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公開番号2024160937
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-15
出願番号2024049552
出願日2024-03-26
発明の名称有機化合物および有機発光素子
出願人キヤノン株式会社,国立大学法人九州大学
代理人個人,個人
主分類C07F 5/02 20060101AFI20241108BHJP(有機化学)
要約【課題】ロールオフ特性、寿命が改善された素子特性を付与する遅延蛍光材料を提供する。
【解決手段】一般式(1-1)または(1-2)で表される有機化合物。
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一般式(1-1)、(1-2)において、Ra1乃至Ra4は、水素原子、アルキル基等からそれぞれ独立に選ばれる。但し、Ra1は、水素原子ではない。Xは、セレン原子またはテルル原子である。Yは、酸素原子等である。D1は、特定の窒素含有基、D2は、水素原子または特定の窒素含有基である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
下記一般式(1-1)または(1-2)で表されることを特徴とする有機化合物。
TIFF
2024160937000076.tif
46
94
一般式(1-1)、(1-2)において、R
a1
乃至R
a4
は、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアミノ基、シリル基、シアノ基から、それぞれ独立に選ばれる。但し、R
a1
は、水素原子ではない。
Xは、セレン原子またはテルル原子である。
Yは、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子、アルキル基またはアリール基を置換基として有する窒素原子から選ばれる。

