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公開番号2024162862
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-21
出願番号2023078806
出願日2023-05-11
発明の名称レンズの絞り装置
出願人株式会社コシナ
代理人弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
主分類G03B 9/02 20210101AFI20241114BHJP(写真;映画;光波以外の波を使用する類似技術;電子写真;ホログラフイ)
要約【課題】絞り羽根の枚数を10枚以上に増やしても最小絞り位置において、絞り開口周縁部における絞り羽根同士どうしの重なりの集中を減らし最小絞り開口形状を真円形に近づけたレンズの絞り装置を提供する。
【解決手段】絞り羽根11の絞り開口を形成する内周縁部に、開放絞り位置における絞り開口を形成する第一円弧部11aと、最小絞り位置における絞り開口を形成する第二円弧部11bが所定範囲で形成されており、第一円弧部11aの端点から第二円弧部11bに正接する中間直線部11cより径方向外側に逃げる逃げ縁部11dが各々形成されており、複数の絞り羽根11は最小絞り位置において第二円弧部11bが連なって形成される絞り開口の周辺部における絞り羽根11どうしの重なりの集中を逃げ縁部11dで逃がして隣り合う絞り羽根11どうしのみの重なりを許容している。
【選択図】図4
特許請求の範囲【請求項1】
レンズ鏡筒に備える絞り調整リングの回動変位により、レンズ鏡筒内に周方向に配置された少なくとも10枚以上の絞り羽根が一端側を回動可能に軸支され、他端側を径方向に変位させて協働して絞り開口の大きさを変化させるレンズの絞り装置であって、
各絞り羽根の絞り開口を形成する内周縁部に、開放絞り位置における絞り開口を形成する第一円弧部と、最小絞り位置における絞り開口を形成する第二円弧部が所定範囲で形成され、前記第一円弧部の端点から前記第二円弧部に正接する中間直線部より径方向外側に逃げる逃げ縁部が各々形成されており、前記複数の絞り羽根は最小絞り位置において前記第二円弧部が連なって形成される絞り開口の周辺部における絞り羽根どうしの重なりの集中を前記逃げ縁部で逃がして隣り合う絞り羽根どうしのみの重なりを許容することを特徴とするレンズの絞り装置。
続きを表示(約 610 文字)【請求項2】
開放絞り位置における絞り開口を形成する第一円弧部は、中心角θaが360°を絞り羽根枚数で除した角度以上となるように形成されている請求項1記載のレンズの絞り装置。
【請求項3】
前記最小絞り位置における絞り開口を形成する第二円弧部は、最小絞り径Rで中心角θbとすると、中心角θbは360°を絞り羽根枚数で除した角度に余角を加算した角度に設定されている請求項1記載のレンズの絞り装置。
【請求項4】
前記絞り羽根の逃げ縁部の形状は、前記第二円弧部と正接する中間直線部を含むV字状縁部を介して前記第一円弧部と連結されている請求項1記載のレンズの絞り装置。
【請求項5】
前記絞り羽根の逃げ縁部の形状は、前記第二円弧部の端点から当該第二円弧部より曲率の小さい第三円弧部を介して前記第一円弧部と連結されている請求項1記載のレンズの絞り装置。
【請求項6】
前記絞り羽根の逃げ縁部の形状は、前記第二円弧部と正接する直線縁部と当該第二円弧部より曲率の小さい第三円弧部を介して前記第一円弧部と連結されている請求項1記載のレンズの絞り装置。
【請求項7】
前記絞り羽根の逃げ縁部の形状は、前記第二円弧部の端点から当該第二円弧部より曲率の小さい第三円弧部これに正接する直線縁部を介して前記第一円弧部と連結されている請求項1記載のレンズの絞り装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ等の撮像装置のレンズ鏡筒に組み込まれるレンズの絞り装置に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
カメラ等の撮像装置のレンズ鏡筒に組み込まれるレンズの絞り装置は、レンズ鏡筒内に光軸を中心として周囲に複数個配置された絞り羽根により絞り開口の周囲を覆って、当該絞り開口を通過する光量を制限するようにしたものである。即ち、複数の絞り羽根を協動させて枢動回転させることにより絞り開口が形成されて当該絞り開口を通過する光量が制限されることになる。
【0003】
ところで、レンズの絞り装置においては、上記絞り羽根の内縁部が協働して形成した開口形状は、真円に近いことが望ましい。一般的に、開口形状を真円形に近づけるためには絞り羽根の枚数を増やすことが有効である。
このとき、図10に示すように、絞り羽根51として全体形状がL形状の金属製のプレート材が用いられる(特開2020-190612号)。絞り羽根51は、一端51pの近傍に、回動軸52が突設され、他端51qの近傍に、絞り調整リングの回動変位が伝達される係合軸53が突設されている。絞り羽根51は、光軸から離れた径方向外側は円弧状の外周縁部が形成され、光軸に近い径方向内側は、複数の内周縁部から構成される。
