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公開番号2024160866
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-15
出願番号2023076338
出願日2023-05-02
発明の名称二糖類およびセルラーゼ剤の製造方法
出願人関西化学機械製作株式会社,Bio-energy株式会社
代理人個人
主分類C12P 19/12 20060101AFI20241108BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】 希少な糖であるグルコース2分子が脱水縮合した糖の、従来の方法よりもコストや時間の観点から優れている、新たな製造方法を提供すること。
【解決手段】 本発明のグルコース2分子が脱水縮合した糖の製造方法は、グルコースと、β-グルコシダーゼ表層提示微生物とを接触させることを含む。本発明によれば、効率的にセルラーゼ等の誘導効果を有するグルコース2分子が脱水縮合した糖を製造することが可能となる。また、二糖類を用いることで、最終的にセルロース等を含む産業廃棄物などから糖化発酵産物を製造することも可能である。
【選択図】 なし
特許請求の範囲【請求項1】
グルコースと、β-グルコシダーゼ表層提示微生物とを接触させることを含む、グルコース2分子が脱水縮合した糖の製造方法。
続きを表示(約 630 文字)【請求項2】
該接触が、グルコースを含む培地中で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記グルコース2分子が脱水縮合した糖が、ゲンチオビオース、セロビオース、ソホロース、ラミナリビオースからなる群から選択される糖を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記グルコース2分子が脱水縮合した糖が、ゲンチオビオース、ソホロースおよびラミナリビオースを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記β-グルコシダーゼ表層提示微生物が、β-グルコシダーゼ表層提示酵母である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記β-グルコシダーゼ表層提示酵母が、サッカロマイセス属である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記β-グルコシダーゼがアスペルギルス属菌に由来する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1~7に記載の方法により得られたグルコース2分子が脱水縮合した糖を含む培地で、糸状菌を培養することを含む、セルラーゼ剤の製造方法
【請求項9】
前記糸状菌がトリコデルマ属菌である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記トリコデルマ属菌が、トリコデルマ・リーセイである、請求項9に記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、グルコース2分子が脱水縮合した糖(例:ソホロース、ゲンチオビオース、ラミナリビオース等)の製造方法、および該二糖類を用いたセルラーゼ剤の製造方法、ならびに該セルラーゼ剤を用いた糖化発酵産物の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
近年、セルロース系バイオマスの糖化が、燃料エタノールの生産等の観点から注目されており、該糖化のために、セルラーゼ等の酵素が大量に必要となる。セルラーゼ等の生産菌としては、例えば、トリコデルマ(Trichoderma)属糸状菌が知られているが、該菌は、セルロースやバイオマス前処理物等の固形分を酵素生産の原料として用いている。
【0003】
しかしながら固形分を酵素生産の原料とする場合、残存固形分への吸着による生産酵素の回収率低下や、誘導物質の比率の変化に起因する酵素生産性の低下が懸念される。このような背景から、可溶性炭素源を原料とした培養によるセルラーゼの生産に関する種々の取り組みがなされている。
【0004】
上記可溶性炭素源としては、ラクトースのほか、セロビオース、ソホロース、ゲンチオビオース等のβ結合を有する二糖類が使用し得る。しかしながら、ソホロース、ゲンチオビオース、ラミナリビオースといったグルコース2分子が脱水縮合した糖は自然界では希少な糖であり、定量分析は可能であるものの大量に入手することが難しい。そのため、大量に入手することができるグルコース等を原料に縮合反応を利用して合成する方法が研究されている(非特許文献1)。また、該反応を触媒するβ-グルコシダーゼの改良も多大な労力をかけて研究されている(非特許文献2)。
