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公開番号2024174825
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-17
出願番号2024085261
出願日2024-05-27
発明の名称窒化物半導体レーザ素子
出願人日亜化学工業株式会社
代理人
主分類H01S 5/028 20060101AFI20241210BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】端面損傷の発生を低減した窒化物半導体レーザ素子を提供することを目的とする。
【解決手段】第1導電型の第1窒化物半導体層と、該第1導電型とは異なる導電型である第2導電型の第2窒化物半導体層と、前記第1窒化物半導体層と前記第2窒化物半導体層との間に配置される活性層と、該活性層の前記第2窒化物半導体層の側の面と交わる光出射側端面及び光反射側端面と、前記光出射側端面に設けられた保護膜とを備え、前記保護膜は、前記光出射側端面の側から順に、アルミニウム及び/又はガリウムを含む酸化膜からなる第1膜と、窒化膜からなる第2膜と、アルミニウムと酸素とを含む第1Al含有膜と、第1シリコン酸化膜と、アルミニウムと酸素とを含む第2Al含有膜と、第2シリコン酸化膜と、を含み、前記第2シリコン酸化膜は、前記保護膜における最も外側に配置されている窒化物半導体レーザ素子。
【選択図】図1D
特許請求の範囲【請求項1】
第1導電型の第1窒化物半導体層と、該第1導電型とは異なる導電型である第2導電型の第2窒化物半導体層と、前記第1窒化物半導体層と前記第2窒化物半導体層との間に配置される活性層と、該活性層の前記第2窒化物半導体層の側の面と交わる光出射側端面及び光反射側端面と、前記光出射側端面に設けられた保護膜とを備え、
前記保護膜は、前記光出射側端面の側から順に、アルミニウム及び/又はガリウムを含む酸化膜からなる第1膜と、窒化膜からなる第2膜と、アルミニウムと酸素とを含む第1Al含有膜と、第1シリコン酸化膜と、アルミニウムと酸素とを含む第2Al含有膜と、第2シリコン酸化膜と、を含み、
前記第2シリコン酸化膜は、前記保護膜における最も外側に配置されている窒化物半導体レーザ素子。
続きを表示(約 520 文字)【請求項2】
前記第1Al含有膜及び前記第2Al含有膜は、アルミニウムを含む酸化膜である請求項1に記載の窒化物半導体レーザ素子。
【請求項3】
前記第1Al含有膜及び前記第2Al含有膜は、アモルファス構造の膜又はアモルファス構造と結晶構造とを含む膜である請求項1に記載の窒化物半導体レーザ素子。
【請求項4】
前記第1Al含有膜の厚さは、前記第2Al含有膜の厚さよりも大きく、
前記第1シリコン酸化膜の厚さは、前記第2シリコン酸化膜の厚さよりも小さい請求項1に記載の窒化物半導体レーザ素子。
【請求項5】
前記第1膜及び前記第2膜は、結晶性の膜である請求項1に記載の窒化物半導体レーザ素子。
【請求項6】
前記第1膜の厚さが10nm未満である請求項1に記載の窒化物半導体レーザ素子。
【請求項7】
前記第2膜の前記活性層と隣り合う領域における結晶の軸配向は、前記第2膜の前記第1窒化物半導体層と隣り合う領域及び/又は前記第2窒化物半導体層と隣り合う領域における結晶の軸配向と同じである請求項1~6のいずれか1項に記載の窒化物半導体レーザ素子。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化物半導体レーザ素子に関する。
続きを表示(約 3,900 文字)【背景技術】
【0002】
近年、半導体レーザなどを励起光源として備え、この励起光源から出射された励起光を利用して照明などを行う発光装置が種々提案されている。
このような発光装置において、共振器面に形成される保護膜の剥離を防止した窒化物系半導体レーザ素子が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2009-99959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、特に高出力が求められる半導体レーザにおいて、端面損傷(COD:catastrophic optical damage)が高出力化の限界要因のひとつとして挙げられる。出力の更なる向上のために、端面損傷の発生の低減が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における一実施形態の窒化物半導体レーザ素子は、第1導電型の第1窒化物半導体層と、該第1導電型とは異なる導電型である第2導電型の第2窒化物半導体層と、前記第1窒化物半導体層と前記第2窒化物半導体層との間に配置される活性層と、該活性層の前記第2窒化物半導体層の側の面と交わる光出射側端面及び光反射側端面と、前記光出射側端面に設けられた保護膜とを備え、前記保護膜は、前記光出射側端面の側から順に、アルミニウム及び/又はガリウムを含む酸化膜からなる第1膜と、窒化膜からなる第2膜と、アルミニウムと酸素とを含む第1Al含有膜と、第1シリコン酸化膜と、アルミニウムと酸素とを含む第2Al含有膜と、第2シリコン酸化膜と、を含み、前記第2シリコン酸化膜は、前記保護膜における最も外側に配置されている。
【発明の効果】
【0006】
本開示における一実施形態の窒化物半導体レーザ素子によれば、端面損傷の発生を低減した窒化物半導体レーザ素子とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の一実施形態の窒化物半導体レーザ素子の斜視図である。
図1Aの正面図である。
図1AのIC-IC線断面図である。
光出射側端面の側の保護膜の一例を示す部分拡大図である。
保護膜及びその付近の高分解能透過電子顕微鏡像である。
第1Al含有膜の電子線回折像である。
第2膜の電子線回折像である。
第1膜の電子線回折像である。
窒化物半導体積層体の電子線回折像である。
本発明の窒化物半導体レーザ素子の別の例を示す断面図である。
光反射側端面の側の保護膜の一例を示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための方法を例示するものであって、本発明を以下の実施形態に特定するものではない。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。
【0009】
本実施形態に係る窒化物半導体レーザ素子(以下、半導体レーザ素子と記載することがある)を、図1A~図1Dに示す。図1Aは、本実施形態の窒化物半導体レーザ素子の斜視図である。図1Bは、図1Aの正面図である。図1Cは、図1AのIC-IC線断面図である。図1Dは、光出射側端面の側の保護膜の一例を示す部分拡大図である。図1A及び図1Bにおいて、保護膜30及び保護膜40は省略している。
窒化物半導体レーザ素子10は、端面発光レーザ素子である。窒化物半導体レーザ素子10は、第1窒化物半導体層11と、第2窒化物半導体層12と、第1窒化物半導体層11と第2窒化物半導体層12との間に配置される活性層13と、保護膜30とを備える。第1窒化物半導体層11、活性層13及び第2窒化物半導体層12は、活性層13の第2窒化物半導体層12の側の面と交わる面として、光出射側端面14及び光反射側端面15を有する。第1窒化物半導体層11、活性層13及び第2窒化物半導体層12を含む積層体を、窒化物半導体積層体と記載することがある。
保護膜30は、光出射側端面14に設けられている。保護膜30は、光出射側端面14の側から順に、アルミニウム及び/又はガリウムと酸素とを含む第1膜31と、窒化膜からなる第2膜32と、アルミニウムと酸素とを含む第1Al含有膜33と、第1シリコン酸化膜34と、アルミニウムと酸素とを含む第2Al含有膜35と、第2シリコン酸化膜36と、を含む。第2シリコン酸化膜36は、保護膜30における最も外側に配置されている。
このような構成を備えることにより、窒化物半導体レーザ素子10の端面損傷の発生を低減することができる。この効果が得られる理由としては次のことが考えられる。まず、保護膜30における第1膜31が酸素を含む膜であるために、駆動時に抵抗が変化しにくく、抵抗の低下を避けることができる。また、第1Al含有膜33が酸素を含む膜であることにより、第1Al含有膜33の酸化が進行する可能性を低減することができる。また、窒化膜である第2膜32が、第1膜31と第1Al含有膜33との間に存在するために、第2膜32が大気中又は雰囲気中の酸素と反応して酸化し、膨張する可能性を低減することができる。さらに、第1シリコン酸化膜34と第2Al含有膜35と第2シリコン酸化膜36を含むことにより、それらが無い場合と比較して保護膜30を構成する膜の数が増える。これにより、窒化物半導体レーザ素子10の駆動によって発生し得る膜間の局所的な剥離を複数の膜によって抑え込むことができ、局所的な剥離の発生可能性を低減することができる。シリコン酸化膜はAl含有膜よりも、窒化物半導体レーザ素子10を封止する封止媒体と反応し難い傾向があるため、第2シリコン酸化膜36を最も外側に配置することで、保護膜30が封止媒体(例えば酸素を含む気体)と反応し変質する可能性を低減することができる。これらの結果、端面損傷(COD)の発生を有効に低減することができると考えられる。端面損傷の発生を低減することにより、窒化物半導体レーザ素子10の長寿命化を図ることが可能となる。このような効果は、特に高出力の窒化物半導体レーザ素子10において顕著である。
高出力の窒化物半導体レーザ素子10は、例えば、光密度が2MW/cm

