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公開番号
2024176463
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-12-19
出願番号
2023095008
出願日
2023-06-08
発明の名称
ジルコニア焼結体およびその製造方法
出願人
国立大学法人 東京大学
,
東ソー株式会社
代理人
弁理士法人坂本国際特許商標事務所
主分類
C04B
35/486 20060101AFI20241212BHJP(セメント;コンクリート;人造石;セラミックス;耐火物)
要約
【課題】環境負荷の低減や焼結体への必要以上な負荷を軽減しつつ高密度かつ均質なジルコニア焼結体を製造する技術の提供。
【解決手段】本開示に係るジルコニア焼結体の製造方法は、焼結対象試料であるジルコニア成形体を焼結炉内において加熱する工程であって、焼結炉の炉内温度(T
f
)を所定の温度まで昇温する昇温工程と、昇温工程後に、ジルコニア成形体に交流電界を印加してフラッシュ現象により成形体の焼結緻密化を促進する緻密化工程とを備えている。上記ジルコニア成形体は、酸化物換算で2.0質量%以上で5.2質量%未満の濃度の安定化元素を含み、緻密化工程を、焼結対象試料の実効温度(T
s
)が、900℃以上で1650℃以下の範囲となる条件下で実行する。例えば、昇温工程における所定の炉内温度は600℃以上で1200℃以下である。また、緻密化工程における交流電界の印加時間は、例えば5分未満である。
【選択図】図2
特許請求の範囲
【請求項1】
焼結対象試料であるジルコニア成形体を焼結炉内において加熱する工程であって、前記焼結炉の炉内温度(T
f
)を所定の温度まで昇温する昇温工程と、
前記昇温工程後に、前記ジルコニア成形体に交流電界を印加してフラッシュ現象により成形体の焼結緻密化を促進する緻密化工程と、を備え、
前記ジルコニア成形体は、酸化物換算で2.0質量%以上で5.2質量%未満の濃度の安定化元素を含み、
前記緻密化工程を、下式により算出される焼結対象試料の実効温度(T
s
)が、900℃以上で1650℃以下の範囲となる条件下で実行する、ジルコニア焼結体の製造方法。
T
s
=[(T
f
+273.15)
4
+W/εAσ]
0.25
-273.15
T
s
およびT
f
の単位:℃
W:投入電力(mW)=印加電流(mA)×印加電圧(V)
ε:焼結対象試料の放射率
σ:シュテファン=ボルツマン定数(5.67×10
-8
Wm
-2
K
-4
)
A:焼結対象試料の交流電界印加領域の表面積(mm
2
)
続きを表示(約 920 文字)
【請求項2】
前記昇温工程における所定の炉内温度は600℃以上で1200℃以下である、請求項1に記載のジルコニア焼結体の製造方法。
【請求項3】
前記緻密化工程における前記交流電界の印加時間は5分未満である、請求項1または2に記載のジルコニア焼結体の製造方法。
【請求項4】
前記交流電界の周波数が10Hzよりも高く2000Hz以下である、請求項1または2に記載のジルコニア焼結体の製造方法。
【請求項5】
前記交流電界印加時の電流密度が0mA/mm
2
よりも高く100mA/mm
2
以下である、請求項1または2に記載のジルコニア焼結体の製造方法。
【請求項6】
前記交流電界印加時の電界強度が0V/cmよりも高く200V/cm以下である、請求項1または2に記載のジルコニア焼結体の製造方法。
【請求項7】
前記安定化元素は、Y、Ca、Mg及びランタノイドの群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1または2に記載のジルコニア焼結体の製造方法。
【請求項8】
前記ジルコニアの焼結対象試料がアルミナを含む、請求項1または2に記載のジルコニア焼結体の製造方法。
【請求項9】
前記アルミナの含有量が0質量%よりも多く1質量%以下である、請求項8に記載のジルコニア焼結体の製造方法。
【請求項10】
安定化元素を含むジルコニア焼結体であって、
前記ジルコニア焼結体中の安定化元素の濃度が酸化物換算で2.0質量%以上で5.2質量%未満であり、
焼結体のグレインサイズを円相当径で評価した時に、焼結体の外表面から0mmよりも内側で0.5mm以内の領域である表面領域における平均結晶粒径(d
s
)と、前記表面領域よりも外表面から深い領域である内部領域における平均結晶粒径(d
i
)との粒径差(d
i
-d
s
)が40nm未満である、ジルコニア焼結体。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示はジルコニア焼結体およびその製造方法に関し、より詳細には、環境負荷を低減するとともに焼結時の対象試料への熱的負荷を軽減しつつ高密度かつ均質なジルコニア焼結体を製造する技術に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)
【背景技術】
【0002】
フラッシュ焼結は、焼結対象の成形物に電界を印加する際、ある温度において急激な電流値および温度の上昇が発生する現象(いわゆるフラッシュ現象)を利用した焼結方法であり、Rajらの研究グループによって2010年に発表された焼結法である(非特許文献1参照)。Rajらの最初の報告では、3mol%Y