【0005】
しかしながら、上述したような方法等によりソホロース、ゲンチオビオース、ラミナリビオース等の可溶性炭素源を製造した場合、そのコストは高額なものとなり、ひいてはセルラーゼの価格自体にも多大な影響を及ぼすこととなる。また、ソホロース、ゲンチオビオース、ラミナリビオース等を一旦製造した上で、新たにセルラーゼの製造を行う必要もあり、所望するセルラーゼを取得するまでに多くの時間が必要となることも否めない。そのため、これらの問題点を解消し得るようなソホロース、ゲンチオビオース、ラミナリビオース等のグルコース2分子が脱水縮合した糖の新たな製造方法の確立が切望されていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
Margarita V. Semenovaら, Open Glycoscience, 2009, 2: 20-24
K. Niuら, Bioresour. Bioprocess. (2020) 7:45
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の課題は、希少な糖であるグルコース2分子が脱水縮合した糖(例:ソホロース、ゲンチオビオース、ラミナリビオース等)の、従来の方法よりもコストや時間の観点から優れている、新たな製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、以前の研究において、セルラーゼで処理したセルロース材料を含有する培地を用いて、β-グルコシダーゼ表層提示微生物を培養する工程を含む、β-グルコシダーゼ表層提示微生物の培養方法等を確立している(国際公開第2020/004473号)。そのため、本発明者らは、まず、該β-グルコシダーゼ表層提示微生物を、所望するグルコース2分子が脱水縮合した糖(例:ソホロース、ゲンチオビオース、ラミナリビオース等)の生成に用いることができないかを検討した。この検討において、本発明者らは、β-グルコシダーゼの酵素反応に着目し、グルコースとβ-グルコシダーゼ表層提示微生物とを接触させることで、所望するソホロース、ゲンチオビオース、ラミナリビオース等の二糖類を取得し得るのではないかと着想した。
【0009】
該着想に基づいて、鋭意検討を行ったところ、実際にグルコースとβ-グルコシダーゼ表層提示微生物とを接触させることで、所望する二糖類を取得し得ることを見出した。また、特定の濃度以上のグルコースを含む培地中で、該接触を行った場合、さらに所望する二糖類の収率がよいことも見出した。上記二糖類はセルラーゼ等の誘導について優れた効果を有するため、該二糖類を用いてセルラーゼ等を誘導し、該誘導により得られたものを用いることで、最終的に糖化発酵産物を従来よりもコストや時間の観点から優れた態様にて取得し得ることも見出した。該知見をもとに、さらに研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は以下の通りのものである。
[1]グルコースと、β-グルコシダーゼ表層提示微生物とを接触させることを含む、グルコース2分子が脱水縮合した糖の製造方法。
[2]該接触が、グルコースを含む培地中で行われる、[1]に記載の方法。
[3]前記グルコース2分子が脱水縮合した糖が、ゲンチオビオース、セロビオース、ソホロース、ラミナリビオースからなる群から選択される糖を含む、[1]または[2]に記載の方法。
[4]前記グルコース2分子が脱水縮合した糖が、ゲンチオビオース、ソホロースおよびラミナリビオースを含む、[1]~[3]のいずれか一項に記載の方法。
[5]前記β-グルコシダーゼ表層提示微生物が、β-グルコシダーゼ表層提示酵母である、[1]~[4]のいずれか一項に記載の方法。
[6]前記β-グルコシダーゼ表層提示酵母が、サッカロマイセス属である、[5]に記載の方法。
[7]前記β-グルコシダーゼがアスペルギルス属菌に由来する、[1]~[6]のいずれか一項に記載の方法。
[8][1]~[7]に記載の方法により得られたグルコース2分子が脱水縮合した糖を含む培地で、糸状菌を培養することを含む、セルラーゼ剤の製造方法
[9]前記糸状菌がトリコデルマ属菌である、[8]に記載の方法。
[10]前記トリコデルマ属菌が、トリコデルマ・リーセイである、[9]に記載の方法。
[11][8]~[10]に記載の方法により得られたセルラーゼ剤とセルロースとを含む培地で、β-グルコシダーゼ表層提示微生物を培養することを含む、糖化発酵産物の製造方法。
[12]前記糖化発酵産物が、エタノールである、[11]に記載の方法。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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