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公開番号2024123887
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-12
出願番号2023031675
出願日2023-03-02
発明の名称二酸化炭素の固定方法
出願人太平洋セメント株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類C12N 1/00 20060101AFI20240905BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】二酸化炭素の含有率が小さい(具体的には、体積基準で100~10,000ppm)二酸化炭素含有ガスを用いているにもかかわらず、容易にかつより多くの量の二酸化炭素を海水又は淡水に固定化することができる方法を提供する。
【解決手段】海水または淡水の中に二酸化炭素を固定するための方法であって、収容手段の中に、ケイ酸カルシウム含有材料からなる粉粒体である固体材料、及び、海水または淡水である液体材料を収容して、固体材料及び液体材料を含む二酸化炭素固定用材料を調製する二酸化炭素固定用材料調製工程と、収容手段の中に、二酸化炭素の含有率が体積基準で100~10,000ppmである二酸化炭素含有ガスを供給して、二酸化炭素固定用材料に、二酸化炭素含有ガスに含まれている二酸化炭素を固定する二酸化炭素含有ガス供給工程、を含む二酸化炭素の固定方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
海水または淡水の中に二酸化炭素を固定するための方法であって、
収容手段の中に、ケイ酸カルシウム含有材料からなる粉粒体である固体材料、及び、海水または淡水である液体材料を収容して、上記固体材料及び上記液体材料を含む二酸化炭素固定用材料を調製する二酸化炭素固定用材料調製工程と、
上記収容手段の中に、二酸化炭素の含有率が体積基準で100~10,000ppmである二酸化炭素含有ガスを供給して、上記二酸化炭素固定用材料に、上記二酸化炭素含有ガスに含まれている二酸化炭素を固定する二酸化炭素含有ガス供給工程、
を含むことを特徴とする二酸化炭素の固定方法。
続きを表示(約 580 文字)【請求項2】
上記二酸化炭素含有ガス供給工程において、上記二酸化炭素含有ガスとして、空気または排気ガスを用いる請求項1に記載の二酸化炭素の固定方法。
【請求項3】
上記二酸化炭素固定用材料調製工程において、上記固体材料の量が、上記液体材料の単位体積当たり、5~100g/リットルである請求項1に記載の二酸化炭素の固定方法。
【請求項4】
上記二酸化炭素固定用材料調製工程において、上記固体材料として、軽量気泡コンクリートからなる粉粒体を用いる請求項1に記載の二酸化炭素の固定方法。
【請求項5】
上記二酸化炭素含有ガス供給工程において、上記二酸化炭素含有ガスの供給が、上記液体材料の中に上記二酸化炭素含有ガスを吹き込むことによって行われる請求項1に記載の二酸化炭素の固定方法。
【請求項6】
上記二酸化炭素含有ガス供給工程において、上記二酸化炭素含有ガスの供給が、上記液体材料を撹拌しながら行われる請求項5に記載の二酸化炭素の固定方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の二酸化炭素の固定方法によって、上記二酸化炭素の固定を行った後、上記収容手段の中に、二酸化炭素を吸収する生物を収容し、上記生物に二酸化炭素を固定させることを特徴とする二酸化炭素の固定方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、海水または淡水の中に二酸化炭素を固定する方法に関する。
続きを表示(約 4,200 文字)【背景技術】
【0002】
現在、地球温暖化等の深刻な環境問題を受けて、世界中で脱炭素化に向けた取り組みが活発になっている。中でも、生物学的な二酸化炭素の固定化及び資源化は、環境負荷の小さい技術として現在注目されており、例えば、微細藻類等の独立栄養微生物を用いた二酸化炭素の固定化が知られている。
藻類を培養する過程でより多くの二酸化炭素を固定化することができる藻類の培養システムとして、例えば、特許文献1には、コンクリート廃材と、藻類を培養する培養水とを収容する収容装置と、前記収容装置の前記培養水にCO

