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公開番号2024143793
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-11
出願番号2023056675
出願日2023-03-30
発明の名称抗ブタノロウイルス抗体
出願人花王株式会社
代理人弁理士法人アルガ特許事務所
主分類C12N 15/13 20060101AFI20241003BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】特定の遺伝子型のノロウイルス粒子に対して特異的な結合活性を示す抗ブタノロウイルス抗体を提供する。
【解決手段】例えば、GLTFSMYSMG(配列番号1)で示されるアミノ酸配列からなるCDR1、SINWSGGSTY(配列番号2)で示されるアミノ酸配列からなるCDR2、及びDFSFLSRCKLGSSGYDY(配列番号3)で示されるアミノ酸配列からなるCDR3、で示されるCDRを含む構造ドメインを1つ以上有する、ブタノロウイルスに結合する抗体を提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
以下の(a)、(b)、(c)、(d)又は(e)で示されるCDRを含む構造ドメインを1つ以上有する、ブタノロウイルスに結合する抗体。
(a)GLTFSMYSMG(配列番号1)で示されるアミノ酸配列からなるCDR1、SINWSGGSTY(配列番号2)で示されるアミノ酸配列からなるCDR2、及びDFSFLSRCKLGSSGYDY(配列番号3)で示されるアミノ酸配列からなるCDR3
(b)GIVFSVYPMG(配列番号4)で示されるアミノ酸配列からなるCDR1、GINSFHNTT(配列番号5)で示されるアミノ酸配列からなるCDR2、及びGAYRRLCPIEEYGMDF(配列番号6)で示されるアミノ酸配列からなるCDR3
(c)GRAFSSYMVG(配列番号7)で示されるアミノ酸配列からなるCDR1、AIAWSTY(配列番号8)で示されるアミノ酸配列からなるCDR2、及びGFPTLVALPYEYDY(配列番号9)で示されるアミノ酸配列からなるCDR3
(d)GITFSNTAMT(配列番号10)で示されるアミノ酸配列からなるCDR1、SINKSGDEVA(配列番号11)で示されるアミノ酸配列からなるCDR2、及びPYFGS(配列番号12)で示されるアミノ酸配列からなるCDR3
(e)GSIFSFNAMA(配列番号13)で示されるアミノ酸配列からなるCDR1、GITSGGRTS(配列番号14)で示されるアミノ酸配列からなるCDR2、及びTRWATNSIAIRQVESYDY(配列番号15)で示されるアミノ酸配列からなるCDR3
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
ブタノロウイルス構造タンパク質に結合する、請求項1記載の抗体。
【請求項3】
単一ドメイン抗体又はその多量体である、請求項1又は2記載の抗体。
【請求項4】
単一ドメイン抗体がVHH抗体である、請求項3記載の抗体。
【請求項5】
単一ドメイン抗体の多量体が、前記構造ドメインを複数連結した多量体である請求項3記載の抗体。
【請求項6】
単一ドメイン抗体の多量体が、前記構造ドメインの1又は複数と、該構造ドメインとは抗原特異性の異なる構造ドメインの1又は複数を連結した多量体である請求項3記載の抗体。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項記載の抗体をコードする核酸。
【請求項8】
以下の(a)、(b)、(c)、(d)又は(e)で示されるCDRを含む構造ドメインを1つ以上有する、ノロウイルスに結合する抗体を被験試料に接触させる工程を含む、試料中のブタノロウイルスの検出方法。
(a)GLTFSMYSMG(配列番号1)で示されるアミノ酸配列からなるCDR1、SINWSGGSTY(配列番号2)で示されるアミノ酸配列からなるCDR2、及びDFSFLSRCKLGSSGYDY(配列番号3)で示されるアミノ酸配列からなるCDR3
