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公開番号2024170684
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-11
出願番号2021167260
出願日2021-10-12
発明の名称担持触媒の作製方法
出願人株式会社フルヤ金属
代理人個人,個人
主分類B01J 23/89 20060101AFI20241204BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約【課題】FeとPd、またはFeとPtをナノ粒子で合金化し、さらに担体に担持された触媒の製造方法に関して、ナノ粒子径とナノ粒子の担体への担持量をコントロールできる製造方法を提供すること。
【解決手段】(1)Pd化合物およびFe化合物、またはPt化合物およびFe化合物を含む溶液中で、前記Pd化合物およびFe化合物、またはPt化合物およびFe化合物を分解反応および還元反応のうち少なくとも1つの反応によりPdとFe、またはPtとFeを含む前駆物質を得る工程
(2)前記(1)で得た前駆物質を含む液体中に担体を混合し、担持体を得る工程
(3)前記(2)で得た担持体を熱処理する工程
からなるPdとFe、またはPtとFeを含有する金属粒子および担体を含む触媒の製造方法。
【選択図】図1


特許請求の範囲【請求項1】
(1)Pd化合物およびFe化合物、またはPt化合物およびFe化合物を含む溶液中で、前記Pd化合物およびFe化合物、またはPt化合物およびFe化合物を分解反応および還元反応のうち少なくとも1つの反応によりPdとFe、またはPtとFeを含む前駆物質を得る工程
(2)前記(1)で得た前駆物質を含む液体中に担体を混合し、担持体を得る工程
(3)前記(2)で得た担持体を熱処理する工程
を含むPdとFe、またはPtとFeを含有する金属粒子および担体を含む触媒の製造方法。
続きを表示(約 1,700 文字)【請求項2】
前記工程(1)におけるPd化合物が、Pd(II)アセチルアセトナート、酢酸Pd(II)、塩化Pd(II)、テトラアンミンジクロロPd(II)一水和物、ジアンミンジクロロPd(II)、ジアンミンジニトロPd(II)、硫酸Pd(II)、硫酸Pd(II)2水和物、硝酸Pd(II)、テトラクロロPd(II)酸カリウム、テトラクロロPd(II)酸ナトリウム、テトラクロロPd(II)酸アンモニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記工程(1)におけるFe化合物が、ペンタカルボニルFe、ノナカルボニル二Fe、ドデカカルボニル三Fe、Fe(II)アセチルアセトナート、Fe(III)アセチルアセトナート、フェロセン[ビス(シクロペンタジエニル)Fe(II)]、塩化Fe(III)、塩化Fe(III)6水和物、塩化Fe(II)4水和物、硫酸Fe(II)、硫酸Fe(II)7水和物、硫酸Fe(III)アンモニウム、臭化Fe(II)、ヨウ化Fe(II)、硫酸Fe(III)9水和物、硫酸Fe(II)水和物、硝酸 Fe(II)、硝酸Fe(III)、硝酸Fe(III)9水和物、過塩素酸Fe(III)、ピロ燐酸Fe(III)、酢酸Fe(II)、酢酸Fe(III)、リン酸Fe(III)、リン酸 Fe(II)8水和物、リン酸Fe(III)n水和物、クエン酸Fe(II)、クエン酸Fe(III)水和物、クエン酸Fe(III)アンモニウム、シュウ酸Fe(II)、シュウ酸Fe(II)水和物、シュウ酸Fe(III)アンモニウム3水和物、ヘキサシアノFe(III )酸カリウム、ヘキサシアノFe(II)酸カリウム3水和物、ヘキサシアノFe(III) 酸ナトリウム10水和物、フマル酸Fe(II)、乳酸Fe(II)、乳酸Fe(II)3水和物、グルコン酸Fe(II)2水和物、Fe(II)エトキシド、トリスジジピバリン酸Fe(III)、硫酸アンモニウムFe(II)6水和物、ペンタシアノニトロシルFe(III)酸ナトリウム2水和物からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記工程(1)におけるPt化合物が、Pt(II)アセチルアセトナート、塩化Pt(II)、塩化Pt(IV)、テトラクロロPt(II)酸、ヘキサクロロPt(IV)酸、ヘキサクロロPt(IV)酸6水和物、テトラクロロPt(II)酸アンモニウム、テトラクロロPt(II)酸カリウム、テトラクロロPt(II)酸ナトリウム、ヘキサクロロPt(IV)酸アンモニウム、ヘキサクロロPt(IV)酸カリウム、ヘキサクロロPt(IV)酸ナトリウム、テトラシアノPt(II)酸カリウム、トリクロロアミンPt(II)酸カリウム、ジニトロ硫化Pt(II)酸、ジアンミンジクロロPt(II)、テトラアンミンPt(II)水酸化物、テトラアンミンジクロロPt(II)水和物、硝酸テトラアンミンPt(II)、ジアンミンジニトロPt(II)、テトラニトロPt(II)カリウム、テトラキス(チオ尿素)Pt(II)、ヘキサヒドロキソPt(IV)酸、ヘキサヒドロキソPt(IV)酸アンモニウム、ヘキサヒドロキソPt(IV)酸カリウム、ヘキサヒドロキソPt(IV)酸ナトリウム、酸化Pt(II)、酸化Pt(IV)、ヘキサフルオロアセチルアセトン酸Pt(II)からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記(1)の溶液中に、安定化剤を含む請求項1から4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記前駆物質が前記工程(2)の液体中で固体状態である請求項1から5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記前駆物質が金属単体、合金、金属酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記工程(3)において、担持体の熱処理を還元性ガス雰囲気下で行う請求項1から7のいずれか一項に記載の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒の製造方法に関する。さらに詳しくは、PdとFe、またはPtとFeを含有する粒子を含む担持触媒を製造方法に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
