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公開番号2025034521
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-13
出願番号2023140945
出願日2023-08-31
発明の名称ポリロタキサン添加によるシリコーン系高分子材料の強靭化
出願人国立大学法人 東京大学
代理人弁理士法人三枝国際特許事務所
主分類C08L 83/04 20060101AFI20250306BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】シリコーン系高分子材料と、複数のポリロタキサンとが良好に混合又は分散された組成物を提供すること。
【解決手段】シリコーン系高分子材料と、複数のポリロタキサンであって、各ポリロタキサンが複数の環状分子と前記複数の環状分子の開口部を貫通する鎖状ポリマーとを備え、前記複数の環状分子の少なくとも一部にポリシロキサン鎖が結合されている、複数のポリロタキサンと、を含有する組成物。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
シリコーン系高分子材料と、
複数のポリロタキサンであって、各ポリロタキサンが複数の環状分子と前記複数の環状分子の開口部を貫通する鎖状ポリマーとを備え、前記複数の環状分子の少なくとも一部にポリシロキサン鎖が結合されている、複数のポリロタキサンと、
を含有する組成物。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記シリコーン系高分子材料中の-Si-OR
1
(R
1
はSiまたはC)と、前記ポリロタキサンの環状分子に結合した前記ポリシロキサン鎖のシラノール基又は金属シラノレート基との間で加熱により結合交換反応が起こる請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
結合交換触媒をさらに含む請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
透明な組成物である請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
前記シリコーン系高分子材料がシリコーンエラストマーを含む請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項6】
前記シリコーン系高分子材料がポリ(ジメチルシロキサン)骨格を含む請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物中のポリロタキサンの含有量が、0.1質量%以上99.9質量%以下である請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
シリコーン系高分子材料と、複数のポリロタキサンであって、各ポリロタキサンが複数の環状分子と前記複数の環状分子の開口部を貫通する鎖状ポリマーとを備え、複数の環状分子の少なくとも一部にポリシロキサン鎖が結合されている、複数のポリロタキサンとを含む組成物の製造方法であって、
前記シリコーン系高分子材料と、前記複数のポリロタキサンとを、結合交換触媒の存在下で混合することを含む、方法。
【請求項9】
シリコーン系高分子材料と、複数のポリロタキサンであって、各ポリロタキサンが複数の環状分子と前記複数の環状分子の開口部を貫通する鎖状ポリマーとを備え、前記複数の環状分子の少なくとも一部にポリシロキサン鎖が結合されている、複数のポリロタキサンとを含む組成物の製造方法であって、前記シリコーン系高分子材料は、主剤及び架橋剤の架橋体であるシリコーンエラストマーを含み、前記方法は、
前記主剤と、前記架橋剤と、前記複数のポリロタキサンとを、架橋触媒下で混合し、前記主剤と前記架橋剤を架橋させることを含む、方法。
【請求項10】
前記架橋させることの前に、前記各ポリロタキサンの複数の環状分子に環状ジメチルシロキサンを反応させ、前記複数の環状分子の少なくとも一部にポリシロキサン鎖が結合されている複数のポリロタキサンを形成することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコーン系高分子材料と複数のポリロタキサンとを含有する組成物、及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 3,100 文字)【背景技術】
【0002】
シリコーンゴムを始めとするシリコーン系高分子材料は耐熱性、耐候性、耐水性に優れることから、電気電子材料、自動車、建材などのシーリング材、放熱材、衝撃吸収材など広い用途で使用されているが、引裂き特性が低い。
【0003】
ポリロタキサンは、高分子に配合することで当該高分子の靭性及び伸張性などの力学的特性を向上させることが知られている。ポリロタキサンは、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレートなどある程度の極性を有する高分子材料とはよく相溶し、効果が発現しやすいが、シリコーン系高分子、フッ素系高分子、ポリオレフィンなど、極性が低い高分子材料との相性が良くない。シリコーン系高分子をポリロタキサンと複合化できれば、得られたポリマーブレンドの強靭化を達成できるが、従来、そのような複合化は相溶性の観点から困難であった。
