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公開番号2024172327
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-12
出願番号2023089975
出願日2023-05-31
発明の名称ガーネット型酸化物固体電解質及びその製造方法
出願人DIC株式会社
代理人個人,個人,個人,個人
主分類H01B 1/08 20060101AFI20241205BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】緻密化焼結温度800℃以下でも、粒子界面連続性が高く、リチウムイオン伝導率に優れる酸化物固体電解質、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の酸化物固体電解質は、酸化物固体電解質粒子を含む。前記酸化物固体電解質粒子が、第1の層と第2の層とを有する。前記第1の層は、ガーネット型酸化物Li7La3Zr2O12及びガーネット型酸化物Li7La3Zr2O12のLiサイト、Laサイト及びZrサイトからなる群から選択される少なくも1つのサイトの一部をLi,La,Zr以外の元素で置換した置換ガーネット型酸化物からなる群から選択される少なくとも1種を含む。前記第2の層が、下記一般式(1)で表される酸化物を含む、酸化物固体電解質。
Li2MoxO(3x+1) (1)
(式(1)において、x=1、2、3である。)
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
酸化物固体電解質粒子を含む酸化物固体電解質であって、
前記酸化物固体電解質粒子が、第1の層と第2の層とを有し、
前記第1の層は、ガーネット型酸化物Li

La

Zr


12
及びガーネット型酸化物Li

La

Zr


12
のLiサイト、Laサイト及びZrサイトからなる群から選択される少なくも1つのサイトの一部をLi,La,Zr以外の元素で置換した置換ガーネット型酸化物からなる群から選択される少なくとも1種を含み、
前記第2の層が、下記一般式(1)で表される酸化物を含む、酸化物固体電解質。
Li

Mo


(3x+1)
(1)
(式(1)において、x=1、2、3である。)
続きを表示(約 1,400 文字)【請求項2】
前記式(1)におけるxが1である、請求項1に記載の酸化物固体電解質。
【請求項3】
前記第1の層のガーネット型酸化物又は前記置換ガーネット型酸化物は、下記一般式(2)で表されるガーネット型酸化物である、請求項1に記載の酸化物固体電解質。
Li
(7-s)



La
(3-z)



Zr
(2-u-v)







12
(2)
(式(2)において、


がAl、Ga、Fe、Siからなる群から選択される1種であり、


がY、Ce、Ta、Ba、Sr、Caからなる群から選択される1種又は2種以上の元素であり、


、M

は、それぞれ独立にして、Mo、Ta,Nb、W、Sb、Te、Biからなる群から選択される1種の元素であり、
0≦y≦2.3、0≦z≦2、0≦u≦2、0≦v≦2であり、かつ、0<s<7であり、
s=m

×y+(m

-3)×z+(m

-4)×u+(m

-4)×v である。
ただし、m

、m

、m

、m

がそれぞれ、M

、M

、M

、M

の価数である。)
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の酸化物固体電解質の製造方法であって、
前記第1の層を構成する前記ガーネット型酸化物又は前記置換ガーネット型酸化物の焼成粉体に、前記第2の層を構成する原料粉体を加えて混合し、混合粉体を調製する第1のステップと、
前記混合粉体をペレット化し、前記ペレットを緻密化焼結温度800℃以下で焼結して緻密化する第2のステップと、含み、
前記第2の層を構成する原料粉体は、三酸化モリブデン(MoO

)粒子を含み、前記三酸化モリブデン粒子の平均粒径(D
50
)が2000nm以下である、
ことを特徴とする酸化物固体電解質の製造方法。
【請求項5】
前記第2のステップの緻密化焼結温度が500℃以上800℃以下である、請求項4に記載の酸化物固体電解質の製造方法。
【請求項6】
前記第2のステップは、
前記混合粉体をペレット化し、ペレットを得る第2Aのサブステップと、
前記得られたペレットを焼結して緻密化する第2Bのサブステップと、を有する、請求項4に記載の酸化物固体電解質の製造方法。
【請求項7】
前記第2のステップにおいて、ホットプレス法を用いて、前記混合粉体をペレット化及び緻密化焼結を一括して行う、請求項4に記載の酸化物固体電解質の製造方法。
【請求項8】
前記ホットプレス法は、ホットプレス温度500~800℃で行う、請求項7に記載の酸化物固体電解質の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ガーネット型酸化物固体電解質及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 3,600 文字)【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池は、高いエネルギー密度を有しながら、高い電位で作動させられるため、携帯電話やノートパソコンなどの小型情報機器や電気自動車などに用いられている。安全性を考慮して、可燃性の電解液を使用しない全固体リチウムイオン二次電池の研究開発が行われている。全固体リチウムイオン二次電池に用いられる固体電解質には、高いリチウムイオン伝導率が要求される。高いリチウムイオン伝導率を有する酸化物として立方晶ガーネット型の結晶構造を有するLi

La

Zr


12
が開示されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
高いリチウムイオン伝導率の固体電解質を実現するためには、粒界抵抗や界面抵抗を低減させる必要がある。このため、ガーネット型の結晶構造を有するLi

