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公開番号2024134220
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-03
出願番号2023044417
出願日2023-03-20
発明の名称アニオン変性ミクロフィブリルセルロース
出願人日本製紙株式会社
代理人個人,個人,個人,個人
主分類C08B 11/12 20060101AFI20240926BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】セルロースナノファイバーよりも解繊の程度の低いフィブリル化された化学変性セルロース繊維(ミクロフィブリルセルロース)において、新規な特徴を有するミクロフィブリルセルロース提供する。
【解決手段】(A)2次元複屈折評価システム顕微鏡で波長543nmで取得される位相差マップ画像から得られる平均位相差が10.0nm以下であり、平均位相差のばらつき(標準偏差)が15.0nm以下であり、(B)平均繊維幅が1.0~28.0μmの範囲内であり、かつ(C)長さ加重繊維長分布における0~0.2mmの範囲にある繊維比率が80.0%以上であるアニオン変性MFC。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
下記条件(A)~(C)を満たすアニオン変性ミクロフィブリルセルロース:
(A)2次元複屈折評価システム顕微鏡で波長543nmで取得される位相差マップ画像から得られる平均位相差が10.0nm以下であり、平均位相差のばらつき(標準偏差)が15.0nm以下であること、
(B)平均繊維幅が1.0~28.0μmの範囲であること、及び
(C)長さ加重繊維長分布における、0~0.2mmの範囲にある繊維比率が80.0%以上であること。
続きを表示(約 500 文字)【請求項2】
平均位相差が8.0nm以下である、請求項1に記載のアニオン変性ミクロフィブリルセルロース。
【請求項3】
平均位相差が2.0nm以上である、請求項1又は2に記載のアニオン変性ミクロフィブリルセルロース。
【請求項4】
平均位相差が3.0nm以上である、請求項1又は2に記載のアニオン変性ミクロフィブリルセルロース。
【請求項5】
1質量%の固形分濃度の水分散体とした際の波長660nmの光の透過率が60.0%以下である、請求項1又は2に記載のアニオン変性ミクロフィブリルセルロース。
【請求項6】
(D)クリル値が2.0超4.0未満の範囲であること、
をさらに満たす、請求項1又は2に記載のアニオン変性ミクロフィブリルセルロース。
【請求項7】
(E)クリル値が2.0以下の範囲であること、
をさらに満たす、請求項1又は2に記載のアニオン変性ミクロフィブリルセルロース。
【請求項8】
請求項1又は2に記載のアニオン変性ミクロフィブリルセルロースを含む、水分散体。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、アニオン変性ミクロフィブリルセルロースに関する。
続きを表示(約 3,100 文字)【背景技術】
【0002】
セルロース分子鎖にカルボキシル基やカルボキシメチル基などのアニオン基を導入し、機械的に処理(解繊)すると、平均繊維幅が500nm未満となるようなナノスケールの繊維幅を有するセルロースナノファイバーへと変換することができることが知られている。特に繊維径が4nm前後のセルロースナノファイバーは、植物の細胞壁におけるセルロース束の基本単位であるシングルミクロフィブリルに相当するものである。このようなセルロースナノファイバーは、高いチキソトロピー性や保水性を有し、様々な分野で利用され得るが、非常に微細であるため、用途によっては使いづらい場合もある。例えば、製紙用添加剤としてセルロースナノファイバーを用いる場合には、少量であると、ワイヤーをすり抜けやすく歩留まりが悪い、紙の強度が出にくい、などの問題が生じる可能性がある。また、セルロースナノファイバーは、製造コストが高い。これに対し、本出願人は、セルロースナノファイバーよりも解繊の程度が低い、フィブリル化された化学変性セルロース繊維を提供した(特許文献1)。
【0003】
一方、木材パルプ原料の解繊の程度を客観的に定量評価するシステムとして、光学位相差分布解析を利用する方法が近年提案された(非特許文献1)。このシステムは、既定断面の石英流路に解繊パルプの水懸濁液を注入して解繊パルプ懸濁液の光学位相差をマッピング画像化するものであり、位相差画像の観測画角における平均位相差とそのばらつき(標準偏差)とが、解繊度を直接かつ定量的に反映するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
国際公開第2020/195671号
【非特許文献】
【0005】
K. Uetani, etc., "Direct determination of the degree of fibrillation of wood pulps by distribution analysis of pixel-resolved optical retardation", Carbohydrate Polymers, 254, 117460, 2020年12月1日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
