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公開番号
2025012726
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-01-24
出願番号
2023115793
出願日
2023-07-14
発明の名称
内燃機関の制御装置
出願人
トヨタ自動車株式会社
代理人
弁理士法人プロスペック特許事務所
主分類
F02D
17/04 20060101AFI20250117BHJP(燃焼機関;熱ガスまたは燃焼生成物を利用する機関設備)
要約
【課題】燃料噴射弁が燃料増側異常に陥っている場合、エンジン部品の故障及び/又は回転速度の吹き上がりを回避しつつ、内燃機関をできるだけ継続して運転させることが可能な内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】コントローラ80は、右バンクの排気温平均値及び左バンクの排気温平均値の少なくとも一方が第1閾値より高い場合、排気温平均値の高い側のバンクの燃料噴射を停止する。その状態で、燃料噴射が停止されていないバンクの排気温平均値が第2閾値より高ければそのバンクの燃料噴射も停止するが、第2閾値以下となれば、そのバンクの燃料噴射を継続することにより、片側バンクのみでエンジンの運転を続ける。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
それぞれが複数の気筒を有する第1バンク及び第2バンクと、
前記第1バンクに属する前記複数の気筒及び前記第2バンクに属する前記複数の気筒に共通のサージタンクと、
前記複数の気筒毎に設けられた複数の燃料噴射弁と、
を備える内燃機関に適用され、
前記第1バンクに属する前記複数の気筒から排出された排気が集合した後に通過する排気通路の部分に設けられ、前記第1バンクに属する前記複数の気筒から排出された排気の温度に対応する第1排気温度を検出する第1排気温度センサと、
前記第2バンクに属する前記複数の気筒から排出された排気が集合した後に通過する排気通路の部分に設けられ、前記第2バンクに属する前記複数の気筒から排出された排気の温度に対応する第2排気温度を検出する第2排気温度センサと、
前記複数の燃料噴射弁が燃料噴射を行うように前記複数の燃料噴射弁を制御するコントローラと、
を備えた内燃機関の制御装置において、
前記コントローラは、
前記第1排気温度の平均値及び前記第2排気温度の平均値の少なくとも一方が所定の第1閾値より高い場合、前記第1排気温度の平均値が前記第2排気温度の平均値よりも高いとき前記第1バンクに属する前記複数の気筒に対して設けられた前記燃料噴射弁からの前記燃料噴射を停止する一方、前記第2排気温度の平均値が前記第1排気温度の平均値よりも高いとき前記第2バンクに属する前記複数の気筒に対して設けられた前記燃料噴射弁からの前記燃料噴射を停止し、
前記第1バンクに属する前記複数の気筒に対して設けられた前記燃料噴射弁からの前記燃料噴射が停止され且つ前記第2バンクに属する前記複数の気筒に対して設けられた前記燃料噴射弁からの前記燃料噴射が継続されている場合に前記第2排気温度の平均値が所定の第2閾値より高いとき、更に、前記第2バンクに属する前記複数の気筒に対して設けられた前記燃料噴射弁からの前記燃料噴射も停止し、
前記第2バンクに属する前記複数の気筒に対して設けられた前記燃料噴射弁からの前記燃料噴射が停止され且つ前記第1バンクに属する前記複数の気筒に対して設けられた前記燃料噴射弁からの前記燃料噴射が継続されている場合に前記第1排気温度の平均値が前記第2閾値より高いとき、更に、前記第1バンクに属する前記複数の気筒に対して設けられた前記燃料噴射弁からの前記燃料噴射も停止する、
ように構成された、
内燃機関の制御装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料噴射弁を備える内燃機関の制御装置に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)
【背景技術】
【0002】
内燃機関の排気温度が想定される温度に対して相当に高い場合、その排気を排出している気筒の燃料噴射弁が過剰に燃料を噴射してしまう異常状態(流量増側異常)に陥っていると考えることができる。そこで、従来から、検出した排気温度に基いて燃料噴射弁に異常が発生しているか否かを判定する装置が提案されている(特許文献1を参照。)。
【0003】
更に、一つのサージタンクと、それぞれ燃料噴射弁を備える複数の気筒からなる第1バンク(右バンク)と、それぞれ燃料噴射弁を備える複数の気筒からなる第2バンク(左バンク)と、を備えるマルチバンクエンジン(例えば、V型エンジン)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2011-080399号公報
