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公開番号2024160875
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-15
出願番号2023076365
出願日2023-05-02
発明の名称特定波長域の光に応答して可逆的に下限臨界溶液温度(LCST)がシフトする共重合体およびその製造方法
出願人学校法人 関西大学
代理人個人,個人
主分類C08F 220/10 20060101AFI20241108BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】本発明の課題は、細胞に対して毒性の高い抗がん剤を使用しないこと、がん細胞に選択的に取り込まれること、および正常細胞に対して悪影響が少なく時間的および空間的に制御可能な外部刺激によってがん細胞を死滅させることのすべての条件を満たす共重合体を提供することである。
【解決手段】本発明に係る共重合体は、特定波長域の光に応答して可逆的に疎水化あるいは親水化する光応答基を有する第1のモノマー由来成分と、がん細胞表面に発現している糖鎖と選択的に結合する官能基を有する第2のモノマー由来成分と、温度に応答して可逆的に疎水化あるいは親水化する温度応答基を有する第3のモノマー由来成分と、を含む。また、本発明に係る共重合体は、特定波長域の光に応答して可逆的に下限臨界溶液温度(LCST)がシフトする。
【選択図】図2


特許請求の範囲【請求項1】
特定波長域の光に応答して可逆的に疎水化あるいは親水化する光応答基を有する第1のモノマー由来成分と、
がん細胞表面に発現している糖鎖と選択的に結合する官能基を有する第2のモノマー由来成分と、
温度に応答して可逆的に疎水化あるいは親水化する温度応答基を有する第3のモノマー由来成分と、
を含み、
特定波長域の光に応答して可逆的に下限臨界溶液温度(LCST)がシフトする
共重合体。
続きを表示(約 520 文字)【請求項2】
紫外光照射時における前記共重合体の前記下限臨界溶液温度(LCST)が40℃以上100℃以下の範囲内であり、
可視光照射時における前記共重合体の前記下限臨界溶液温度(LCST)が0℃以上37℃以下の範囲内である、請求項1に記載の共重合体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の共重合体を有効成分とする、がん治療剤。
【請求項4】
特定波長域の光に応答して可逆的に疎水化あるいは親水化する光応答基を有する第1のモノマーと、がん細胞表面に発現している糖鎖と選択的に結合する官能基を有する第2のモノマーと、温度に応答して可逆的に疎水化あるいは親水化する温度応答基を有する第3のモノマーとを共重合させる、共重合体の製造方法。
【請求項5】
紫外線照射時における前記共重合体の前記下限臨界溶液温度(LCST)が40℃以上100℃以下の範囲内であり、可視光照射時における前記共重合体の前記下限臨界溶液温度(LCST)が0℃以上37℃以下の範囲内となるように、前記第1のモノマー、前記第2のモノマー、および前記第3のモノマーを共重合させる、請求項4に記載の共重合体の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、特定波長域の光に応答して可逆的に下限臨界溶液温度(LCST)がシフトする共重合体に関する。また、本発明は、そのような共重合体の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
近年、がんに罹患する人、あるいは、がんにより死亡する人は世界的に増加している(非特許文献1参照)。そのため、今日では、がんの治療法として外科療法、放射線療法、化学療法などの様々な治療法が確立されている。その中でも、化学療法は、全身に対して抗がん剤の効果が期待できること、および、複数の抗がん剤を併用することができることなどの理由から、がんを罹患した多くの人に利用されている治療法である。しかし、化学療法は、内服や注射などにより抗がん剤を全身に滞留させるため、がん細胞のみならず正常細胞にまで影響を及ぼす場合がある。その結果、化学療法は、がん治療中の人に対して、脱毛、吐き気、臓器障害など重篤な副作用を引き起こすことがある。
【0003】
このような抗がん剤の副作用を低減させる手法を確立させるために、数多くの研究がなされている。例えば、正常細胞周辺とがん細胞周辺の温度やpHの違いを認識し、がん細胞周辺にのみ薬物を放出する薬物キャリアなどがその代表例である(非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
Ahmedin, J. et al. CA CANCER J CLIN, 2018, 68, 394.
Yatvin MB, et al. Science. 1978, 202, 1290.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の手法では、薬物キャリア内に正常細胞に対しても毒性の高い抗がん剤が含有されている。また、温度やpHの変化により薬物キャリアの崩壊が起こると、薬物キャリア内の抗がん剤が一度に全て放出されてしまう。そうすると、体内における抗がん剤濃度が急激に上昇するため、正常細胞にも少なからず影響を及ぼすことが懸念される。また、上記の手法では、薬物キャリアを崩壊させるための外部刺激として温度変化やpH変化を利用しているため、特定の部位のみに刺激を与えることは困難な場合がある。
【0006】
本発明の課題は、細胞に対して毒性の高い抗がん剤を使用しないこと、がん細胞に選択的に取り込まれること、および正常細胞に対して悪影響が少なく時間的および空間的に制御可能な外部刺激によってがん細胞を死滅させることのすべての条件を満たす共重合体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一局面に係る共重合体は、特定波長域の光に応答して可逆的に疎水化あるいは親水化する光応答基を有する第1のモノマー由来成分と、がん細胞表面に発現している糖鎖と選択的に結合する官能基を有する第2のモノマー由来成分と、温度に応答して可逆的に疎水化あるいは親水化する温度応答基を有する第3のモノマー由来成分と、を含む。また、本発明の第一局面に係る共重合体は、特定波長域の光に応答して可逆的に下限臨界溶液温度(LCST:Lower Critical Solution Temperature)がシフトする。なお、以下、説明の便宜上、このような共重合体を「 LCST光シフト共重合体」と称することがある。
【0008】
上記構成の共重合体は、第1のモノマー由来成分および第3のモノマー由来成分を含有していることにより、第1特定波長域の光が照射されるとLCSTが低温側にシフトし、第2特定波長域の光が照射されるとLCSTが高温側にシフトする。このため、例えば、この共重合体の低温側のLCSTを体温以下、共重合体の高温側のLCSTを体温以上に設定すると、特定波長域の光を選択的に照射することによって、体内において共重合体を沈殿させたり再溶解させたりすることができる。また、上記構成の共重合体は、第2のモノマー由来成分を含有していることにより、がん細胞に選択的に取り込まれる。
【0009】
本発明の第二局面に係る共重合体は、第一局面に係る共重合体であって、紫外光照射時におけるLCSTが40℃以上100℃以下の範囲内であり、可視光照射時におけるLCSTが0℃以上37℃以下の範囲内である。
【0010】
本願発明者らの鋭意検討の結果、上記構成の共重合体の紫外光照射時のLCSTは40℃以上100℃以下の範囲内となる。また、上記構成の共重合体の可視光照射時のLCSTは0℃以上37℃以下の範囲内となる。また、本願発明者らの鋭意検討の結果、体内の温度と近い温度である37℃の環境下において、予め紫外光を照射してLCSTを高温側にシフトさせた上記構成の共重合体を正常細胞およびがん細胞に接触させると、同共重合体ががん細胞に選択的に取り込まれることを確認した。また、同共重合体を取り込んだがん細胞に対して可視光を照射すると、同共重合体のLCSTが低温側にシフトし、同共重合体ががん細胞内で沈殿することが示唆された。その結果、同共重合体が、がん細胞内で異物として存在することにより、がん細胞の死滅を誘導することが示唆された。以上のことにより、上記構成の共重合体は、がん細胞のみを選択的に死滅させることができることが示唆された。
(【0011】以降は省略されています)

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