1
は、下記一般式(2-1)乃至(2-5)のいずれかで表される基である。D
2
は、水素原子または下記一般式(2-1)乃至(2-5)のいずれかで表される基である。下記一般式(2-1)乃至(2-5)において、*は、結合位置を表す。
TIFF
2024160937000077.tif
82
139
一般式(2-1)乃至(2-5)において、R
b1
乃至R
b9
は、重水素原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の含窒素ヘテロアリール基、置換あるいは無置換のアミノ基から、それぞれ独立に選ばれる。
Zは、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子、アルキル基またはアリール基を置換基として有する窒素原子から選ばれる。
Eは、炭素原子、ケイ素原子またはゲルマニウム原子である。
l,m,n,r,sは、各々、0以上4以下の整数である。oは、1以上4以下の整数である。p,qは、各々、0または1である。t,uは、各々、0以上5以下の整数である。
続きを表示(約 3,300 文字)【請求項2】
下記一般式(1-3)で表されることを特徴とする請求項1に記載の有機化合物。
TIFF
2024160937000078.tif
45
43
【請求項3】
前記D
1
は、前記一般式(2-1)乃至(2-4)のいずれかで表される基であり、前記D
2
は、水素原子または前記一般式(2-1)乃至(2-4)のいずれかで表される基であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機化合物。
【請求項4】
前記D
1
は、下記一般式(3-1)乃至(3-4)のいずれかで表される基であり、前記D
2
は、水素原子または下記一般式(3-1)乃至(3-4)のいずれかで表される基であることを特徴とする請求項3に記載の有機化合物。
TIFF
2024160937000079.tif
88
103
一般式(3-1)乃至(3-2)において、R
c1
乃至R
c10
は、水素原子、重水素原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のフェニル基、置換あるいは無置換のカルバゾール基、置換あるいは無置換のジフェニルアミノ基から、それぞれ独立に選ばれる。ただし、R
c8
乃至R
c10
の少なくとも一つは水素原子ではない。
一般式(3-3)乃至(3-4)において、R
c11
は、水素原子、メチル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基から、それぞれ独立に選ばれる。R
c12
は、メチル基、置換あるいは無置換のフェニル基から、それぞれ独立に選ばれる。
【請求項5】
前記一般式(2-1)乃至(2-5)のいずれかで表される基は、下記Da1乃至Dw4で示されるいずれかの基であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機化合物。
TIFF
2024160937000080.tif
215
157
TIFF
2024160937000081.tif
164
157
TIFF
2024160937000082.tif
166
157
【請求項6】
前記一般式(2-1)乃至(2-5)のいずれかで表される基は、前記Db1乃至Dw4で示されるいずれかの基であることを特徴とする請求項5に記載の有機化合物。
【請求項7】
前記一般式(2-1)乃至(2-5)のいずれかで表される基は、前記Df1乃至Dw4で示されるいずれかの基であることを特徴とする請求項6に記載の有機化合物。
【請求項8】
下記第1群乃至第30群に示されるいずれかの有機化合物であることを特徴とする請求項1に記載の有機化合物。
TIFF
2024160937000083.tif
41
149
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2024160937000084.tif
121
157
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2024160937000085.tif
176
157
TIFF
2024160937000086.tif
162
156
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2024160937000087.tif
188
157
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2024160937000088.tif
196
157
TIFF
2024160937000089.tif
166
154
TIFF
2024160937000090.tif
197
155
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2024160937000091.tif
84
157
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2024160937000092.tif
218
157
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2024160937000093.tif
107
157
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2024160937000094.tif
196
157
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2024160937000095.tif
220
157
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2024160937000096.tif
190
157
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2024160937000097.tif
212
157
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2024160937000098.tif
150
157
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2024160937000099.tif
191
157
TIFF
2024160937000100.tif
203
157
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2024160937000101.tif
130
157
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135
157
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191
157
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154
155
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126
157
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2024160937000106.tif
139
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215
157
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2024160937000108.tif
204
157
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2024160937000109.tif
172
157
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2024160937000110.tif
192
157
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2024160937000111.tif
194
157
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2024160937000112.tif
193
157
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2024160937000113.tif
193
157
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2024160937000114.tif
195
157
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2024160937000115.tif
179
157
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2024160937000116.tif
180
157
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2024160937000117.tif
233
157
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2024160937000118.tif
173
157
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2024160937000119.tif
185
157
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2024160937000120.tif
175
157
【請求項9】
前記第1群乃至第20群に示されるいずれかの有機化合物であることを特徴とする請求項8に記載の有機化合物。
【請求項10】
前記第2群乃至第20群に示されるいずれかの有機化合物であることを特徴とする請求項9に記載の有機化合物。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、有機化合物およびそれを用いた有機発光素子に関する。
続きを表示(約 3,000 文字)【背景技術】
【0002】
有機発光素子(以下、「有機エレクトロルミネッセンス素子」あるいは「有機EL素子」と呼ぶことがある)は、第一電極と第二電極とこれら電極間に配置される有機化合物層とを有する電子素子である。これら一対の電極から電子および正孔を注入することにより、有機化合物層中の発光性有機化合物の励起子を生成し、該励起子が基底状態に戻る際に、有機EL素子は光を放出する。
遅延蛍光材料は、一般にドナー部位とアクセプター部位が結合した構造をとる(以下「ドナー・アクセプター型」と呼ぶ)。ドナー・アクセプター型遅延蛍光材料は、励起状態において、励起三重項状態から励起一重項状態への逆項間交差を生じた後、その励起一重項状態から基底状態へ戻る際に蛍光を放射する材料である。すなわち、遅延蛍光材料では、励起一重項状態のみならず、励起三重項状態も逆項間交差を介した経路により蛍光発光に利用することができるため、通常の蛍光材料に比べて高い発光効率が得られることになる。
このような原理が明らかにされて以降、様々な研究により種々の遅延蛍光材料が発見されるに至っている。ドナー・アクセプター型遅延蛍光材料として、特許文献1には化合物Aが、特許文献2には化合物Bが開示されている。またドナー・アクセプター型遅延蛍光材料に重原子を導入することで逆項間交差速度を速くすることは公知であり(非特許文献1)、さらに非特許文献2には多重共鳴効果を示す化合物にカルコゲン系重原子を導入した遅延蛍光材料が開示されている。
【0003】
TIFF
2024160937000001.tif
57
105
一方、有機EL素子の製造方法としては、主に真空系で成膜が行われる蒸着プロセスが広く知られているが、一般に発光層はホスト材料に発光材料を分散して形成されており、多元系蒸着プロセスのため煩雑で高コスト化につながる。そこで、発光材料のみで発光層を形成する非ドープ型の有機EL発光層も提案されているが、発光材料は高濃度では発光強度が弱くなる(以下、「濃度消光」と呼ぶ)ことは公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
国際公開第2022/009883号
国際公開第2015/072537号
【非特許文献】
【0005】
Nat Commun 11,3909(2020).s41467
Angew.Chem.Int.Ed.61(2022).e202205684
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
遅延蛍光を放射する材料であれば、直ちに発光材料として有用である訳ではない。遅延蛍光材料の中には、高電流密度領域で励起子が蓄積して発光効率が低下(以下、「ロールオフ」と呼ぶ)してしまったり、素子を長時間駆動すると急速に劣化(以下「素子寿命の低下」と呼ぶことがある)してしまったりするものもある。したがって、実用性の点で改善の余地がある遅延蛍光材料が極めて多いのが実情である。
特許文献1に記載された化合物Aや特許文献2に記載された化合物Bは、前述のようなドナー・アクセプター型遅延蛍光材料の問題点を踏襲しており、ロールオフを抑制した長寿命素子の実現には、改善の余地がある。また、化合物Aは、濃度消光も顕著であり、非ドープ型の有機EL発光層の実現には問題がある。非特許文献1に開示されている重原子を導入し逆項間交差速度を速くしたドナー・アクセプター型遅延蛍光材料は、逆項間交差速度が速くなるものの、重原子として臭素を用いたため発光効率が低かった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、ロールオフ特性および寿命が改善された素子特性を付与する遅延蛍光材料を提供することにある。また本発明の別の目的は、濃度消光を抑制した非ドープ型素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る有機化合物は、下記一般式(1-1)または(1-2)で表されることを特徴とする。
【0008】
TIFF
2024160937000002.tif
46
94
一般式(1-1)、(1-2)において、R
a1
乃至R
a4
は、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアミノ基、シリル基、シアノ基から、それぞれ独立に選ばれる。但し、R
a1
は、水素原子ではない。
Xは、セレン原子またはテルル原子である。
Yは、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子、アルキル基またはアリール基を置換基として有する窒素原子から選ばれる。

