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公開番号2024163046
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-21
出願番号2024073960
出願日2024-04-30
発明の名称分析デバイス及び電解質濃度測定方法
出願人キヤノン株式会社
代理人個人,個人,個人,個人
主分類G01N 27/28 20060101AFI20241114BHJP(測定;試験)
要約【課題】電極のコンディショニング時及び電位差イオン濃度測定の際に、参照電極の電位を安定化させるために配置されるClイオン結晶が、作用電極へ逆流し、作用電極における電位に影響を及ぼしてしまう。
【解決手段】基材の内部あるいは上に設けられた疎水性の流路壁で囲まれた親水性あるいは多孔質の流路領域を有する分析デバイスであって、第1の流路領域と、作用電極を有し、前記第1の流路領域は、前記基材上に設けられた参照電極を有し、前記作用電極は前記第1の流路領域外にある分析デバイスを提供する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
基材の内部あるいは上に設けられた疎水性の流路壁で囲まれた親水性あるいは多孔質の流路領域を有する分析デバイスであって、第1の流路領域と、作用電極を有し、
前記第1の流路領域は、前記基材上に設けられた参照電極を有し、
前記作用電極は前記第1の流路領域外にある
分析デバイス。
続きを表示(約 960 文字)【請求項2】
第2の流路領域を有し、
前記第2の流路領域は、前記基材上に設けられた、前記作用電極を有し、
前記第1の流路領域と前記第2の流路領域は互いに前記流路壁で隔てられている、
請求項1に記載の分析デバイス。
【請求項3】
1の前記第1の流路領域に対し、前記第2の流路領域を2以上含む請求項2に記載の分析デバイス。
【請求項4】
前記第1の流路領域及び前記第2の流路領域のそれぞれの一部は互いに距離L以内にあり、Lは導入される検体の液滴の直径以下である請求項2又は3に記載の分析デバイス。
【請求項5】
前記第1の流路領域及び前記第2の流路領域のそれぞれの一部と、それらを互いに隔てる前記流路壁の一部を含む前記Lを直径とする円を含む領域を測定時に前記検体を導入するための、測定時導入部とする請求項4に記載の分析デバイス。
【請求項6】
前記第1の流路領域及び前記第2の流路領域のそれぞれは、さらに、導入部を有する請求項5に記載の分析デバイス。
【請求項7】
請求項5に記載の分析デバイスを用いる電解質濃度測定方法であって、
前記測定時導入部に、前記検体を導入することにより、前記第1の流路領域と前記第2の流路領域のそれぞれの間を電気的に導通させ、前記第1の流路領域の参照用のイオン濃度と前記第2の流路領域の前記検体に由来するイオン濃度との差によって生じる前記参照電極と前記作用電極に生じる電位差を測定する電解質濃度測定方法。
【請求項8】
前記測定時導入部に前記検体を導入する前に、塩化物イオンを含む第1のコンディショニング溶液を前記第1の流路領域に導入する請求項7に記載の電解質濃度測定方法。
【請求項9】
前記測定時導入部に前記検体を導入する前に、前記作用電極で検知するイオンを含む第2のコンディショニング溶液を前記第2の流路領域に導入する請求項7に記載の電解質濃度測定方法。
【請求項10】
前記測定時導入部に前記検体を導入する前に、前記検体を前記第2の流路領域に導入する請求項7に記載の電解質濃度測定方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、分析デバイスと分析デバイスを用いた電解質濃度測定方法に関するものである。
続きを表示(約 1,700 文字)【背景技術】
【0002】
近年、マイクロサイズの微細流路を利用して、生化学における分析を1つのチップ内で効率的に行うことができるマイクロ分析チップが、幅広い分野で注目されている。具体的には、生化学の研究はもとより医療、創薬、ヘルスケア、環境、食品等の各分野において注目されている。
【0003】
1990年代前半にフォトリソグラフィ法や金型等を用いてガラスやシリコン上にミクロンサイズの微細流路を形成し、サンプルの前処理、攪拌、混合、反応、検出を1チップ上で行うマイクロ分析チップが開発された。その結果、検査システムの小型化や迅速分析、並びに検体や廃液の低減を実現した。
【0004】
電気化学分析は分析対象となる検体に浸漬した電極間の電位を測定するものであり、医療や環境の分野において広く使用されている。従来、電気化学分析は高度な機器を使用し、技術者によって行われる。そのため、電気化学分析を用いるためには、測定を行うフィールドやリソースがある程度制限される。そのため、医療設備の整っていない途上国や僻地並びに災害現場での医療活動や、感染症の広がりを水際で食い止めなければならない空港等での使用のため、安価で取り扱いが容易な、使い捨て可能な電気化学分析用マイクロ分析チップに対するニーズが存在する。
【0005】
溶液内の電解質イオンの定量化等、電気化学分析においては定電位を維持することが可能な安定した参照電極が必要である。従来のガラス体参照電極は高価であり、また内部液を必要とするため、小型化することができない。保存時にはイオンの濃縮溶液内での保存を必要とする等、取扱が容易ではなかった。
【0006】
特許文献1では、多孔質基材を用いた電位差測定が可能なマイクロ分析チップを含むシステムが提案されており、低コストかつ取り扱いが容易で廃棄性の高い電気化学測定を可能にする。このマイクロ分析チップでは、多孔質基材上に1つ以上の作用電極と1つの参照電極を含む。このようなマイクロ分析チップでは、測定時には両電極を流体によって電気的に導通する必要がある。特許文献1には、測定時には参照電極において安定した電位を得るため、KClの高濃度水溶液を参照溶液とし、参照電極を含む参照領域へ参照溶液を導入することが記載されている。
【0007】
また、非特許文献1では濾紙ベースのNaイオン及びKイオン濃度測定デバイスについて提案されている。このデバイスは検体を導入するための導入部を持ち、導入された検体が導入部から作用電極及び参照電極それぞれの領域へと浸透する構成となっている。さらに、非特許文献1では、参照電極における電位の安定性を得るため、KClイオン結晶を参照電極上に堆積させたデバイスが提案されている。測定時にKClが検体へ溶解することで参照電極領域のClイオンを高濃度に保持し、安定した参照電極の電位を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
米国特許出願公開第2016033438号
【非特許文献】
【0009】
Nipapan Ruecha, Orawon Chailapakul, Koji Suzuki and Daniel Citterio『Fully Inkjet-Printed Paper-Based Potentiometric Ion-Sensing Devices』Analytical chemistry August 29, 2017 Published, 89, pp.10608-10616
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
測定時には参照電極と作用電極は検体により電気的に導通する必要がある。一方、その際に参照電極上のClイオン結晶が溶け出して検体を通じて作用電極領域へと拡散され、作用電極の電位に影響を及し、電位差測定の精度が下がることが課題となっている。
(【0011】以降は省略されています)

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