La

Zr


12
に対して、Laサイトにアルカリ土類元素を、ZrサイトにNbを置換したガーネット型酸化物を合成し、結晶構造とリチウムイオン伝導率に関する研究が行われている(例えば、非特許文献1)。そのガーネット型酸化物の合成は、出発原料粉末を900℃程度で仮焼した後、粉砕した仮焼粉末をペレット形状に成形し、1200℃で本焼結することで多結晶体ペレットを作成したと、開示されている。また、ガーネット型の結晶構造を有するLi

La

Zr


12
に対して、ZrサイトをMo及びCrに置換にしたガーネット型酸化物Li
6.4
La

Zr
1.7

0.3

12
(M=Mo及びCr)を固相反応法で合成し、結晶構造とリチウムイオン伝導率に関する研究が行われている(例えば、非特許文献2)。そのガーネット型酸化物の合成は、原料粉末を1000℃程度で焼成した後、粉砕した焼成粉末をペレット形状に成形し、1100℃で焼結することで多結晶体ペレットを作成したと、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
国際公開第2016/017769号
【非特許文献】
【0005】
太田ら、Journal of Flux Growth Vol.11, No.1, 2016,pages 10-14。
Gao et al., Journal of the Korean Ceramic Society Vol.56,No.2、2019,pages 111-129。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
全固体リチウムイオン二次電池の高性能化を実現するために、高いリチウムイオン伝導率の固体電解質を開発する以外に、固体電解質-電極間の界面抵抗の低減も必要である。その固体電解質-電極間の界面抵抗を低減するために、電極、固体電解質、及び負極を合わせた状態で焼結するいわゆる一体型焼結を行うことが有効である。しかし、非特許文献1又は非特許文献2に記載のガーネット型酸化物を固体電解質として使用する場合、上記一体型焼結を、その焼結温度である1100℃以上で行う必要がある。しかしながら、例えば、電極材料としてLiCoO

等を用いる場合、1100℃以上の温度で電極の性能が劣化するという問題があった。電極の性能を劣化させずに一体型焼結を行うには、800℃以下で、ガーネット型酸化物固体電解質を製造することができる構造設計および製造方法が必要がある。しかし、非特許文献1、2には、これを実現するガーネット型酸化物とその製造方法は開示されていない。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、ガーネット型酸化物の表面に一般式(1):Li

Mo


(3x+1)
で表される酸化物層を形成することより、緻密化焼結温度800℃以下でも、粒子界面連続性が高く、リチウムイオン伝導率に優れる酸化物固体電解質、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の内容は、以下の実施態様[1]~[8]を含む。
[1] 酸化物固体電解質粒子を含む酸化物固体電解質であって、
前記酸化物固体電解質粒子が、第1の層と第2の層とを有し、
前記第1の層は、ガーネット型酸化物Li

La

Zr


12
及びガーネット型酸化物Li

La

Zr


12
のLiサイト、Laサイト及びZrサイトからなる群から選択される少なくも1つのサイトの一部をLi,La,Zr以外の元素で置換した置換ガーネット型酸化物からなる群から選択される少なくとも1種を含み、
前記第2の層が、下記一般式(1)で表される酸化物を含む、酸化物固体電解質。
Li

Mo


(3x+1)
(1)
(式(1)において、x=1、2、3である。)
[2] 前記式(1)におけるxが1である、[1]に記載の酸化物固体電解質。
[3] 前記第1の層の前記置換ガーネット型酸化物は、下記一般式(2)で表されるガーネット型酸化物である、[1]に記載の酸化物固体電解質。
Li
(7-s)



La
(3-z)



Zr
(2-u-v)







12
(2)
(式(2)において、


は、Al、Ga、Fe、Siからなる群から選択される1種の元素であり、


は、Y、Ce、Ta、Ba、Sr、Caからなる群から選択される1種又は2種以上の元素であり、


、M

は、それぞれ独立にして、Mo、Ta,Nb、W、Sb、Te、Biからなる群から選択される1種の元素であり、
0≦y≦2.3、0≦z≦2、0≦u≦2、0≦v≦2であり、かつ、0<s<7であり、
s=m

×y+(m

-3)×z+(m

-4)×u+(m

-4)×v である。
ただし、m

、m

、m

、m

がそれぞれ、M

【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ガーネット型酸化物の表面に一般式(1):Li

Mo


(3x+1)
で表される酸化物層を形成することで、緻密化焼結温度800℃以下でも、粒子界面連続性が高く、リチウムイオン伝導率に優れる酸化物固体電解質、及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
実施例1、3、4の酸化物固体電解質の製造方法を示す図である。
本開示の酸化物固体電解質及びその製造方法の効果を説明する図である。
参考例1で得られた混合粉末のSEM写真である。
参考例1で得られた混合粉末のEDX画像である。
比較参考例1で得られた混合粉末のSEM写真である。
比較参考例1で得られた混合粉末のEDX画像である。
参考例2~7、比較参考例3で得られた混合粉末のXRDスペクトルである。
参考例2~7、比較参考例3で得られた混合粉末のXPSスペクトルである。
比較例1の酸化物固体電解質の製造方法を示す図である。
従来の技術の酸化物固体電解質及びその製造方法の効果を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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