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公開番号2024158648
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-08
出願番号2023074009
出願日2023-04-28
発明の名称形質転換ストレプトマイセス属細菌およびビアラホスの製造方法
出願人出光興産株式会社,国立大学法人神戸大学
代理人弁理士法人秀和特許事務所
主分類C12N 1/21 20060101AFI20241031BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】放線菌を用いてビアラホスを効率よく製造する技術を提供すること。
【解決手段】ビアラホス合成遺伝子クラスターに含まれる1以上の遺伝子を過剰発現させることよりビアラホスの生産が増強されたストレプトマイセス属細菌を、培養培地で培養して培養培地および/または菌体中にビアラホスを生産および蓄積させることを含む、ビアラホスの製造方法。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項１】
ストレプトマイセス（
Streptomyces
）属細菌であって、
ビアラホス合成遺伝子クラスターに含まれる１以上の遺伝子を過剰発現するように改変されていることにより、ビアラホスの生産が増強された、細菌。
続きを表示（約 1,400 文字）【請求項２】
前記ビアラホス合成遺伝子クラスターに含まれる遺伝子が、下記のいずれかのポリヌクレオチドである、請求項１に記載の細菌。
a) 配列番号１～２４からなる群から選択される１以上の塩基配列を含むポリヌクレオチ
ド
b) 配列番号１～２４からなる群から選択される１以上の塩基配列の相補配列とストリン
ジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド
c) 配列番号３３～５６からなる群から選択される１以上のアミノ酸配列をコードするポ
リヌクレオチド
d) 配列番号３３～５６からなる群から選択される１以上のアミノ酸配列と９０％以上の
同一性を有するアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド
【請求項３】
前記ビアラホス合成遺伝子クラスターに含まれる遺伝子が、下記のいずれかのポリヌクレオチドである、請求項１に記載の細菌。
a) 配列番号１～４の塩基配列を含むポリヌクレオチド
b) 配列番号１～４の塩基配列それぞれの相補配列とストリンジェントな条件でハイブリ
ダイズするポリヌクレオチド
c) 配列番号３３～３６のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド
d) 配列番号３３～３６のそれぞれのアミノ酸配列と９０％以上の同一性を有するアミノ
酸配列をコードするポリヌクレオチド
【請求項４】
前記ビアラホス合成遺伝子クラスターに含まれる遺伝子が、下記のいずれかのポリヌクレオチドである、請求項１に記載の細菌。
a) 配列番号１４～２４の塩基配列を含むポリヌクレオチド
b) 配列番号１４～２４の塩基配列それぞれの相補配列とストリンジェントな条件でハイ
ブリダイズするポリヌクレオチド
c) 配列番号４６～５６のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド
d) 配列番号４６～５６のそれぞれのアミノ酸配列と９０％以上の同一性を有するアミノ
酸配列をコードするポリヌクレオチド
【請求項５】
前記ビアラホス合成遺伝子クラスターに含まれる遺伝子が、配列番号２６および２７の塩基配列を含むポリヌクレオチド、または配列番号２６および２７それぞれの相補配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドである、請求項３に記載の細菌。
【請求項６】
前記ビアラホス合成遺伝子クラスターに含まれる遺伝子が、配列番号３１および３２の塩基配列を含むポリヌクレオチド、または配列番号３１および３２それぞれの相補配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドである、請求項４に記載の細菌。
【請求項７】
ストレプトマイセス・ビリドクロモゲネス（
Streptomyces
viridochromogenes
）に属する細菌またはストレプトマイセス・ヒグロスコピクス（
Streptomyces
hygroscopicus
）に属する細菌である、請求項１に記載の細菌。
【請求項８】
ビアラホスの製造方法であって、
請求項１～７のいずれか一項に記載の細菌を培養培地で培養して培養培地および／または菌体中にビアラホスを生産および蓄積させることを含む、製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本開示は、広くは微生物工業に関し、特に、ビアラホス合成遺伝子クラスター中の遺伝子を過剰発現するように改変されていることにより、ビアラホスの生産が増強されたビアラホス生産菌に関する。
続きを表示（約 3,200 文字）【背景技術】
【０００２】
一般に、化学合成農薬は安定して効果が高く、コスト的にも優れているため、除草剤として広く使用されている。しかしながら、近年、環境負荷の観点から、化学合成農薬に代わる微生物代謝産物由来の除草剤の需要が高まっている。微生物代謝産物由来の除草剤は、天然物であるために、一般的に生分解性に優れ、環境負荷が少ないという利点を有する。
【０００３】
微生物代謝産物由来の除草剤としては、アミノ酸系除草剤であるビアラホスなどが知られている。ビアラホスは、ストレプトマイセス（
Streptomyces
）属に属する放線菌により生産される二次代謝産物であり、例えば、ストレプトマイセス・ヒグロスコピクス（
Streptomyces
hygroscopicus
）により生産されることが報告されている（非特許文献１）。また、変異育種によりビアラホスの生産性が向上したことが報告されている（非特許文献２）。
【０００４】
また、ストレプトマイセス・ヒグロスコピクスおよびストレプトマイセス・ビリドクロモゲネス（
Streptomyces
viridochromogenes
