TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
10個以上の画像は省略されています。
公開番号2024144435
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-11
出願番号2024111946,2022569478
出願日2024-07-11,2021-11-23
発明の名称AAVを産生する方法
出願人ツェヴェック ファーマシューティカルズ ゲーエムベーハー
代理人個人,個人,個人
主分類C12N 5/10 20060101AFI20241003BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】本発明が解決しようとする課題は、AAVベクターを安定して産生する拡大縮小可能なシステムを提供することである。
【解決手段】本発明は、安定なAAVプロデューサー宿主細胞株を準備する工程であって、AAVの産生に必要な成分をコードする少なくとも幾つかの又は全ての遺伝子が、細胞ゲノム中に安定して組み込まれる、工程と、AAV産生工程の間に上記細胞を灌流培養で培養する工程であって、上記灌流培養が、使用済培地の新鮮な培地との連続的な置換を包含し、使用済培地の新鮮な培地との上記連続的な置換がAAV産生の誘導後に続く、工程とを含む、アデノ随伴ウイルスを産生する方法に関する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
(a)安定なAAVプロデューサー宿主細胞株を準備する工程であって、AAVの産生に必要な成分をコードする少なくとも幾つかの又は全ての遺伝子が、宿主細胞ゲノム中に安定して組み込まれる、工程と、
(b)AAV産生工程の間(すなわち、N工程の間)に前記細胞を灌流培養で培養する工程であって、前記灌流培養が、使用済培地の新鮮な培地との連続的な置換を包含し、使用済培地の新鮮な培地との前記連続的な置換がAAV産生の誘導後少なくとも24時間にわたって続く、工程と、
を含む、アデノ随伴ウイルス(AAV)を産生する方法であって、
少なくとも以下の遺伝子:
AAV Repタンパク質Rep78又はRep68をコードする遺伝子、
AAV Repタンパク質Rep52又はRep40をコードする遺伝子、並びに、
アデノウイルスのヘルパー機能E4orf6及びE2Aをコードする遺伝子、
が前記宿主細胞ゲノム中に安定して組み込まれ、
前記安定なAAVプロデューサー宿主細胞株が、CAP細胞又はHEK293細胞から選択される細胞株である、方法。
続きを表示(約 1,500 文字)【請求項2】
少なくとも以下の遺伝子:
AAV Capタンパク質VP1、VP2及びVP3をコードする遺伝子、
AAV Repタンパク質Rep78又はRep68をコードする遺伝子、
AAV Repタンパク質Rep52又はRep40をコードする遺伝子、
アデノウイルスのヘルパー機能E4orf6及びE2Aをコードする遺伝子、並びに、AAV ITRが隣接する目的の遺伝子(GOI)、
が前記宿主細胞ゲノム中に安定して組み込まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記AAVが、AAV血清型1(AAV1)、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAVDJ、AAVDJ8、AAVrh10、2つ以上の異なる前記血清型の混成物及びAAV血清型の向性を変化させる突然変異を有する前記血清型からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記AAVの産生に必要な成分をコードする遺伝子が、AAV Capタンパク質VP1、VP2及びVP3をコードする遺伝子;AAV Repタンパク質Rep78、Rep68、Rep52及びRep40をコードする遺伝子;アデノウイルスのヘルパー機能E4orf6、E2A及びVA-RNAをコードする遺伝子;Ad5ヘルパー遺伝子E1A及びE1Bをコードする遺伝子;並びにAAV逆位末端反復配列(ITR)が隣接する目的の遺伝子(GOI)からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
以下の更なる遺伝子:
AAV Repタンパク質Rep78とRep68との両方をコードする遺伝子、
AAV Repタンパク質Rep52とRep40との両方をコードする遺伝子、及び、アデノウイルスのヘルパー機能E1A、E1Bのいずれか一方又は両方をコードする1つの遺伝子又は複数の遺伝子
が、前記宿主細胞ゲノム中に安定して組み込まれる、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
