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公開番号
2024145394
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-15
出願番号
2023057719
出願日
2023-03-31
発明の名称
偏光フィルムの製造方法
出願人
住友化学株式会社
代理人
弁理士法人深見特許事務所
主分類
G02B
5/30 20060101AFI20241004BHJP(光学)
要約
【課題】ポリビニルアルコール系樹脂フィルムから偏光フィルムを製造する方法であって、製造効率の低下を抑制することができる製造方法を提供する。
【解決手段】特定のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを選択する工程と、該特定のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤処理液に浸漬する工程とを含む偏光フィルムの製造方法であって、該選択する工程は、該特定のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを含む1以上のポリビニルアルコール系樹脂フィルムから切り出したフィルム片を膨潤処理液に浸漬する工程と、膨潤処理液に浸漬した状態のフィルム片に検査光を照射し、フィルム片を透過又は反射する光を受光することによってフィルム片の画像を取得する工程と、該画像の輝度情報に基づいて該特定のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを選択する工程とを含む偏光フィルムの製造方法が提供される。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
特定のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを選択する工程と、
前記特定のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤処理液に浸漬する工程と、
を含む、偏光フィルムの製造方法であって、
前記選択する工程は、
前記特定のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを含む1以上のポリビニルアルコール系樹脂フィルムから切り出したフィルム片を膨潤処理液に浸漬する工程と、
膨潤処理液に浸漬した状態のフィルム片に検査光を照射し、前記フィルム片を透過又は反射する光を受光することによって、前記フィルム片の画像を取得する工程と、
前記画像の輝度情報に基づいて、前記特定のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを選択する工程と、
を含む、偏光フィルムの製造方法。
続きを表示(約 1,200 文字)
【請求項2】
前記輝度情報に基づいて前記フィルム片のカールの程度を把握することにより、前記特定のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを選択する、請求項1に記載の偏光フィルムの製造方法。
【請求項3】
前記輝度情報は、異なる時間に取得する複数の前記画像から得られる、輝度分布の時間変化についての情報である、請求項1に記載の偏光フィルムの製造方法。
【請求項4】
前記画像は、前記フィルム片の主表面に向けて検査光を照射することによって取得される画像及び前記フィルム片の側面に向けて検査光を照射することによって取得される画像からなる群より選択される少なくとも1つの画像である、請求項1に記載の偏光フィルムの製造方法。
【請求項5】
前記画像を取得する工程において、第1偏光フィルタを介して前記フィルム片に検査光を照射し、前記フィルム片を透過又は反射する光を、前記第1偏光フィルタに対してクロスニコル状態に配置された第2偏光フィルタを介して受光する、請求項1~4のいずれか1項に記載の偏光フィルムの製造方法。
【請求項6】
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムから偏光フィルムを製造する方法であって、
前記方法は、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤処理液に浸漬する工程を含み、
前記浸漬する工程は、膨潤処理液に浸漬した状態のポリビニルアルコール系樹脂フィルムに検査光を照射し、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを透過又は反射する光を受光することによって、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの画像を取得する工程を含む、偏光フィルムの製造方法。
【請求項7】
前記画像の輝度情報に基づいて前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムのカールの程度を把握する、請求項6に記載の偏光フィルムの製造方法。
【請求項8】
前記画像の輝度情報は、異なる時間に取得する複数の前記画像から得られる、輝度分布の時間変化についての情報である、請求項6に記載の偏光フィルムの製造方法。
【請求項9】
前記画像は、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの主表面に向けて検査光を照射することによって取得される画像及び前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの側面に向けて検査光を照射することによって取得される画像からなる群より選択される少なくとも1つの画像である、請求項6に記載の偏光フィルムの製造方法。
【請求項10】
前記画像を取得する工程において、第1偏光フィルタを介して前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに検査光を照射し、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを透過又は反射する光を、前記第1偏光フィルタに対してクロスニコル状態に配置された第2偏光フィルタを介して受光する、請求項6に記載の偏光フィルムの製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光フィルムの製造方法に関する。
続きを表示(約 3,400 文字)
【背景技術】
【0002】
偏光フィルムとして、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素や二色性染料のような二色性色素を吸着配向させたものが従来知られている。該偏光フィルムは、長尺のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを連続的に搬送させながら、該フィルムに対して膨潤処理、染色処理、架橋処理、洗浄処理及び乾燥処理等を順次施すとともに、製造工程の間に一軸延伸処理を施すことによって製造することができる〔例えば、特開2001-141926号公報(特許文献1)〕。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2001-141926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
長尺のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを用いた偏光フィルムの連続製造において、偏光フィルムの製造効率が、原料として用いるポリビニルアルコール系樹脂フィルムの性状等に依存することがある。例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムが処理液浸漬によって大きなカール(反り)を生じやすいフィルムであると、処理液浸漬後のガイドロール又はニップロール通過時に、カールしたフィルム端部に折れ込みが生じたり、延伸処理において折れ込み部分に破断が生じたりすることがある。これらの不具合は、偏光フィルムの製造効率を低下させる。
