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公開番号
2024168226
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-12-05
出願番号
2023084715
出願日
2023-05-23
発明の名称
ポリエチレン積層フィルムおよび医療容器
出願人
東ソー株式会社
代理人
主分類
B32B
27/32 20060101AFI20241128BHJP(積層体)
要約
【課題】 薄膜化した場合においても耐熱性および水蒸気バリア性に優れ、かつ高い透明性が保持されるポリエチレン積層フィルムおよびこれよりなる医療容器を提供する。
【解決手段】 C層とA層とそれらの間に配置されたB層とを有しJIS K7129―1に準拠した水蒸気透過度計にて測定した水蒸気透過率が2.0g/m
2
/day以下で、かつ純水中において波長450nmで測定した光線透過率が70%以上である積層フィルムであって、C層の厚みに対するB層の厚みの比率が6倍以下、かつ、A層の厚みに対するB層の厚みの比率が6倍以下であることを特徴とする、厚み200μm以下のポリエチレン積層フィルム。
【選択図】 なし
特許請求の範囲
【請求項1】
少なくともA層、B層、C層をこの順で有し、A層、B層、C層がポリエチレンからなる3層以上の積層体であって、JIS K7129―1に準拠した水蒸気透過度計にて測定した水蒸気透過率が2.0g/m
2
/day以下で、かつ純水中において波長450nmで測定した光線透過率が70%以上であり、C層の厚みに対するB層の厚みの比率が6倍以下、かつ、A層の厚みに対するB層の厚みの比率が6倍以下であり、フィルム全体の厚みが200μm以下である、積層フィルム。
続きを表示(約 940 文字)
【請求項2】
C層および/またはA層が、下記特性(a)~(c)を満足する高密度ポリエチレン(A)20~50重量%、および下記特性(d)~(g)を満足するエチレン系重合体(B)50~80重量%((A)、(B)の合計は100重量%)を含み、下記特性(h)~(i)を満足するポリエチレン樹脂組成物からなり、B層が、前記特性(a)~(c)を満足する高密度ポリエチレン(A)10~40重量%、および下記特性(d)~(g)を満足するエチレン系重合体(B)0~10重量%、下記特性(j)~(k)を満足する直鎖状低密度ポリエチレン(C)60~90重量%、((A)、(B)、(C)の合計は100重量%)を含む樹脂組成物からなる、請求項1に記載の積層フィルム。
(a)密度が945~970kg/m
3
(b)190℃、荷重21.18Nで測定したメルトフローレート(以下、MFRという)が0.1~30g/10分である。
(c)
13
C-NMRスペクトルの測定から求められる炭素数1000個当りのヘキシル基以上の分岐数(LCB)が、0.5個未満である。
(d)密度が945~954kg/m
3
である。
(e)MFRが0.1~1.0g/10分である。
(f)ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによる分子量測定において、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が3.0~5.0の範囲である。
(g)
13
C-NMRスペクトルの測定から求められる炭素数1000個当りのヘキシル基以上の分岐数(LCB)が、0.5~2.0個である。
(h)密度が951~957kg/m
3
である。
(i)MFRが0.1~1.5g/10分である。
(j)密度が880~915kg/m
3
である。
(k)MFRが0.1~15g/10分である。
【請求項3】
薬液を収容する収容部を備えた医療容器であって、少なくとも前記収容部は請求項1又は2に記載の積層フィルムからなり、A層を内層とする医療容器。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエチレンからなる積層フィルムに関するものである。
続きを表示(約 2,700 文字)
【背景技術】
【0002】
薬液、血液等を充填する医療容器に供するフィルムには、異物の混入や薬剤配合による変化を確認するための透明性、滅菌処理等に耐えられる耐熱性、薬液の排出を容易にするための柔軟性、容器内への水蒸気や酸素の滲入による薬液等の変質や品質の低下を抑制するためのガスバリア性、さらに容器からの微粒子溶出の低減(低微粒子性)などが要求される。このようなフィルムとしては、ポリプロピレン樹脂および高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレンからなるフィルムが用いられる。しかし、ポリプロピレンは三級炭素が繰り返し存在し、本質的に酸化劣化しやすいため、酸化防止剤の添加が必須となり、クリーン性が課題となっているのに加え、ポリプロピレン製フィルムは一般に耐寒衝撃性に劣ることから、薄膜化することが困難などの課題があった。一方、ポリエチレン製フィルムは、クリーン性に優れるものの、薄膜化すると耐熱性やガスバリア性が低下するなどの課題があり、耐熱性を満足するために密度を高くしたポリエチレンを用いたフィルムは透明性や柔軟性が低下するなどの課題がある。
