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公開番号
2024158968
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-08
出願番号
2023074648
出願日
2023-04-28
発明の名称
熱分解装置および再生(メタ)アクリル酸エステルの製造方法
出願人
住友化学株式会社
代理人
弁理士法人酒井国際特許事務所
主分類
C08J
11/12 20060101AFI20241031BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約
【課題】発火爆発を防止する。
【解決手段】(メタ)アクリル系重合体組成物を成形した成形体のスクラップを熱分解してガス化する熱分解部10を備える熱分解装置1であって、熱分解部は、スクラップを投入するための投入部12と、熱分解されたガスを抜き出すためのガス抜き出し部14とを有しており、ガス抜き出し部に連結管20により接続されており、ガス抜き出し部から導出されたガスを精製するための精製器、およびガスを冷却するための冷却器からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むガス処理部30とを含み、連結管は、フランジ接続部またはねじ込み接続部である少なくとも1つの接続部22を有しており、連結管は、接続部から離間して接続部を囲むカバー部材42であって、連結管を貫通させ、かつ連結管と該カバー部材とを離間させる間隙部が設けられている接続部カバー40を備えており、カバー部材には、接続部カバー内に不活性ガスを供給するための不活性ガス供給口が設けられている。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
(メタ)アクリル系重合体を含む(メタ)アクリル系重合体組成物を成形した成形体のスクラップを熱分解してガス化する熱分解部を備える熱分解装置であって、
前記熱分解部は、前記スクラップを投入するための投入部と、熱分解されたガスを抜き出すためのガス抜き出し部とを有しており、
前記ガス抜き出し部に連結管により接続されており、前記ガス抜き出し部から導出された前記ガスを精製するための精製器、および前記ガスを冷却するための冷却器からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むガス処理部とを含み、
前記連結管は、少なくとも1つの接続部を有しており、
前記連結管は、前記接続部から離間して前記接続部を囲むカバー部材であって、前記連結管を貫通させ、かつ前記連結管と該カバー部材とを離間させる間隙部が設けられている接続部カバーを備えており、
前記カバー部材には、前記接続部カバー内に不活性ガスを供給するための不活性ガス供給口が設けられている、熱分解装置。
続きを表示(約 1,200 文字)
【請求項2】
前記接続部カバーは、前記カバー部材と、該カバー部材と前記連結管の表面とに接触して、該カバー部材と前記連結管との間隙であって、前記連結管を貫通させるための間隙を封止して気密の閉空間を画成することができる封止部材をさらに含む、請求項1に記載の熱分解装置。
【請求項3】
前記カバー部材に、前記閉空間に充満している気体を導出するための気体排出口がさらに設けられている、請求項2に記載の熱分解装置。
【請求項4】
前記接続部カバーが、前記気体排出口に接続されている気体処理部をさらに含む、請求項3に記載の熱分解装置。
【請求項5】
前記接続部カバーが、前記閉空間内の気体に接触して前記接続部から漏出した有害ガスを検知することができる有害ガス検知部をさらに含み、
前記有害ガス検知部が、前記接続部カバー内に設けられているか、または前記気体排出口に接続されている、請求項3に記載の熱分解装置。
【請求項6】
前記連結管が、前記有害ガス検知部が前記接続部からの有害ガスの漏出を検知した場合に前記連結管内におけるガスの流通を調節することができるガス流通調節部をさらに含む、請求項5に記載の熱分解装置。
【請求項7】
前記カバー部材が、耐熱温度が450℃以上である材料を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の熱分解装置。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか1項に記載の熱分解装置を用いる再生(メタ)アクリル酸エステルの製造方法において、
前記熱分解部の前記投入部にスクラップを投入して、該スクラップを熱分解する熱分解工程と、
前記熱分解部における熱分解により生じたガスを前記ガス抜き出し部から抜き出して前記連結管により導出するにあたり、前記接続部を囲むカバー部材内に、前記不活性ガス供給口から不活性ガスを供給しつつ前記ガスを導出する導出工程と、
前記連結管に導出された前記ガスを前記ガス処理部に導入して処理するガス処理工程と
