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公開番号2024170685
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-11
出願番号2021167489
出願日2021-10-12
発明の名称燃焼状態診断システム
出願人個人
代理人個人
主分類F02D 45/00 20060101AFI20241204BHJP(燃焼機関;熱ガスまたは燃焼生成物を利用する機関設備)
要約【課題】 クランク角センサ及びカム軸センサを備えることなく内燃機関の燃焼状態を診断することが可能な燃焼状態診断システムを提供する。
【解決手段】 燃焼状態診断システム1は、内燃機関2の内部圧力を検出する検出部11と、内燃機関2の吸気温度及び吸気圧力を取得する取得部12と、内燃機関2のクランク28の回転角度に対応する内部圧力を、内燃機関2の吸気温度及び吸気圧力と関連付けて記憶した記憶部13と、記憶部13を参照して、検出された内部圧力と、取得された吸気温度及び吸気圧力と、に基づき、クランク28の回転角度を判別する判別部14と、判別された回転角度と、判別された回転角度以降に検出部11により検出された一又は複数の内部圧力と、に基づき、内燃機関2の燃焼状態を診断する診断部15と、を備えている。
【選択図】図4
特許請求の範囲【請求項1】
内燃機関の内部圧力を検出する検出部と、
前記内燃機関の吸気温度及び吸気圧力を取得する取得部と、
前記内燃機関のクランクの回転角度に対応する内部圧力を、前記内燃機関の吸気温度及び吸気圧力と関連付けて記憶した記憶部と、
前記記憶部を参照して、前記検出された内部圧力と、前記取得された吸気温度及び吸気圧力と、に基づき、前記クランクの回転角度を判別する判別部と、
前記判別された回転角度と、前記判別された回転角度以降に前記検出部により検出された一又は複数の内部圧力と、に基づき、前記内燃機関の燃焼状態を診断する診断部と、
を備えたことを特徴とする燃焼状態診断システム。
続きを表示(約 2,700 文字)【請求項2】
前記判別部は、前記記憶部を参照して、前記検出された内部圧力と、前記取得された吸気温度及び吸気圧力と、に基づき、前記クランクが所定の回転角度に達したタイミングを判別し、
前記所定の回転角度は、前記燃焼機関の燃焼サイクルの上死点へ向けて上昇中の内部圧力に対応する角度の中で設定されており、
前記記憶部は、前記所定の回転角度に達したタイミングにおける内部圧力、又は、前記所定の回転角度に達したタイミングにおける吸気温度及び吸気圧力から推定される、前記内燃機関の燃焼サイクルにおいて失火が生じた場合の失火波形を更に記憶しており、
前記診断部は、前記記憶部を参照して、前記所定の回転角度に達したタイミングにおける内部圧力、又は、前記所定の回転角度に達したタイミングにおける吸気温度及び吸気圧力に基づき、前記失火波形を推定し、前記推定された失火波形と、前記所定の回転角度以降に検出された内部圧力の推移波形と、を比較することで前記内燃機関の燃焼状態を診断することを特徴とする請求項1に記載の燃焼状態診断システム。
【請求項3】
内燃機関のクランクの回転角度に対応する内部圧力を、前記内燃機関の吸気温度及び吸気圧力と関連付けて記憶したコンピュータにインストールされるプログラムであって、
前記内燃機関の内部圧力を検出するステップと、
所定の位置で計測された前記内燃機関の吸気温度及び吸気圧力を取得するステップと、
前記コンピュータを参照して、前記検出された内部圧力と、前記取得された吸気温度及び吸気圧力と、に基づき、前記クランクの回転角度を判別するステップと、
前記判別された回転角度と、前記判別された回転角度以降に前記検出するステップで検出された一又は複数の内部圧力と、に基づき、前記内燃機関の燃焼状態を診断するステップと、
を備えたことを特徴とする燃焼状態診断プログラム。
【請求項4】
前記判別するステップでは、前記コンピュータを参照して、前記検出された内部圧力と、前記取得された吸気温度及び吸気圧力と、に基づき、前記クランクが所定の回転角度に達したタイミングを判別し、
前記所定の回転角度は、前記燃焼機関の燃焼サイクルの上死点へ向けて上昇中の内部圧力に対応する角度の中で設定されており、
