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公開番号2024164012
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-26
出願番号2024118365,2022000227
出願日2024-07-24,2016-10-22
発明の名称核酸塩基編集因子およびその使用
出願人プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ
代理人個人
主分類C12N 9/12 20060101AFI20241119BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】
本開示のいくつかの側面は、細胞または対象のゲノム内の、例えばヒトゲノム内の単一部位を編集することを包含する、核酸の標的特異的編集に有用である戦略、システム、試薬、方法、およびキットを提供する。
【解決手段】
いくつかの態様においては、Cas9と核酸編集蛋白質または蛋白質ドメイン、例えばデアミナーゼドメインとの融合蛋白質が提供される。いくつかの態様においては、標的特異的核酸編集のための方法が提供される。いくつかの態様においては、標的特異的な核酸編集蛋白質、例えばCas9と核酸編集蛋白質またはドメインとの融合蛋白質の生成のための試薬およびキットが提供される。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
(i)Cas9ドメインと;(ii)シチジンデアミナーゼドメインと;(iii)ウラシルグリコシラーゼ阻害剤(UGI)ドメインとを含む、融合蛋白質。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
Cas9ドメインが、配列番号674によって提供されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の融合蛋白質。
【請求項3】
Cas9ドメインが、ヌクレオチド二本鎖のヌクレオチド標的鎖を切るCas9ニッカーゼドメインであり、ヌクレオチド標的鎖が、Cas9ニッカーゼドメインのgRNAに結合する鎖である、請求項1に記載の融合蛋白質。
【請求項4】
Cas9ドメインが、配列番号10によって提供されるアミノ酸配列におけるD10A変異、または配列番号11~260によって提供されるアミノ酸配列のいずれかにおける対応する変異を含むnCas9ドメインである、請求項1に記載の融合蛋白質。
【請求項5】
Cas9ドメインが、配列番号10によって提供されるアミノ酸配列のN496A、R660A、Q694A、およびQ926Aの1つ以上、または配列番号11~260によって提供されるアミノ酸配列のいずれかにおける1つ以上の対応する変異を含むnCas9ドメインである、請求項1に記載の融合蛋白質。
【請求項6】
シチジンデアミナーゼドメインが、アポリポ蛋白質B mRNA編集複合体(APOBEC)ファミリーデアミナーゼからのデアミナーゼである、請求項1に記載の融合蛋白質。
【請求項7】
APOBECファミリーデアミナーゼが、APOBEC1デアミナーゼ、APOBEC2デアミナーゼ、APOBEC3Aデアミナーゼ、APOBEC3Bデアミナーゼ、APOBEC3Cデアミナーゼ、APOBEC3Dデアミナーゼ、APOBEC3Fデアミナーゼ、APOBEC3Gデアミナーゼ、およびAPOBEC3Hデアミナーゼからなる群から選択される、請求項6に記載の融合蛋白質。
【請求項8】
シチジンデアミナーゼドメインが、配列番号266~284、607~610、5724~5736、または5738~5741のアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の融合蛋白質。
【請求項9】
シチジンデアミナーゼドメインが、配列番号266~284、607~610、5724~5736、または5738~5741のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の融合蛋白質。
【請求項10】
シチジンデアミナーゼドメインが、配列番号284のW90Y、R126E、およびR132Eからなる群から選択される1つ以上の変異、または別のAPOBECデアミナーゼにおける1つ以上の対応する変異を含むラットAPOBEC1(rAPOBEC1)デアミナーゼである、請求項1に記載の融合蛋白質。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
政府の援助
本発明は、国立衛生研究所によって授与された助成金番号R01 EB022376(旧R01 GM065400)、国立衛生研究所によって授与されたトレーニング助成金番号F32 GM 112366-2およびF32 GM 106601-2、ならびに国立衛生研究所によって授与されたハーバード生物物理NIHトレーニング助成金T32 GM008313の下における政府の援助によってなされた。政府は本発明にある種の権利を有する。
続きを表示(約 4,300 文字)【0002】
関連出願
本願は、2015年10月23日出願のU.S.S.N.62/245,828、2016年1月15日出願のU.S.S.N.62/279,346、2016年3月22日出願のU.S.S.N.62/311,763、2016年4月13日出願のU.S.S.N.62/322,178、2016年6月30日出願のU.S.S.N.62/357,352、2016年8月3日出願のU.S.S.N.62/370,700、2016年9月22日出願のU.S.S.N.62/398,490、2016年10月14日出願のU.S.S.N.62/408,686、および2016年6月30日出願のU.S.S.N.62/357,332のU.S.仮特許出願の米国特許法§119(e)の下における優先権を主張する;これらのそれぞれは参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
核酸配列の標的特異的編集、例えばゲノムDNAへの標的特異的切断または特定の改変の標的特異的導入は、遺伝子機能の研究のためには高度に有望なアプローチであり、ヒト遺伝子疾患の新たな治療法を提供するポテンシャルをもまた有する

