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公開番号2024146061
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-15
出願番号2023058763
出願日2023-03-31
発明の名称光ファイバ母材の製造方法および光ファイバの製造方法
出願人古河電気工業株式会社
代理人弁理士法人酒井国際特許事務所
主分類C03B 37/012 20060101AFI20241004BHJP(ガラス;鉱物またはスラグウール)
要約【課題】アルカリ金属またはアルカリ土類金属を容易にかつ効率的に、十分かつ不純物少なく添加できる光ファイバ母材の製造方法およびこれを用いた光ファイバの製造方法を提供すること。
【解決手段】光ファイバ母材の製造方法は、シリカガラス管を準備する第1準備工程と、アルカリ金属成分またはアルカリ土類金属成分とシリカ粉末とを含む粉体を準備する第2準備工程と、前記シリカガラス管に前記粉体を充填する充填工程と、熱処理により、前記粉体から前記シリカガラス管の内部にアルカリ金属またはアルカリ土類金属を拡散させる拡散工程と、前記アルカリ金属またはアルカリ土類金属を内部に拡散させたシリカガラス管から、該シリカガラス管に固着していない前記粉体を除去する除去工程と、前記アルカリ金属またはアルカリ土類金属を内部に拡散させたシリカガラス管の外周を囲むようにクラッド部を形成するクラッド部形成工程と、を備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
シリカガラス管を準備する第1準備工程と、
アルカリ金属成分またはアルカリ土類金属成分とシリカ粉末とを含む粉体を準備する第2準備工程と、
前記シリカガラス管に前記粉体を充填する充填工程と、
熱処理により、前記粉体から前記シリカガラス管の内部にアルカリ金属またはアルカリ土類金属を拡散させる拡散工程と、
前記アルカリ金属またはアルカリ土類金属を内部に拡散させたシリカガラス管から、該シリカガラス管に固着していない前記粉体を除去する除去工程と、
前記アルカリ金属またはアルカリ土類金属を内部に拡散させたシリカガラス管の外周を囲むようにクラッド部を形成するクラッド部形成工程と、
を備える
光ファイバ母材の製造方法。
続きを表示(約 1,700 文字)【請求項2】
前記拡散工程の後であって、前記クラッド部形成工程の前に、前記シリカガラス管を中実化する中実化工程を備え、
前記クラッド部形成工程では、前記アルカリ金属またはアルカリ土類金属を内部に拡散させかつ中実化したシリカガラス管の外周を囲むように前記クラッド部を形成する
請求項1に記載の光ファイバ母材の製造方法。
【請求項3】
前記第1準備工程において、塩素が添加された前記シリカガラス管を準備する
請求項1に記載の光ファイバ母材の製造方法。
【請求項4】
シリカガラス管を準備する第1準備工程と、
アルカリ金属成分またはアルカリ土類金属成分とシリカ粉末とを含む粉体を準備する第2準備工程と、
シリカガラスロッドを準備する第3準備工程と、
前記シリカガラスロッドを前記シリカガラス管へ挿入する挿入工程と、
前記シリカガラス管と前記シリカガラスロッドとの隙間に前記粉体を充填する充填工程と、
熱処理により、前記粉体から前記シリカガラスロッドの内部にアルカリ金属またはアルカリ土類金属を拡散させる拡散工程と、
前記アルカリ金属を内部に拡散させたシリカガラスロッドから、該シリカガラスロッドに固着していない前記粉体を除去する除去工程と、
前記アルカリ金属またはアルカリ土類金属を内部に拡散させたシリカガラスロッドの外周を囲むようにクラッド部を形成するクラッド部形成工程と、
を備える
光ファイバ母材の製造方法。
【請求項5】
前記第3準備工程において、塩素が添加された前記シリカガラスロッドを準備する
請求項4に記載の光ファイバ母材の製造方法。
【請求項6】
シリカガラス管を準備する第1準備工程と、
アルカリ金属成分またはアルカリ土類金属成分とシリカ粉末とを含む粉体を準備する第2準備工程と、
シリカガラスロッドを準備する第3準備工程と、
前記粉体を前記シリカガラス管に充填する充填工程と、
熱処理により、前記粉体から前記シリカガラス管の内部にアルカリ金属またはアルカリ土類金属を拡散させる拡散工程と、
前記アルカリ金属またはアルカリ土類金属を内部に拡散させたシリカガラス管から、該シリカガラス管に固着していない前記粉体を除去する除去工程と、
前記シリカガラス管を前記シリカガラスロッドにジャケットするジャケット工程と、
前記ジャケットしたシリカガラス管の外周を囲むようにクラッド部を形成するクラッド部形成工程と、
を備える
光ファイバ母材の製造方法。
【請求項7】
前記第1準備工程において、塩素が添加された前記シリカガラス管を準備し、前記第3準備工程において、塩素が添加された前記シリカガラスロッドを準備する
請求項6に記載の光ファイバ母材の製造方法。
【請求項8】
前記除去工程の後に、前記シリカガラス管または前記シリカガラスロッドに固着した前記粉体を除去する第2除去工程をさらに備える
請求項1~7のいずれか一つに記載の光ファイバ母材の製造方法。
【請求項9】
前記アルカリ金属成分は、アルカリ金属のケイ酸塩、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ金属の硝酸塩、アルカリ金属の硫酸塩、およびアルカリ金属の水酸化物のうち、少なくとも1種類のアルカリ金属化合物として含まれており、
前記アルカリ土類金属成分は、アルカリ土類金属のケイ酸塩、アルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ土類金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の硝酸塩、アルカリ土類金属の硫酸塩、およびアルカリ土類金属の水酸化物のうち、少なくとも1種類のアルカリ土類金属化合物として含まれている
請求項1~7のいずれか一つに記載の光ファイバ母材の製造方法。
【請求項10】