【0003】
そこでフィルムを多層化し高耐熱性かつ高水蒸気バリア性を有するフィルムと高透明性を有するフィルムを積層した積層フィルムが使われている(特許文献1、2参照)が、薄膜化には課題が残るものであった。また、特定の内層厚みを有する積層フィルムも提案されているが具体例として200μm以下の積層フィルムについては何ら述べられていない(特許文献3参照)。薄膜化した際においても透明性、耐熱性およびガスバリア性に優れたフィルムが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2015-96190号公報
特開2015-74197号公報
特開2005-7888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、薄膜化した際においても、水蒸気や酸素等の透過に対するガスバリア性に優れ、高い透明性と耐熱性が保持される積層フィルムおよびこの積層フィルムを用いた医療容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは鋭意検討を行なった結果、ポリエチレンを特定の厚み比率で配置した積層体フィルムを医療容器とすることにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の[1]及至[3]に存する。
[1] 少なくともA層、B層、C層をこの順で有し、A層、B層、C層がポリエチレンからなる3層以上の積層体であって、JIS K7129―1に準拠した水蒸気透過度計にて測定した水蒸気透過率が2.0g/m
2
/day以下で、かつ純水中において波長450nmで測定した光線透過率が70%以上であり、C層の厚みに対するB層の厚みの比率が6倍以下、かつ、A層の厚みに対するB層の厚みの比率が6倍以下であり、フィルム全体の厚みが200μm以下である、積層フィルム。
[2] C層および/またはA層が、下記特性(a)~(c)を満足する高密度ポリエチレン(A)20~50重量%、および下記特性(d)~(g)を満足するエチレン系重合体(B)50~80重量%((A)、(B)の合計は100重量%)を含み、下記特性(h)~(i)を満足するポリエチレン樹脂組成物からなり、B層が、前記特性(a)~(c)を満足する高密度ポリエチレン(A)10~40重量%、および下記特性(d)~(g)を満足するエチレン系重合体(B)0~10重量%、下記特性(j)~(k)を満足する直鎖状低密度ポリエチレン(C)60~90重量%、((A)、(B)、(C)の合計は100重量%)を含む樹脂組成物からなる、[1]に記載の積層フィルム。
(a)密度が945~970kg/m
3
(b)190℃、荷重21.18Nで測定したメルトフローレート(以下、MFRという)が0.1~30g/10分である。
(c)
13
C-NMRスペクトルの測定から求められる炭素数1000個当りのヘキシル基以上の分岐数(LCB)が、0.5個未満である。
(d)密度が945~954kg/m
3
である。
(e)MFRが0.1~1.0g/10分である。
(f)ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによる分子量測定において、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が3.0~5.0の範囲である。
(g)
13
C-NMRスペクトルの測定から求められる炭素数1000個当りのヘキシル基以上の分岐数(LCB)が、0.5~2.0個である。
(h)密度が951~957kg/m
3
である。
(i)MFRが0.1~1.5g/10分である。
(j)密度が880~915kg/m
3
である。
(k)MFRが0.1~15g/10分である。
[3] 薬液を収容する収容部を備えた医療容器であって、少なくとも前記収容部は[1]又は[2]に記載の積層フィルムからなり、A層を内層とする医療容器。
【発明の効果】
【0008】
本発明の積層フィルムは、薄膜した際にも透明性、ガスバリア性および耐熱性に優れることから樹脂使用量を減らすことができ、輸液バッグや血液バッグのような医療容器に好適に用いることが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0010】
本発明一態様であるの積層フィルムは、A層、B層、C層をこの順で有し、A層、B層、C層がポリエチレンからなる3層以上の積層体であって、JIS K7129―1に準拠した水蒸気透過度計にて測定した水蒸気透過率が2.0g/m
2
/day以下で、かつ純水中において波長450nmで測定した光線透過率が70%以上であり、C層の厚みに対するB層の厚みの比率が6倍以下、かつ、A層の厚みに対するB層の厚みの比率が6倍以下であり、フィルム全体の厚みが200μm以下である。
(【0011】以降は省略されています)
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