灌流培養が、撹拌槽バイオリアクター(STR)、軌道振盪バイオリアクター(OSB)、ロッキングベッドバイオリアクター、エアリフトバイオリアクター、管状バイオリアクター、中空糸バイオリアクター(HFBR)、固定床バイオリアクター又は流動床バイオリアクター中で実施される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
灌流培養に使用される灌流デバイスが、TFF(接線流濾過)モード又はATF(交互接線流)モードで使用される中空糸フィルター;浮遊膜、スピンフィルター、回転筒状フィルター、回転ディスクフィルター、遠心分離機、重力沈降機、ラメラ沈降機、小型細胞沈降機、アコースティック沈降機又は液体サイクロンである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
灌流培養のために使用される前記灌流デバイスがATFモードで使用される中空糸フィルターである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
使用済培地の新鮮な培地との前記連続的な置換が、AAV産生の誘導後少なくとも48時間又は少なくとも72時間にわたって、及び/又はAAVの回収まで続く、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
細胞特異的灌流速度(CSPR)が約0.01nL/細胞/日~約0.20nL/細胞/日である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、安定なAAVプロデューサー宿主細胞株を準備する工程であって、AAVの産生に必要な成分をコードする少なくとも幾つかの又は全ての遺伝子が、宿主細胞ゲノム中に安定して組み込まれる、工程と、AAV産生工程の間(すなわち、N工程の間)に上記細胞を灌流培養で培養する工程であって、上記灌流培養が、使用済培地の新鮮な培地との連続的な置換を包含し、使用済培地の新鮮な培地との上記連続的な置換がAAV産生の誘導後に続く、工程とを含む、アデノ随伴ウイルス(AAV)を産生する方法に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
最近、AAV由来のベクターに基づく遺伝子療法の治験及び製品の数が急速に増加している。遺伝子療法におけるAAVベクターの利点は、優れた安全性プロファイル、そのようなベクターは病原性でない、すなわち、あらゆる疾患と関係がないという事実、導入遺伝子の長期の発現、並びに分裂細胞及び非分裂細胞を形質導入する可能性である。しかし、この有望な研究を臨床開発に移行させるための主な課題は、かなりの量のAAVウイルスベクターを高品質で送達するという課題である。
【0003】
組換えAAVの産生は、トランスで供給される組換えウイルスの産生のために、通常AAVゲノムにコードされるAAV Rep及びCapタンパク質の発現を特に必要とする。さらに、異なるヘルパーウイルスに由来し得るヘルパー遺伝子が使用され、最も一般的なものは、アデノウイルス(AV)から得られるヘルパーウイルス遺伝子、例えば、E1A、E1B、E2A、E4orf6又はVA RNAである。さらに、AAV逆位末端反復配列(ITR)が隣接する目的の遺伝子(GOI)を含むトランスファーベクターが必要とされる。
【0004】
AAVの現在の産生システムは、以下の技術に大抵依拠するが、幾つかの欠点がある。
【0005】
組換えAAVを産生する最も一般的なシステムは、AAV産生に必要である全ての遺伝子を一過性トランスフェクションによって産生細胞中に導入することに依拠する。一過性トランスフェクションは、通常、2つ又は3つのプラスミドシステム:目的の遺伝子を含むトランスファーベクター;アデノウイルスのヘルパー機能を有するpHelper;並びにカプシド及びレプリカーゼ機能を供給するpAAV-Rep2CapX(CapX=異なるAAV血清型のカプシド機能)を必要とする。しかし、このアプローチには幾つかの欠点がある。特に、一過性トランスフェクション工程が理由で、この方法は、高費用のプラスミドDNAを必要とし、十分な拡大縮小性、頑強性及び再現性を欠く。
【0006】
また、一過性トランスフェクションの工程は、大規模な培地及び供給最適化、並びにpH、温度又は細胞密度のようなプロセスパラメーターの産生中の変動のような、他の組換え型生物学的製剤の産生でよく見られる生成物の力価又は生成物の品質を高めるための或る特定のプロセス最適化工程を妨害する。特に、後者は、全体的な生成物の力価を高めるための有望なアプローチである。より高い細胞密度は、一般に、細胞特異的生産性が低下しない限り、力価が高まることにつながる(「細胞密度効果」)。特に、一過性トランスフェクションを使用している間は、細胞密度を高めると同時に細胞特異的生産性が低下する場合がある。これは、特に、ウイルスベクターの産生についても記載されている。
【0007】