以上の素子である。窒化物半導体レーザ素子10の光密度は200MW/cm

以下であってもよい。高出力の窒化物半導体レーザ素子10は、例えば、横モードがマルチモードの場合に出力が1W以上の素子であり、5W以上の素子であってもよい。高出力の窒化物半導体レーザ素子10は、例えば、横モードがシングルモードの場合に出力が0.1W以上の素子である。窒化物半導体レーザ素子10の出力は3W以下であってもよい。
【0010】
(第1窒化物半導体層11、活性層13、第2窒化物半導体層12)
第1窒化物半導体層11、活性層13及び第2窒化物半導体層12はこの順に積層されている。これらの半導体層を含む窒化物半導体積層体は、基板16上に形成することができる。窒化物半導体積層体は結晶性を有する。
第1窒化物半導体層11は、第1導電型を示し、第2窒化物半導体層12は、第2導電型を示す。第1導電型としては、n型又はp型のいずれでもよい。第2導電型は、第1導電型と異なる導電型を意味する。第1窒化物半導体層11、活性層13及び第2窒化物半導体層12は、In
x
Al
y
Ga
1-x-y
N(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)からなる半導体層によって形成することができる。第1窒化物半導体層11及び第2窒化物半導体層12は、n型不純物として、Si、Ge等のいずれか1つ以上を含有していてもよい。第1窒化物半導体層11及び第2窒化物半導体層12は、p型不純物として、Mg、Zn等のいずれか1つ以上を含有していてもよい。不純物は、例えば、5×10
16
/cm

~1×10
21
/cm

の範囲で含有することができる。第1窒化物半導体層11及び第2窒化物半導体層12には、アンドープ層が含まれていてもよい。アンドープ層とは、n型又はp型を示す不純物が意図的にドープされていない層を指す。アンドープ層は、二次イオン質量分析法(SIMS)等の分析結果において検出限界を越えない不純物濃度であるか、不純物濃度が1×10
16
/cm

未満である層であってもよい。第1窒化物半導体層11及び第2窒化物半導体層12は、いずれも半導体層を1層のみ有していてもよいが、2層以上有していることが好ましい。
第1窒化物半導体層11、活性層13及び第2窒化物半導体層12によって形成される半導体レーザの発振ピーク波長は、200nm以上700nm以下が挙げられる。
(【0011】以降は省略されています)

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