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公開番号
2024167803
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-12-04
出願番号
2023084143
出願日
2023-05-22
発明の名称
PCa接合部材
出願人
株式会社フジタ
代理人
個人
,
個人
主分類
E04B
1/58 20060101AFI20241127BHJP(建築物)
要約
【課題】アンボンド状態の緊張材によりPCa部材同士が接合されているPCa接合部材において、仮に緊張材が錆びて切れた場合でも、相互に接合されるPCa部材同士の一体性を維持することのできる、PCa接合部材を提供すること。
【解決手段】プレキャストコンクリート製で複数のシース管15,25を備えているPCa柱10とPCa仕口20が、相互に接合されているPCa接合部材100であり、連通シース管には緊張材31が挿入され、緊張材31はアンボンド状態で緊張しており、PCa柱10の一部とPCa仕口20の一部のそれぞれの外周に跨がるように補剛材40が配設され、PCa柱10とPCa仕口20に対して補剛材40がボルト接合されており、補剛材40が上段リブ42と下段リブ43を備え、上段リブ42がPCa柱10にある上段溝16に嵌合し、下段リブ43がPCa仕口20にある下段溝26に嵌合している。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
プレキャストコンクリート製で複数のシース管を備えているPCa部材である、上PCa柱と下PCa柱が、対応する前記シース管を連通させて連通シース管を形成しながら相互に接合されている、PCa接合部材であって、
前記連通シース管には緊張材が挿入され、該緊張材はアンボンド状態で緊張しており、
前記上PCa柱の一部と前記下PCa柱の一部のそれぞれの外周に跨がるように補剛材が配設され、該上PCa柱と該下PCa柱に対して該補剛材がボルト接合されており、
前記補剛材が上段リブと下段リブを備え、該上段リブが前記上PCa柱にある上段溝に嵌合し、該下段リブが前記下PCa柱にある下段溝に嵌合していることを特徴とする、PCa接合部材。
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【請求項2】
プレキャストコンクリート製で複数のシース管を備えているPCa部材である、上PCa柱とPCa仕口と下PCa柱が、対応する前記シース管を連通させて連通シース管を形成しながら相互に接合されている、PCa接合部材であって、
前記連通シース管には緊張材が挿入され、該緊張材はアンボンド状態で緊張しており、
前記上PCa柱の一部と前記PCa仕口と前記下PCa柱の一部のそれぞれの外周に跨がるように補剛材が配設され、該上PCa柱と該PCa仕口と該下PCa柱に対して該補剛材がボルト接合されており、
前記補剛材が上段リブと中段リブと下段リブを備え、該上段リブが前記上PCa柱にある上段溝に嵌合し、該中段リブが前記PCa仕口にある中段溝に嵌合し、該下段リブが前記下PCa柱にある下段溝に嵌合していることを特徴とする、PCa接合部材。
【請求項3】
プレキャストコンクリート製で複数のシース管を備えているPCa部材である、PCa柱とPCa仕口が、対応する前記シース管を連通させて連通シース管を形成しながら相互に接合されている、PCa接合部材であって、
前記連通シース管には緊張材が挿入され、該緊張材はアンボンド状態で緊張しており、
前記PCa柱の一部と前記PCa仕口の一部のそれぞれの外周に跨がるように補剛材が配設され、該PCa柱と該PCa仕口に対して該補剛材がボルト接合されており、
前記補剛材が上段リブと下段リブを備え、該上段リブと該下段リブの一方が前記PCa柱にある上段溝もしくは下段溝の一方に嵌合し、該上段リブと該下段リブの他方が前記PCa仕口にある該上段溝もしくは該下段溝の他方に嵌合していることを特徴とする、PCa接合部材。
【請求項4】
前記PCa部材の長手方向に直交する断面形状が矩形であり、
前記補剛材は、対向する一対の鋼板が二対設けられている4枚の鋼板により形成され、
それぞれの前記鋼板に対して、前記上段リブと前記下段リブが固定されていることを特徴とする、請求項1又は3に記載のPCa接合部材。
【請求項5】
前記PCa部材の長手方向に直交する断面形状が矩形であり、
前記補剛材は、対向する一対の鋼板が二対設けられている4枚の鋼板により形成され、
それぞれの前記鋼板に対して、前記上段リブと前記中段リブと前記下段リブが固定されていることを特徴とする、請求項2に記載のPCa接合部材。