1
は、下記一般式(2-1)乃至(2-5)のいずれかで表される基である。D
2
は、水素原子または下記一般式(2-1)乃至(2-5)のいずれかで表される基である。下記一般式(2-1)乃至(2-5)において、*は、結合位置を表す。
【0009】
TIFF
2024160937000003.tif
82
139
一般式(2-1)乃至(2-5)において、R
b1
乃至R
b9
は、重水素原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の含窒素ヘテロアリール基、置換あるいは無置換のアミノ基から、それぞれ独立に選ばれる。
Zは、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子、アルキル基またはアリール基を置換基として有する窒素原子から選ばれる。
Eは、炭素原子、ケイ素原子またはゲルマニウム原子である。
l,m,n,r,sは、各々、0以上4以下の整数である。oは、1以上4以下の整数である。p,qは、各々、0または1である。t,uは、各々、0以上5以下の整数である。
【0010】
本発明に係る他の有機化合物は、下記式(a)、下記式(b)及び下記式(c)を満たし、下記一般式(1-1)、(1-2)、(4)乃至(7)のいずれかで表されることを特徴とする。

r
>5×10
5

-1
・・・(a)

RISC
/k
r
>0.2 ・・・(b)

RISC
/k
ISC
>0.001 ・・・(c)

r
:励起一重項から基底状態への速度定数

RISC
:励起一重項と三重項との間の逆項間交差速度定数

ISC
:励起一重項と三重項との間の項間交差速度定数
(【0011】以降は省略されています)

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