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公開番号2024150172
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-23
出願番号2023063448
出願日2023-04-10
発明の名称加湿成形用の紙基材、紙加工品及び紙容器
出願人王子ホールディングス株式会社
代理人弁理士法人秀和特許事務所
主分類D21H 27/00 20060101AFI20241016BHJP(製紙;セルロースの製造)
要約【課題】加湿成形による高いレベルでの成形性及び耐落下衝撃性を達成し、さらに高温高湿度環境で湿潤し振動を受けても表面の美麗性を維持できる加湿成形用の紙基材。
【解決手段】加湿成形用の紙基材であって、前記紙基材が、2層以上の紙層を有し、前記紙基材の厚みが、0.8~1.5mmであり、前記紙基材の繊維配向比が、1.40~2.50であり、前記紙基材の、一方の表面を構成する紙層に含まれるパルプの平均繊維幅と、他方の表面を構成する紙に含まれるパルプの平均繊維幅と、の両方が28.0μm以下である、ことを特徴とする加湿成形用の紙基材。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
加湿成形用の紙基材であって、
前記紙基材が、2層以上の紙層を有し、
前記紙基材の厚みが、0.8~1.5mmであり、
前記紙基材の繊維配向比が、1.40~2.50であり、
前記紙基材の、一方の表面を構成する紙層に含まれるパルプの平均繊維幅と、他方の表面を構成する紙層に含まれるパルプの平均繊維幅と、の両方が28.0μm以下である、
ことを特徴とする加湿成形用の紙基材。
続きを表示(約 610 文字)【請求項2】
前記紙基材の一方の表面をA面とし、他方の表面をB面としたときに、
前記紙基材の前記A面から測定したコッブ吸水度が、前記B面から測定したコッブ吸水度以下であって、
前記A面から測定したコッブ吸水度が、10~700g/m

・60秒であり、
前記B面から測定したコッブ吸水度が、10~1000g/m

・60秒である、請求項1に記載の加湿成形用の紙基材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の加湿成形用の紙基材を用いてなる、紙加工品。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の加湿成形用の紙基材を用いてなる、紙容器。
【請求項5】
前記紙容器が、ボトル型形状である、請求項4に記載の紙容器。
【請求項6】
前記紙基材の一方の表面をA面とし、他方の表面をB面としたときに、
前記紙基材の前記A面から測定したコッブ吸水度が、前記B面から測定したコッブ吸水度以下であって、
前記A面から測定したコッブ吸水度が、10~700g/m

・60秒であり、
前記B面から測定したコッブ吸水度が、10~1000g/m

・60秒であり、
前記A面が、前記紙容器の外表面の少なくとも一部を構成する、請求項5に記載の紙容器。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、加湿成形用の紙基材、並びに該紙基材を用いてなる紙加工品及び紙容器に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
近年、環境への懸念などから、世界的に脱プラスチックへの取り組みが加速している。従来、合成樹脂などプラスチック材料が、トレーやボトルなどの容器、並びに食器、文具及び医療器具などに広く用いられてきたが、プラスチック製品から紙製品への代替が進められている。
紙を使用した容器などには、成形するための折り曲げ易さ、すなわち成形性(柔軟性)が必要である一方、耐落下衝撃性など成形後の強度も求められる。しかしながら、両者は紙の性質としてトレードオフの関係にあり、例えば、基材の厚みを大きくすることで耐落下衝撃性は良化するが、成形性は劣るようになる。そのため、成形性及び耐落下衝撃性が両立できる良好な紙が求められる。
一方、厚みの大きな紙基材の成形方法として、例えば特許文献1では、紙製段ボールを曲げ加工する際の加圧前にライナを加湿する工程を含む成形方法が開示されており、加工における皺や破れの発生が防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
国際公開第2004/022327号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本発明者らの検討によると、上記文献の技術ではトレーやボトルなどの容器といった、加湿成形によってより複雑な加工を行う場合の成形性及び耐落下衝撃性の両立という観点では十分ではない。さらに、トレーやボトルなどの容器は、成形後の輸送や保管の際に高温高湿度環境といった表面が湿潤しやすい環境に晒され、さらに輸送による振動を受ける場合もある。そのような過酷な環境に晒されても表面の美麗性を維持することが可能な紙基材は未だ得られていない。
本開示は、加湿成形による高いレベルでの成形性及び耐落下衝撃性を達成し、さらに高温高湿度環境で湿潤し振動を受けても表面の美麗性を維持できる加湿成形用の紙基材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の<1>~<6>に関する
<1> 加湿成形用の紙基材であって、
前記紙基材が、2層以上の紙層を有し、
前記紙基材の厚みが、0.8~1.5mmであり、
前記紙基材の繊維配向比が、1.40~2.50であり、
前記紙基材の、一方の表面を構成する紙層に含まれるパルプの平均繊維幅と、他方の表面を構成する紙層に含まれるパルプの平均繊維幅と、の両方が28.0μm以下である、
ことを特徴とする加湿成形用の紙基材。
<2> 前記紙基材の一方の表面をA面とし、他方の表面をB面としたときに、
前記紙基材の前記A面から測定したコッブ吸水度が、前記B面から測定したコッブ吸水度以下であって、
前記A面から測定したコッブ吸水度が、10~700g/m

