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公開番号
2024174647
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-12-17
出願番号
2023092581
出願日
2023-06-05
発明の名称
サイフォン送水装置及びそれを使用したサイフォン送水工法
出願人
株式会社山辰組
代理人
個人
主分類
E02B
7/18 20060101AFI20241210BHJP(水工;基礎;土砂の移送)
要約
【課題】使用後にサイフォン装置を撤収する際に、容易かつ迅速に撤収作業を行うことができるサイフォン装置及びサイフォン送水工法を提供する。
【解決手段】サイフォン送水装置100は、サイフォン送水ホース10の最上流部に設けた吸水口開閉装置又は吸水口逆止弁を省略した構造とし、1条配管の上流側の貯水部1の水面からサイフォン送水ホース10の最高部付近の何れかの位置に開閉式注水口部材20を設けその上流側に注水口上流側開閉部材30A又は注水口上流側逆止弁部材30Bを設ける構成とした。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
高水域にある貯水部の水を、サイフォン作用により低水域に送水するサイフォン送水装置において、
前記貯水部に配置された吸水口から低水域に配置された吐出し口まで1条配管で設置されたサイフォン送水ホースのうち、上流側の前記貯水部の水面から前記サイフォン送水ホースの最高部付近の何れかの位置に設けられた開閉式注水口部材と、
前記開閉式注水口部材より上流側に設けられた注水口上流側開閉部材を備え、
前記開閉式注水口部材の注水口開閉レバーを備えた注水口には、送水機器と接続された注水ホースが着脱自在に連結されていることを特徴とするサイフォン送水装置。
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【請求項2】
高水域にある貯水部の水を、サイフォン作用により低水域に送水するサイフォン送水装置において、
前記貯水部に配置された吸水口から低水域に配置された吐出し口まで1条配管で設置されたサイフォン送水ホースのうち、上流側の前記貯水部の水面から前記サイフォン送水ホースの最高部付近の何れかの位置に設けられた開閉式注水口部材と、
前記開閉式注水口部材より上流側に設けられた注水口上流側逆止弁部材を備え、
前記開閉式注水口部材の注水口開閉レバーを備えた注水口には、送水機器と接続された注水ホースが着脱自在に連結されていることを特徴とするサイフォン送水装置。
【請求項3】
前記サイフォン送水ホースの口径以下の2台以上の小口径の送水機器に連結された2本以上の小口径の注水ホースの流れを集水合流部材を介して開閉式注水口部材と小口径の注水ホースの間又は開閉式注水口部材の注水口に連結された注水ホースと小口径の注水ホース間に着脱自在に連結されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のサイフォン送水装置。
【請求項4】
前記注水ホースは、前記サイフォン送水ホースの口径より小口径を有し、
前記開閉式注水口部材よりも下流側に配置される前記サイフォン送水ホース内には、前記開閉式注水口部材から注水される水を堰き止めながら、前記サイフォン送水ホース内で増大する水圧に押されて流下するスポンジ状又はバルーン状の塊からなるホース内堰き止め部材が挿入されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のサイフォン送水装置。
【請求項5】
前記サイフォン送水ホースの下流側端部には、吐き出される水の流量を調節可能な吐出流量調節装置が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のサイフォン送水装置。
【請求項6】
請求項1に記載のサイフォン装置を使用したサイフォン送水工法において、前記送水機器を稼働しサイフォン送水ホースへ注水し、前記注水口上流側開閉部材よりも下流側のサイフォン送水ホースが満水状態で流下する状態となったら、前記注水口上流開閉部材を開口することによって、前記開閉式注水口部材より下流側の水が位置エネルギーにより下流側の吐出し口から吐出されるとともに、前記サイフォン送水ホース内を流下する水に吸引されて前記サイフォン送水ホースの上流端の吸水口から前記貯水部の水を吸水し前記サイフォン送水ホース内を流下して前記サイフォン送水ホース下流側の前記吐出口から吐き出されることで、前記送水機器を停止してもサイフォン作用が起動することを特徴とするサイフォン送水工法。