を含む、再生(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
【請求項9】
前記接続部カバーは、前記カバー部材と前記連結管の表面とに接触して該カバー部材と前記連結管との間隙であって、前記連結管を貫通させるための間隙を封止する封止部材をさらに含み、
前記導出工程が、前記接続部を囲む前記カバー部材と封止部材とで画成された気密の閉空間内に、前記不活性ガス供給口から不活性ガスを供給しつつ前記ガスを導出する工程である、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記カバー部材には、前記閉空間に充満している気体を導出するための気体排出口がさらに設けられており、
前記導出工程が、前記接続部カバーの前記不活性ガス供給口から不活性ガスを供給し、該不活性ガスを含む気体を前記気体排出口から排出させつつ行われる工程である、請求項9に記載の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、(メタ)アクリル酸エステルを再生するための熱分解装置および再生(メタ)アクリル酸エステルの製造方法に関する。
続きを表示(約 3,700 文字)
【背景技術】
【0002】
(メタ)アクリル酸エステルである(メタ)アクリル酸メチル(MMA)を重合した重合体であるポリ(メタ)アクリル酸メチル(PMMA)は、透明性に優れており、さらには耐候性にも優れている。よって、ポリ(メタ)アクリル酸メチルは、自動車用部品、看板標識、表示装置等を構成する部材の材料として、広く用いられている。
【0003】
そして、近年の資源価格の高騰、さらには環境問題に対する意識の高まりに伴って、上記のとおりの種々の用途に用いられたポリ(メタ)アクリル酸メチルを含む製品(成形体)は回収されてリサイクル(再資源化)が図られている。
【0004】
ポリ(メタ)アクリル酸メチルのリサイクルの方法としては、例えば、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、およびサーマルリサイクルが挙げられる。マテリアルリサイクルは、回収された成形体に対し、再度、成形工程を実施して新たな成形体を製造する方法である。ケミカルリサイクルは、回収された成形体を熱処理して、ポリ(メタ)アクリル酸メチルを熱分解(解重合)することにより(メタ)アクリル酸メチルを回収し、回収された(メタ)アクリル酸メチル(再生MMAという場合がある。)を用いて新たな成形体を製造する方法である。サーマルリサイクルは、回収された成形体を燃料として燃焼させ、燃焼エネルギーを直接的に熱源として、さらには燃焼エネルギーを用いて発電して利用する方法である。
【0005】
ポリ(メタ)アクリル酸メチルは、300℃程度の比較的低い温度で加熱することによって、(メタ)アクリル酸メチルを高収率で回収することができ、不純物の低減が可能であるため、ケミカルリサイクルによりリサイクルされることが好ましい。
【0006】
ケミカルリサイクルにおいて、例えば、密閉されたシリンダを有する2軸押出機にアクリル樹脂のスクラップを供給し、400~600℃に加熱して熱分解し、2軸押出機の先端部から吐出される分解ガスを残渣タンクを介してクーラーの負圧効果と真空ポンプによって吸引し、クーラーで分解ガスを凝縮して液状モノマーとする態様が知られている(特許文献1参照。)。また、合成高分子材料をシリンダに供給して、シリンダ内で連続的に加熱することにより得られた低分子量の気体状熱分解物を導出して濃縮する熱処理方法が知られている(特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開平11-106427号公報
米国特許第3959357号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のようなケミカルリサイクルにおいては、熱分解後にシリンダ外に導出された熱分解により生じたガスをシリンダに連結された連結管により外部に導出する際に連結管から熱分解により生じたガス(有害ガス)が漏出してしまうことが考えられる。特に当該連結管が1以上の例えばフランジ接続部またはねじ込み接続部といった接続部により接続される構成である場合には、この接続部から有害ガスが漏出してしまうおそれがある。ここで、接続部から漏出した有害ガスは、通常、可燃性であるため、場合によっては漏出した有害ガスが発火爆発してしまうおそれもある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を進めたところ、熱分解されて生成したガスを熱分解部から導出する場合に用いられる連結管が所定の構成を備えることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、下記〔1〕~〔13〕を提供する。