前記コンピュータは、前記所定の回転角度に達したタイミングにおける内部圧力、又は、前記所定の回転角度に達したタイミングにおける吸気温度及び吸気圧力から推定される、前記内燃機関の燃焼サイクルにおいて失火が生じた場合の失火波形を更に記憶しており、
前記診断するステップでは、前記記憶部を参照して、前記所定の回転角度に達したタイミングにおける内部圧力、又は、前記所定の回転角度に達したタイミングにおける吸気温度及び吸気圧力に基づき、前記失火波形を推定し、前記推定された失火波形と、前記所定の回転角度以降に検出された内部圧力の推移波形と、を比較することで前記内燃機関の燃焼状態を診断することを特徴とする請求項3に記載の燃焼状態診断プログラム。
【請求項5】
内燃機関の内部圧力を検出する検出部と、
前記内燃機関の制御装置から点火タイミング又は燃料噴射タイミングにおける前記内燃機関のクランクの予定回転角度を取得する取得部と、
前記点火又は燃料噴射の際に前記内燃機関の電気系統に生じるノイズを識別するためのノイズ識別基準を記憶した記憶部と、
前記内燃機関の電気系統におけるノイズを検出するノイズ検出部と、
前記ノイズ識別基準を満たすノイズが検出されたタイミングで前記クランクが前記予定回転角度に達したと判別する判別部と、
前記予定回転角度と、前記予定回転角度以降に前記検出部により検出された一又は複数の内部圧力と、に基づき、前記内燃機関の燃焼状態を診断する診断部と、
を備えたことを特徴とする燃焼状態診断システム。
【請求項6】
前記記憶部は、前記予定回転角度に達したタイミングにおける内部圧力、又は、前記予定回転角度に達したタイミングにおける前記内燃機関の吸気温度及び吸気圧力から推定される、前記内燃機関の燃焼サイクルにおいて失火が生じた場合の失火波形を更に記憶しており、
前記診断部は、前記記憶部を参照して、前記予定回転角度に達したタイミングにおける内部圧力、又は、前記予定回転角度に達したタイミングにおける吸気温度及び吸気圧力に基づき、前記失火波形を推定し、前記推定された失火波形と、前記予定回転角度以降に検出された内部圧力の推移波形と、を比較することで前記内燃機関の燃焼状態を診断することを特徴とする請求項5に記載の燃焼状態診断システム。
【請求項7】
内燃機関の点火又は燃料噴射の際に前記内燃機関の電気系統に生じるノイズを識別するためのノイズ識別基準を記憶したコンピュータにインストールされるプログラムであって、
前記内燃機関の内部圧力を検出するステップと、
前記内燃機関の制御装置から点火タイミング又は燃料噴射タイミングにおける前記内燃機関のクランクの予定回転角度を取得するステップと、
前記内燃機関の電気系統におけるノイズを検出するステップと、
前記ノイズ識別基準を満たすノイズが検出されたタイミングで前記クランクが前記予定回転角度に達したと判別するステップと、
前記予定回転角度と、前記予定回転角度以降に前記検出部により検出された一又は複数の内部圧力と、に基づき、前記内燃機関の燃焼状態を診断するステップと、
を備えたことを特徴とする燃焼状態診断プログラム。
【請求項8】
前記コンピュータは、前記予定回転角度に達したタイミングにおける内部圧力、又は、前記予定回転角度に達したタイミングにおける前記内燃機関の吸気温度及び吸気圧力から推定される、前記内燃機関の燃焼サイクルにおいて失火が生じた場合の失火波形を更に記憶しており、
前記診断するステップでは、前記コンピュータを参照して、前記予定回転角度に達したタイミングにおける内部圧力、又は、前記予定回転角度に達したタイミングにおける吸気温度及び吸気圧力に基づき、前記失火波形を推定し、前記推定された失火波形と、前記予定回転角度以降に検出された内部圧力の推移波形と、を比較することで前記内燃機関の燃焼状態を診断することを特徴とする請求項7に記載の燃焼状態診断プログラム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、クランク角センサ及びカム軸センサを備えることなく内燃機関の燃焼状態を診断することが可能な燃焼状態診断システムに関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
