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公開番号2024174617
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-17
出願番号2023092532
出願日2023-06-05
発明の名称電波吸収体
出願人個人
代理人
主分類H01Q 17/00 20060101AFI20241210BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】従来の光の透過性と通気性を有する電波吸収体は、電波吸収体としての反射特性を良好に保ったままシールド材としての透過特性だけを要求に応じて向上できなかった。
【解決手段】格子状もしくはハニカム状の板形状に、剣先形状を前記板形状に追加して設け、前記板形状と前記剣先形状を電波に対して損失を有する材料を用いて一体に構成する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
格子状もしくはハニカム状の板形状の表面に、剣先形状を前記板形状に追加して設け、前記板形状と前記剣先形状を電波に対して損失を有する材料を用いて一体に構成したことを特徴とする電波吸収体
続きを表示(約 350 文字)【請求項2】
格子状もしくはハニカム状の板形状の表面に、使用する中心周波数に対して1/4波長の高さの凸形状を前記板形状に追加して設け、前記板形状と前記凸形状を電波に対して損失を有する材料を用いて一体に構成したことを特徴とする電波吸収体
【請求項3】
格子状もしくはハニカム状の板形状の内部に、厚さ方向の段差を追加して設け、前記板形状の表面と前記段差の間の距離を使用する中心周波数に対して1/4波長とし、前記板形状と前記段差を電波に対して損失を有する材料を用いて一体に構成したことを特徴とする電波吸収体
【請求項4】
前記電波に対して損失を有する材料として炭素繊維を含有させた樹脂を用いたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の電波吸収体

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、近年実用化が進むミリ波帯無線の応用装置に用いて好適な電波吸収体に関するもので、特に光の透過性と通気性を有しながらシールド材としても用いられる電波吸収体において、電波吸収体としての反射特性を良好に保ったままシールド材としての透過特性だけを要求に応じて向上できる電波吸収体を提供する技術に関する。
続きを表示(約 8,700 文字)【背景技術】
【0002】
近年、28GHzを使用する5G通信装置や、さらに60GHz帯や76.5GHz帯や79GHzを使用するレーダ等のミリ波無線装置の実用化が進んでおり、合わせてミリ波帯で使用できる電波吸収体が求められている。一方、電波吸収体は内部損失を有するため電波シールド材の機能も有している。ここで、電波吸収体は反射特性で性能が評価され、電波シールド材は透過特性で性能が評価されるが、使用する電波環境に応じて反射特性と透過特性それぞれで異なる性能を有するものが要求されることがある。
また、電波シールド材の機能も有する電波吸収体は屋外で使用される場合があり、耐風性の観点から通気性が、さらに他の移動体との衝突を予防する視認性の観点から光の透過性が求められている。
以下の先行技術文献には、通気性と光の透過性を有する電波吸収体の例が示されている。特許文献1は金属線の周囲に磁性損失体を被覆した複数本の複合線を格子状に直交配置した電波吸収体である。特許文献2は特許文献1と同様に電波吸収材を被覆した金属部材による電波吸収体でETCレーン間に使用される。非特許文献1および非特許文献2はFRPにガラスファイバーを混入した格子を用いた電波吸収体でETCレーン間に使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開昭47-24253号公報
特開2007-73773号公報
【非特許文献】
【0004】
電子情報通信学会論文誌C Vol.J106-C,No.1 pp.3-9,一般社団法人電子情報通信学会2023.
