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公開番号2025076145
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-15
出願番号2023187916
出願日2023-11-01
発明の名称液体吐出ヘッド
出願人キヤノン株式会社
代理人個人,個人
主分類B41J 2/14 20060101AFI20250508BHJP(印刷;線画機;タイプライター;スタンプ)
要約【課題】ワイプ等の応力に対しても最表面層の撥水性を保ちつつ、樹脂中のインク浸透を抑制できるような液体吐出ヘッドを提供すること。
【解決手段】基板1と基板1上に液体を吐出する吐出口2が形成された部材3を備える液体吐出ヘッド10であって、前記部材3は、多層構造の撥水層から形成され、前記撥水層は、その最表層に水の接触角が80°以上であり、第一の撥水樹脂13中に無機微粒子14が分散された第一の撥水樹脂組成物18の硬化物から形成された第一の撥水層11を有し、前記第一の撥水層11の直下に、曲げ弾性率が3~7GPaである又は硬度が0.18~0.30GPaである、第二の撥水樹脂15を含む第二の撥水樹脂組成物19の硬化物から形成された第二の撥水層12を有していることを特徴とする。
【選択図】図1(A)
特許請求の範囲【請求項1】
基板と基板上に液体を吐出する吐出口が形成された部材を備える液体吐出ヘッドであって、
前記部材は、多層構造の撥水層から形成され、
前記撥水層は、その最表層に水の接触角が80°以上であり、第一の撥水樹脂中に無機微粒子が分散された第一の撥水樹脂組成物の硬化物から形成された第一の撥水層を有し、
前記第一の撥水層の直下に、曲げ弾性率が3~7GPaである又は硬度が0.18~0.30GPaであり、第二の撥水樹脂を含む第二の撥水樹脂組成物の硬化物から形成された第二の撥水層を有していることを特徴とする液体吐出ヘッド。
続きを表示(約 530 文字)【請求項2】
前記第二の撥水樹脂のうち一種類以上が、エポキシ基を有する分子を含む樹脂である請求項1記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記第二の撥水層と前記基板との間に、エポキシ基を有する分子を含む樹脂から形成される下層樹脂層を有する請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記無機微粒子は、平均粒径が異なる2種類の微粒子から構成され、一方の微粒子の平均粒径が、他方の微粒子の平均粒径の1.5倍以上である請求項1記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記第二の撥水層の膜厚が1~4μmである請求項1記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記のエポキシ基を有する分子を含む樹脂のエポキシ当量が600以下である請求項2記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記無機微粒子の合計の質量が、第一の撥水樹脂の質量の120~250%である請求項1記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
請求項3記載の液体吐出ヘッドの製造方法であって、
前記下層樹脂層上に、前記第二の撥水樹脂を含む第二の撥水樹脂組成物を積層後、加熱する工程を含む、液体吐出ヘッドの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出ヘッドに関し、詳細には、耐インク性と耐摩耗性(撥水安定性)を両立する撥水材構造を有する液体吐出ヘッドに関する。
続きを表示(約 3,500 文字)【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタに代表される液体吐出装置は、液体吐出ヘッドを有する。液体吐出ヘッドには吐出口が設けられており、この吐出口から液体を吐出する。このような液体吐出ヘッドでは、吐出口が開口する面である吐出口面に多量の液体が付着していると、液体の吐出に影響を与えることがある。この為、吐出口面を撥水処理し、吐出口面に液体が付着しにくい手段を講ずることが必要である。そのような中で、これまでに、液体吐出ヘッドの最表面に凹凸構造を持たせることにより撥水性を付与する技術が確立されてきた。例えば、特許文献1には、表面の凹凸を微粒子の埋没と除去をこの順で行うことによって窪みを形成させることで、ワイプ等の外力によって表面構造が崩れにくい液体吐出ヘッドが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2017―154322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、液体吐出ヘッドの最表面に凹凸構造を持たせることで、ワイプ等の応力に対し、液体吐出ヘッドの最表面の撥水性を維持させることが可能となった。しかし、液体吐出ヘッドは長時間インク中の溶剤に接触している状態であり、経時的にインク中の溶剤が部材中を浸透し、部材が膨潤するため、流路形成層と撥水性を有する最表層の間が剥がれてしまうことが課題となっていた。
したがって、本発明の目的は、ワイプ等の応力に対しても最表面の撥水性を保ちつつ、樹脂中のインク浸透を抑制できる液体吐出ヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、基板と基板上に液体を吐出する吐出口が形成された部材とを備える液体吐出ヘッドであって、
前記部材は、多層構造の撥水層から形成され、
前記撥水層は、その最表層に水の接触角が80°以上であり、第一の撥水樹脂中に無機微粒子が分散された第一の撥水樹脂組成物の硬化物から形成された第一の撥水層を有し、
