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公開番号2024177665
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-20
出願番号2023095921
出願日2023-06-10
発明の名称EV自動車と緯編パイル布帛
出願人個人,個人
代理人個人
主分類D04B 1/02 20060101AFI20241213BHJP(組みひも;レース編み;メリヤス編成;縁とり;不織布)
要約【課題】立体的に賦形加工されてパイル面(12)に生成される出隅(3)にパイルの根元(13)が露顕するグリンニング現象が生起することなく、又、零れ落ちた飲料水等が直ちに透過することなく暫しパイル層(21)に保持される遮水性を具備し、EV自動車足元マットに適したパイル布帛を得る。
【解決手段】緯糸(18)が平編組織で編成される緯編基布(15)にパイル糸(17)を編み込んだ緯編パイル布帛(16)において、コース方向において隣り合う二株のパイル間隔(α)を0.38cm未満とし、ウエール方向で隣り合う二株のパイル間隔(β)を0.25cm未満とし、単位面積(10×10cm2)当たりのパイル密度(Θ)を1050株以上とし、、パイル層の単位深さ1cmと単位面積100cm2当りの“標準パイル繊維目付”(δ)を5g/100cm3以上とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
(1) 緯糸(18)が平編組織をもって編成される緯編基布(15)にパイル糸(17)が編み込まれ、パイル糸(17)が緯糸(18)と一体になって平編組織のニードルループ(20)を構成すると共に緯糸(18)の構成するシンカーループ(19g)に重なるシンカーループ(19p)を以ってニードルループ(20)の裏目から突出して2本の根元(13)が当該ニードルループ(20)に包囲されたパイル(22)を形成している緯編パイル布帛(16)であり、
(2)(a) 一つのニードルループ(20)に包囲される2本の各根元の2本のパイルを以って一株のパイルとし、コース方向の長さ10cmの一辺とウエール方向の長さ10cmの一辺とが直交する正方形の面積の10×10cm

を以って示される単位面積内に介在するパイルの株数を以って示されるパイル密度(Θ)が1050株/100cm

以上であり、
(3) パイル層の単位深さ(1cm)と前記単位面積(100cm

)当りの“標準パイル繊維目付”(δ)が5g/100cm

以上であることを特徴とする緯編パイル布帛。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
(1) コース方向において隣り合う二株のパイルの間隔α(cm)と、ウエール方向で隣り合う二株のパイル間の間隔β(cm)を以って単位面積内に介在するパイルの株数を以って示されるパイル密度(Θ)が1050株/100cm