を供給するCO

供給装置と、を備える藻類の培養システムが記載されている。
また、液体中の炭酸ガスの量が大きく、藻類の増殖を促進することができる液体として、特許文献2には、炭酸ガス含有水、及び、ケイ酸カルシウム含有材料からなる粒体を含む、藻類の増殖促進用の液体であって、上記炭酸ガス含有水の中の炭酸ガスの量が、500mg/リットル以上であることを特徴とする藻類の増殖促進用の液体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2022-144299号公報
特開2021-153452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
微細藻類等の独立栄養微生物を用いた二酸化炭素の固定化において、微細藻類等の独立栄養微生物は、主に水域に生息している。このため、微細藻類等に二酸化炭素の固定化を効率的に行わせる目的で、炭酸ガス(気体状の二酸化炭素)を高濃度で含む二酸化炭素含有ガスを水中に供給し、固定(溶解)することが考えられる。
しかし、炭酸ガスを高濃度で含む二酸化炭素含有ガスを水中に供給した場合、炭酸ガスの多くは、水中に固定(溶解)することなくそのまま大気中に放出されるため、非効率であるとともに、大気中の二酸化炭素濃度を大きくしてしまうという問題がある。
上記問題を解決する方法として、閉鎖系の設備を用いる方法が挙げられるが、該方法は、設備にかかるコストが過大になる。また、炭酸ガスを低濃度で含む二酸化炭素含有ガス用いる方法も挙げられるが、該方法は、炭酸ガスを水中に固定(溶解)させる効率が悪くなる。
本発明の目的は、二酸化炭素の含有率が小さい(具体的には、体積基準で100~10,000ppm)二酸化炭素含有ガスを用いているにもかかわらず、容易にかつより多くの量の二酸化炭素を海水又は淡水に固定化することができる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ケイ酸カルシウム含有材料からなる粉粒体、及び、海水または淡水を含む二酸化炭素固定用材料を調製する工程と、二酸化炭素の含有率が体積基準で100~10,000ppmである二酸化炭素含有ガスを供給して、二酸化炭素固定用材料に二酸化炭素を固定する工程を含む方法によれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[7]を提供するものである。
[1] 海水または淡水の中に二酸化炭素を固定するための方法であって、収容手段の中に、ケイ酸カルシウム含有材料からなる粉粒体である固体材料、及び、海水または淡水である液体材料を収容して、上記固体材料及び上記液体材料を含む二酸化炭素固定用材料を調製する二酸化炭素固定用材料調製工程と、上記収容手段の中に、二酸化炭素の含有率が体積基準で100~10,000ppmである二酸化炭素含有ガスを供給して、上記二酸化炭素固定用材料に、上記二酸化炭素含有ガスに含まれている二酸化炭素を固定する二酸化炭素含有ガス供給工程、を含む二酸化炭素の固定方法。
【0006】
[2] 上記二酸化炭素含有ガス供給工程において、上記二酸化炭素含有ガスとして、空気または排気ガスを用いる前記[1]に記載の二酸化炭素の固定方法。
[3] 上記二酸化炭素固定用材料調製工程において、上記固体材料の量が、上記液体材料の単位体積当たり、5~100g/リットルである前記[1]又は[2]に記載の二酸化炭素の固定方法。
[4] 上記二酸化炭素固定用材料調製工程において、上記固体材料として、軽量気泡コンクリートからなる粉粒体を用いる前記[1]~[3]のいずれかに記載の二酸化炭素の固定方法。
[5] 上記二酸化炭素含有ガス供給工程において、上記二酸化炭素含有ガスの供給が、上記液体材料の中に上記二酸化炭素含有ガスを吹き込むことによって行われる前記[1]~[4]のいずれかに記載の二酸化炭素の固定方法。
[6] 上記二酸化炭素含有ガス供給工程において、上記二酸化炭素含有ガスの供給が、上記液体材料を撹拌しながら行われる前記[5]に記載の二酸化炭素の固定方法。
[7] 前記[1]~[6]のいずれかに記載の二酸化炭素の固定方法によって、上記二酸化炭素の固定を行った後、上記収容手段の中に、二酸化炭素を吸収する生物を収容し、上記生物に二酸化炭素を固定させることを特徴とする二酸化炭素の固定方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の二酸化炭素の固定化方法によれば、二酸化炭素の含有率が小さい(具体的には、体積基準で100~10,000ppm)二酸化炭素含有ガスを用いているにもかかわらず、容易にかつより多くの量の二酸化炭素を海水又は淡水に固定化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の二酸化炭素の固定化方法は、海水または淡水の中に二酸化炭素を固定するための方法であって、収容手段の中に、ケイ酸カルシウム含有材料からなる粉粒体である固体材料、及び、海水または淡水である液体材料を収容して、固体材料及び液体材料を含む二酸化炭素固定用材料を調製する二酸化炭素固定用材料調製工程と、収容手段の中に、二酸化炭素の含有率が体積基準で100~10,000ppmである二酸化炭素含有ガスを供給して、二酸化炭素固定用材料に、二酸化炭素含有ガスに含まれている二酸化炭素を固定する二酸化炭素含有ガス供給工程を含むものである。
以下、工程ごとに詳しく説明する。
【0009】
[二酸化炭素固定用材料調製工程]
本工程は、収容手段の中に、ケイ酸カルシウム含有材料からなる粉粒体である固体材料、及び、海水または淡水である液体材料を収容して、固体材料及び液体材料を含む二酸化炭素固定用材料を調製する工程である。
収容手段は、上記固体材料及び上記液体材料を収容できるものであれば特に限定されず、密閉されていない開放系の収容手段であってもよく、加圧できる構造を有する密閉容器等の閉鎖系の収容手段であってもよい。
中でも、設備にかかるコストを低減し、より容易に二酸化炭素を水に固定化する観点からは、密閉されていない開放系の収容手段が好ましい。
また、二酸化炭素含有ガス供給工程(後述)において、加圧下において二酸化炭素含有ガスを供給することで、二酸化炭素固定用材料により多くの二酸化炭素を固定することができる観点からは、閉鎖系の収容手段が好ましい。
【0010】
ケイ酸カルシウム含有材料とは、ケイ酸カルシウム水和物等のケイ酸とカルシウムを含む化合物を含有する材料である。
ケイ酸とカルシウムを含む化合物の例としては、トバモライト、ゾノトライト、CSHゲル、フォシャジャイト、ジャイロライト、ヒレブランダイト、及びウォラストナイト等が挙げられる。
トバモライトとは、結晶性のケイ酸カルシウム水和物であり、Ca