近年、少ない燃料で大きな出力が得られる高効率の内燃機関が望まれている。しかしながら、高効率の内燃機関では、僅かな外乱(空気温度・圧力等)でノッキング(強すぎる燃焼)や失火(燃焼しない)が発生してしまうため、内燃機関に筒内圧センサを設け、検出された燃焼圧力を考慮して最適な燃焼状態となるように、内燃機関の複雑な制御が行われている。
【0003】
筒内圧センサを用いた内燃機関の診断装置として、筒内圧センサの出力信号を参照して、燃焼室内圧力がピークを迎えたか否かに応じて、ピストンが上死点に到達したタイミングが圧縮上死点であるか排気上死点であるかを決定するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2017-155597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記技術では、カム角度信号を参照せずに各気筒の行程を決定することは可能であるが、ある気筒1のピストンの現在位置を知得するために内燃機関のクランクシャフトが所定角度回転する毎にクランク角センサが発するパルス信号であるクランク角信号bを参照しており(要約参照)、クランク角センサの設置は必須になっている。このクランク角センサは、非常に高価なものである。
【0006】
そこで、本発明は、クランク角センサ及びカム軸センサを備えることなく内燃機関の燃焼状態を診断することが可能な燃焼状態診断システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、内燃機関の内部圧力を検出する検出部と、前記内燃機関の吸気温度及び吸気圧力を取得する取得部と、前記内燃機関のクランクの回転角度に対応する内部圧力を、前記内燃機関の吸気温度及び吸気圧力と関連付けて記憶した記憶部と、前記記憶部を参照して、前記検出された内部圧力と、前記取得された吸気温度及び吸気圧力と、に基づき、前記クランクの回転角度を判別する判別部と、前記判別された回転角度と、前記判別された回転角度以降に前記検出部により検出された一又は複数の内部圧力と、に基づき、前記内燃機関の燃焼状態を診断する診断部と、を備えたことを特徴とする燃焼状態診断システムを提供している。
【0008】
このような構成によれば、クランクの回転角度を検出する必要がないので、高価なクランク角センサ及びカム軸センサを備えることなく、安価に内燃機関の燃焼状態を診断することが可能となる。また、高価なクランク角センサ及びカム軸センサを備えないことにより、燃焼状態診断システム全体としてのセンサの数を減らすことができるので、センサ故障のリスクも低減される。また、燃焼状態診断システムでは、クランクの回転角度を判別するのみならず、燃焼状態の診断まで行うことができるので、燃焼診断装置を別途準備することが不要となり、これにより、燃焼状態を制御するための制御装置を燃焼診断装置に適合させて設計する必要がなくなる。更に、制御装置に関しては、診断結果を受信するための機能を備えておけば、受信した診断結果に基づき燃焼状態を制御することに特化したシンプルな構成のもので済むので、安価に製造することが可能となる。
【0009】
また、前記判別部は、前記記憶部を参照して、前記検出された内部圧力と、前記取得された吸気温度及び吸気圧力と、に基づき、前記クランクが所定の回転角度に達したタイミングを判別し、前記所定の回転角度は、前記燃焼機関の燃焼サイクルの上死点へ向けて上昇中の内部圧力に対応する角度の中で設定されており、前記記憶部は、前記所定の回転角度に達したタイミングにおける内部圧力、又は、前記所定の回転角度に達したタイミングにおける吸気温度及び吸気圧力から推定される前記内燃機関の燃焼サイクルにおいて失火が生じた場合の失火波形を更に記憶しており、前記診断部は、前記記憶部を参照して、前記所定の回転角度に達したタイミングにおける内部圧力、又は、前記所定の回転角度に達したタイミングにおける吸気温度及び吸気圧力に基づき、前記失火波形を推定し、前記失火波形と、前記所定の回転角度以降に検出された内部圧力の推移波形と、を比較することで前記内燃機関の燃焼状態を診断することが好ましい。
【0010】
このような構成によれば、内燃機関の制御装置側で、診断結果に基づき、次回の点火の際の内燃機関の燃焼を適切に制御することが可能となる。
(【0011】以降は省略されています)

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