【請求項6】
上下にある前記PCa部材の接合界面に第1隙間が設けられ、該第1隙間にグラウトが充填されていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のPCa接合部材。
【請求項7】
前記PCa部材と前記補剛材の間に施工誤差に起因する第2隙間がある場合に、該第2隙間にグラウトが充填されていることを特徴とする、請求項6に記載のPCa接合部材。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、PCa接合部材に関する。
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【背景技術】
【0002】
例えば、RC(Reinforced Concrete)造の上下階の柱同士の柱接合部や、RC造の柱と梁の柱梁接合部、RC造の柱とS(Steel)造の梁のハイブリッド構造の柱梁接合部等を、現場におけるコンクリート打設により施工する場合、工期の長期化が課題としてあり、高層建築物の場合はこの課題が一層顕著になる。
【0003】
そこで、上下階の柱、あるいは柱と仕口をいずれもプレキャストコンクリート(以下、適宜「PCa」とする)製とし、PCa柱やPCa仕口(いずれもPCa部材に含まれる)を現場に搬送して組み付けてPCa接合部材とすることにより、最小限のグラウト充填のみで一体化を図る施工方法が適用されることがある。
【0004】
このPCa接合部材の施工方法によれば、高層建築物を含め、工期を格段に短縮できるとともに、上下階に連続する柱や柱梁接合部がPCa部材により形成されることから、構造信頼性の高い建築物を施工することが可能になる。
【0005】
PCa接合部材の施工方法の中でも、PCa部材同士をPC(Prestressed Concrete)鋼棒やPC鋼線等の緊張材にて緊張し、相互に締め付けることによってプレキャストプレストレストコンクリート(以下、適宜「PCaPC」とする)接合部材を施工することにより、工期のより一層の短縮を図ることができる。本明細書では、PCaPC接合部材はPCa接合部材に含まれるものとし、その構成部材であるPCaPC部材はPCa部材に含まれるものとする。
【0006】
上記するPCa部材はその内部に複数のシース管を備えており、相互に接合されるPCa部材は、対応する双方のシース管を連通させて連通シース管を形成し、連通シース管に緊張材が挿入されて緊張された後、連通シース管の内部にグラウトが充填されて緊張材がボンド状態とされることにより、複数の緊張されたボンド状態の緊張材によりPCa部材同士の接続が図られるのが一般的である。
【0007】
しかしながら、連通シース管の内部にグラウトを充填する作業には手間がかかり、連通シース管の本数の増加や、建築物の高層化によりグラウト充填箇所が増加することによって、この課題は一層顕著になる。さらに、連通シース管に充填されたグラウトが所定の強度を発現するまでの養生期間が、工期の長期化に少なからず影響を及ぼし得るといった課題もある。
【0008】
ここで、特許文献1には、プレキャストプレストレストコンクリート柱を備えた高層建物が提案されている。この高層建物は、コンクリート柱体に緊張材が鉛直方向に挿通された複数のプレキャストプレストレストコンクリート柱と、建物の揺れを抑制する複数の制振装置とを備えた高層建物であり、プレキャストプレストレストコンクリート柱は、緊張材がアンボンド状態でコンクリート柱体に配設され、制振装置は、高層建物の揺れによる緊張材の変形が緊張材の弾性範囲内に収まるように高層建物の揺れを抑制するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特開2019-19664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載される高層建物によれば、アンボンド状態の緊張材を適用することにより、グラウトを充填する際の上記課題を解消することができる。ところで、緊張材がシース管の内部にアンボンド状態で緊張している形態では、シース管内へのグラウト充填作業が不要になることから、施工性が向上し、工期の短縮を図ることができる。その一方で、引張鉄筋がないことから、仮に緊張材が錆びて切れた際に、上PCa柱と下PCa柱や、上PCa柱、PCa仕口及び下PCa柱の一体性を喪失する恐れがある。
(【0011】以降は省略されています)
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