前記拡散工程では、シリカ粉末の焼結が顕著に進行しない条件にて前記熱処理を行う
請求項1~7のいずれか一つに記載の光ファイバ母材の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ母材の製造方法および光ファイバの製造方法に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
デジタルコヒーレント伝送技術の実用化により、光ファイバ伝送路における高速大容量化が進行している。これに伴って、伝送システムにおいて高いSNR(信号対雑音比)が求められており、光伝送システムにおいて伝送路を構成する光ファイバにおいては、より低い伝送損失特性が要求されている。
【0003】
光ファイバの伝送損失を低減するためには、光ファイバ中で発生するレイリー散乱を低減することが有効である。レイリー散乱はガラスの誘電率のゆらぎに起因しており、組成ゆらぎと密度ゆらぎとの2つの要因からなる。密度ゆらぎは、過冷却の液体状態からガラスとして固化する温度(仮想温度)に依存する。アルカリ金属を光ファイバのコア部中に添加することにより、仮想温度が著しく低下するため、レイリー散乱損失を低減できることが知られている(特許文献1参照)。また、アルカリ金属の代わりにアルカリ土類金属を用いても、仮想温度を低下させる効果が得られる。
【0004】
シリカガラスからなる光ファイバのコア部中にアルカリ金属を添加する方法として、下記のような方法が提案されている。
【0005】
たとえば、VAD(Vapor phase axial deposition)法、あるいはOVD(Outside vapor deposition)法により、アルカリ金属を添加したシリカコアスートを合成し、該コアスートを脱水、ガラス化することでアルカリ金属添加コア母材を作製する方法が提案されている(特許文献2)。また、シリカコアスートを収納した石英炉心管内にアルカリ金属蒸気を導入し、該シリカコアスート中にアルカリ金属を浸透させ、添加する方法や(特許文献3)、炉心管内に投入したシリカコア母材の外表面からアルカリ金属を拡散添加させる方法が提案されている(特許文献4)。
【0006】
また、MCVD(Modified chemical vapor deposition)法により、シリカコア母材となる石英管の内側からアルカリ金属を拡散添加する方法が提案されている(特許文献5)。また、コア部とその外周にわたって隣接するガラス部分とを備えるコアロッドをガラスパイプの内側に配置して、コアロッドとガラスパイプの空隙部にアルカリ金属を含むガラス微粒子を充填し、コア部にアルカリ金属を添加する方法が提案されている(特許文献6)。また、アルカリ金属を添加したアルカリ金属添加シリカガラス体の周囲に少なくともコア部の一部となるシリカガラス体を形成し、熱処理により該アルカリ金属添加シリカガラス体から該シリカガラス体にアルカリ金属を拡散させる方法が提案されている(特許文献7)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
米国特許第5146534号明細書
米国特許公開第2004/0206127号明細書
特開2013-199399号公報
米国特許公開第2005/0129376号明細書
特開2012-162409号公報
特許第6719505号公報
特許第5995923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、アルカリ金属を添加する公知の方法は、いずれも改善の余地がある。たとえば、特許文献2の方法では、シリカスート中に取り込まれたアルカリ金属は、その後の脱水工程で流す塩素系ガスにより、容易に塩化され揮発してしまうので、所望の濃度のアルカリ金属をコア部に残留させることが難しい場合がある。また、特許文献3の方法では、アルカリ金属原料に含まれる遷移金属等の不純物もアルカリ金属とともに添加されてしまう場合があり、不純物を除去しようとして塩素による脱水精製工程をすると、アルカリ金属が揮発し、所望のアルカリ金属濃度が得られない場合がある。また、特許文献4の方法では、使用するアルカリ金属の殆どが炉外に排出されてしまうので、添加効率が悪いと考えられる。また、特許文献6の方法では、アルカリ金属を含むガラス微粒子に含まれる遷移金属等の不純物が混入しやすく、その後製造する光ファイバにおいて、不純物による光ファイバの断線や伝送損失の増加が生じる場合がある。また、特許文献7の方法では、アルカリ拡散工程後の冷却過程で、アルカリ金属添加シリカガラス体とシリカガラス体との軟化温度の差が大きいことに起因して、クラックが生じやすい場合がある。また、アルカリ金属添加シリカガラス体とシリカガラス体は溶着一体化するため、アルカリ金属添加シリカガラス体を穿孔により除去しなくてはならず、工程が煩雑になるという問題がある。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を容易にかつ効率的に、十分かつ不純物少なく添加できる光ファイバ母材の製造方法およびこれを用いた光ファイバの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様は、シリカガラス管を準備する第1準備工程と、アルカリ金属成分またはアルカリ土類金属成分とシリカ粉末とを含む粉体を準備する第2準備工程と、前記シリカガラス管に前記粉体を充填する充填工程と、熱処理により、前記粉体から前記シリカガラス管の内部にアルカリ金属またはアルカリ土類金属を拡散させる拡散工程と、前記アルカリ金属またはアルカリ土類金属を内部に拡散させたシリカガラス管から、該シリカガラス管に固着していない前記粉体を除去する除去工程と、前記アルカリ金属またはアルカリ土類金属を内部に拡散させたシリカガラス管の外周を囲むようにクラッド部を形成するクラッド部形成工程と、を備える光ファイバ母材の製造方法である。
(【0011】以降は省略されています)

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