AAVの産生は、特定の産生プロセスとは無関係に、AAV ITRが隣接するパッケージングされた目的の遺伝子(GOI)を意味する完全なAAV粒子と、パッケージングされたGOIを含まない空粒子との混合物を常にもたらす。例えばHEK293細胞等の哺乳動物懸濁細胞の一過性トランスフェクションによって達成されるAAVの力価は、プロセスに応じて、1×10
13
vg/L(ウイルスゲノム/L)~1×10
15
vg/Lの範囲である。一過性トランスフェクションによって、完全な粒子の割合は最大で約30%の完全な粒子と報告されたが、通常は10%~18%の範囲である。これは、82%~90%が望ましくない空粒子であることを意味する。空粒子は治療的に不活性であり、患者の免疫応答を高める可能性がある。したがって、産生後の精製プロセスにおいて、これらの空粒子は、できるだけ効率的に除去されなければならない。これは、有効であるが、拡大縮小可能ではないプロセスである遠心分離を介するか又はクロマトグラフィー法によるかのいずれかで達成することができる。後者は、大量産生にも利用可能であるが、完全な粒子の倍数濃縮は通常たった約3倍~6倍の範囲である。したがって、例えば、およそ10%の完全な粒子をともなう試料の濃縮は、たった約30%~60%の完全な粒子という最終的な割合をもたらす。
【0008】
既に安定して組み込みこまれた目的の遺伝子を有する、いわゆるプロデューサー細胞株は、HEK細胞又はHeLa細胞に大抵基づく。しかし、これらは、ヘルパーウイルス、例えばアデノウイルスによる更なる感染を必要とする。AAV産生中のヘルパーウイルスのこの追加は、対応するヘルパーウイルスの最初の産生の後に、産生されたAAVベクターの大規模な精製により最終的な生成物からヘルパーウイルスを除去すること、及び費用をかけてヘルパーウイルスが存在しないことを証明することを必要とする。単純ヘルペスウイルス(HSV)ベースのシステムにも同じことが当てはまる。さらに、バキュロウイルスベースのシステムは、十分な拡大縮小性及び頑強性を欠き、昆虫宿主細胞タンパク質及び免疫原性の昆虫細胞特異的グリコシル化構造物が混入する危険性を加える。
【0009】
したがって、現在のAAV産生システムは、拡大縮小性、頑強性、再現性、使いやすさ及び費用効率に関してだけでなく、生成物の品質に関しても制限されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の根底にある技術的課題は、特に、生成物の力価及び/又は細胞特異的収率及びさらにいっそう重要なことに、特に完全な粒子の割合の点から生成物の品質を高めることを目的として、一過性トランスフェクション又はヘルパーウイルスを必要とせず、AAV遺伝子療法ベクターの頑強な、産業的及び拡大縮小可能な産生、並びに大規模な上流プロセスの開発の最適化を可能にする、AAVベクターを安定して産生する拡大縮小可能なシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

個人
菊川深蒸し茶わり
24日前
池田食研株式会社
納豆菌発酵液
6日前
東洋紡株式会社
酵素の製造方法
12日前
豊田合成株式会社
細胞回収具
4日前
東レ株式会社
RNA溶液の製造方法
2日前
長谷川香料株式会社
抗菌活性評価方法
4日前
国立大学法人大阪大学
組成物
1か月前
テルモ株式会社
多段培養容器
1か月前
東洋紡株式会社
マウス組換え抗体の生産性向上
23日前
メルス ナムローゼ フェンノートシャップ
CLEC12AxCD3二重特異性抗体及び疾患の治療方法
2日前
新東工業株式会社
培養装置
9日前
株式会社アテクト
培養シート
4日前
国立大学法人大阪大学
新規ポリヌクレオチド
1か月前
株式会社MARS Company
善玉菌増殖方法
13日前
横河電機株式会社
観察培養装置
2日前
花王株式会社
リパーゼ変異体
1か月前
学校法人近畿大学
柿を用いた酒類の製造方法
12日前
TDK株式会社
評価方法、及び評価装置
3日前
花王株式会社
リパーゼ変異体
1か月前
国立大学法人山梨大学
キメラタンパク質
23日前
JFEエンジニアリング株式会社
生細胞選別方法
23日前
JFEエンジニアリング株式会社
生細胞選別方法
4日前
株式会社リコー
液滴形成装置
4日前
国立大学法人京都大学
ウイルスベクターの製造方法
1か月前
三菱商事ライフサイエンス株式会社
スルフォラファンの製造方法
12日前
セイコーエプソン株式会社
キノコ栽培用培地
3日前
横河電機株式会社
状態特定方法
1か月前
澁谷工業株式会社
細胞培養方法および細胞培養装置
1か月前
花王株式会社
リパーゼの製造方法
1か月前
横河電機株式会社
状態特定方法
23日前
株式会社リコー
細胞培養用基材
9日前
国立大学法人 宮崎大学
臨床検体からのウイルスの分離方法
3日前
株式会社カネカ
細胞培養装置
13日前
住友ベークライト株式会社
細胞培養容器
1か月前
太平洋セメント株式会社
二酸化炭素の固定方法
1か月前
三菱ケミカル株式会社
油分分解剤
9日前
続きを見る