【0004】
具体的には、絞り羽根51の一端51pの近傍の内周縁部は、絞り開放位置における開口を形成する第一円弧部51aが所定範囲(中心角θa≧360°/羽根枚数)で形成されている。例えば、絞り羽根51の使用枚数が12枚の場合には、第一内周円弧部51aの中心角θaは30°以上となる。また、最小絞り位置には、半径Rの第二内周円弧部51bが所定範囲(中心角θb≧θa)で形成されている。
【0005】
また、第一円弧部51aと第二円弧部51bとの間は、第一円弧部51の端点から第二円弧部51bに正接する中間直線縁部51cにより接続されている。また、第二円弧部51bから絞り羽根51の他端側51bの近傍までは、先端直線部51dが形成されている。先端直線部51dは、開放位置、最小絞り位置以外における絞り開口を形成する。尚、絞り羽根51の絞り開放位置から最小絞り位置までの回転角θcは、第一円弧部51aの中心角θaより大きくなるように設計されている(θc>θa)。図11は、絞り羽根51を10枚使用して、最小絞り位置における絞り開口52の形状を示す。絞り開口52の形状は、各絞り羽根51の第二円弧部51bをつなぎ合わせて可及的に真円形に近づけることができる。
【0006】
また、特開2002-357856号に開示されたレンズの絞り装置は、絞り羽根を、最小絞り状態においても絞り羽根が3枚以上重ならない形状に形成すると共に、絞り開口の形成に関与する内縁部を、回動中心に近い根本内縁部、回動中心から遠い先端内縁部、根本内縁部と先端内縁部との間の中間内縁部とによって構成し、根本内縁部を、開放状態と該開放状態から僅かに絞り込んだ状態との間で絞り開口を疑似円形とする形状とすると共に、中間内縁部とは該絞り開口の中心から見て該内縁部の外側に中心が位置する円弧形状によって繋ぎ、先端内縁部を、絞り開口を形成する絞り羽根同士の繋ぎ目で凹部ができないように、かつ、絞り羽根が3枚以上重ならないように、該絞り開口の中心から見て該内縁部の外側に中心が位置する円弧形状によって形成し、中間内縁部を開放状態より僅かに絞り込んだ状態における絞り開口の半径を有する円弧形状によって形成し、絞り開口を開放状態から僅かに絞り込んだ状態においては、開口形状が中間内縁部によって真円形状に形成されるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2020-190612号
特開2002-357856号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図11に示す絞り羽根51を10枚使用して、最小絞り位置において絞り開口52の形状を真円形に近づけることができる一方で、図11の絞り開口52の周囲において円Pで囲まれた領域において、複数の絞り羽根51同士の重なりが発生する。具体的には、図12(a)に示すように、最小絞り位置で、絞り開口52を形成する絞り羽根51同士が矢印Qに示す絞り開口52の周辺部で最大で4枚以上重なり合う(斜線部参照)。このとき、図12(b)に示すように最小絞り径に近づくにしたがって絞り羽根51同士の重なり量が多くなり、矢印Qに示す絞り開口52の周辺部で重なっている絞り羽根51同士は厚さ方向には逃げられないため、絞り羽根51同士の摺接に起因する、絞り羽根51の損傷や摩耗等が発生し易くなる。
また、特許文献2のように絞り羽根の使用枚数を減らして一段絞り以内で絞り開口を真円状にする際に絞り羽根同士の重なりは減らせても、多段絞りを行って最小絞り位置で絞り開口形状を真円形に近づけたり、絞り羽根同士の重なりを減らしたりすることについての具体的な開示はない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、絞り羽根の枚数を10枚以上に増やしても最小絞り位置において、絞り開口周縁部における絞り羽根同士どうしの重なりの集中を減らし最小絞り開口形状を真円形に近づけたレンズの絞り装置を提供することにある。
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に適用されるレンズの絞り装置は、以下の構成を備える。レンズ鏡筒に備える絞り調整リングの回動変位により、レンズ鏡筒内に周方向に配置された少なくとも10枚以上の絞り羽根が一端側を回動可能に軸支され、他端側を径方向に変位させて協働して絞り開口の大きさを変化させるレンズの絞り装置であって、各絞り羽根の絞り開口を形成する内周縁部に、開放絞り位置における絞り開口を形成する第一円弧部と、最小絞り位置における絞り開口を形成する第二円弧部が所定範囲で形成され、前記第一円弧部の端点から前記第二円弧部に正接する中間直線部より径方向外側に逃げる逃げ縁部が各々形成されており、前記複数の絞り羽根は最小絞り位置において前記第二円弧部が連なって形成される絞り開口の周辺部における絞り羽根どうしの重なりの集中を前記逃げ縁部で逃がして隣り合う絞り羽根どうしのみの重なりを許容することを特徴とする。
(【0011】以降は省略されています)

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