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公開番号
2024162555
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-21
出願番号
2023078162
出願日
2023-05-10
発明の名称
分析デバイス
出願人
キヤノン株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
G01N
27/333 20060101AFI20241114BHJP(測定;試験)
要約
【課題】長期保管後でも良好な測定感度を保ち、選択イオンに対し適正な電位が得られる分析デバイスを提供すること。
【解決手段】多孔質基材、前記多孔質基材の内部、表面上、又は内部から表面上にかけて形成される電極、前記電極を覆うイオン選択膜、及び保護層、を有する分析デバイスであって、前記イオン選択膜は可塑剤を含み、前記保護層は、前記多孔質基材内部に、前記イオン選択膜の少なくとも一部と近接して形成され、前記可塑剤の浸透を阻害する成分を含む、分析デバイスを提供する。
【選択図】図1A
特許請求の範囲
【請求項1】
多孔質基材、
前記多孔質基材の内部、表面上、又は内部から表面上にかけて形成される電極、
前記電極を覆うイオン選択膜、及び
保護層、
を有する分析デバイスであって、前記イオン選択膜は可塑剤を含み、
前記保護層は、前記多孔質基材内部に、前記イオン選択膜の少なくとも一部と近接して形成され、前記可塑剤の浸透を阻害する成分を含む、
分析デバイス。
続きを表示(約 440 文字)
【請求項2】
前記多孔質基材内部に形成される流路壁で囲まれた流路領域を有する
請求項1に記載の分析デバイス。
【請求項3】
前記電極、前記イオン選択膜、及び前記保護層は、前記流路領域に形成される、
請求項2に記載の分析デバイス。
【請求項4】
前記可塑剤は親油性イオン交換材料である
請求項1又は2に記載の分析デバイス。
【請求項5】
前記保護層は、少なくとも樹脂を含む
請求項1又は2に記載の分析デバイス。
【請求項6】
前記保護層は、前記可塑剤が相溶しない材料である
請求項1又は2に記載の分析デバイス。
【請求項7】
前記保護層は、少なくともフッ素系樹脂を含む
請求項1又は2に記載の分析デバイス。
【請求項8】
保護層部の接触角は、前記多孔質基材の接触角よりも高い
請求項1又は2に記載の分析デバイス。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質基材の内部に流路領域を形成した分析デバイスに関するものである。
続きを表示(約 2,200 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、小型の微細流路を利用して、生化学における分析を1つのチップ内で効率的に行うことができる分析デバイスが、幅広い分野で注目されている。具体的には、生化学の研究はもとより、医療、創薬、ヘルスケア、環境、食品等の各分野において小型の分析デバイスは注目されている。
【0003】
1990年代前半に、フォトリソグラフィ法や金型等を用いて、ガラスやシリコン上にマイクロメータサイズの微細流路を形成し、サンプルの前処理、撹拌、混合、反応、検出を1チップ上で行うマイクロ分析チップが開発された。その結果、検査システムの小型化や迅速な分析、並びに検体や廃液の低減等が実現された。
【0004】
電気化学分析は、分析対象となる検体に浸漬した電極間の電位を計測することにより対象の濃度等を測定するものであり、医療や環境等の分野において広く使用されている。従来の電気化学分析は、技術者によって高度な機器を用いて行われるため、測定を行うフィールドやリソースがある程度制限される。しかし、医療設備が十分ではない途上国や僻地や災害現場での医療や、感染症の拡がりを水際で食い止める必要がある空港等での使用のために、安価で、取り扱いが容易で、使い捨て可能な、電気化学分析用マイクロ分析チップが求められる。
【0005】
特許文献1には、多孔質基材を用いた電位差測定が可能なマイクロ分析チップを含むデバイスが提案されており、低コストかつ取り扱いが容易で廃棄性の高い電気化学測定を可能にしている。このデバイスでは、多孔質基材上に1つ以上の作用電極と1つの参照電極を含み、作用電極としてイオン選択膜を用いたイオン選択電極と、参照電極との電位差測定を行うための構成が記載されている。また、このデバイスのイオン選択膜は、通常親油性イオン受容体(イオノフォア)と、最適化されたモル比で、親油性イオン交換体を含み、両方とも可塑化ポリ(塩化ビニル)(PVC)のようなポリマー膜マトリックスに組み込まれており、このイオン選択膜を用いることで、電位差を測定できる。
【0006】
また、非特許文献1では、Naイオン及びKイオンの濃度を測定する濾紙ベースの測定デバイスについて提案されている。このデバイスは、検体を分注するための分注部を持ち、分注された検体が分注部から作用電極及び参照電極それぞれの領域へと浸透することによって、両電極を電気的に接続し、電位差測定が可能となる。またこのデバイスのイオン選択膜は、イオノフォア・アニオン除剤・PVCに加え、Naイオン・Kイオンそれぞれにおいて、可塑剤としてDOS・NPOEを用いて調製が行われ、このようなイオン選択膜を用いることで、電位差を測定できるようにしている。
【0007】
また、非特許文献1では、参照電極において安定した電位を得るために、KClイオン結晶を参照電極上に堆積させることが記載されている。これにより、測定時においてKClが検体へ溶解し、参照電極領域のClイオンを高濃度に保持し、安定した参照電極の電位を得ることができる。さらに、非特許文献1では、作用電極を被覆するように形成したイオン選択膜で測定対象のイオンのみを選択し、他のイオンの影響を受けずに測定できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
米国特許出願公開第2016/033438号明細書
【非特許文献】
【0009】
Nipapan Ruecha, Orawon Chailapakul, Koji Suzuki and Daniel Citterio『Fully Inkjet-Printed Paper-Based Potentiometric Ion-Sensing Devices』Analytical chemistry August 29, 2017 Published, 89, pp.10608-10616
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、先述のような多孔質基材を用いた分析デバイスの構成においては、長期保管時の性能維持ができない場合がある。具体的には、多孔質基材を用いた分析デバイスは、多孔質基材の上に電極、及びイオン選択膜が形成されており、該イオン選択膜は多孔質基材に一部接触した構成になっている。また、イオン選択膜には親油性イオン交換体である可塑剤が含まれており、測定時にはイオノフォアを輸送する働きをもつようにするため、通常は測定時(常温以上)で液体となっており、イオン選択膜内を流動できる。そのため、長期保管時にイオン選択膜から可塑剤が染み出す。染み出した可塑剤が多孔質基材に接すると、多孔質基材の毛細管現象により可塑剤の染み出しが加速され、多孔質基材側へ可塑剤がさらに拡散してしまう場合がある。それによりイオン選択膜内の可塑剤が低減し、イオン選択膜内の材料比率が適正な状態を保てなくなり、その結果、検体のイオン濃度に対する応答性、すなわち測定感度が変化してしまい、同じ濃度の検体でも、作用電極側の電位が変わってしまう場合がある。
(【0011】以降は省略されています)
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