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公開番号2024108411
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-13
出願番号2023012763
出願日2023-01-31
発明の名称廃プラスチックのリサイクル方法
出願人東ソー株式会社
代理人
主分類C08J 11/10 20060101AFI20240805BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】
本発明は、使用済み又は廃棄された架橋エチレン-酢酸ビニル共重合体を、簡便かつ効率的に加水分解させ、プラスチックスやゴムの接着剤、相溶化剤、樹脂改質剤などに有用である高品質なエチレン-ビニルアルコール共重合体としてリサイクルする方法を提供する。
【解決手段】 使用済み又は廃棄された架橋エチレン-酢酸ビニル共重合体を加水分解させることにより、ゲル分率が20重量%以下であるエチレン-ビニルアルコール共重合体としてリサイクルする方法。
【選択図】 なし
特許請求の範囲【請求項1】
使用済み又は廃棄された架橋エチレン-酢酸ビニル共重合体を加水分解させることにより、ゲル分率が20重量%以下であるエチレン-ビニルアルコール共重合体としてリサイクルする方法。
続きを表示(約 420 文字)【請求項2】
加水分解後の該エチレン-ビニルアルコール共重合体のケン化度が70~100重量%である、請求項1に記載のリサイクル方法。
【請求項3】
JIS K7192(1999年)に準拠して測定した、該架橋エチレン-酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有率が、10~40重量%の範囲である、請求項1に記載のリサイクル方法。
【請求項4】
該架橋エチレン-酢酸ビニル共重合体のゲル分率が40~100重量%の範囲である、請求項1に記載のリサイクル方法。
【請求項5】
該架橋エチレン-酢酸ビニル共重合体をアルカリ、酸又はジブチル錫ジラウレートを触媒として溶液中で加水分解させる、請求項1に記載のリサイクル方法。
【請求項6】
使用済み又は廃棄された架橋エチレン-酢酸ビニル共重合体が、太陽光パネルから回収したものである、請求項1~5のいずれかに記載のリサイクル方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、廃プラスチックのリサイクル方法に関するものである。
続きを表示(約 3,800 文字)【背景技術】
【0002】
エチレン-酢酸ビニル共重合体(以下、EVAと略記することもある。)は、柔軟性、透明性、接着性などに優れるポリエチレン系樹脂の一種であり、その有用性から、フィルム、シート、接着剤、玩具、マット、インソールなどの幅広い製品や容器包装に利用されている。一方、カーボンニュートラルの実現、海洋プラスチックごみ問題や気候変動問題への対応強化が求められる中、プラスチックの循環を促進する重要性が高まっている。また、エチレン-酢酸ビニル共重合体は架橋することにより力学特性、透明性、耐熱性等が更に優れたものとなることから、架橋発泡体や太陽光パネルの封止材としても利用されている。一方、架橋体は溶融せず、加工性に乏しいことから、リサイクルの難易度が高いという課題がある。さらに、廃プラスチック(以下、廃プラと略記することもある。)を熱分解して合成したナフサを原料に、ナフサクラッカーと重合プラントを使ってポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等を製造するケミカルリサイクルは、架橋や劣化した廃プラのリサイクルも可能であり、またモノマーやオリゴマー原料からプラスチックを合成するため、リサイクル品はバージン品と同等の品質になる利点を有するが、リサイクルのプロセスが長く、複雑であることから、経済合理性に乏しい課題が指摘されている。
【0003】
ここで、2012年の固定価格買取制度(FIT)導入以降、太陽光発電が急増しているが、太陽光パネルの製品寿命は約25~30年であり、2040年頃に太陽光パネルを含む大量の廃棄物が出ると予想され、放置や不法投棄、処分場のひっ迫が懸念されている。そして、太陽光パネルはセルの封止材として架橋EVAを使用しているため、架橋EVA製の封止材をガラスパネルより分離する技術が提案されている(例えば、特許文献1~5参照。)。
【0004】
なお、エチレン-酢酸ビニル共重合体は、塩基、酸、アルコール、エステル、触媒などを用いて加水分解させることによりエチレン-ビニルアルコール共重合体に変換できることが一般的に知られ、該エチレン-ビニルアルコール共重合体は接着剤、相溶化剤、樹脂改質剤などとして使用されている。特に、塩基を用いて加水分解させる反応はケン化と称される(例えば、特許文献6参照)。さらに、架橋エチレン-酢酸ビニル共重合体のケン化物を含むことを特徴とするホットメルト接着剤用樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献7参照。)また、エチレン-酢酸ビニル共重合体と、水及び/又はアルコールとを混合し、超臨界状態又は亜臨界状態の流体中で反応させることを特徴とするエチレン-ビニルアルコール共重合体の製造方法(例えば、特許文献8参照。)が提案されている。さらに、アルコールを主成分とする溶媒中、触媒の不存在下において、該溶媒の臨界温度(Tc)+5℃~295℃の温度、該溶媒の臨界圧力(Pc)~40MPaの圧力、反応開始時の流体密度0.1~0.4g/cm