Proc. Asia-Pacific Microwave Conference 2006, vol.1, pp.63-66, 2006.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記の特許文献1および特許文献2の金属線に電波吸収特性を有する材質を被膜した被覆線を並べた電波吸収体は、被覆線の密度を下げると反射特性が向上する一方で透過特性が悪化するため、電波吸収体としての反射特性を良好に保ったままシールド材としての透過特性だけを要求に応じて向上できなかった。また、非特許文献1および非特許文献2のFRPにガラスファイバーを混入した格子を用いた電波吸収体は、格子材料の誘電特性と格子寸法と格子間距離と格子厚さで反射特性と透過特性が同時に決まるため、電波吸収体としての反射特性を良好に保ったままシールド材としての透過特性だけを要求に応じて向上できなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電波吸収体は、前記従来の電波吸収体の有する問題を解決するために、格子状もしくはハニカム状の板形状の表面に剣先形状を追加して設け、板形状と剣先形状を、炭素繊維を含有させた樹脂による電波に対して損失を有する材料を用いて一体に構成する。
さらに本発明の電波吸収体は、剣先形状に替えて、使用する中心周波数に対して1/4波長の高さの凸形状を追加して一体に設けるか、もしくは板形状の内部に厚さ方向の段差を追加して一体に設け、板形状の表面と段差の間の距離を使用する中心周波数に対して1/4波長とする。
【発明の効果】
【0007】
上記のように、本発明の電波吸収体は格子状もしくはハニカム状の板形状とすることで光の透過性と通気性を得る。さらに、板形状の表面に追加して設けた剣先形状の間で反射損失が多重に累積される効果により反射を低減するので反射特性を板形状の表面だけで設定できる。さらに板形状に炭素繊維を含有させた樹脂を用いて構成することで、板形状の厚さを増加させると通過損失が増加して通過特性の向上できる。つまり、電波吸収体としての反射特性を良好に保ったままシールド材としての透過特性だけを要求に応じて向上できる。そして、板形状と剣先形状は同じ材料が使えるので一体成形することで電波吸収体を簡単に製作することが可能となる。
なお、剣先形状の替わりに、使用する中心周波数に対して1/4波長の高さの複数の凸形状を追加して設けても、さらに板形状の内部に厚さ方向の段差を追加して設けた上で板形状の表面と段差の距離を使用する中心周波数に対して1/4波長としても、1/4波長の高さの差を有する面からの反射が打ち消されて反射が低減されるので、反射特性を板形状の表面だけで設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
実施の形態1における板形状の表面に剣先形状を有する電波吸収体の斜視図
実施の形態1および4の剣先形状間での電波経路を示す図
実施の形態1から6の板形状内部での損失を示す図
実施の形態1で板形状の厚さを変えたときの反射特性を示す図
実施の形態1で板形状の厚さを変えたときの透過特性を示す図
実施の形態2における板形状の表面に凸形状を有する電波吸収体の斜視図
実施の形態2、3、5、6の電波吸収体の表面での反射波の打消しを示す図
実施の形態3における板形状の内部に段差を有する電波吸収体の斜視図
実施の形態4における板形状の表面に剣先形状を有する電波吸収体の斜視図
実施の形態5における板形状の表面に凸形状を有する電波吸収体の斜視図
実施の形態6における板形状の内部に段差を有する電波吸収体の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【実施例】
【0010】
(実施の形態1)
図1は本発明における電波吸収体の1つ目の実施の形態を示しており、格子状の板形状の表面に剣先形状を有する電波吸収体の斜視図である。図1において、101および102は実施の形態1の電波吸収体を異なる角度で見た様子を示しており、103は電波に対して損失を有する材料を用いて一体に構成された電波吸収体、104は格子状の板形状、105は板形状104の表面に追加して設けられた剣先形状、106は剣先形状105と板形状104が共通して有する格子の孔をそれぞれ示している。ここで、電波吸収体103は格子の孔106により光の透過性と通気性が確保されている。