【請求項7】
請求項2に記載のサイフォン送水装置において、前記サイフォン送水ホースの下流端部に備えた吐出流量調節装置を閉じた状態で、前記サイフォン送水ホースの口径より細い口径を有する前記送水機器を稼働するか又は容器を用いて手作業で開口した注水口から水を流し込んで、前記サイフォン送水ホース内へ注水して注水口上流側逆止弁部材よりも下流側の前記サイフォン送水ホース内が満水状態となったら前記開閉式注水口部材の注水口を閉じるとともに吐出流量調節装置を開くと、前記開閉式注水口部材より下流部の水が位置エネルギーにより前記吐出流量調節装置の方向へ移動すると前記サイフォン送水ホースの上流端の水面下に浸漬けしている前記サイフォン送水ホース内の水や吸水口から新たに吸水した前記貯水部の水が前記注水口上流逆止弁部材の逆止弁を下流方向へ押し開いて流下し、前記サイフォン送水ホース内を移動して前記吐出流量調節装置から吐き出されて送水機器を停止してもサイフォン作用が起動することを特徴とするサイフォン送水工法。
【請求項8】
請求項2から6の何れか1項に記載されたサイフォン送水装置を使用したサイフォン送水工法
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイフォン送水装置及びそれを使用したサイフォン送水工法に関する。
続きを表示(約 3,400 文字)
【背景技術】
【0002】
サイフォン送水装置は、高水域にある貯水部の水を、サイフォン作用により低水域に送水を行う送水装置である。図6に示すように従来のサイフォン送水装置200に欠かせない必須構成要素の一つとしてとして、上流側貯水部1内に浸漬するサイフォン送水ホース10の上流端に吸水口開閉装置又は吸水口逆止弁210が必要であった、これら吸水口開閉装置又は吸水口逆止弁210を設けて閉じた状態とし、また、サイフォン送水ホース10の最下流端の吐出し口220にも開閉装置230を設けて閉じた状態で配管の最高部に設けた注水口240から注水を行い注水口240の上下流側のサイフォン送水ホース10内の全長に渡って満水状態にしていた。これは、サイフォン送水ホース10内の全長を満水状態にしなければサイフォン作用を起動させることができないとの常識があったからである。したがって、従来は、このようなサイフォン送水ホース全長を満水状態にしてから配管最高部の開閉式注水口部材240を閉じた後、上流側の吸水口開閉装置又は吸水口逆止弁210と下流側の開閉装置230を開口してサイフォン作用を起動させていた。
【0003】
このように従来型のサイフォン装置では、上流側の吸水口開閉装置又は吸水口逆止弁と、下流側の吐出し口開閉装置との両方を閉じた状態にして配管最高部に設けた開閉式注水口部材から注水作業を行い、サイフォン送水ホースの全延長を満水状態にしたら、開閉式注水口部材の開口部を閉じ、上流側の吸水口開閉装置又は吸水口逆止弁と下流側の吐出し口開閉装置との両方を開く必要があった。しかし、この作業は上流側の吸水口開閉装置は湛水池の水の中にあるので、人が近づくには危険を伴った。また、下流側の吐出し口開閉装置を開くのも、危険な堤防法面を下ったり、上ったりするため危険作業が伴うものであった。
【0004】
その後サイフォン送水作業が終了したら撤収作業となる。この際に、上流側のサイフォン送水ホースは堤防の上から人力で引っ張り上げる作業となるが、上流側の吸水口開閉装置は水の中であるため、一般的に吸水口開閉装置の方がサイフォン送水ホースより口径が大きく開閉用のハンドルが付いていることから、湖底にある障害物に引っ掛かったり、水草がハンドルに絡みついて引き上げるのに支障となったりすることがあった。
【0005】
一方、上流側の水中にある吸水口開閉装置を閉じる作業工程が危険であるため、吸水口開閉装置に代えて吸水口逆止弁を使用する場合がある。吸水口逆止弁の場合はサイフォン送水ホース内への注水作業を行うと注水された水は逆止弁によりサイフォン送水ホース内に留まることとなるので、サイフォン送水ホース内を満水状態にしたら、開閉式注水口部材の開口部を閉じた後に下流側の吐出し口開閉装置を開口すると、上流側の吸水口逆止弁は吸水現象により吸い込まれる水により逆止弁を内側へ押し開いて流入するため、人力で逆止弁を開く作業を省略することができた。