前記第一の撥水層の直下に、曲げ弾性率が3~7GPaである又は硬度が0.18~0.30GPaである、第二の撥水樹脂を含む第二の撥水樹脂組成物の硬化物から形成された第二の撥水層を有していることを特徴とする液体吐出ヘッドに関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ワイプ等の応力に対しても最表面の撥水性を保ちつつ、樹脂中のインク浸透を抑制できる液体吐出ヘッドを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1(A)本発明に係る液体吐出ヘッドにおける吐出口が形成された部材の積層構造を示す模式的断面図であり、最表面に応力が付加されていない通常の状態を示す。
図1(B)は、図1(A)に示す積層構造において、最表面に応力が付加された積層構造の状態を示す模式的断面図である。
(A)は、本発明の一実施形態に係る液体吐出ヘッドの構成を示す模式的斜視図である。(B)は、(A)のA-A’線における模式的断面図である。
図3は、本発明の液体吐出ヘッドの製造工程の一実施形態を示す模式的断面図である。
図4(A)は、第二の撥水樹脂組成物調製後の加熱時間と弾性率との関係性を示すグラフである。
図4(B)は、第二の撥水樹脂組成物調製後の加熱時間と表面の硬度の関係性を示すグラフである。
図5は、シェア強度の測定方法を示す模式図である。
図6は、第二の撥水層の曲げ弾性率と、第二の撥水層と下層樹脂層間との密着性の関係を示すグラフである。
図7は、第二の撥水層及び下層樹脂層の組成と第二の撥水層と下層樹脂層間との密着性の関係を示すグラフである。
図8は、第二の撥水層を構成する樹脂のエポキシ当量と第二の撥水層と下層樹脂層間との密着性の関係を示すグラフである。
図9は、第二の撥水層の膜厚と第二の撥水層と下層樹脂層間との密着性の関係を示すグラフである。
図10は、第二の撥水層の曲げ弾性率と第一の撥水層の最表面の水の接触角の関係を示すグラフである。
図11(A)は、第一の撥水層中の無機微粒子種と第一の撥水層の最表面の水の接触角の関係を示すグラフである。
図11(B)は、第一の撥水層中における2種類の無機微粒子の分散状態を示す模式断面図である。
図12は、第二の撥水層の曲げ弾性率と第一の撥水層の最表面の表面粗さRaの関係を示すグラフである。
図13は、第一の撥水層中の無機微粒子種と第一の撥水層の最表面の表面粗さRaの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について詳述する。以下の説明では、一例として、本発明に係る液体吐出ヘッド及びその製造方法について適用した場合について説明するが、本発明の液体吐出ヘッド及びその製造方法はこれに限定されるものではない。また、以下の説明では、同一の機能を有する構成には図面中に同一の番号を付し、その説明を省略する場合がある。
また、本発明において、数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX~YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
【0009】
本発明の液体吐出ヘッドは、基板と基板上に液体を吐出する吐出口が形成された部材とを備える液体吐出ヘッドにおいて、前記部材として、特定の構成を有する積層構造を採用することを特徴とする。
以下、本発明の特徴である、特定の積層構造を有する部材について説明する。図1は、本発明に係る液体吐出ヘッドの特徴部分である吐出口が形成された部材3の積層構造を示す模式的断面図であり、図1(A)は、部材3の最表面に応力が付加されない通常の状態を示し、図1(B)は、部材の最表面に外力が付加された状態を示す。なお、図1では、層構造を説明する都合上、3つの層以外の他の部材の記載は省略している。
図1に示す部材3は、基板1上に形成され、最表面側から、第一の撥水層11、第二の撥水層12及び必要に応じて設けられる下層樹脂層13が順に積層された多層構造を有する。第一の撥水層11は、水の接触角が80°以上であり、第一の撥水樹脂13中に無機微粒子14が分散された第一の撥水樹脂組成物18の硬化物から形成される。第二の撥水層12は、第一の撥水層11の直下に形成され、曲げ弾性率が3~7GPaである又は硬度が0.18~0.30GPaである、第二の撥水樹脂15を含む第二の撥水樹脂組成物19の硬化物から形成される。
【0010】
本発明では、液体を吐出する吐出口2が形成された部材3を、多層構造の撥水層で形成し、撥水層の最表面に存在する層(第一の撥水層11)中に無機微粒子14を分散させる。そして、前記層の直下の層を、適度な硬さ(弾性率)を有する層(第二の撥水層12)とする構造に設計することにより、耐インク性と耐摩耗性を両立する液体吐出ヘッドを構築することができる。
図1(A)に示すように、最表層に設けられた第一の撥水層11では、層中に分散された無機微粒子14に由来する凹凸構造によって高い撥水性が発現される。また図1(B)に示すように、第一の撥水層11の表面に応力がかかった場合でも、第一の撥水層11の直下に、適度な硬さ(弾性率)を有する第二の撥水層12を設けることにより、第一の撥水層11の表面の撥水性の低下が抑えられる。撥水性低下の抑制は、以下の理由によると考えられる。
第二の撥水層12は、適度な柔軟性によって、第一の撥水層11中に含まれる無機微粒子14のうち一部が第二の撥水層12中に取り込まれる。これにより無機微粒子14の配列が崩れることなく表面形状が維持されるため、表面の撥水性の低下が抑えられる。
さらに、インク等の液体中の溶剤と接触した際にも、第二の撥水層12が適度な硬さを有することにより、液体中の溶剤の浸透や、それに伴う材料の膨潤による密着性の低下を抑制することができる。
以下、各層について具体的に説明する。
(【0011】以降は省略されています)

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