でビニルエステル系重合体をケン化することを特徴とするビニルアルコール系重合体の製法(例えば、特許文9参照。)が提案されている。また、高分子化合物と薬剤とを高温高圧状態に保持して処理する方法において、押出機内部で上記高分子化合物と上記薬剤とを十分に混合、攪拌し、押出機内部を高温高圧状態に調整して高分子化合物と薬剤とを反応させ、それらの反応物を押出機の後段に設けた高圧容器内部に連続的に送給して、反応物を高温高圧状態に保ったまま一定時間保持し、その後、反応物を複数の穴を持つ抵抗体を含む圧力調整手段により減圧した状態で薬剤分離槽に連続的に送給して、高分子処理物と薬剤とに分離し、分離した高分子処理物を成形手段に連続的に送給して、高分子処理物を用いた成形物を成形することを特徴とする高分子化合物の処理方法(例えば、特許文献10参照。)が提案されており、該高分子化合物は架橋ポリマーであることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
WO2019/203026号公報
特許第6599469号公報
特許第6068948号公報
特開2009-214058号公報
特開2015-229126号公報
特開昭55-5942号公報
特許第6855820号
特開2006-028459号公報
特許第4132467号公報
特許第4081454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1~5に提案されたセルを含む架橋されたEVA製封止材をガラスパネルより剥離する技術においては、剥離した後の架橋EVA封止材を燃焼あるいは粉砕、比重分離など行うにとどまり、EVAのリサイクルについては何ら記載されていない。さらに、特許文献.6に提案されたエチレン─酢酸ビニル共重合体ケン化物の製造方法においては、架橋EVAのリサイクルについては何ら記載されていない。また、特許文献7に提案された架橋エチレン-酢酸ビニル共重合体のケン化物を含むことを特徴とするホットメルト接着剤用樹脂組成物においては、架橋エチレン-酢酸ビニル共重合体の架橋度が低く、架橋発泡体や太陽光パネルの封止材として使用可能なものでなく、架橋EVAのリサイクルについても何ら記載されていない。さらに、特許文献8に提案のエチレン-酢酸ビニル共重合体と、水及び/又はアルコールとを混合し、超臨界状態又は亜臨界状態の流体中で反応させることを特徴とするエチレン-ビニルアルコール共重合体の製造方法においては、架橋EVAを原料として用いたケン化EVA、すなわちエチレン-ビニルアルコール共重合体の製造方法については何ら記載されていない。また、特許文献9に提案されたビニルアルコール系重合体の製法においては、ポリ酢酸ビニル中の酢酸ビニルユニットに対してケン化を行うものであり、架橋EVAを原料として用いたケン化については何ら記載されていない。そして、特許文献10に提案された高分子化合物の処理方法においては、高分子化合物として架橋ポリマー、プラスチックやエラストマー等の熱硬化性樹脂の合成高分子化合物、リグニン、セルロース、タンパク質等の天然高分子化合物、又は合成高分子化合物と天然高分子化合物の混合物が記載されているのみであり、架橋EVAを原料として用いたケン化については何ら記載されていない。
【0007】
そこで、本発明は、使用済み又は廃棄された架橋エチレン-酢酸ビニル共重合体を、特に使用済み又は廃棄された太陽光パネルより分離した後の架橋EVA封止材を簡便かつ効率的に加水分解させ、高品質なエチレン-ビニルアルコール共重合体としてリサイクルする方法を提供することを目的とするものであり、さらに詳しくは、プラスチックスやゴムの接着剤、相溶化剤、樹脂改質剤などに有用であるエチレン-ビニルアルコール共重合体としてリサイクルする方法を提供することにある。
【0008】
成形済、使用済等の樹脂、成形体の再利用、再生、原材料化、油化等の再利用効率を高めることは、包摂的で持続可能な産業化を推進化に寄与するものであり、近年叫ばれているSDGs等持続可能な社会に必要なテクノロジーの1つである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、使用済み又は廃棄された架橋エチレン-酢酸ビニル共重合体を加水分解させることにより簡便かつ効率的に高品質なエチレン-ビニルアルコール共重合体としてリサイクルできることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明の各態様は、以下に示す[1]~[6]である。
[1]使用済み又は廃棄された架橋エチレン-酢酸ビニル共重合体を加水分解させることにより、ゲル分率が20重量%以下であるエチレン-ビニルアルコール共重合体としてリサイクルする方法。
[2]加水分解後の該エチレン-ビニルアルコール共重合体のケン化度が70~100重量%である、[1]に記載のリサイクル方法。
[3]JIS K7192(1999年)に準拠して測定した該架橋エチレン-酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有率が、10~40重量%の範囲である、[1]~[2]のいずれかに記載のリサイクル方法。
[4]該架橋エチレン-酢酸ビニル共重合体のゲル分率が40~100重量%の範囲である、[1]~[3]のいずれかに記載のリサイクル方法。
[5]該架橋エチレン-酢酸ビニル共重合体をアルカリ、酸又はジブチル錫ジラウレートを触媒として溶液中で加水分解させる、[1]~[4]のいずれかに記載のリサイクル方法。
[6]使用済み又は廃棄された架橋エチレン-酢酸ビニル共重合体が、太陽光パネルから回収したものである、[1]~[5]のいずれかに記載のリサイクル方法。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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