）において、ビアラホス合成酵素遺伝子クラスターを構成する遺伝子の機能解析が進んでいる(非特許文献３、非特許文献４)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【０００５】
Tachibana K. et al., 1986, 日本農薬学会誌, 11, 297-304
武部ら、1995、生物工学会誌、73、413-24
Schwartz D. et al., 2004, Applied and Environmental Microbiology, 70, 7093-7102
Joshua A. V Blodgett et al. 2016, J Antibiot (Tokyo). 69, 15-25
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明は、ビアラホス生産能が向上した形質転換ストレプトマイセス属細菌、および該形質転換ストレプトマイセス属細菌を用いたビアラホスの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、ストレプトマイセス属細菌において、ビアラホス合成遺伝子クラスターに含まれる1以上の遺伝子を過剰発現さ
せることで、ビアラホス生産性が向上し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【０００８】
本発明は以下を提供する。
［１］ストレプトマイセス（
Streptomyces
）属細菌であって、
ビアラホス合成遺伝子クラスターに含まれる１以上の遺伝子を過剰発現するように改変されていることにより、ビアラホスの生産が増強された、細菌。
［２］前記ビアラホス合成遺伝子クラスターに含まれる遺伝子が、下記のいずれかのポリヌクレオチドである、［１］に記載の細菌。
a) 配列番号１～２４からなる群から選択される１以上の塩基配列を含むポリヌクレオチ
ド
b) 配列番号１～２４からなる群から選択される１以上の塩基配列の相補配列とストリン
ジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド
c) 配列番号３３～５６からなる群から選択される１以上のアミノ酸配列をコードするポ
リヌクレオチド
d) 配列番号３３～５６からなる群から選択される１以上のアミノ酸配列と９０％以上の
同一性を有するアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド
［３］前記ビアラホス合成遺伝子クラスターに含まれる遺伝子が、下記のいずれかのポリヌクレオチドである、［１］に記載の細菌。
a) 配列番号１～４の塩基配列を含むポリヌクレオチド
b) 配列番号１～４の塩基配列それぞれの相補配列とストリンジェントな条件でハイブリ
ダイズするポリヌクレオチド
c) 配列番号３３～３６のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド
d) 配列番号３３～３６のそれぞれのアミノ酸配列と９０％以上の同一性を有するアミノ
酸配列をコードするポリヌクレオチド
［４］前記ビアラホス合成遺伝子クラスターに含まれる遺伝子が、下記のいずれかのポリヌクレオチドである、［１］に記載の細菌。
a) 配列番号１４～２４の塩基配列を含むポリヌクレオチド
b) 配列番号１４～２４の塩基配列それぞれの相補配列とストリンジェントな条件でハイ
ブリダイズするポリヌクレオチド
c) 配列番号４６～５６のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド
d) 配列番号４６～５６のそれぞれのアミノ酸配列と９０％以上の同一性を有するアミノ
酸配列をコードするポリヌクレオチド
［５］前記ビアラホス合成遺伝子クラスターに含まれる遺伝子が、配列番号２６および２７の塩基配列を含むポリヌクレオチド、または配列番号２６および２７それぞれの相補配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドである、［３］に記載の細菌。
［６］前記ビアラホス合成遺伝子クラスターに含まれる遺伝子が、配列番号３１および３２の塩基配列を含むポリヌクレオチド、または配列番号３１および３２それぞれの相補配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドである、［４］に記載の細菌。
［７］ストレプトマイセス・ビリドクロモゲネス（
Streptomyces
viridochromogenes
）に属する細菌またはストレプトマイセス・ヒグロスコピクス（
Streptomyces
hygroscopicus
）に属する細菌である、［１］～［６］のいずれかに記載の細菌。
［８］ビアラホスの製造方法であって、
［１］～［７］のいずれかに記載の細菌を培養培地で培養して培養培地および／または菌体中にビアラホスを生産および蓄積させることを含む、製造方法。
【発明の効果】
【０００９】
本発明によれば、ビアラホス合成遺伝子クラスターに含まれる１以上の遺伝子を過剰発現するように改変されたストレプトマイセス属細菌を用いることで、ビアラホスを効率よく発酵生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【００１０】
ストレプトマイセス属菌のビアラホス合成遺伝子クラスターの概略図。
ビアラホス合成遺伝子クラスターの全長および段階的に短くした遺伝子クラスター断片をそれぞれ導入したストレプトマイセス・ビリドクロモゲネスの株における、ビアラホス生産量の測定結果を示す図。ネガティブコントロール（空ベクター導入株）におけるビアラホス濃度を「１」としたときの、各導入株におけるビアラホス濃度の相対値を示す。
Sq1-2領域の断片を導入したストレプトマイセス・ビリドクロモゲネスの株における、ビアラホス生産量の測定結果を示す図。ネガティブコントロール（空ベクター導入株）におけるビアラホス濃度を「１」としたときの、Sq1-2断片導入株におけるビアラホス濃度の相対値を示す。
【発明を実施するための形態】
（【００１１】以降は省略されています）

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