Pt族金属は、周期律表で8族に属する遷移金属で、Pt、Pd、Rh、Ru、IrおよびOsの6種類の元素で構成されている金属の総称である。Pt族金属は原子の最外殻にあるd軌道に存在する電子が水素や酸素と共有結合をすることから、Pt族金属を利用した触媒は、酸化反応や還元反応で高い活性を示すことが知られている。また、化学的に安定であり、酸ならびアルカリに対する耐久性が高く、融点が高いことから耐熱性に優れている。このような利点から、Pt族金属を利用した触媒は、多様な産業で実用化されている。
例えば、化学反応の触媒として、Pt族金属は石油精製をはじめ、石油化学、医薬、香料、食品などのファインケミカル分野で利用されている。前記分野において、水素化反応、脱水素化反応、酸化反応、カップリング反応、オレフィンメタセシス反応、重合反応等の様々な化学反応にPt族金属を含む触媒が使用されている。
また、これらPt族金属は固体高分子型燃料電池、固体高分子型水電解装置、ソーダ工業用電解層、化学センサ等の電極に利用される電極触媒としても知られている。
【0003】
さらに、Pt族金属は自動車用の排ガス浄化触媒に大量に使用されている。ガソリン自動車の排ガスには、炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物が含まれており、環境に悪影響を及ぼすことから規制対象物質とされている。このことから、炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物を同時に分解する三元触媒として、Pt,Pd、Rhが利用されている。PtおよびPdは、特に炭化水素、一酸化炭素の分解能力に優れているといわれている。ディーゼル車においては、空燃比が高く、燃料効率に優れている反面、排ガス中に大量の窒素酸化物が発生するという問題がある。ディーゼル車におけるPtおよびPdの役割は、炭化水素、一酸化炭素を分解すること及び一酸化窒素を二酸化窒素に変換することがあげられる。PtおよびPd触媒によって変換された二酸化窒素は、触媒の後段に設置されている選択還元システムで二酸化窒素から窒素への還元が行われる。このことから、ガソリン車およびディーゼル車の排ガス浄化において、PtおよびPdは不可欠であり、近年の排ガス規制強化により、自動車1台あたりのPtおよびPd使用量を増加させて、規制をクリアさせる必要がある。
【0004】
しかしながら、Pt族金属の産出地は偏在しており、供給が不安定であることから、Pt族金属の使用量が多くなると、Pt族金属の価格が急騰する可能性があり、コストへの影響も大きくなる。排ガス浄化触媒の触媒性能向上とPtおよびPd使用量の削減によるコストダウンの両立が、自動車メーカーの課題の一つとなっている。
【0005】
上記課題に対する対応策の一つとして、他の金属を添加した合金触媒の開発が検討されている。触媒を合金化させることにより、触媒活性の向上、反応選択性、触媒の耐久性に寄与するといわれている。特にFeは、粗鋼としての産出量は18億トンと非常に多く、Feを含む化合物は窒素酸化物の還元性能を有していることが知られている。一方、Feは、酸化しやすく、耐熱性も高くないことから単金属での実用化が難しく、PtもしくはPdとの合金化による高性能化が期待されている。
【0006】
前記FeとPtもしくは前記FeとPdが合金化した触媒の製造方法として、いくつかの方法が知られている。
非特許文献1では、FeとPdもしくはFe、PdおよびPtの合金ナノ粒子の製造方法として、ホットソープ法による合成法が記載されている。ホットソープ法は、反応溶媒と界面活性剤を混合し、不活性ガス中で溶媒の沸点近くまで加熱することで、ナノ粒子の原料となる反応前駆体の熱分解または還元反応を行う方法である。その結果、核形成速度と粒子成長速度を調整して、ナノ粒子結晶を得る。非特許文献1によると、ナノ粒子形成後、分離、焼成工程を経て、5nm以下のFeとPdもしくはFe、PdおよびPtの合金ナノ粒子が得られる。しかしながら、得られた合金ナノ粒子を担体へ担持する方法および担体に担持された触媒の製造方法については記載されていない。
【0007】
非特許文献2では、FeとPdをAl



に担持する方法が開示されており、金属粒子担持触媒の一般的な作製法である含浸担持法により、FeとPdを含むナノ粒子がAl



に担持された触媒を作製している。非特許文献2によると、金属担持量が5質量%以上であり、金属粒子径が10nm以上と大きい。
【0008】
特許文献1では、PdとFeを含む金属粒子が、CeO

、ZrO

、Al



の少なくとも1つを主成分とする酸化物担体に担持された排ガス浄化触媒が提案されている。しかしながら、特許文献1には反応活性点であるPdとFeの合金活性種の作製方法は記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
Effect of Annealing on Magnetic Properties of FePd and FePdPt Nanopaarticles, AIP Conference Proceedings 1313, (2010), 125-127.
Novel Fe-Pd/γ-Al2O3 catalysts for the selective hydrogenation of C≡C bonds under mild conditions, Mendeleev Commun., 29, (2019), 339-342.
【0010】
特許第5876360号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
(【0011】以降は省略されています)

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