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公開番号
2024168422
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-12-05
出願番号
2023085103
出願日
2023-05-24
発明の名称
初期応力算出プログラム、及び初期応力算出方法
出願人
株式会社安藤・間
,
国立研究開発法人産業技術総合研究所
代理人
弁理士法人 武政国際特許商標事務所
主分類
G01L
1/00 20060101AFI20241128BHJP(測定;試験)
要約
【課題】本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち、従来技術に比して小孔径のオーバーコアリングによって、高精度で初期応力を求めることができる初期応力算出プログラムと初期応力算出方法を提供することである。
【解決手段】本願発明の初期応力算出プログラムは、オーバーコアリングによる応力解放法によって得られた測定ひずみに基づいて初期応力を求める機能を、コンピュータに実行させるプログラムであって、複素応力関数設定処理と応力算定式設定処理、解析ひずみ算定式設定処理、応力算出処理をコンピュータに実行させる機能を備えたものである。応力算出処理では、測定ひずみとなるように逆解析を行うことによって初期応力を求める。
【選択図】図19
特許請求の範囲
【請求項1】
オーバーコアリングによる応力解放法によって得られた測定ひずみに基づいて、初期応力を求める機能を、コンピュータに実行させるプログラムであって、
ひずみ計領域、接着領域、コア岩盤領域、及び周辺岩盤領域の4領域ごとに、初期応力に基づいて設定される関数であって、式C1で示す面内第1複素応力関数φ
i
(z)、面内第2複素応力関数ψ
i
(z)、及び面外複素応力関数χ
i
(z)を設定する複素応力関数設定処理と、
TIFF
2024168422000011.tif
36
170
前記4領域ごとに、前記面内第1複素応力関数φ
i
(z)に基づいて直応力σ
x
を求める関数と、前記面内第2複素応力関数ψ
i
(z)に基づいて直応力σ
y
を求める関数を、式C2で設定するとともに、直応力σ
z
を求める関数を式C3で設定する応力算定式設定処理と、
TIFF
2024168422000012.tif
30
170
TIFF
2024168422000013.tif
55
170
式C2と式C3によって得られる直応力に基づいて解析ひずみを求める関数を、式C4で設定する解析ひずみ算定式設定処理と、
TIFF
2024168422000014.tif
74
170
式C4の左辺が前記測定ひずみとなるように逆解析を行うことによって、初期直応力を求める応力算出処理と、を前記コンピュータに実行させる機能を備えた、
ことを特徴とする初期応力算出プログラム。
続きを表示(約 2,200 文字)
【請求項2】
前記算定式設定処理では、前記4領域ごとに、前記面外複素応力関数χ
i
(z)に基づいてせん断応力を求める関数を式C5で設定し、
TIFF
2024168422000015.tif
50
170
前記算定式設定処理では、式C5によって得られるせん断応力に基づいてせん断ひずみを求める関数を式C6で設定し、
TIFF
2024168422000016.tif
59
170
前記応力算出処理では、式C6の左辺が前記測定ひずみとなるように逆解析を行うことによって、初期せん断応力を求める、
ことを特徴とする請求項1記載の初期応力算出プログラム。
【請求項3】
前記測定ひずみ、感度係数a
ij
、及び初期応力の関係を式C7で設定する測定ひずみ関係式設定処理と、
TIFF
2024168422000017.tif
68
170
前記感度係数a
ij
を設定する感度係数設定処理と、を前記コンピュータに実行させる機能をさらに備え、
前記応力算出処理では、前記感度係数設定処理で設定された前記感度係数a
ij
と、前記測定ひずみと、を式C7に入力することによって、初期直応力と初期せん断応力を求める、
ことを特徴とする請求項2記載の初期応力算出プログラム。
【請求項4】
前記感度係数設定処理では、ひずみ計の位置ごとに前記感度係数a
i1
~a
i6
を設定し、
また前記感度係数設定処理では、直応力及びせん断応力ごとに単位大きさを設定したうえで、式C1、式C2、式C3、及び式C4で得られる前記解析ひずみを、前記感度係数a
ij
として設定し、
前記測定ひずみが7個以上得られているときは、最小二乗法によって式C7の初期直応力と初期せん断応力を求める、
ことを特徴とする請求項3記載の初期応力算出プログラム。
【請求項5】