(b)GIVFSVYPMG(配列番号4)で示されるアミノ酸配列からなるCDR1、GINSFHNTT(配列番号5)で示されるアミノ酸配列からなるCDR2、及びGAYRRLCPIEEYGMDF(配列番号6)で示されるアミノ酸配列からなるCDR3
(c)GRAFSSYMVG(配列番号7)で示されるアミノ酸配列からなるCDR1、AIAWSTY(配列番号8)で示されるアミノ酸配列からなるCDR2、及びGFPTLVALPYEYDY(配列番号9)で示されるアミノ酸配列からなるCDR3
(d)GITFSNTAMT(配列番号10)で示されるアミノ酸配列からなるCDR1、SINKSGDEVA(配列番号11)で示されるアミノ酸配列からなるCDR2、及びPYFGS(配列番号12)で示されるアミノ酸配列からなるCDR3
(e)GSIFSFNAMA(配列番号13)で示されるアミノ酸配列からなるCDR1、GITSGGRTS(配列番号14)で示されるアミノ酸配列からなるCDR2、及びTRWATNSIAIRQVESYDY(配列番号15)で示されるアミノ酸配列からなるCDR3
【請求項9】
請求項1~6のいずれか1項記載の抗体を含有するブタノロウイルス検出キット。
【請求項10】
請求項1~6のいずれか1項記載の抗体を含有するブタノロウイルス感染症の予防又は治療薬。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は特定の遺伝子型のノロウイルス粒子に対して特異的な結合活性を示す抗ブタノロウイルス抗体に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
ノロウイルスはカリシウイルス科に属する,エンベロープを持たない直径約30~40nmの球形ウイルスである。ノロウイルスはヒトに対して嘔吐、下痢などの急性胃腸炎症状を起こすが、ヒト以外にも様々な宿主に対して感染性を示すことが報告されている。ノロウイルスのゲノムは約7.6kbの1本鎖(+)RNAであり、近年ではゲノム相同性に基づき遺伝子群1(GI)、遺伝子群2(GII)、遺伝子群3(GIII)、遺伝子群4(GIV)、遺伝子群5(GV)、遺伝子群6(GVI)及び遺伝子群7(GVII)の7つの遺伝子群に分類されている。このうち、GIがヒト、GIIがヒト、ブタ、GIIIがウシ、GIVがヒト、ネコ、イヌ、GVがマウス、GVI及びGVIIがイヌへの感染性を示す(非特許文献1参照)。
【0003】
ノロウイルスの各遺伝子群には複数の遺伝子型が存在する。ノロウイルスの場合、各遺伝子型はそれぞれ異なる抗原性を示すが、同一遺伝子型は同じ抗原性を示すとされる。ノロウイルスのゲノムは変異速度が非常に速く、さらに異なる遺伝子型のウイルス間で組換えを起こすことが報告されており、新たな遺伝子型を示すノロウイルスの出現も確認されている。そのため、ノロウイルスを正確に分類することや遺伝子型を識別することは非常に重要である。
【0004】
現在までに、ヒトへの感染性を示すノロウイルス(以下、ヒトノロウイルスと呼ぶ)では、GIノロウイルスとしてGI.1~GI.9の遺伝子型、GIIノロウイルスとして少なくともGII.1~GII.10、GII.12~GII.17、GII.20~GII.22の遺伝子型が報告されている。ヒトノロウイルスは、日本国内においては例年秋から冬を中心に流行する感染性胃腸炎の主要な原因の1つである。ヒトノロウイルスは学校や、医療施設、食品取扱施設などの集団施設に持ち込まれると集団発生を引き起こし、食品を汚染すると食中毒の原因となる。そのため、ヒトノロウイルスの疫学情報は重要であり、国内では厚生労働省や国立感染症研究所などでノロウイルスの遺伝子群、遺伝子型を含めた疫学データの収集が行われている。
【0005】