。理想的な核酸編集テクノロジーは3つの特性を所有する:(1)所望の改変を実装する高い効率;(2)最小限のオフターゲット活性;および(3)所与の核酸中のいずれかの部位、例えばヒトゲノム中のいずれかの部位を正確に編集するようにプログラムされる能力

。現行のゲノム操作ツールは、操作されたジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)

、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)

、および最も最近ではRNA誘導型DNAエンドヌクレアーゼCas9

を包含し、ゲノム中における配列特異的なDNA切断を生ぜしめる。このプログラム可能な切断は、非相同末端結合(NHEJ)によって切断部位におけるDNAの変異、または相同組換え修復(HDR)によって切断部位の周辺のDNAの置き換えをもたらし得る
6,7

【0004】
現行のテクノロジーの1つの欠点は、NHEJおよびHDR両方が確率的なプロセスであり、これらが典型的には控えめな遺伝子編集効率と、所望の変改と競合し得る不要の遺伝子変改とをもたらすということである

。原理的には、多くの遺伝子疾患はゲノム中の特定の場所における特定のヌクレオチド変化を生ぜしめることによって処置され得るので(例えば、疾患に関連する遺伝子の特定のコドンにおけるCからTへの変化)

、かかる高精度遺伝子編集を達成するためのプログラム可能なやり方の開発は、強力な新たな研究ツール、かつ遺伝子編集に基づくヒト治療の潜在的な新たなアプローチということになるであろう。
【発明の概要】
【0005】
Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeat(CRISPR)システムは最近発見された原核生物の適応免疫システムであり
10
、これは改変されて、種々の生物および細胞株におけるロバストで一般的なゲノム操作を可能にしている
11
。CRISPR-Cas(CRISPR関連)システムは蛋白質-RNA複合体であり、これは、塩基対形成によって標的DNA配列に複合体を局在させるためのガイドとしてRNA分子(sgRNA)を用いる
12
。それから、天然のシステムにおいては、Cas蛋白質はエンドヌクレアーゼとして働いて、標的のDNA配列を切断する
13
。システムが機能するためには、標的DNA配列はsgRNAに対して相補的であり、かつ相補領域の3’末端に「プロトスペーサー隣接モチーフ」(PAM)をもまた含有しなければならない
14

【0006】
公知のCas蛋白質のなかで、S. pyogenes Cas9はゲノム操作のためのツールとして主として広く用いられてきた
15
。このCas9蛋白質は2つの別々のヌクレアーゼドメインを含有する大きいマルチドメイン蛋白質である。点変異がヌクレアーゼ活性を喪失させるようにCas9に導入されて、sgRNAによってプログラムされた様式でDNAに結合するその能力をなお保持する不活性型Cas9(dCas9)をもたらし得る
16
。原理的には、別の蛋白質またはドメインに融合したときに、dCas9は単純に適切なsgRNAとの共発現によってその蛋白質を実質的にいずれかのDNA配列にターゲティングし得る。
【0007】
ゲノム操作目的にとってのdCas9複合体のポテンシャルは甚大である。sgRNAによってプログラムされたゲノム中の特定の部位に蛋白質を持っていくそのユニークな能力は、理論上は、転写活性化因子、転写リプレッサー、ヒストン修飾蛋白質、インテグラーゼ、およびリコンビナーゼを包含する、ヌクレアーゼを超えた種々の部位特異的ゲノム操作ツールへと発展させられ得る
11
。それらの潜在的な用途のいくつかは、転写活性化因子とのdCas9融合体によって最近実装されて、RNA誘導型の転写活性化因子
17,18
、転写リプレッサー
16,19,20
、およびクロマチン修飾酵素を提供した
21
。それらの融合体の種々のsgRNAとの単純な共発現は、標的遺伝子の特異的発現をもたらす。これらの先駆的研究は、ゲノムの正確な操作のためのたやすくプログラム可能な配列特異的エフェクターの設計および構築への道を敷いた。
【0008】
重要なことに、ヒト疾患の要因である蛋白質変異の80~90%は、一ヌクレオチドのみの置換、欠失、または挿入から生起する