しかし、サイフォン送水作業を終了して撤収作業にかかると、上流側のサイフォン送水ホースを引き上げる際に、サイフォン送水ホース内の水が逆止弁は閉じているためサイフォン送水ホース内の水を吸水口から外側の貯水部に排出させることができないため、ホース内の水が満水状態のままの重いホースを大勢の作業員又はクレーン等を使用して引き上げなければならないという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、上述した課題に鑑みなされたものであり、サイフォン送水装置の設置作業、サイフォン起動作業が従来のサイフォン送水装置の設置及びサイフォン起動作業とは異なり簡易であり、サイフォン送水作業終了後の撤収作業も容易かつ迅速に撤収作業を行うことができるサイフォン装置及びサイフォン送水工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明にかかるサイフォン送水装置は、サイフォン送水ホースの最上流部に設けた吸水口開閉装置又は吸水口逆止弁、及び最下流部の吐出し口の開閉装置を省略した構造とし、1条配管の上流側の前記貯水部の水面から前記サイフォン送水ホースの最高部付近に設けた開閉式注水口部材までの間の何れかの位置に注水口上流側開閉部材又は注水口上流側逆止弁部材を設ける構成とした。これは開閉式注水口部材より上流側で貯水部の水面より上にあることで注水口上流側開閉部材の操作を陸上で行えるという特徴が得られるためである。上記サイフォン送水装置の構成として1条配管としての構成を説明するが、この構成を複数条配管することも含めたサイフォン送水装置の考案である。
【0008】
また、サイフォン送水ホースと同口径以上の送水機器に連結された同口径以上の注水ホース連結部、又はサイフォン送水ホースと同口径以下の送水機器に連結された複数の注水ホースの流れを合流させてサイフォン送水ホースと同口径の送水機器と同等以上の送水量を送水できる機能を備えた流れの集水部材の連結部を開閉式注水口部材に連結して注水を行うことができる。注水完了後、開閉式注水口部材の開口部を閉じてサイフォン起動後には注水ホースの取り外しも可能である。開閉式注水口部材はサイフォン作用を停止する場合の空気吸入作用も兼務する。また、注水口上流部開閉部材はサイフォン作用中にサイフォンの流れをサイフォン送水ホース内で一時停止する場合にも利用できる。
【0009】
本発明にかかるサイフォン送水装置によれば、従来設けられていた最上流部の吸水口開閉装置の開口部を開閉するための水の中の危険な作業や斜面を上り下りして行う最下流部の吐出し口に設けた開閉装置の開閉作業を省略できる。また、注水口上流側開閉部材又は注水口上流側逆止弁部材が開閉式注水口部材の上流部に備えてあるため、サイフォン送水ホースと同じ口径以上の送水機器と注水ホースを使用して開閉式注水口部材に連結してサイフォン送水ホース内に注水を行う際に、水は上流側と下流側に分かれて移動するが上流側は注水口上流側開閉部材又は注水口上流側逆止弁部材で閉塞されているため、水はそれより上流に進めずにサイフォン送水ホース内で滞留することとなる。注水口上流側開閉部材又は注水口上流側逆止弁部材からサイフォン送水ホース下流端の吐出し口までのサイフォン送水ホース内が注水により満水状態となって流れる状態になったら、注水作業を続けたまま注水口上流開閉部材を開くと開閉式注水口部材から下流端部の吐出し口までの間のサイフォン送水ホース内の水が位置エネルギーにより下流端にある吐出し口の方向への流れに引っ張られて注水口上流開閉部材から上流のサイフォン送水ホース内の空気と水が下流方向へ流れ始めたら、注水作業を停止しサイフォン送水作業とする。注水口上流側逆止弁部材の場合は注水作業により注水口上流逆止弁部材の上流側のサイフォン送水ホース内の空気が注水の流れに吸い込まれてその分サイフォン送水ホース内の水位が徐々に上昇することとなり、水は注水口上流逆止弁部材まで到達すると逆止弁を上流側から押して注水口上流逆止弁部材の下流側へ移動することとなる。注水口上流開閉部材又は注水口上流逆止弁部材から上流の貯水部の水面までの間のサイフォン送水ホース内の空気も下流部へ引き込んで流下することとなる。この流下に伴い空気の後ろから貯水部の水も吸水口から吸い込まれてサイフォン送水ホース内を流下することとなる。この空気が吐出し口から吐出されるとサイフォン送水ホース内は満水状態で流下を続けることとなり、サイフォン作用が起動することとなる。
【0010】
また、本発明は、サイフォン送水ホースと同口径以下の複数の送水機器に連結された複数の注水ホースの流れを集水合流部材で合流させてサイフォン送水ホースと同口径の送水機器と同等以上の送水量を送水できる機能を備えた集水合流部材の流れを注水ホースを介して開閉式注水口部材に連結して注水を行うことができる。
(【0011】以降は省略されています)
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