2
O
3
安定化正方晶ZrO
2
(3Y-TZP)が対象とされ、例えば120V/cmの直流電場を印加した場合では、大気中無加圧の環境下で、850℃という低温において緻密化が開始し、僅か5秒という短時間の焼結時間で、相対密度95%以上の緻密化焼結体が得られたと報告されている。一般的な焼結法では、3Y-TZPの場合、1400℃~1500℃という高温で、かつ、数時間の焼結が必要とされることを考えると、フラッシュ焼結により、低温かつ短時間での焼結緻密化が実現できることが分かる。このような特長から、フラッシュ焼結は、セラミックスの新たな省エネルギープロセスとしての焼結方法として注目されている。ジルコニアにおいても、フラッシュ焼結法により、相対密度の高いジルコニア焼結体を製造する方法が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、焼結体の密度を向上させるためにフラッシュ焼結を利用した技術が提案されており、この技術により、立方晶のジルコニア(ZrO
2
)や正方晶のZrO
2
に対してイットリウム(Y)が比較的均一に分布した安定した微細組織のジルコニア焼結体が得られたと報告されている。具体的には、フラッシュ現象が生じる温度よりも高い温度に成形体(圧粉体)を昇温した後に電界を印加することでジルコニアの緻密化が促進されることが報告されており、従来の焼結温度より比較的低温の1200℃まで昇温した後、印加電圧60V/cm、制限電流700mA/mm
2
、周波数100Hzの電界を印加し、制限電流に達してから5分間保持して焼結することで、ボイドが非常に少なく、相対密度99%以上のジルコニア焼結体が得られたと報告されている。
【0004】
また、特許文献2では、低い印加電圧を適用したフラッシュ焼結であって、従来の高い印加電圧を適用したフラッシュ焼結より高い焼結体密度を有するジルコニア焼結体の製造方法が提案されている。このジルコニア焼結体の製造方法は、成形体の収縮速度が一定となるように成形体に流れる電流値を制御しながら成形体に流れる電流を増加させる増電流工程と、増電流工程の後に、フラッシュ現象が可能な温度及び成形体に流れる電流が緻密化電流の電流値を示す状態下で成形体を保持することにより、成形体を緻密化する緻密化工程とを含むジルコニア焼結体の製造方法である。具体的には、成形体を1020℃まで昇温し、この温度に維持したまま、成形体の収縮速度が一定となるように制限電流値を細かく設定しながら通電電流の上昇程度を調整しつつ通電電流を増加させ、開始電流の電流値から緻密化電流の電流値まで16分かけて上昇させ、温度を1020℃に維持したまま5分間成形体を保持することにより成形体を緻密化させる。その結果、相対密度が99%以上のジルコニア焼結体が得られたと報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2019-182689号公報
特開2022-105852号公報
【非特許文献】
【0006】
Rapid Communications of the American Ceramic Society, Vol.93, No.11, (2010) p.3556-3559
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
フラッシュ焼結法により高密度のジルコニア焼結体が得られたとされている上述の特許文献1では、焼結対象の成形体への通電時間は5分間とされている。また、特許文献2では、1020℃での保持時間は5分間であるが、増電流工程でも16分間の通電がなされているから、焼結対象の成形体への通電時間は21分間となる。さらに、昇温工程中の通電時間を加えると通電時間の総計は21分を超えている。
【0008】
このように、従来法においては、焼結対象の成形体への通電時間は5分間以上である。しかし、環境負荷低減という観点や焼結時の対象試料への熱的負荷軽減という観点からは、より短い通電時間で高密度かつ均質なジルコニア焼結体を得ることが望ましい。
【0009】
また、従来のフラッシュ焼結法では、成形体をフラッシュ焼結する温度を炉内温度で管理・制御している。例えば、特許文献2には、「成形体温度は、成形体を加熱している装置内温度を測定することにより求めることができる。」との記載があり、炉内温度を焼結中の成形体の温度とみなしている。しかし、示唆熱膨張計の熱電対などの計測手段で検知される温度はあくまでも炉内の温度であって、焼結過程にある成形体の温度ではない。成形体の焼結で本来的に重要なパラメータは炉内温度ではなく、フラッシュ現象により緻密化が進行している成形体の実際の試料温度(実効温度)である。
【0010】
本開示は、上述の観点に基づき、従来のフラッシュ焼結法に比較して短時間での焼結を可能とすることにより、環境負荷の低減や焼結体へかかる負荷を軽減しつつ高密度かつ均質なジルコニア焼結体を製造することを目的とする。また、フラッシュ現象により緻密化が進行している焼結対象試料の実際の試料温度(実効温度)での焼結を実行することにより、高密度かつ均質なジルコニア焼結体の高品質化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)
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