セルロースナノファイバーよりも解繊の程度の低いフィブリル化された化学変性セルロース繊維(ミクロフィブリルセルロース)において、新規な特徴を有するミクロフィブリルセルロース提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討した結果、光学位相差分布解析により得られる平均位相差とそのばらつき(標準偏差)が特定の範囲内であり、また、平均繊維幅と、長さ加重繊維長分布における0~0.2mmの範囲にある繊維比率が特定の範囲内であるアニオン変性ミクロフィブリルセルロースを製造した。ミクロフィブリルセルロースは解繊の程度が低いため、ミクロンオーダーの繊維からナノファイバーに近い繊維まで、大小さまざまなサイズの繊維が混在した状態となっているところ、従来の繊維の寸法情報を直接的に導出する手法ではこのような繊維の混在状態をあらわすことはできなかった。これに対し、光学位相差分布解析により得られる平均位相差とそのばらつき(標準偏差)を用いることにより、このような繊維の混在状態の程度(繊維分布)も踏まえた解繊度が導出されることを見出した。本発明で得られるアニオン変性ミクロフィブリルセルロースは、このような繊維分布を踏まえ、未解繊に近い繊維の比率が少なく、サブミクロン程度まで微細化が進んだ繊維を多く含有し、さらに繊維サイズのバラツキが少ないものであり、繊維分布の調整がなされていない従来のミクロフィブリルセルロースに比べて、均一性や分散安定性、チキソトロピー性の発現、粘性の発揮などに優れることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
本発明としては、以下に限定されないが、次のものが挙げられる。
[1]下記条件(A)~(C)を満たすアニオン変性ミクロフィブリルセルロース:
(A)2次元複屈折評価システム顕微鏡で波長543nmで取得される位相差マップ画像から得られる平均位相差が10.0nm以下であり、平均位相差のばらつき(標準偏差)が15.0nm以下であること、
(B)平均繊維幅が1.0~28.0μmの範囲であること、及び
(C)長さ加重繊維長分布における、0~0.2mmの範囲にある繊維比率が80.0%以上であること。
[2]平均位相差が8.0nm以下である、[1]に記載のアニオン変性ミクロフィブリルセルロース。
[3]平均位相差が2.0nm以上である、[1]又は[2]に記載のアニオン変性ミクロフィブリルセルロース。
[4]平均位相差が3.0nm以上である、[1]又は[2]に記載のアニオン変性ミクロフィブリルセルロース。
[5]1質量%の固形分濃度の水分散体とした際の波長660nmの光の透過率が60.0%以下である、[1]~[4]のいずれか1つに記載のアニオン変性ミクロフィブリルセルロース。
[6](D)クリル値が2.0超4.0未満の範囲であること、をさらに満たす、[1]~[5]のいずれか1つに記載のアニオン変性ミクロフィブリルセルロース。
[7](E)クリル値が2.0以下の範囲であること、をさらに満たす、[1]~[5]のいずれか1つに記載のアニオン変性ミクロフィブリルセルロース。
[8][1]~[7]のいずれか1つに記載のアニオン変性ミクロフィブリルセルロースを含む、水分散体。
【発明の効果】
【0009】
本発明のアニオン変性ミクロフィブリルセルロースは、未解繊に近い繊維の比率が少なく、サブミクロン程度まで微細化が進んだ繊維を多く含有し、さらに繊維サイズのバラツキが少ないという特徴を有する。このようなアニオン変性ミクロフィブリルセルロースは、そうした繊維分布の調整がなされていない従来のミクロフィブリルセルロースに比べて、均一性や分散安定性、チキソトロピー性の発現、粘性の発揮等に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<アニオン変性ミクロフィブリルセルロース>
アニオン変性ミクロフィブリルセルロース(以下、「ミクロフィブリルセルロース」を「MFC」と呼ぶ。)は、アニオン変性を施したセルロース繊維(「アニオン変性セルロース」と呼ぶ。)をリファイナーなどを用いて適度に叩解又は解繊してフィブリル化することにより得られる繊維である。アニオン変性MFCは、適度に叩解又は解繊されることにより、表面にセルロースのミクロフィブリルの毛羽立ちが見られる繊維や、サブミクロンオーダーの繊維幅まで解繊された繊維など、大小様々な繊維を含む。アニオン変性MFCは、ナノスケールの繊維幅(例えば平均繊維幅が1μm未満)となるまで高度に解繊されたアニオン変性セルロースナノファイバー(以下、「セルロースナノファイバー」を「CNF」と呼ぶ。)とは異なり、繊維幅がミクロンオーダーの繊維も含む。また、アニオン変性MFCは、アニオン変性されていないMFCと比べて、アニオン変性が施されていることにより、解繊しやすく、また保水性が高い、チキソトロピー性が高い、などの特徴を有する。
(【0011】以降は省略されています)

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