ここで、電波吸収体103を構成する材料にはポリ乳酸に炭素繊維を20%含有させた樹脂が用いられ電波に対して損失を有している。なお、この樹脂を別途測定した結果、比誘電率は6.5で誘電正接は0.15であった。また、使用する中心周波数である28GHzで通過損失を最大とするため、格子周期は10mmで、格子の壁の厚さは2.5mmとなっている。
図1において、板形状104の表面に追加して設けた剣先形状105の間では多重反射により反射損失が累積され、よって反射特性を向上させる。図2は、図1の剣先形状105がある側から電波が入射したときの剣先形状の間で反射する電波経路を示している。図2において、201は剣先形状の断面を、202は入射電波と剣先形状の表面で反射する電波の経路を示している。図2に示すように、剣先形状の間に到来した入射電波は剣先形状の内部へも侵入する一方、202に示す経路で剣先形状の表面で多重反射して入射方向へ返っていく。つまり、入射方向へ返る電波は剣先形状の表面での反射損失が累積されて大きな反射損失を得ることとなり、電波吸収体の反射特性が向上する。
図3は図1の板形状104の内部で電波が損失を受ける様子を示している。301は図1の板形状104であって電波に対して損失を有する樹脂領域を、302は図1の格子の孔106であって電波に対して損失を有しない空気領域を、303は樹脂領域の伝搬波を、304は空気領域の伝搬波を示している。図3の左側から到来した入射電波は、剣先形状の表面から樹脂領域301へ入る成分と、直接に空気領域302へ入る成分に分かれるが、それぞれの成分は境界領域305を介してエネルギーを交換しながら板形状の内部を伝搬していく。樹脂領域301と空気領域302では伝搬する波長が異なるので、境界領域305を介して相手領域へ漏れ入ったそれぞれの伝搬波は元の領域と波面が揃わず境界領域305においてエバネッセント波となっている。ここで、樹脂領域303の伝搬波は損失を受けて減衰するが、境界領域305のエバネッセント波を介して空気領域304から樹脂領域303へエネルギーが流入し続ける。つまり、板形状の内部を長く伝搬するほど電波は大きな透過損失を受けるので、板形状の長さを増加させると反射特性を保ったまま透過特性だけを向上させることができる。
図4は、図1に示した実施の形態1において、板形状の厚さ107が5mm、15mm、25mmの場合を電磁界シミュレータ―で計算した反射特性と、板形状の厚さ107が15mmについて製作測定した反射特性を示している。401が板形状の厚さが5mmのとき、402が板形状の厚さが15mmのとき、403が板形状の厚さが25mmのときの計算結果を、404が製作測定した結果をそれぞれ示している。図4に示すように、使用する中心周波数28GHzにおいて、板形状の厚さ107を変えても-30dB以下の反射特性が維持されていることがわかる。
図5は、図1に示した実施の形態1において、板形状の厚さ107が5mm、15mm、25mmの場合を電磁界シミュレータ―で計算した透過特性と、板形状の厚さ107が15mmについて製作測定した透過特性を示している。501が板形状の厚さが5mmのとき、502が板形状の厚さが15mmのとき、503が板形状の厚さが25mmのときの計算結果を、504が製作測定した結果をそれぞれ示している。図5に示すように、使用する中心周波数28GHzにおいて透過特性が最良となるとともに、板形状の厚さ107を増加させると透過特性が向上している。つまり、上記の図3を用いて説明したように、本発明の効果が裏付けられる。そして、図4の結果と合わせると、板形状の厚さ107を増加させると良好な反射特性を維持したまま、透過特性だけを向上させることが可能となる。また、図5において板形状の厚さ107が15mmのときに計算結果と製作測定結果が近い結果となっていることから、上記の図3を用いて説明した本発明の効果の原理が裏付けられ、よって板形状の厚さ107を25mmとして製作すれば透過特性がさらに向上することとなる。
なお、本実施の形態1では使用する中心周波数を28GHzとした設計例と製作例を示したが、受動部品である電波吸収体は誘電特性が同じであれば形状寸法と波長を比例条件で製作すれば比帯域を含めて他の中心周波数で設計製作しても同様の反射特性と透過特性が得られることから、60GHz帯や76.5GHz帯や79GHz帯でも同様の特性が得られることとなる。
(実施の形態2)