以上であり、
(2) パイル糸(17)が、多数のフィラメント(繊維)に成り、緯糸(18)の標準繊度がパイル糸の標準繊度よりも細いことを特徴とする前掲請求項1に記載の緯編パイル布帛。
【請求項3】
(1) パイル糸(17)が、捲縮繊維を主材として構成されており、緯糸(18)よりも嵩高であり、
(2) 緯編パイル布帛(16)から解き出された緯糸(18)を100℃の沸騰水に60分間浸漬して取り出された当該緯糸(18)の熱水収縮率が10%未満であることを特徴とする前掲請求項1と請求項2の何れかに記載の緯編パイル布帛。
【請求項4】
(1) パイル糸(17)が、多数のフィラメント(繊維)に成る標準繊度が200~600(標準dtex)のマルチフィラメントヤーン(多繊維糸条)であり、
(2) 緯糸(18)の標準繊度がパイル糸の標準繊度の1/2~1/3に該当する100~200(標準dtex)のマルチフィラメントヤーン(多繊維糸条)であり、
(3) パイル面に表裏するパイル布帛(16)の裏面にバインダーが付与されており、バインダーによって緯糸(18)が肥大化していることを特徴とする前掲請求項1と請求項2と請求項3の何れかに記載の緯編パイル布帛。
【請求項5】
パイル布帛(16)の裏面に付与されているバインダーに撥水材が付与されている前掲請求項4に記載の緯編パイル布帛。
【請求項6】
パイル面(12)に表裏するパイル布帛の裏面に裏材(8)が積層されていることを特徴とする前掲請求項1と請求項2と請求項3と請求項4と請求項5の何れかに記載の緯編パイル布帛。
【請求項7】
パイル面(12)に表裏するパイル布帛の裏面と裏材(8)の間に介在する接着材成分(31)が、パイル層(21)に食み出ることなく基布(15)を構成している緯糸(18)に接着していることを特徴とする前掲請求項6に記載の緯編パイル布帛。
【請求項8】
鍛造加工が施されて立体的に賦形されていることを特徴とする前掲請求項1と請求項2と請求項3と請求項4と請求項5と請求項6と請求項7の何れかに記載の緯編パイル布帛。
【請求項9】
自動車足元マット(1)の表装を構成していることを特徴とする前掲請求項1と請求項2と請求項3と請求項4と請求項5と請求項6と請求項7と請求項8の何れかに記載の緯編パイル布帛。
【請求項10】
ウエール方向のパイル間隔(β)がコース方向のパイル間隔(α)よりも狭くなっていること(β<α)を特徴とする前掲請求項1と請求項2と請求項3と請求項4と請求項5と請求項6と請求項7と請求項8と請求項9の何れかに記載の緯編パイル布帛。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の足元のように入り込んで起伏のある下地面に添って施工し易く、而も出隅にあってグリンニングを発生せず、零れた液体が透過し難いカーペットやEV自動車足元マット、保温、断熱、吸音、防音、保湿、吸湿、接着施工性に優れた壁紙その他の内装材、高熱殺菌処理に耐えて変形せず養護老人ホームや病室での使用に適したシーツやカーテンに適し、折り畳み易く、コンパクトに梱包し収納し易いパイル布帛に関するものである。
続きを表示(約 4,100 文字)【背景技術】
【0002】
パイル布帛には、織パイル布帛、経編パイル布帛、緯編パイル布帛、タフテットパイル布帛がある。
カーペットは、床下地面に敷き込み、その上を踏み歩いて使用されることから、それには、単繊維繊度17“標準dtex”、総繊度1365“標準dtex”(例えば、特許文献1参照)或は、単繊維繊度17“標準dtex”、総繊度3000“標準dtex”(例えば、特許文献2参照)等の太手のパイル糸の使用されたタフテットパイル布帛や織パイル布帛、特に生産効率の高いタフテットパイル布帛が好適に使用されている。
これに対して経編パイル布帛や緯編パイル布帛は、それらの生産装置である編機のニードルは同じ“ニードル”と称されていても、タフテット機のニードルに比して著しく繊細かつ複雑、而も、配列間隔(ニードルゲージ)が細かいことから総繊度1100“標準dtex”を超える太手のパイル糸は適用し得ず、細手のパイル糸を適用して得られることから感触が柔らかく寝具や肌着に使用され、カーペットには馴染み難い。
【0003】
タフテットパイル布帛の中には、薄手の基布を使用し、コンパクトに梱包し収納し易く仕上げた簡易敷物もあるが(例えば、特許文献3参照)、緯編パイル布帛ほどには柔らかくはなく、表向きに折り畳んだパイル層には割れ目が出来てパイル根元の基布が、恰も、つむんだ上唇と下唇の間の隙間から剥き出た歯並びのように見える所謂“グリンニング(grinning / 歯を剥き出す)”と言われる不具合な外観を呈することにもなる(例えば、特許文献4参照)。
特に、自動車足元マットでは、車体床フレームにフイットする立体形状に成形されていてパイル面が割れて突き出た出隅が多く、その割れ目にパイルの根元の陰影が朧ながらも現れて“グリンニング”の問題を惹起する。
尤も、パイル面が割れて生じる“グリンニング”を利用して染液をパイルの根元に至るまで吹き付けてパイル面を濃色にしようとする連続染色法も試みとしては提案されている(例えば、特許文献5参照)。
【0004】
図7に示すように、タフテットパイル布帛(11)のパイル面(12x)は、密集した毛氈苔や刈入れを終えて切り株の残った稲田のように描写され、基布(15x)にはパイルの根元(13)から浮き出たパイル糸は縦方向に続く根元(13x,13x、13x………)を結ぶバックステッチ(10)となって続き、左右のバックステッチ(13x~13x)の間は窪み(9)となって縦方向に続く。
このバックステッチ(10)は、タフテットパイル布帛(11)には寧ろ当然に発生するようなものだが、パイル糸の使用量の凡そ三割を占めており タフテットパイル布帛(11)のコストアップの要因となっている。
タフテットパイル布帛の側面は、並べられたワイングラスの隙間や枝葉に覆われた並木道のように描写することが出来ることからしても容易に理解されることからしても明らかなように、パイル面に零れ落ちた水はパイルの根元間(13x~13x)の隙間(14x)に溜まり、そこから基布を透過して基布(15x)の裏側へと回り込み。バックステッチ(13x~13x)の間の窪み(9)に溜り込むことになる。
【0005】