。一塩基遺伝子修正のための大部分の現行の戦略は、操作されたヌクレアーゼ(これは、二本鎖切断DSBの作出、次に確率的で非効率的な相同組換え修復HDRに頼っている)およびDNA-RNAキメラオリゴヌクレオチドを包含する
22
。後者の戦略には、編集されるべきヌクレオチドを除いて、ゲノムDNA中の特定の配列と塩基対形成するようなRNA/DNA配列の設計が関わる。もたらされるミスマッチは、細胞の内在性の修復システムによって認識および修理され、キメラまたはゲノムどちらかの配列の変化に至る。これらの戦略の両方は、低い遺伝子編集効率および不要の遺伝子変改という悩みがある。なぜなら、これらは、HDRの確率性とHDRおよび非相同末端結合NHEJの間の競合と両方を被るからである
23~25
。HDR効率は、ゲノム中の標的遺伝子の場所
26
、細胞周期の状態
27
、および細胞/組織の型
28
に応じて変わる。よって、確率性を有さず酵素様の効率を有するゲノムDNA中の正確な場所の塩基改変の特異的な型を実装するための直接的でプログラム可能なやり方の開発は、遺伝子編集に基づく研究ツールおよびヒト治療の強力な新たなアプローチということになる。
【0009】
本開示のいくつかの側面は、リンカーによって融合されたdCas9ドメインおよびシチジンデアミナーゼドメインのある種の構成が、標的シチジン残基を効率的に脱アミノ化することに有用であるという認識に基づく。本開示の他の側面は、シチジンデアミナーゼドメインがリンカーによってヌクレアーゼ不活性型Cas9(dCas9)のN末端に融合された核酸塩基編集融合蛋白質が、二本鎖DNA標的分子中の標的核酸を効率的に脱アミノ化することができたという認識に関する。例えば下の例3および4参照。これらは、本明細書において塩基編集因子ともまた言われる融合蛋白質が、他の塩基編集因子、例えばUGIドメインなしの塩基編集因子よりも少ないindelを創り、標的核酸を効率的に脱アミノ化するということを実証している。いくつかの態様において、融合蛋白質はヌクレアーゼ不活性型Cas9(dCas9)ドメインおよびアポリポ蛋白質B mRNA編集複合体1(APOBEC1)デアミナーゼドメインを含み、デアミナーゼドメインは、アミノ酸配列SGSETPGTSESATPES(配列番号7)を含むリンカーによってdCas9ドメインのN末端に融合されている。いくつかの態様において、ヌクレアーゼ不活性型Cas9(dCas9)ドメインは、配列番号263に示されているアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、デアミナーゼはラットAPOBEC1である(配列番号284)。いくつかの態様において、デアミナーゼはヒトAPOBEC1である(配列番号282)。いくつかの態様において、デアミナーゼはpmCDA1である(配列番号5738)。いくつかの態様において、デアミナーゼはヒトAPOBEC3Gである(配列番号275)。いくつかの態様において、デアミナーゼは(配列番号5739~5741)のいずれか1つのヒトAPOBEC3Gバリアントである。
【0010】
本開示のいくつかの側面は、リンカーによって融合されたdCas9ドメインおよびシチジンデアミナーゼドメインのある種の構成が、標的シチジン残基を効率的に脱アミノ化するために有用であるという認識に基づく。本開示の他の側面は、アポリポ蛋白質B mRNA編集複合体1(APOBEC1)デアミナーゼドメインがアミノ酸配列SGSETPGTSESATPES(配列番号7)を含むリンカーによってヌクレアーゼ不活性型Cas9(dCas9)のN末端に融合した核酸塩基編集融合蛋白質が、二本鎖DNA標的分子中の標的核酸を効率的に脱アミノ化することができたという認識に関する。いくつかの態様において、融合蛋白質はヌクレアーゼ不活性型Cas9(dCas9)ドメインおよびアポリポ蛋白質B mRNA編集複合体1(APOBEC1)デアミナーゼドメインを含み、デアミナーゼドメインは、アミノ酸配列SGSETPGTSESATPES(配列番号7)を含むリンカーによってdCas9ドメインのN末端に融合される。
(【0011】以降は省略されています)

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