図6は本発明における電波吸収体の2つ目の実施の形態を示しており、板形状の表面に剣先形状の替わりに使用する中心周波数に対して1/4波長の高さの凸形状を有する電波吸収体の斜視図である。図6において、601および602は実施の形態2の電波吸収体を異なる角度で見た様子を示しており、603は電波に対して損失を有する材料を用いて一体に構成された電波吸収体、604は格子状の板形状、605は板形状604の表面に追加して設けられた使用する中心周波数に対して1/4波長の高さの凸形状、606は凸形状605と板形状604が共通して有する格子の孔、607は板形状の厚さ、608は凸形状の高さをそれぞれ示している。ここで、電波吸収体603は格子の孔606により光の透過性と通気性が確保されている。
ここで、例えば、電波吸収体603を構成する材料にはポリ乳酸に炭素繊維を20%含有させた樹脂が用いられる。また、例えば、使用する中心周波数を28GHzとすれば、格子周期は10mmで、格子間の壁の厚さは2.5mmで、1/4波長の凸形状の高さ608は2.7mmに設定される。
図6において、板形状の表面に追加して設けた凸形状は、使用する中心周波数において表面での反射を低減させることができる。図7は、図6の電波吸収体へ電波が入射したときに凸形状605で反射する電波経路を示している。図7において、701は板形状604を構成する樹脂を、702は凸形状を、703は凸形状の高さを、704は凸形状702の先端部で反射する電波の経路を、705は板形状の表面であって凸形状の底部で反射する電波の経路を、706は経路704と経路705の合成面を示している。ここで、凸形状に入射した波は経路704と経路705で反射されるが、両経路には1/4波長の差があるため反射波は合成面706で逆位相となり打消し合って著しく減衰されることとなる。つまり、凸形状の高さが1/4波長となる周波数を中心として電波吸収体603は大きな吸収量を得ることとなる。
一方、凸形状の内部へ侵入した成分は電波吸収体の内部で損失を受けるが、板形状604の内部で電波に損失が与えられる原理は実施の形態1で図3による説明と同様であるので、ここでは説明を省略する。
つまり、図7による説明と図3による説明を合わせると、板形状の厚さ607を増加させると良好な反射特性を維持したまま、透過特性だけを向上させることが可能となる。
(実施の形態3)
図8は本発明における電波吸収体の3つ目の実施の形態を示しており、板形状の内部に厚さ方向の段差を追加して設け、板形状の表面と前記段差の間の距離を使用する中心周波数に対して1/4波長とした電波吸収体の斜視図である。図8において、801および802は実施の形態3の電波吸収体を異なる角度で見た様子を示しており、803は電波に対して損失を有する材料を用いて一体に構成された電波吸収体、804は格子状の板形状、805は板形状の内部に板形状の表面との距離を使用する中心周波数に対して1/4波長として追加して設けられた厚さ方向の段差、806は段差805と板形状804が共通して有する格子の孔、807は板形状の厚さ、808は段差の高さをそれぞれ示している。ここで、電波吸収体803は格子の孔806により光の透過性と通気性が確保されている。
ここで、例えば、電波吸収体803を構成する材料にはポリ乳酸に炭素繊維を20%含有させた樹脂が用いられる。また、例えば、使用する中心周波数を28GHzとすれば、格子周期は10mmで、格子間の壁の厚さは2.5mmで、板形状の表面と段差の間の距離808は2.7mmに設定される。
図8において、板形状の表面に追加して設けた段差は、使用する中心周波数において表面での反射を低減させることができる。図7は、図8の電波吸収体へ電波が入射したときに段差805で反射する電波経路を示している。図7において、701は板形状804を構成する樹脂を、703は板形状の表面と段差の間の距離808を、704は板形状の表面で反射する電波の経路を、705は段差805で反射する電波の経路を、706は経路704と経路705の合成面を示している。ここで、電波吸収体803に入射した波は、経路704と経路705で反射されるが、両経路には1/4波長の差があるため反射波は合成面706で逆位相となり反射波は打消し合って著しく減衰されることとなる。つまり、板形状の表面と段差の間の距離が1/4波長となる周波数を中心として電波吸収体803は大きな吸収量を得ることとなる。
一方、段差の内部へ侵入した成分は電波吸収体の内部で損失を受けるが、板形状804の内部で電波に損失が与えられる原理は実施の形態1で図3による説明と同様であるので、ここでは説明を省略する。
つまり、実施の形態2と同様、図7による説明と図3による説明を合わせると、板形状の厚さ807を増加させると良好な反射特性を維持したまま、透過特性だけを向上させることが可能となる。