然るに、図2に図示されるように、パイル緯編機では、パイル糸(17)は、緯糸(18)よりも高く離れた高所からニードル(23)へと給糸されている。
シンカー(26)には、緯糸シンカーループ(19g)を形成する緯糸(18)を支承する緯糸係脱部(24)と、その緯糸係脱部(24)から高く隆起していてパイル(22)となるパイル糸シンカーループ(19g)を形成するパイル糸(17)を支承するパイル糸係脱部(25 ) が設定されている。
パイル糸係脱部(25 ) の先端は、シンカー(26)が隣り合うニードル間(23~23)の隙間へと突き出されるとき、上下二段に分かれて給糸されるパイル糸(17)と緯糸(18)の間に入り込むように、緯糸係脱部(24)の先端の突出方向と同じ方向にフック状に突き出ている。
ニードル(23)は、パイル糸係脱部(25 ) を越えて給糸されるパイル糸(17)よりも高く上昇し、パイル糸(17)と緯糸(18)を引っ掛けて降下する。
その降下の際に、パイル糸(17)はパイル糸係脱部(25 ) に引っ掛かり、緯糸(18)は緯糸係脱部(24)に引っ掛かる。
ニードル(23)が更に降下して先に形成された旧ニードルループ(20b) を潜り抜けると、給糸されて給糸口から続く新たなパイル糸(17)と緯糸(18)が旧ニードルループ(20b) がニードル(23)に引っ掛けられて新ニードルループ(20a) となって引き出される。
そして次の編成コースにおいてニードル(23)が上昇するとき、舌片(27)が新ニードルループ(20a) に引っ掛かり、ニードル(23)の鉤先が開いて、次コースでの編成工程が再び営まれることになる。
【0006】
このように、緯編パイル布帛(16)では、パイル糸(17)は、緯糸(18)と一体になって編み込まれ、緯糸と一体になってニードルループ(20)を形成して基布(15)の一部を構成している。
その基布は、シンカーループを介して構成されているので、隣り合うパイル(22,22)の根元(13,13)はニードルループ(20)によって結束されることになる。
従って、緯編パイル布帛には、タフテットパイル布帛の根元間(13~13)に並木道のように見られる隙間(14)は発生せず、パイル面に零れ落ちた水が瞬時に基布を透過して基布の裏面に溜まる事態は避けられることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
実公平8-3323号公報(実施例1)
実公昭55-47428号公報
実公昭60-38714号公報
特公平5-55626号公報
特公昭62-50502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが緯編パイル布帛、特に、ニードルやシンカーが筒状に配置されている丸編機によって編成された緯編パイル布帛には、緯糸(18)が続く横方向にも、横方向に直交する縦方向にも、他のパイル布帛、即ち、織パイル布帛、経編パイル布帛、タフテットパイル布帛の何れのパイル布帛に較べても大きく伸縮する特異な特性が認められる。
それは丸編機に編成される緯編布帛(16)の緯糸(18)は、編成時にはニードルが筒状に配列されたシリンダーの周面に巻き付けるようにフイーダー(給糸口)から隣り合うニードルを直線で結ぶように給糸されてニードルループ(20)やシンカーループ(19)が横に広がった横長編目(28)となる(図4参照)。
しかし、それがニードルやシンカーから外れて取り出される取出過程ではシリンダーの軸芯方向に引っ張られて縦に細長の縦長編目(29)に変形する(図5参照)。
そして緯編機から取り出されて緊張から解かれてフリーになると、ニードルループ(20)やシンカーループ(19)が丸味を帯びた弛緩編目(30)に変形して実用に供され、縦横に引っ張られて伸縮することになる(図3参照)。
【0009】
そうであれば、パイル面に零れ落ちた水が瞬時に基布を透過しないようにするには、バインダーを基布に付与し、バインダーによってニードルループ(20)やシンカーループ(19)を固めて丸味を帯びた状態に維持し、以って基布(15)の伸縮変形を抑えることが肝要に思われた。
そのためには、緯糸(18)をモノフィラメントヤーン(単繊維糸条)とせずにマルチフィラメントヤーン(多繊維糸条)として緯糸内部の繊維間の隙間をバインダーで充填し、以って緯糸を肥大化して固め、ニードルループ(20)やシンカーループ(19)を丸味を帯びた状態に維持し、基布(15)の伸縮変形を抑えることが肝要となる。
【0010】
緯編パイル布帛では、パイル糸(17)は、緯糸(18)と一体になって編み込まれ、緯糸(18)と一体になってニードルループ(20)を形成し、基布(15)の一部を構成し、パイル糸のシンカーループ(20)は、緯糸(18)のシンカーループ(19)から引き離されてパイル(22)を構成することになる。
そうなると、パイル糸(17)の総繊度を太くすればパイル層(21)の目付が増え、緯糸(18)の総繊度を細くすればニードルループ(20)を細かくすることが出来、パイル(22)を緻密にすることが出来、パイルの根元間(13~13)の隙間(14)を細かくすることが出来、パイル層内(21)の繊維の表面積が増え、パイル面に零れ落ちた水は表面張力が作用してパイル層内に吸着し透過し難くなり、叉、パイル層内の繊維が細かく触れ合っていてグリンニング(剥き出し)が発生し難くなる。
そして緯編パイル布帛は、一本一本のパイルを逐一摘まんで使用するものではなく、又、一本一本の緯糸(18)がバインダーによって補強されていれば、パイルを逐一摘まんで引っ張ってみても、ニードルループ(20)が引き千切られる訳ではない。
そうであれば、緯糸(18)の総繊度(太さ)がパイル糸(17)の総繊度(太さ)に比して少ない(細い)からと言って直ちに不都合が生じる訳ではなく、グリンニング(剥き出し)防止効果のみならず、ニードルループ(20)を形成してパイルの根元に食い込んで強く結束することにもなり、緯糸の形成するニードルループ(20)も細かくなって緯編パイル布帛の裏面が平滑になり、強化するために緯糸(18)に付与すべきバインダーの使用量も少なくて済むことにもなる。
(【0011】以降は省略されています)

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