・(Si


18


)・4H
2
O(板状の形態)、Ca

・(Si


18


)(板状の形態)、Ca

・(Si


18


)・8H
2
O(繊維状の形態)等の化学組成を有するものである。
ゾノトライトとは、結晶性のケイ酸カルシウム水和物であり、Ca

・(Si


17
)・(OH)
2
(繊維状の形態)等の化学組成を有するものである。
CSHゲルとは、αCaO・βSiO
2
・γH
2
O(ただし、α/β=0.7~2.3、γ/β=1.2~2.7である。)の化学組成を有するものである。具体的には、3CaO・2SiO
2
・3H
2
Oの化学組成を有するケイ酸カルシウム水和物等が挙げられる。
フォシャジャイトとは、Ca

(SiO



(OH)

等の化学組成を有するものである。
ジャイロライトとは、(NaCa

)Ca
14
(Si
23
Al)O
60
(OH)

・14H

O等の化学組成を有するものである。
ヒレブランダイトとは、Ca

SiO

(OH)

等の化学組成を有するものである。
ウォラストナイトとは、CaO・SiO

(繊維状又は柱状の形態)等の化学組成を有するものである。
ケイ酸カルシウム含有材料は、上述した化学組成を有するものを単独で含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
(【0011】以降は省略されています)

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