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公開番号2024146925
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-15
出願番号2024057782
出願日2024-03-29
発明の名称不織布及びそれを含むワイピングシート
出願人大和紡績株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類D04H 1/4391 20120101AFI20241004BHJP(組みひも;レース編み;メリヤス編成;縁とり;不織布)
要約【課題】 汚れの捕集性能により優れ、ワイピング性のより高い不織布を提供する。
【解決手段】 対象物の表面を清拭するワイピングシートの基材として用いることができ、多葉状断面繊維を20質量%以上含み、多葉状断面繊維は、少なくとも3個の凸部を有する多葉状断面形状の繊維横断面を有し、少なくとも一つの凸部は、先端部分が略曲線状であり得、繊維の中心に向かう根元部分の幅Wbが先端部分の最大幅Wtより小さく、多葉状断面繊維の少なくとも一部は、多葉状断面繊維を構成する少なくとも3個の凸部のうち、少なくとも一つの凸部が分割または剥離して形成される多葉状断面繊維由来繊維を含むことができる不織布である。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
対象物の表面を清拭するワイピングシートの基材として用いる不織布であって、
前記不織布は多葉状断面繊維を20質量%以上含み、
前記多葉状断面繊維は、少なくとも3個の凸部を有する多葉状断面形状の繊維横断面を有する繊維であり、
少なくとも一つの凸部は、先端部分が略曲線状であり得、繊維の中心に向かう根元部分の幅Wbが先端部分の最大幅Wtより小さく、
前記多葉状断面繊維の少なくとも一部は、多葉状断面繊維を構成する少なくとも3個の凸部のうち、少なくとも一つの凸部が分割または剥離して形成される多葉状断面繊維由来繊維を含むことができ、
前記多葉状断面繊維に由来する繊維は、多葉断面繊維に含まれる複数の凸部のうち、少なくとも一つの凸部が分割または剥離して形成される極細繊維状であり得る不織布。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記多葉状断面繊維は、繊維横断面において凸部の数が3以上8以下である、請求項1に記載の不織布。
【請求項3】
前記凸部の最大幅Wtは、3.5μm以上20μm以下であり、長さLtは、4μm以上25μm以下である、請求項1に記載の不織布。
【請求項4】
前記凸部は、繊維の中心に向かってくびれた部分を有し、凸部の根元部分の幅Wbが、凸部の最大幅Wtより小さく、
前記凸部の根元部分の幅Wbは2μm以上12μm以下であり、
凸部の長さLtと根元部分の幅Wbの比Lt/Wbが1.0以上3.5以下であり、かつ最大幅Wtと根元部分の幅WbのWt/Wbが1より大きく3.5以下である、請求項1に記載の不織布。
【請求項5】
前記多葉状断面繊維は単一樹脂成分からなる繊維であり、
前記単一樹脂成分はポリプロピレン樹脂を50質量%以上含む樹脂成分であり、
前記多葉状断面繊維の繊度は0.5dtex以上10dtex以下であり、
前記単一樹脂成分には、親水化剤を0.5質量%以上10質量%以下含む、請求項1に記載の不織布。
【請求項6】
前記不織布は多葉状断面繊維に加え、親水性繊維、および熱接着性繊維を含み、
前記不織布は、前記多葉状断面繊維、前記親水性繊維、および前記熱接着性繊維を合わせた質量を100質量%としたときに、前記多葉状断面繊維に由来する繊維を20質量%以上80質量%以下、前記親水性繊維を10質量%以上50質量%以下、および前記熱接着性繊維を10質量%以上40質量%以下含み、
不織布内の構成繊維の交点の少なくとも一部が、前記熱接着性繊維によって熱接着されている、請求項1に記載の不織布。
【請求項7】
前記親水性繊維がセルロース系繊維である、請求項6に記載の不織布。
【請求項8】
前記熱接着性繊維が低融点樹脂成分と高融点樹脂成分から構成される複合繊維であり、前記低融点樹脂成分の融点が145℃以下である、請求項6に記載の不織布。
【請求項9】
前記熱接着性繊維が、低融点樹脂成分を鞘成分とし、高融点樹脂成分を芯成分とする芯鞘型複合繊維である、請求項8に記載の不織布。
【請求項10】
