクラフトリグニンを含有する感熱記録体にサーマルヘッドにより印字する際の該サーマルヘッドの腐食を低減させる方法であって、この感熱記録体に印字する段階を含む方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、クラフトリグニンを顕色剤として用いながらも、印字した際のサーマルヘッド腐食性に優れた感熱記録体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
植物細胞の細胞壁に存在する天然リグニンはセルロース等の多糖類と複合化しており、単離することが困難である。そのため、通常、化学変性を施すことにより単離される。単離リグニンは、工業リグニンとも呼ばれ、単離リグニンには、リグノスルホン酸塩、クラフトリグニン、ソーダリグニン、ソーダ・アントラキノンリグニン、オルガノリグニン、爆砕リグニン、硫酸リグニン等が含まれる。
本発明の感熱記録体においては顕色剤としてクラフトリグニンを使用する。
クラフトリグニンは、チオリグニン、サルフェートリグニンとも呼ばれる。クラフトリグニンは、ヒドロキシフェニルプロパンを基本単位とし、フェノール製ヒドロキシ基やアルコール性ヒドロキシ基、チオール基などの官能基を有する化合物である。クラフトリグニンは、通常、木材に、水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムとの混合水溶液を作用させて得られ、水に不溶である。クラフトリグニンの使用形態としては、クラフトリグニンのアルカリ溶液や、クラフトリグニンのアルカリ溶液をスプレードライして粉末化した粉末クラフトリグニン、クラフトリグニンのアルカリ溶液を酸で沈殿させた酸沈殿クラフトリグニンを用いることができる。
【0008】
本発明におけるクラフトリグニンは、例えば、特表2013-527339に記載のように製造され、黒液酸化の工程を踏むことにより得られる。クラフトリグニンを精製する場合、通常、黒液を炭酸中和・ろ過により炭酸中和リグニンを精製、再分散し硫酸により抽出、ろ過洗浄する工程を経て精製される。本発明にて使用するクラフトリグニンは、炭酸中和の工程の前に酸素による酸化の工程を加えることで、硫化水素の含有量が極めて少ない。
このようなクラフトリグニンは、硫化水素をほとんど含有しない又は多くとも400ppmしか含有しない、また含有したとしても好ましくは200ppm以下、より好ましくは100ppm以下である。通常下限は50ppm以下、例えば10ppm程度である。
クラフトリグニン中の硫化水素の含有量は、例えば、クラフトリグニンを加熱(200℃)した際の発生量を硫化水素濃度測定器で測定する。クラフトリグニンの融点は約170℃であり、200℃で加熱することで測定可能である。
また、このようなクラフトリグニン中のリグニンの含有量は、好ましくは90重量%以上、より好ましくは92~100重量%である。
このようなクラフトリグニンの濃度60%における密度は、好ましくは0.4~0.5g/cm
3
である。
リグニンの含有量が上記範囲となることで硫化物等の不純物含有量が減り、サーマルヘッドの腐食への影響が軽減される。また密度が上記範囲以下のものと比較して薬品分散時の作業効率が向上し、かつ同じ分散液濃度にするのに必要なクラフリグニン量を減らすことができる。
このようなクラフトリグニンとして、ウエストフレイザー(WestFraser)社製の製品名Amallin Aを挙げることができる。
【0009】
本発明においては、顕色剤として上記のクラフトリグニンを使用するが、クラフトリグニン以外の顕色剤を併用してもよい。これにより、発色性能(印字濃度)等の性能面でより優れた効果をもたらすことができる。
このような顕色剤としては、例えば、活性白土、アタパルジャイト、コロイダルシリカ、珪酸アルミニウムなどの無機酸性物質、4,4'-イソプロピリデンジフェノール、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン、4,4'-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、4-ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4,4'-ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4'-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4'-イソプロポキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4'-n-プロポキシジフェニルスルホン、ビス(3-アリル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、4-ヒドロキシ-4'-メチルジフェニルスルホン、4-ヒドロキシフェニル-4'-ベンジルオキシフェニルスルホン、3,4-ジヒドロキシフェニル-4'-メチルフェニルスルホン、1-[4-(4-ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ]-4-[4-(4-イソプロポキシフェニルスルホニル)フェノキシ]ブタン、特開2003-154760号公報記載のフェノール縮合組成物、特開平8-59603号公報記載のアミノベンゼンスルホンアミド誘導体、ビス(4-ヒドロキシフェニルチオエトキシ)メタン、1,5-ジ(4-ヒドロキシフェニルチオ)-3-オキサペンタン、ビス(p-ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(p-ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、1,4-ビス[α-メチル-α-(4'-ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、1,3-ビス[α-メチル-α-(4'-ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、ジ(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルフィド、2,2'-チオビス(3-tert-オクチルフェノール)、2,2'-チオビス(4-tert-オクチルフェノール)、WO97/16420号に記載のジフェニルスルホン架橋型化合物等のフェノール性化合物、WO02/081229号あるいは特開2002-301873号公報記載の化合物、N-(2-(3-フェニルウレイド)フェニル)ベンゼンスルホンアミド、3-(3-トシルウレイド)フェニル-p-トルエンスルホナート、ウレアウレタン化合物、3-{[(フェニルアミノ)カルボニル]アミノ}ベンゼンスルホンアミド、またN,N'-ジ-m-クロロフェニルチオウレア等のチオ尿素化合物、p-クロロ安息香酸、没食子酸ステアリル、ビス[4-(n-オクチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸亜鉛]2水和物、4-[2-(p-メトキシフェノキシ)エチルオキシ]サリチル酸、4-[3-(p-トリルスルホニル)プロピルオキシ]サリチル酸、5-[p-(2-p-メトキシフェノキシエトキシ)クミル]サリチル酸の芳香族カルボン酸、及びこれらの芳香族カルボン酸の亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、マンガン、スズ、ニッケル等の多価金属塩との塩、さらにはチオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、テレフタルアルデヒド酸と他の芳香族カルボン酸との複合亜鉛塩、等が挙げられる。これらの顕色剤は、単独で又は2種以上混合して使用することもできる。この他、特開平10-258577号公報記載の高級脂肪酸金属複塩や多価ヒドロキシ芳香族化合物などの金属キレート型発色成分を含有することもできる。
【0010】
このような顕色剤の中で、クラフトリグニンと併用する顕色剤として、発色性能(印字濃度)、保存性等の性能のバランスが良好となるため、4,4'-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4'-イソプロポキシジフェニルスルホン、又はウレア構造(-NHCONH-)を有する顕色剤が好ましい。ウレア構造を有する顕色剤としては、例えば、次のような顕色剤が挙げられる。
i)N-(2-(3-フェニルウレイド)フェニル)ベンゼンスルホンアミド(日本曹達株式会社製NKK1304、下式)
TIFF
2025000760000001.tif
23
157
ii)下記一般式(化2)で表されるウレア化合物
TIFF
2025000760000002.tif
35
166
一般式(化2)中、Rはアルキル基又はアルコキシ基、好ましくはアルキル基であり、mは0~3、好ましくは0~2、より好ましくは0~1の整数を表す。このアルキル基の炭素数は、例えば、1~12、好ましくは1~8、より好ましくは1~4である。
一般式(化2)のベンゼン環中のRの位置は、同じであっても異なってもよく、好ましくは3位、4位又は5位、好ましくは4位である。
このウレア化合物として、例えば、N,N'-ジ-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素が挙げられる。
(【0011】以降は省略されています)
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