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公開番号2025038850
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-19
出願番号2024041989
出願日2024-03-18
発明の名称伸縮性配線基板及び該伸縮性配線基板の製造方法
出願人国立大学法人 東京大学,田中貴金属工業株式会社,EEJA株式会社
代理人オリジネイト弁理士法人
主分類B32B 15/08 20060101AFI20250312BHJP(積層体)
要約【課題】導電性及び伸縮性に双方において改善された伸縮性配線基板を提供する。
【解決手段】本発明は、伸縮性エラストマーを基材とする伸縮性配線基板に関する。本発明では、前記の基材に対して少なくとも樹脂成分及びアミノ基を含む架橋剤を含んでなるプライマー層を形成し、このプライマー層上に形成された金薄膜を形成してなる。そして、前記基材は、ヤング率が7MPa以上100MPa以下とする。配線材料である金薄膜の形成においては、前記したプライマー層を形成した後、金からなる粒径1nm以上100nm以下の金ナノ粒子触媒を分散させ、その上で無電解めっき法が適用される。
【選択図】図1


特許請求の範囲【請求項1】
伸縮性エラストマーからなる基材と、
前記基材の少なくとも一の面に形成された、少なくとも樹脂成分及びアミノ基を含む架橋剤を含んでなるプライマー層と、
前記プライマー層上に形成された金薄膜と、を備えてなる伸縮性配線基板であって、
前記基材は、ヤング率が7MPa以上100MPa以下である伸縮性配線基板。
続きを表示(約 720 文字)【請求項2】
金薄膜の膜厚が60nm以上である請求項1記載の伸縮性配線基板。
【請求項3】
基材を構成する伸縮性エラストマーは、ウレタン系、エステル系、アミド系、オレフィン系の熱可塑性エラストマーである請求項1又は請求項2記載の伸縮性配線基板。
【請求項4】
プライマー層の樹脂成分は、エポキシ樹脂又はポリエステル樹脂の少なくともいずれかを含む請求項1又は請求項2記載の伸縮性配線基板。
【請求項5】
伸長率50%で伸長したときの伸長時抵抗Rと伸長率0%における初期抵抗R

との比R/R

が35以下である請求項1又は請求項2記載の伸縮性配線基板。
【請求項6】
伸縮性エラストマーからなる基材と、前記基材の少なくとも一の面に形成されたプライマー層と、前記プライマー層上に形成された金薄膜と、を備えてなる伸縮性配線基板の製造方法であって、
前記基材に、少なくとも樹脂及びアミノ基を含む架橋剤を含んでなるプライマー液を塗布して前記プライマー層を形成する工程と、
前記プライマー層の表面に、金からなる粒径1nm以上100nm以下の金ナノ粒子触媒を分散させる工程と、
無電解めっき法により前記プライマー層の表面に金薄膜を形成する工程と、を含む伸縮性配線基板の製造方法。
【請求項7】
プライマー層の表面にナノ触媒粒子を分散させる工程で、前記触媒粒子を200個/μm

以上1500個/μm

以下の密度で分散させる請求項6記載の伸縮性配線基板の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮性を有する所定の基材上に金薄膜からなる配線材料が形成された伸縮性配線基板に関する。特に、伸長率に優れると共に好適な導電性を有する伸縮性配線基板に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
導電性を保持しながら撓りやうねりに追従するフレキシブルエレクトロニクスに関する研究が古くから進められている。そして、近年では、フレキシブルエレクトロニクスを超えて伸縮性も付与されたストレッチャブルエレクトロニクスが注目されている。特に、最近の人々の健康増進の気運の高まりや、遠隔医療等のIoT分野の発展を受け、日常的なバイタルデータを意識的又は無意識に取得可能なウェアラブルデバイス及びヘルスケアデバイスの分野においてストレッチャブルエレクトロニクスの適用が期待されている。更に、ロボット用の人工皮膚・スキンセンサーへの対応にもストレッチャブルエレクトロニクスの活用が期待されている。
【0003】
ストレッチャブルエレクトロニクスの各種デバイスへの応用に際しては、樹脂やゴム等からなる伸縮性を有する基材に、導電性材料からなる配線材料を形成した伸縮性配線基板が用いられる。かかる伸縮性配線基板に対しては、抵抗値(シート抵抗)の低減という配線基板に通常要求される電気的特性に加え、人体の皮膚等への適用を考慮した生体適合性及び高い伸縮性が要求される。この点、これまでの伸縮性配線基板の中には、配線材料として導電性と伸縮性を有する導電性ポリマーや液体金属等を適用したものが知られている。しかし、導電性ポリマーは電気特性の観点から不十分である。また、液体金属は、着脱時に皮膚に粘着・残留して導通が遮断されることがある上に装着感も良くない。
【0004】
よって、導電性や形態安定性の観点から、伸縮性配線基板の配線材料としては、金属であって固体状態にあるものの適用が好ましいといえる。そして、伸縮性配線基板への金属の適用に際しては、金属で構成した配線材料についての導電性と伸縮性とのバランスを如何に好適化するかが課題となる。
【0005】
ここで、本願の発明者は、樹脂(ポリジメチルシロキサン:PDMS)を伸縮性基材とし、ここに配線材料として真空蒸着による金薄膜を形成した伸縮性配線基板を開発している(非特許文献1)。この伸縮性配線基板による金薄膜は、成膜された状態で微細なクラック(マイクロクラック)を複数包含している。マイクロクラックは、それぞれが基材の伸縮に応じて拡大・縮小することで歪を吸収し、その結果、金薄膜は基材から剥離することなく伸縮できる。こうしたマイクロクラックを有する金薄膜の構造は、前述した変形の態様から「切り紙状構造(kirigami-structures)」と称されている。切り紙状構造を有する金薄膜は、伸長時に各所で拡大したクラックによって配線の断線を防ぎ、クラックのない領域が導電パスとして機能することで導電性を維持している。
【0006】
そして、この先行技術における検討では、真空蒸着による金薄膜の成膜速度の制御により、成膜時及び伸長時における金薄膜のマイクロクラックの寸法・形態を好適なものとすることができるとされている。これにより、伸長前の初期抵抗(伸長率0%)では低抵抗(シート抵抗:12Ω/sq)としつつ、伸長率を50%以上としても導電性を維持する伸縮性配線基板を得ることが可能となっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
N.Matsuhisa et al. “High‐Transconductance Stretchable Transistors Achieved by Controlled Gold”. Adv. Elect.Materials,2019(5),p1900347.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記したマイクロクラックによる切紙状構造を発現する金薄膜を備える伸縮性配線基板は、通常であれば忌避されるクラックの拡大を伸縮性付与に積極的に利用したユニークな着想に基づいている。そして、金は、導電性に優れると共に化学的安定性・生体適合性も良好な金属であることから、上記したウェアラブルデバイス等への応用にも期待が持てる。
【0009】
もっとも、上記したマイクロクラックによる切紙状構造を有する金薄膜を備える伸縮性配線基板についても改良の余地はある。即ち、上記したように、伸縮性配線基板にはより低い初期抵抗と高い伸長率が要求される。これまでの伸縮性配線基板は、この要求に十分に応えているとは必ずしも言い難い。
【0010】
本発明は、以上のような背景のもとになされたものであり、導電性及び伸縮性に双方において改善された伸縮性配線基板を提供することを目的とする。その具体的手法として、従来技術とは異なるプロセスで形成された金薄膜を配線材料として適用した伸縮性配線基板を提示する。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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