コア軸方向の応力のつり合いによって得られる連成複素応力関数を、式C8で設定する連成複素応力関数設定処理と、
TIFF
2024168422000018.tif
57
170
前記複素応力関数設定処理で設定された複素応力関数と、前記連成複素応力関数と、を重ね合わせた重合複素応力関数を、式C9で設定する重合複素応力関数設定処理と、を前記コンピュータに実行させる機能をさらに備え、
TIFF
2024168422000019.tif
27
170
前記感度係数設定処理では、ひずみ計の位置ごとに前記感度係数a
i1
~a
i6
を設定し、
また前記感度係数設定処理では、直応力及びせん断応力ごとに単位大きさを設定したうえで、式C9、式C2、式C3、及び式C4で得られる前記解析ひずみを、前記感度係数a
ij
として設定し、
前記測定ひずみが7個以上得られているときは、最小二乗法によって式C7の初期直応力と初期せん断応力を求める、
ことを特徴とする請求項3記載の初期応力算出プログラム。
【請求項6】
オーバーコアリングによる応力解放法によって得られた測定ひずみに基づいて、初期応力を求める方法であって、
オーバーコアリングによる応力解放法によって、前記測定ひずみを取得する測定工程と、
ひずみ計領域、接着領域、コア岩盤領域、及び周辺岩盤領域の4領域ごとに、初期応力に基づいて設定される関数であって、式C1で示す面内第1複素応力関数φ
i
(z)、面内第2複素応力関数ψ
i
(z)、及び面外複素応力関数χ
i
(z)を設定する複素応力関数設定工程と、
TIFF
2024168422000020.tif
36
170
前記4領域ごとに、前記面内第1複素応力関数φ
i
(z)に基づいて直応力σ
x
を求める関数と、前記面内第2複素応力関数ψ
i
(z)に基づいて直応力σ
y
を求める関数を、式C2で設定するとともに、直応力σ
z
を求める関数を式C3で設定する応力算定式設定工程と、
TIFF
2024168422000021.tif
30
170
TIFF
2024168422000022.tif
55
170
式C2と式C3によって得られる直応力に基づいて解析ひずみを求める関数を式C4で設定する解析ひずみ算定式設定工程と、
TIFF
2024168422000023.tif
74
170
式C4の左辺が前記測定ひずみとなるように逆解析を行うことによって、初期直応力を求める応力算出工程と、を備えた、
ことを特徴とする初期応力算出方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本願発明は、地盤の初期応力の算出に関する技術であり、より具体的には、オーバーコアリングによって採取された円柱供試体を「ひずみ計領域」と「接着領域」、「コア岩盤領域」からなる3層構造モデルとし、さらに面内と面外における応力成分の連成効果を考慮した弾性理論による厳密解を初期応力として得ることができる技術に関するものである。
続きを表示(約 2,900 文字)
【背景技術】
【0002】
岩盤上、あるいは岩盤内に構築する構造物の設計計画を行うにあたっては、その岩盤の力学特性を把握することが極めて重要となる。岩盤の力学特性としては、例えば岩盤の応力状態や変形係数などが挙げられ、このうち岩盤の応力状態は、トンネルや大深度地下空洞を新設するための設計、あるいは想定以上の変状が見られる既設トンネルや経年劣化が顕著な老朽トンネルなどを補強するための設計にとって、不可欠な情報といえる。また、このような設計を行うにあたっては、応力のうち2次元の応力成分(例えば、ボーリング軸に直交する面内の成分)のみならず、3次元の応力成分(面内成分に加え、軸方向の成分)が必要とされる。
【0003】
岩盤の応力状態を把握するには原位置試験、すなわち実際に現地で応力測定を行うのが一般的であり、特許文献1、2に示される「応力解放法」と、特許文献3に示される「水圧破砕法」に大別することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開昭62-220823号公報
特開2005-69937号公報
特開昭62-050591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献3に示されるような水圧破砕法は、地上からボーリング孔を設け、そのうち所定区間をパッカーで塞栓するとともに、この部分に対して水圧を与えることで人工亀裂を発生させ、水圧と亀裂の関係から岩盤の応力を求める手法である。このように水圧破砕法は、地上からのボーリング孔で応力を測定することができるものの、2次元の応力成分しか得ることができず、3次元の応力成分を把握するためには方向を変えて複数のボーリング孔を設ける必要がある。
【0006】
