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公開番号2024158618
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-08
出願番号2023073970
出願日2023-04-28
発明の名称ベクター、形質転換放線菌、タンパク質の製造方法、およびプロモーター
出願人出光興産株式会社
代理人弁理士法人秀和特許事務所
主分類C12N 15/74 20060101AFI20241031BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】放線菌の細胞で目的遺伝子の発現量を向上させ、多くの量の目的タンパク質を生産できる技術を提供すること。
【解決手段】プロモーターに発現可能に連結された目的遺伝子を含む、ベクターであって、該プロモーターが、特定の塩基配列を有するポリヌクレオチド、またはその相補配列を有するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、放線菌細胞においてプロモーター活性を有するポリヌクレオチドを含む、ベクター。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
プロモーターに発現可能に連結された目的遺伝子を含む、ベクターであって、
該プロモーターが、配列番号1、配列番号2、若しくは配列番号3の塩基配列を有するポリヌクレオチド、または
配列番号1、配列番号2、若しくは配列番号3の塩基配列の相補配列を有するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、放線菌細胞においてプロモーター活性を有するポリヌクレオチドを含む、ベクター。
続きを表示(約 690 文字)【請求項2】
前記プロモーター活性を有するポリヌクレオチドが、配列番号1の塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列、配列番号2の塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列、または配列番号3の塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有するポリヌクレオチドである、請求項1に記載のベクター。
【請求項3】
請求項1に記載のベクターで形質転換された、形質転換放線菌。
【請求項4】
ストレプトマイセス(
Streptomyces
)属細菌である、請求項3に記載の形質転換放線菌。
【請求項5】
前記ストレプトマイセス(
Streptomyces
)属細菌がストレプトマイセス・ビリドクロモゲネス(
Streptomyces viridochromogenes
)である、請求項4に記載の形質転換放線菌。
【請求項6】
前記目的遺伝子が外来遺伝子である、請求項3に記載の形質転換放線菌。
【請求項7】
請求項3~6のいずれか一項に記載の形質転換放線菌を培養し、該形質転換放線菌により、目的遺伝子によってコードされるタンパク質を蓄積させることを特徴とする、タンパク質の製造方法。
【請求項8】
配列番号3の塩基配列を有するポリヌクレオチド、または
配列番号3の塩基配列の相補配列を有するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、放線菌細胞においてプロモーター活性を有するポリヌクレオチドを含む、プロモーター。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、放線菌を利用した遺伝子組み換え技術に関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
放線菌等の微生物が生産する二次代謝物質の多くは生理活性を有し、抗生物質等として我々の生活の中で活用されている(非特許文献1)。一般に、天然に存在する微生物の菌株では目的の二次代謝産物の生産性が低いため、生産性向上のための育種が行われてきた。従来の育種方法では、突然変異源を与え、目的物の生産性が上昇した菌株を選抜するような手法が主であったが、近年は遺伝子組換え技術を活用した目的物の生産性向上が多く試みられている。
【0003】
遺伝子組換え微生物において外来遺伝子を発現させるためには、外来遺伝子を転写プロモーターと連結して微生物に導入する必要があるが、このプロモーターの選択により遺伝子発現レベルが大きく異なるため、転写プロモーターの選択が非常に重要となる。
【0004】
例えば、遺伝子組換え放線菌において汎用される高発現プロモーターとして、SF14プロモーター(非特許文献2)、ermEpプロモーター(非特許文献3、特許文献1)、kasOプロモ
ーター(非特許文献4、特許文献2)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
中国特許出願公開第105420266号明細書
中国特許出願公開第103421778号明細書
【非特許文献】
【0006】
Lacey et al., Molecules, 2022, 27, 887
Labes et al., Microbiology, 1997, 143, 1503-1512
Bibb et al., Gene, 1985, 38, 215-226
Wang et al., Applied and Environmental Microbiology, 2013, 79, 4484-4492
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、放線菌の宿主細胞で機能し得るプロモーターは知られていたが、公知のプロモーターでは、放線菌の種によっては外来遺伝子などの目的遺伝子の高発現が達成されない場合があり、より効率よく目的遺伝子を発現させることのできるプロモーターが求められていた。
したがって、本発明は、放線菌の細胞で目的遺伝子の発現量を向上させ、多くの量の目的タンパク質を生産できる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、放線菌の有する特定のプロモーター領域が、遺伝子組換え放線菌において汎用される公知のプロモーターを用いる場合よりも、外来遺伝子などの目的遺伝子を高発現し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。また、トランスクリプトーム解析により、放線菌細胞において目的遺伝子を発現させるためのプロモーター候補を選出し、該プロモーター候補の中から、目的遺伝子を高発現し得る新規なプロモーター領域を見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明は以下を提供する。
[1]プロモーターに発現可能に連結された目的遺伝子を含む、ベクターであって、
該プロモーターが、配列番号1、配列番号2、若しくは配列番号3の塩基配列を有するポリヌクレオチド、または
配列番号1、配列番号2、若しくは配列番号3の塩基配列の相補配列を有するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、放線菌細胞においてプロモーター活性を有するポリヌクレオチドを含む、ベクター。
[2]前記プロモーター活性を有するポリヌクレオチドが、配列番号1の塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列、配列番号2の塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列、または配列番号3の塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有するポリヌクレオチドである、[1]に記載のベクター。
[3][1]または[2]に記載のベクターで形質転換された、形質転換放線菌。
[4]ストレプトマイセス(
Streptomyces
)属細菌である、[3]に記載の形質転換放線菌。
[5]前記ストレプトマイセス(
Streptomyces
)属細菌がストレプトマイセス・ビリドクロモゲネス(
Streptomyces viridochromogenes
)である、[4]に記載の形質転換放線菌。
[6]前記目的遺伝子が外来遺伝子である、[3]~[5]のいずれかに記載の形質転換放線菌。
[7][3]~[6]のいずれかに記載の形質転換放線菌を培養し、該形質転換放線菌により、目的遺伝子によってコードされるタンパク質を蓄積させることを特徴とする、タンパク質の製造方法。
[8]配列番号3の塩基配列を有するポリヌクレオチド、または
配列番号3の塩基配列の相補配列を有するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、放線菌細胞においてプロモーター活性を有するポリヌクレオチドを含む、プロモーター。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、放線菌の細胞で目的遺伝子を高効率に発現させることができ、多くの量の目的タンパク質を生産することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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