〔1〕 (メタ)アクリル系重合体を含む(メタ)アクリル系重合体組成物を成形した成形体のスクラップを熱分解してガス化する熱分解部を備える熱分解装置であって、
前記熱分解部は、前記スクラップを投入するための投入部と、熱分解されたガスを抜き出すためのガス抜き出し部とを有しており、
前記ガス抜き出し部に連結管により接続されており、前記ガス抜き出し部から導出された前記ガスを精製するための精製器、および前記ガスを冷却するための冷却器からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むガス処理部とを含み、
前記連結管は、少なくとも1つの接続部を有しており、
前記連結管は、前記接続部から離間して前記接続部を囲むカバー部材であって、前記連結管を貫通させ、かつ前記連結管と該カバー部材とを離間させる間隙部が設けられている接続部カバーを備えており、
前記カバー部材には、前記接続部カバー内に不活性ガスを供給するための不活性ガス供給口が設けられている、熱分解装置。
〔2〕 前記接続部カバーは、前記カバー部材と、該カバー部材と前記連結管の表面とに接触して、該カバー部材と前記連結管との間隙であって、前記連結管を貫通させるための間隙を封止して気密の閉空間を画成することができる封止部材をさらに含む、〔1〕に記載の熱分解装置。
〔3〕 前記カバー部材に、前記閉空間に充満している気体を導出するための気体排出口がさらに設けられている、〔2〕に記載の熱分解装置。
〔4〕 前記接続部カバーが、前記気体排出口に接続されている気体処理部をさらに含む、〔3〕に記載の熱分解装置。
〔5〕 前記接続部カバーが、前記閉空間内の気体に接触して前記接続部から漏出した有害ガスを検知することができる有害ガス検知部をさらに含み、
前記有害ガス検知部が、前記接続部カバー内に設けられているか、または前記気体排出口に接続されている、〔3〕に記載の熱分解装置。
〔6〕 前記連結管が、前記有害ガス検知部が前記接続部からの有害ガスの漏出を検知した場合に前記連結管内におけるガスの流通を調節することができるガス流通調節部をさらに含む、〔5〕に記載の熱分解装置。
〔7〕 前記カバー部材が、耐熱温度が450℃以上である材料を含む、〔1〕~〔6〕のいずれか1つに記載の熱分解装置。
〔8〕 〔1〕~〔6〕のいずれか1つに記載の熱分解装置を用いる再生(メタ)アクリル酸エステルの製造方法において、
前記熱分解部の前記投入部にスクラップを投入して、該スクラップを熱分解する熱分解工程と、
前記熱分解部における熱分解により生じたガスを前記ガス抜き出し部から抜き出して前記連結管により導出するにあたり、前記接続部を囲むカバー部材内に、前記不活性ガス供給口から不活性ガスを供給しつつ前記ガスを導出する導出工程と、
前記連結管に導出された前記ガスを前記ガス処理部に導入して処理するガス処理工程と
を含む、再生(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
〔9〕 前記接続部カバーは、前記カバー部材と前記連結管の表面とに接触して該カバー部材と前記連結管との間隙であって、前記連結管を貫通させるための間隙を封止する封止部材をさらに含み、
前記導出工程が、前記接続部を囲む前記カバー部材と封止部材とで画成された気密の閉空間内に、前記不活性ガス供給口から不活性ガスを供給しつつ前記ガスを導出する工程である、〔8〕に記載の製造方法。
〔10〕 前記カバー部材には、前記閉空間に充満している気体を導出するための気体排出口がさらに設けられており、
前記導出工程が、前記接続部カバーの前記不活性ガス供給口から不活性ガスを供給し、該不活性ガスを含む気体を前記気体排出口から排出させつつ行われる工程である、〔9〕に記載の製造方法。
〔11〕 前記接続部カバーが、前記気体排出口に接続されている前記気体処理部をさらに含み、
前記導出工程が、前記気体排出口から排出させた前記不活性ガスを含む気体を前記気体処理部に導入して処理しつつ行われる工程である、〔10〕に記載の製造方法。
〔12〕 前記接続部カバーが、前記閉空間内の気体に接触して前記接続部から漏出した有害ガスを検知することができ、前記閉空間内に設けられているか、または前記気体排出口に接続されている有害ガス検知部をさらに含み、
前記導出工程が、前記有害ガス検知部により前記閉空間への有害ガスの漏出を検知しつつ行われる工程である、〔10〕に記載の製造方法。
〔13〕 前記連結管が、前記連結管内における前記ガスの流通を調節することができるガス流通調節部をさらに含み、
前記有害ガス検知部が前記接続部からの有害ガスの漏出を検知した場合には、前記連結管に導出されている前記ガスの流通を前記流通調節部により調節する調節工程をさらに含む、〔12〕に記載の製造方法。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)
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