一方、特許文献1や特許文献2に示されるような応力解放法は、オーバーコアリング前後の解放ひずみを一定時間連続計測することで岩盤の応力を求める手法である。以下、図29を参照しながら、特許文献1に示される埋設ひずみ法の手順について説明する。まず、図29(a)の初期状態に対して、図29(b)に示すように例えばφ46mmの径でパイロット孔PHを削孔する。そして、図29(c)に示すようにパイロット孔PHにひずみ計ISを設置すると同時に、パイロット孔PHとひずみ計ISの間にグラウトGRを注入する。グラウトGRが硬化すると、例えばφ200mmの径でオーバーコアリングOCを行い、図29(d)に示す円柱の供試体SPを取り出して、オーバーコアリング前後のひずみ計ISの値を読み取る。この応力解放法では、3次元の応力成分を測定することができるものの、トンネル坑内からの水平ボーリング孔を利用する手法であり、地上からのボーリング孔で応力を測定することはできない。
【0007】
従来の応力解放法は、オーバーコアリングした円柱供試体を「ひずみ計領域」と「コア岩盤領域」からなる2層構造モデルとしたうえで解析により応力を求めるか、あるいは別途感度試験を実施してグラウト層(接着領域)を含めたひずみ感度係数を求める手法であり、ひずみ計をコア岩盤に接着するためのグラウト層(接着領域)を考慮していない。そのため応力解放法によって初期応力を解析のみで求める場合には、十分な解析精度を得ることができなかった。さらに特許文献1に示される従来の応力解放法は、コア岩盤の径(円柱供試体の径)を無限遠として取り扱うため、オーバーコアリングが大孔径(通常φ200mm程度)となり、したがって測定及び感度試験を行うには多大な労力と時間が強いられる。また、大孔径のオーバーコアリングが避けられないことから、大深度ボーリングやコントロールボーリングに適用することもできない。一方、特許文献2の応力解放法では、φ76~86mmでのオーバーコアリングが可能であるが、孔内に湧水がある場合や多孔質岩盤では、ひずみ計ISの接着作業が困難となって測定ができない場合がある等、現場の制約条件が伴う。
【0008】
本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち、従来技術に比して小孔径でオーバーコアリングを行うとともに、特許文献1の従来手法による確実なグラウトによってひずみ計を埋設することで、高精度で初期応力を求めることができる初期応力算出プログラムと初期応力算出方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明は、コア岩盤を有限位置として取り扱うことによって小孔径のオーバーコアリングを実現するとともに、円柱供試体を「ひずみ計領域」と「接着領域」、「コア岩盤領域」からなる3層構造モデルとしたうえで三次元解析を行う、という点に着目してなされたものであり、これまでにない発想に基づいて行われた発明である。
【0010】
本願発明の初期応力算出プログラムは、オーバーコアリングによる応力解放法によって得られた測定ひずみに基づいて初期応力を求める機能を、コンピュータに実行させるプログラムであって、複素応力関数設定処理と応力算定式設定処理、解析ひずみ算定式設定処理、応力算出処理をコンピュータに実行させる機能を備えたものである。このうち複素応力関数設定処理では、ひずみ計領域と接着領域、コア岩盤領域、周辺岩盤領域の4領域ごとに、式C1で示す面内第1複素応力関数φ
i
(z)と面内第2複素応力関数ψ
i
(z)、面外複素応力関数χ
i
(z)を設定する。なお、これら面内第1複素応力関数φ
i
(z)と面内第2複素応力関数ψ
i
(z)、面外複素応力関数χ
i
(z)は初期応力に基づいて設定される関数である。また応力算定式設定処理では、面内第1複素応力関数φ
i
(z)に基づいて直応力σ
x
を求める関数と、面内第2複素応力関数ψ
i
(z)に基づいて直応力σ
y
を求める関数を、4領域ごとに式C2で設定するとともに、直応力σ
z
を求める関数を4領域ごとに式C3で設定する。解析ひずみ算定式設定処理では、式C2と式C3によって得られる直応力に基づいて解析ひずみを求める関数を式C4で設定し、応力算出処理では、式C4の左辺が測定ひずみとなるように逆解析を行うことによって初期主応力を求める。
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36
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(【0011】以降は省略されています)
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