前記熱接着性繊維に含まれる低融点樹脂成分がポリエチレン樹脂を50質量%以上含む樹脂成分である、請求項8に記載の不織布。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、不織布に関し、特に、その不織布を含むワイピングシートに関する。
続きを表示(約 3,900 文字)【背景技術】
【0002】
不織布の用途として、人の身体や物から汚れを拭き取るための各種ワイピングシートがある。そして、ワイピングシートの汚れを拭き取る効果を高めるため、様々な技術が提案されている。その中で、ワイピングシートを構成する繊維として、異形断面の繊維や極細繊維を用いることがある。ワイピングシートに対し、繊維横断面(繊維長さ方向に垂直な繊維断面)の形状が円形ではない、いわゆる異形断面の繊維を使用すると、その形状によってワイピングシートのふき取り性が向上し得ることが報告されている(特許文献1及び2参照)。しかし、異形断面繊維は繊維径が大きくなりやすいため、吸水性や保水性などが不十分となり得ると考えられる。
【0003】
ワイピングシートのふき取り性を向上する別の方法として、ワイピングシートに使用される不織布を構成する繊維として、分割型複合繊維(繊維横断面が、くさび状の2種類の樹脂成分が交互に配置された断面の複合繊維)を使用することも提案されている。ワイピングシートに対し、分割型複合繊維を使用する場合、不織布を製造する工程で高圧水流に繊維ウェブを晒す等の処理を行うことで分割型複合繊維が分割され、各樹脂成分からなる極細繊維を形成することが知られている(例えば、特許文献3及び4など参照)。
【0004】
分割型複合繊維を分割して得られる極細繊維は繊維横断面が非円形であることから、清拭する対象物表面(肌や床の表面)に存在する各種汚れを除去する効果が高いだけでなく、真円断面の繊維よりも繊維の比表面積が広くなることでワイピングシート自体の嵩もより大きくなる。加えて、除去した汚れを繊維内部またはワイピングシート内部に捕集しやすくなるため、分割型複合繊維を含む不織布を基材としたワイピングシートはワイピング性能に優れる。
【0005】
分割型複合繊維を使用した不織布では、製造工程で繊維ウェブを高圧水流処理や熱処理、機械的交絡処理(ニードルパンチング処理)に付して、分割型複合繊維を樹脂成分毎に分割して、極細繊維を発生させている。得られる不織布において極細繊維が含まれる量を多くするため、分割型複合繊維から極細繊維が発生する割合(分割率)が高いことが好ましい。しかし、分割型複合繊維を用いた不織布において、分割型複合繊維の分割率は、通常高くても60~80%程度であり、少なくとも40~20%程度の未分割型複合繊維が不織布中に存在し得る。この未分割分割型複合繊維は繊維横断面が丸断面であり、繊度も大きい(2.2dtex~)ので、ワイピング性能は必ずしも十分ではない。
【0006】
加えて、各種ワイピングシートには、使用した際の毛羽立ちや繊維脱落をより抑制することが求められており、これらの性能を向上させるための改良が進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開平2-234914号公報
特開平2-289220号公報
特開2006-625号公報
特開2015-277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、汚れの捕集性能により優れ、ワイピング性のより高い不織布を提供することを目的とする。更に、ワイピングシートとして使用した際の毛羽立ちや繊維脱落をより抑制することができる不織布を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、特定の多葉断面型繊維を使用すると、(i)その繊維は高圧水流によって繊維形状が崩れる(凸部の一部が分割又は剥離する)ことがあること、(ii)高圧水流によって繊維横断面形状に変化が生じない場合も、繊維横断面に適度の凹凸形状を有し得ることを見出した。更に、そのような繊維を含む不織布は、発生し得る極細繊維状の部分によってワイピング性が高められること、繊維横断面に有し得る適度の凹凸形状によってワイピング性が高められることを見出し、各種ワイピングシート用途に好適であることを見出して、本発明を完成させるに至った。
【0010】
本明細書は、下記の実施形態を含む。
1.対象物の表面を清拭するワイピングシートの基材として用いる不織布であって、
前記不織布は多葉状断面繊維を20質量%以上含み、
前記多葉状断面繊維は、少なくとも3個の凸部を有する多葉状断面形状の繊維横断面を有する繊維であり、