【発明の概要】
【0005】
ところで、マルチバンクエンジンにおいて、それぞれのバンクの排気温度の平均値が閾値温度よりも高い場合、平均値が閾値温度よりも高い排気を排出しているバンクに属する総ての気筒の燃料噴射弁による燃料噴射及び点火を停止する処置を行う装置が検討されている。特に、燃料が水素である場合、異常燃焼が発生し易く且つ空気過剰率の僅かな変化が大きなトルク変化に繋がるので、エンジン部品が破損したり回転数が急激に上昇しないようにするために上記処置を行う装置が強く求められている。
【0006】
例えば、第1バンクに属するある気筒の燃料噴射弁が流量増側異常に陥った場合、第1バンクの排気温度の平均値が閾値温度よりも高くなる。このとき、流量増側異常が発生している燃料噴射弁を有する気筒の吸気弁に異常が生じていると、当該気筒の「過剰な燃料を含む吸気ガス」が圧縮行程中にサージタンクに流入し、そのガスがサージタンクから第2バンクに属する気筒に吸入される。そのため、第2バンクの排気温度の平均値も閾値温度より高くなる場合が生じる。この結果、第1バンクに属する気筒の燃料噴射弁による燃料噴射が停止されるだけでなく、第2バンクに属する気筒の燃料噴射弁による燃料噴射も停止されてしまう。この場合、本来は第2バンク側は運転可能であるにも関わらず、第1バンク及び第2バンクの両方(即ち、機関全体)が運転を停止してしまう。よって、車両を退避運転させることができなくなるという問題が生じる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされた。即ち、本発明の目的の一つは、燃料噴射弁が燃料増側異常に陥っている場合、エンジン部品の故障及び/又は回転速度の吹き上がりを回避しつつ、内燃機関をできるだけ継続して運転させることが可能な内燃機関の制御装置を提供することにある。
【0008】
本発明の内燃機関の制御装置(本発明装置)は、第1バンクに属する複数の気筒(21、23、25)から排出された排気の温度に対応する第1排気温度を検出する第1排気温度センサ(70R)と、第2バンクに属する複数の気筒(22、24、26)から排出された排気の温度に対応する第2排気温度を検出する第2排気温度センサ(70L)と、各気筒の燃料噴射弁を制御するコントローラ(80)と、を備える。第1バンク及び第2バンクの気筒は共通のサージタンク(14)を通して吸気を行う。
【0009】
前記コントローラは、
前記第1排気温度の平均値及び前記第2排気温度の平均値の少なくとも一方が所定の第1閾値より高い場合、前記第1排気温度の平均値が前記第2排気温度の平均値よりも高いとき前記第1バンクに属する前記複数の気筒に対して設けられた前記燃料噴射弁からの前記燃料噴射を停止する一方、前記第2排気温度の平均値が前記第1排気温度の平均値よりも高いとき前記第2バンクに属する前記複数の気筒に対して設けられた前記燃料噴射弁からの前記燃料噴射を停止し、
前記第1バンクに属する前記複数の気筒に対して設けられた前記燃料噴射弁からの前記燃料噴射が停止され且つ前記第2バンクに属する前記複数の気筒に対して設けられた前記燃料噴射弁からの前記燃料噴射が継続されている場合に前記第2排気温度の平均値が所定の第2閾値より高いとき、更に、前記第2バンクに属する前記複数の気筒に対して設けられた前記燃料噴射弁からの前記燃料噴射も停止し、
前記第2バンクに属する前記複数の気筒に対して設けられた前記燃料噴射弁からの前記燃料噴射が停止され且つ前記第1バンクに属する前記複数の気筒に対して設けられた前記燃料噴射弁からの前記燃料噴射が継続されている場合に前記第1排気温度の平均値が前記第2閾値より高いとき、更に、前記第1バンクに属する前記複数の気筒に対して設けられた前記燃料噴射弁からの前記燃料噴射も停止する。
【0010】
これによれば、一方のバンクに属する気筒の燃料噴射弁が流量増側異常に陥り、その結果として、その一方のバンクのみならず他方のバンクの排気温度の平均値が第1閾値よりも高くなっていた場合であっても、先ず、一方のバンクの運転が停止される。その結果、他方のバンクの排気温度の平均値が第2閾値よりも低くなれば、他方のバンクの運転が継続される。よって、少なくとも他方のバンクによる機関の運転が継続されるので、車両の退避運転を継続することができる。また、他方のバンクにも流量増側異常の燃料噴射弁が存在するのであれば、他方のバンクの排気温度の平均値が第2閾値より高くなるから、他方のバンクの運転も停止される。よって、エンジン部品の破損及び/又は回転数の急激な上昇を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)
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