・60秒であり、
前記B面から測定したコッブ吸水度が、10~1000g/m

・60秒である、<1>に記載の加湿成形用の紙基材。
<3> <1>又は<2>に記載の加湿成形用の紙基材を用いてなる、紙加工品。
<4> <1>又は<2>に記載の加湿成形用の紙基材を用いてなる、紙容器。
<5> 前記紙容器が、ボトル型形状である、<4>に記載の紙容器。
<6> 前記紙基材の一方の表面をA面とし、他方の表面をB面としたときに、
前記紙基材の前記A面から測定したコッブ吸水度が、前記B面から測定したコッブ吸水度以下であって、
前記A面から測定したコッブ吸水度が、10~700g/m

・60秒であり、
前記B面から測定したコッブ吸水度が、10~1000g/m

・60秒であり、
前記A面が、前記紙容器の外表面の少なくとも一部を構成する、<5>に記載の紙容器。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、より高いレベルで成形性及び耐落下衝撃性を達成し、さらに高温高湿度環境で湿潤しても表面の美麗性を維持できる加湿成形用紙の基材を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書において、数値範囲を表す「X以上Y以下」や「X~Y」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
【0008】
縦方向とは紙基材における抄紙方向(MD)であり、繊維が配向する方向と同じである。また、横方向とは抄紙方向に対して垂直方向(CD)である。
【0009】
本発明者らは、紙基材を2層以上の紙層を含む紙基材とし、紙基材の厚み、繊維配向比、及び紙基材の両方の表面を構成するパルプの平均繊維幅を特定の範囲内に制御することで、加湿成形による高いレベルでの成形性(以下、単に「加湿成形時の成形性」ともいう。)及び耐落下衝撃性を達成でき、さらに高温高湿度環境で湿潤し振動を受けても表面の美麗性(以下、単に「湿潤後の美麗性」ともいう。)を維持できる加湿成形用の紙基材が得られることを見出した。
【0010】
紙基材の厚みを厚くすると、紙基材の強度が向上することにより耐落下衝撃性が向上するが、加湿成形時の成形性は低下する。繊維配向比を大きくすると、縦方向の剛度が大きくなって縦方向のシワが生じ、湿潤後の美麗性が低下するが、逆に繊維配向比を小さくすると、横方向の剛度が大きくなって、成形時に横方向に丸まりづらくなり、割れや変形が生じ、加湿成形時の成形性が低下する。紙基材の両方の表面を構成するパルプのうち、少なくとも一方の表面の平均繊維幅を大きくすると、加湿成形時に繊維が膨潤しやすくなるため、湿潤後の美麗性や加湿成形時の成形性が低下する。そのため、紙基材の厚み、繊維配向比、及び紙基材の両方の表面を構成するパルプの平均繊維幅を特定の範囲内に制御することで、加湿成形時の成形性、耐落下衝撃性及び湿潤後の美麗性に優れる加湿成形用の紙基材を得ることができると、本発明者らは考えている。
(【0011】以降は省略されています)

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