【0005】
本発明の目的は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムから偏光フィルムを製造する方法であって、製造効率の低下を抑制することができる製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下に示す偏光フィルムの製造方法を提供する。
[1] 特定のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを選択する工程と、
前記特定のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤処理液に浸漬する工程と、
を含む、偏光フィルムの製造方法であって、
前記選択する工程は、
前記特定のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを含む1以上のポリビニルアルコール系樹脂フィルムから切り出したフィルム片を膨潤処理液に浸漬する工程と、
膨潤処理液に浸漬した状態のフィルム片に検査光を照射し、前記フィルム片を透過又は反射する光を受光することによって、前記フィルム片の画像を取得する工程と、
前記画像の輝度情報に基づいて、前記特定のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを選択する工程と、
を含む、偏光フィルムの製造方法。
[2] 前記輝度情報に基づいて前記フィルム片のカールの程度を把握することにより、前記特定のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを選択する、[1]に記載の偏光フィルムの製造方法。
[3] 前記輝度情報は、異なる時間に取得する複数の前記画像から得られる、輝度分布の時間変化についての情報である、[1]又は[2]に記載の偏光フィルムの製造方法。
[4] 前記画像は、前記フィルム片の主表面に向けて検査光を照射することによって取得される画像及び前記フィルム片の側面に向けて検査光を照射することによって取得される画像からなる群より選択される少なくとも1つの画像である、[1]~[3]のいずれかに記載の偏光フィルムの製造方法。
[5] 前記画像を取得する工程において、第1偏光フィルタを介して前記フィルム片に検査光を照射し、前記フィルム片を透過又は反射する光を、前記第1偏光フィルタに対してクロスニコル状態に配置された第2偏光フィルタを介して受光する、[1]~[4]のいずれかに記載の偏光フィルムの製造方法。
[6] ポリビニルアルコール系樹脂フィルムから偏光フィルムを製造する方法であって、
前記方法は、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤処理液に浸漬する工程を含み、
前記浸漬する工程は、膨潤処理液に浸漬した状態のポリビニルアルコール系樹脂フィルムに検査光を照射し、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを透過又は反射する光を受光することによって、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの画像を取得する工程を含む、偏光フィルムの製造方法。
[7] 前記画像の輝度情報に基づいて前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムのカールの程度を把握する、[6]に記載の偏光フィルムの製造方法。
[8] 前記画像の輝度情報は、異なる時間に取得する複数の前記画像から得られる、輝度分布の時間変化についての情報である、[6]又は[7]に記載の偏光フィルムの製造方法。
[9] 前記画像は、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの主表面に向けて検査光を照射することによって取得される画像及び前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの側面に向けて検査光を照射することによって取得される画像からなる群より選択される少なくとも1つの画像である、[6]~[8]のいずれかに記載の偏光フィルムの製造方法。
[10] 前記画像を取得する工程において、第1偏光フィルタを介して前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに検査光を照射し、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを透過又は反射する光を、前記第1偏光フィルタに対してクロスニコル状態に配置された第2偏光フィルタを介して受光する、[6]~[9]のいずれかに記載の偏光フィルムの製造方法。
[11] 前記画像の輝度情報に基づいて、前記膨潤処理液に浸漬する工程の条件を変化させるか否かを判定する工程をさらに含む、[6]~[10]のいずれかに記載の偏光フィルムの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムから偏光フィルムを製造する方法であって、製造効率の低下を抑制することができる製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
偏光フィルム製造装置の一例を示す断面模式図である。
試験用膨潤処理液に浸漬した状態のフィルム片の画像を取得する方法の一例を説明する概略上面図である。
試験用膨潤処理液に浸漬した状態のフィルム片の画像を取得する方法の他の一例を説明する概略上面図である。
試験用膨潤処理液に浸漬した状態のフィルム片の画像を取得する方法のさらに他の一例を説明する概略上面図である。
画像取得工程で得られるフィルム片の画像の例を示す図である。
画像取得工程で得られるフィルム片の画像の他の例を示す図である。
カール角度を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(以下、「PVA系樹脂フィルム」ともいう。)から偏光フィルムを製造するための製造方法に関する。偏光フィルムは、長尺のPVA系樹脂フィルムに対し、所定の処理液を収容する処理槽への浸漬処理(湿式処理)、乾燥処理等を含む一連の処理を施して製造することができ、本発明に係る製造方法において上記浸漬処理は、PVA系樹脂フィルムを膨潤処理液に浸漬する工程を含む。得られる偏光フィルムは、延伸されたPVA系樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向しているものである。
【0010】
<偏光フィルム製造の概要>
図1は、偏光フィルム製造装置の一例を示す断面模式図であり、上記一連の処理を説明するための図である。図1に示される偏光フィルム製造装置は、原料フィルムである長尺のPVA系樹脂フィルム10から連続的に長尺の偏光フィルム25を製造するための装置である。図1において、フィルムに付されている矢印は、フィルム搬送方向を示す。図1に示される偏光フィルム製造装置は、フィルム搬送方向の上流側から順に、膨潤処理槽13、染色処理槽15、架橋処理槽17、洗浄処理槽19及び乾燥炉20を含む。なお図1には、膨潤処理槽13、染色処理槽15、架橋処理槽17及び洗浄処理槽19をそれぞれ1槽ずつ設けた例を示しているが、必要に応じてそれぞれ2槽以上設けてもよい。
(【0011】以降は省略されています)
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