少なくとも一つの凸部は、先端部分が略曲線状であり得、繊維の中心に向かう根元部分の幅Wbが先端部分の最大幅Wtより小さく、
前記多葉状断面繊維の少なくとも一部は、多葉状断面繊維を構成する少なくとも3個の凸部のうち、少なくとも一つの凸部が分割または剥離して形成される多葉状断面繊維由来繊維を含むことができ、
前記多葉状断面繊維に由来する繊維は、多葉断面繊維に含まれる複数の凸部のうち、少なくとも一つの凸部が分割または剥離して形成される極細繊維状であり得る不織布。
2.前記多葉状断面繊維は、繊維横断面において凸部の数が3以上8以下である、上記1に記載の不織布。
3.前記凸部の最大幅Wtは、3.5μm以上20μm以下であり、長さLtは、4μm以上25μm以下である、上記1又は2に記載の不織布。
4.前記凸部は、繊維の中心に向かってくびれた部分を有し、凸部の根元部分の幅Wbが、凸部の最大幅Wtより小さく、
前記凸部の根元部分の幅Wbは2μm以上12μm以下であり、
凸部の長さLtと根元部分の幅Wbの比Lt/Wbが1.0以上3.5以下であり、かつ最大幅Wtと根元部分の幅WbのWt/Wbが1より大きく3.5以下である、上記1~3のいずれか1つに記載の不織布。
5.前記多葉状断面繊維は単一樹脂成分からなる繊維であり、
前記単一樹脂成分はポリプロピレン樹脂を50質量%以上含む樹脂成分であり、
前記多葉状断面繊維の繊度は0.5dtex以上10dtex以下であり、
前記単一樹脂成分には、親水化剤を0.5質量%以上10質量%以下含む、上記1~4のいずれか1つに記載の不織布。
6.前記不織布は多葉状断面繊維に加え、親水性繊維、および熱接着性繊維を含み、
前記不織布は、前記多葉状断面繊維、前記親水性繊維、および前記熱接着性繊維を合わせた質量を100質量%としたときに、前記多葉状断面繊維に由来する繊維を20質量%以上80質量%以下、前記親水性繊維を10質量%以上50質量%以下、および前記熱接着性繊維を10質量%以上40質量%以下含み、
不織布内の構成繊維の交点の少なくとも一部が、前記熱接着性繊維によって熱接着されている、上記1~5のいずれか1つに記載の不織布。
7.前記親水性繊維がセルロース系繊維である、上記6に記載の不織布。
8.前記熱接着性繊維が低融点樹脂成分と高融点樹脂成分から構成される複合繊維であり、前記低融点樹脂成分の融点が145℃以下である、上記6又は7に記載の不織布。
9.前記熱接着性繊維が、低融点樹脂成分を鞘成分とし、高融点樹脂成分を芯成分とする芯鞘型複合繊維である、上記8に記載の不織布。
10.前記熱接着性繊維に含まれる低融点樹脂成分がポリエチレン樹脂を50質量%以上含む樹脂成分である、上記8又は9に記載の不織布。
11.前記不織布は、前記多葉状断面繊維を含み、親水性繊維および熱接着性繊維から選択される少なくとも1種を含む繊維層を1又は2以上含む、上記1~5のいずれか1つに記載の不織布。
12.前記多葉状断面繊維を含み、親水性繊維および熱接着性繊維から選択される少なくとも1種を含む繊維層を1または2以上含むことに加えて、前記多葉状断面繊維の含有量が20質量%未満である繊維層を1又は2以上含む、上記11に記載の不織布。
13.前記多葉状断面繊維を含み、親水性繊維および熱接着性繊維から選択される少なくとも1種を含む繊維層を2層含み、前記多葉状断面繊維の含有量が20質量%未満である繊維層を1層含む不織布であって、前記多葉状断面繊維の含有量が20質量%未満である繊維層の両表面に、前記多葉状断面繊維を含み、親水性繊維および熱接着性繊維から選択される少なくとも1種を含む繊維層が積層されている、上記12に記載の不織布。
14.上記13に記載の不織布であって、多葉状断面繊維の含有量が20%未満である繊維層の両表面に積層されている、多葉状断面繊維を含み、親水性繊維および熱接着性繊維から選択される少なくとも1種を含む繊維層は、当該繊維層に含まれる繊維の繊維間が熱接着されていないことを特徴とする不織布。
15.前記不織布が、前記多葉状断面繊維、前記親水性繊維、および前記熱接着性繊維のみからなる、単層構造の不織布である上記6~10のいずれか1つに記載の不織布。
16.上記1~14のいずれか1つに記載の不織布を基材とし、前記基材100質量部に対して、液体が100質量部以上、1000質量部以下の範囲内にある割合で含浸されている、ウェットワイピングシート。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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