(実施の形態4)
図9は本発明における電波吸収体の4つ目の実施の形態を示しており、実施の形態1において格子状をハニカム状に置換えたものである。図9において、901および902は実施の形態4の電波吸収体を異なる角度で見た様子を示しており、903は電波に対して損失を有する材料を用いて一体に構成された電波吸収体、904はハニカム状の板形状、905は板形状904に追加して設けられた剣先形状、906は剣先形状905と板形状904が共通して有するハニカムの孔、907は板形状の厚さをそれぞれ示している。ここで、電波吸収体903はハニカムの孔906により光の透過性と通気性が確保されている。
図9において、板形状904に追加して設けた剣先形状905の間では多重反射により反射損失が累積され、よって反射特性を向上させる。剣先形状の間の多重反射により反射特性が向上する原理は実施の形態1で図2による説明と同様であるので、ここでは説明を省略する。また、板形状904の内部で電波に損失が与えられる原理は実施の形態1で図3による説明と同様であるので、ここでは説明を省略する。
つまり、実施の形態1と同様、図2による説明と図3による説明を合わせると、板形状の厚さ907を増加させると良好な反射特性を維持したまま、透過特性だけを向上させることが可能となる。
(実施の形態5)
図10は本発明における電波吸収体の5つ目の実施の形態を示しており、実施の形態2において格子状をハニカム状に置換えたものである。図10において、111および112は実施の形態5の電波吸収体を異なる角度で見た様子を示しており、113は電波に対して損失を有する材料を用いて一体に構成された電波吸収体、114はハニカム状の板形状、115は板形状114に追加して設けられた使用する中心周波数に対して1/4波長の高さの凸形状、116は凸形状115と板形状114が共通して有するハニカムの孔、117は板形状の厚さ、118は凸形状の高さをそれぞれ示している。ここで、電波吸収体113はハニカムの孔116により光の透過性と通気性が確保されている。
図10において、板形状に追加して設けた凸形状は、使用する中心周波数において表面での反射を低減させることができる。凸形状により反射特性が向上する原理は実施の形態2で図7による説明と同様であるので、ここでは説明を省略する。また、板形状114の内部で電波に損失が与えられる原理は実施の形態1で図3による説明と同様であるので、ここでは説明を省略する。
つまり、実施の形態2と同様、図7による説明と図3による説明を合わせると、板形状の厚さ117を増加させると良好な反射特性を維持したまま、透過特性だけを向上させることが可能となる。
(実施の形態6)
図11は本発明における電波吸収体の6つ目の実施の形態を示しており、実施の形態3において格子状をハニカム状にしたものである。図11において、121および122は実施の形態6の電波吸収体を異なる角度で見た様子を示しており、123は電波に対して損失を有する材料を用いて一体に構成された電波吸収体、124はハニカム状の板形状、125は板形状の内部に板形状の表面との距離を使用する中心周波数に対して1/4波長として追加して設けられた厚さ方向の段差、126は段差125と板形状124が共通して有するハニカムの孔、127は板形状の厚さ、128は段差の高さをそれぞれ示している。ここで、電波吸収体123はハニカムの孔126により光の透過性と通気性が確保されている。
図11において、板形状の内部に追加して設けた段差は、使用する中心周波数において表面での反射を低減させることができる。段差により反射特性が向上する原理は実施の形態3で図7による説明と同様であるので、ここでは説明を省略する。また、板形状124の内部で電波に損失が与えられる原理は実施の形態1で図3による説明と同様であるので、ここでは説明を省略する。
つまり、実施の形態3と同様、図7による説明と図3による説明を合わせると、板形状の厚さ127を増加させると良好な反射特性を維持したまま、透過特性だけを向上させることが可能となる。
ここまで本発明について実施の形態1から6を示したが、電波に対して損失を有する材料の樹脂として、ポリ乳酸の替わりにアクリロニトリルやポリカーボネートやポリエチレンテレフタレートを用いても良い。
【産業上の利用可能性】
(【0011】以降は省略されています)

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