一方、ヒトノロウイルスと同じGIIに分類されるノロウイルスのうち、GII.11、GII.18、GII.19はブタに感染することが報告されている(以下、ブタノロウイルスと呼ぶ)。これらブタノロウイルスは、ヒトノロウイルスの中でも流行性の高いGIIノロウイルスと近縁であるとされる。現在までに、ブタノロウイルスのヒトへの感染は報告されていない。しかしながら、GIIノロウイルスにおいて、流行性の高いヒトノロウイルスに近い遺伝子型のブタノロウイルスが報告されている(非特許文献2、3参照)。そのため、ブタはノロウイルスのヒトへの感染源としてだけでなく、新たな組換え型発生のリザーバーとなる可能性としても公衆衛生的問題が懸念されている(非特許文献4参照)。そのため、ブタノロウイルスに関しても疫学調査が行われている。
【0006】
ブタノロウイルスを特異的に検出できることは、ブタノロウイルスの疫学調査を行う上でも重要となる。特に、ヒトノロウイルスとブタノロウイルスは同一の遺伝子群(GII)を形成することから、疫学的情報を得るためには、遺伝子型レベルの識別方法が必要となる。
【0007】
ウイルス由来のタンパク質の検出する方法では抗体が用いられ、例えばイムノクロマト法やELISA(Enzyme-linked immuno-sorbent assay)法を測定原理とした抗原検査法がこれに該当する。ノロウイルスの場合、各遺伝子型はそれぞれ異なる抗原性を示すが、同一遺伝子型は同じ抗原性を示すとされる。また、ノロウイルスの構造タンパク質であるVP1タンパク質には、遺伝子群毎にアミノ酸配列が保存されている領域がする。そのためノロウイルスに対しても、イムノクロマト法やELISA法を測定原理とした抗原検査キットが市販されている。
【0008】
しかし、斯かる市販のキットでは、GI及びGIIノロウイルスのカプシドタンパク質に幅広く結合するモノクローナル、又はポリクローナルIgG抗体が用いられているため、GIIノロウイルスにおいて、遺伝子型を判別できるものはない。また、現在までにブタノロウイルスであるGII.11、GII.18、GII.19に対して特異的な抗体として公開されているものはない。ブタノロウイルスに対して優れた結合活性と結合特異性を示す抗体は、ブタノロウイルスの迅速かつ簡便な検出及び識別において重要となるが、ゲノム変異の速度が速く、非常に多くの遺伝子型が報告されているノロウイルスにおいて、遺伝子型レベルの高い特異性を示す抗体を開発することは困難という課題がある。
【0009】
一方、市販されている抗原検査キットの殆どはマウスやウサギ等に由来するモノクローナル、又はポリクローナルIgG抗体が用いられている。VHH(Variable domain of heavy chain of heavy chain antibody)はラクダ科動物が有する重鎖抗体の可変部ドメインからのみなる単一ドメイン抗体の1つである。VHHはIgG抗体と同等の結合活性を示しながらも、(1)IgG抗体と比較して分子量が10分の1程度であり、従来の抗体では結合できない新規のエピトープが期待されること、(2)IgG抗体とは異なり、可逆性の高いタンパク質構造をもち、熱や圧に対して優れた耐性を示すこと、(3)IgG抗体とは異なり、酵母や細菌等の微生物を用いた生産が可能であること、等の特徴をもつ。さらに、(4)VHHは、cDNAディスプレイ法やファージディスプレイ法等の試験管内の抗体選抜技術との親和性が非常に高く、マウスやウサギ等への免疫によって得られるIgG抗体と比較して、より短期間に開発することが可能である。そのため、VHHは医薬品や検査薬に用いられてきたIgG抗体やIgA抗体といった従来の免疫グロブリンに代わる抗体としてその利用が期待されている。
【0010】
抗原検査キットの開発においても、VHHの優位性は明らかである。特に、VHHが有する特性から、(1)VHHは粒子やニトロセルロース膜に高密度に固相化することが可能であり、より多くのパラトープを基材上に提示することができること、(2)VHHはタンパク質としての安定性に優れており、製品のより優れた保存安定性が期待できること、(3)VHHは微生物によって大量かつ安価に生産可能であるため、製造原価をより低減させることが出来ること、(4)VHHはイムノクロマト法において非特異的反応の原因となりうるFc領域を有さないこと、がIgG抗体と比較して優位であると考えられる。
(【0011】以降は省略されています)

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