【0004】
一方、常結合性動的共有結合(associative dynamic covalent bond)を介して一定の架橋結合点が保持された架橋性材料がビトリマーとして知られており、現在、種々の動的共有結合の結合交換様式が知られている(非特許文献1)。シロキサンを含むビトリマーの例が報告されている:ビス(カリウム)オリゴアミノプロピルメチルシロキサンジオレート(K-PAMS)と称されるポリシロキサンオリゴマーをエポキシ樹脂の硬化剤として用いて合成されたエポキシビトリマー(非特許文献2)、1,3-ビス(3-アミノプロピル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(BAS)とビスフェノールAジグリシジルエーテル(DGEBA)を出発物質として1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デス-5-エン(TBD)を有機触媒として用いて合成されたビトリマー(非特許文献3)、隣接するアミノ部分の導入によりシリルエーテル交換速度が加速されるビスアルコキシシランの架橋剤により架橋されたスチレン系コポリマー(非特許文献4)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
Jie Zheng et al., Volume 51, December 2021, Pages 586-625 DOI: 10.1016/j.mattod.2021.07.003
Xiao Wu, et al., J. Mater. Chem. A, 2018, 6, 10184 DOI: 10.1039/c8ta02102c
Tapas Debsharma et al., J.Am. Chem. Soc. 2022, 144, 12280-12289 DOI: 10.1021/jacs.2c03518
J. Am. Chem. Soc. 2017. 139, 14881-14884
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決すべき課題は、シリコーン系高分子材料と、複数のポリロタキサンとが良好に混合又は分散された組成物を提供することにある。本発明が解決すべき更なる課題は、シリコーン系高分子材料と、複数のポリロタキサンとが良好に混合又は分散され、かつ機械的強度が向上した組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下に記載の実施形態を包含する。
【0008】
項1.
シリコーン系高分子材料と、
複数のポリロタキサンであって、各ポリロタキサンが複数の環状分子と前記複数の環状分子の開口部を貫通する鎖状ポリマーとを備え、前記複数の環状分子の少なくとも一部にポリシロキサン鎖が結合されている、複数のポリロタキサンと、
を含有する組成物。
項2.
前記シリコーン系高分子材料中の-Si-OR
1
(R
1
はSiまたはC)と、前記ポリロタキサンの環状分子に結合したポリシロキサン鎖のシラノール基又は金属シラノレート基との間で加熱により結合交換反応が起こる項1に記載の組成物。
項3.
結合交換触媒をさらに含む項1又は2に記載の組成物。
項4.
透明な組成物である項2に記載の組成物。
項5.
前記シリコーン系高分子材料がシリコーンエラストマーを含む項1又は2に記載の組成物。
項6.
前記シリコーン系高分子材料がポリ(ジメチルシロキサン)骨格を含む項1又は2に記載の組成物。
項7.
前記組成物中のポリロタキサンの含有量が、0.1質量%以上99.9質量%以下である項1に記載の組成物。
項8.
シリコーン系高分子材料と、複数のポリロタキサンであって、各ポリロタキサンが複数の環状分子と前記複数の環状分子の開口部を貫通する鎖状ポリマーとを備え、複数の環状分子の少なくとも一部にポリシロキサン鎖が結合されている、複数のポリロタキサンとを含む組成物の製造方法であって、
前記シリコーン系高分子材料と、前記複数のポリロタキサンとを、結合交換触媒の存在下で混合することを含む、方法。
項9.
シリコーン系高分子材料と、複数のポリロタキサンであって、各ポリロタキサンが複数の環状分子と前記複数の環状分子の開口部を貫通する鎖状ポリマーとを備え、前記複数の環状分子の少なくとも一部にポリシロキサン鎖が結合されている、複数のポリロタキサンとを含む組成物の製造方法であって、前記シリコーン系高分子材料は、主剤及び架橋剤の架橋体であるシリコーンエラストマーを含み、前記方法は、
前記主剤と、前記架橋剤と、前記複数のポリロタキサンとを、架橋触媒下で混合し、前記主剤と前記架橋剤を架橋させることを含む、方法。
項10.
前記架橋させることの前に、前記各ポリロタキサンの複数の環状分子に環状ジメチルシロキサンを反応させ、前記複数の環状分子の少なくとも一部にポリシロキサン鎖が結合されている複数のポリロタキサンを形成することをさらに含む、項9に記載の方法。
項11.
結合交換触媒の存在下で、前記組成物をさらに加熱して、前記シリコーン系高分子材料中の-Si-OR
1
(R
1
はSiまたはC)と、前記ポリロタキサン中のポリシロキサン鎖のシラノール基又は金属シラノレート基との間で結合交換反応を起こさせることをさらに含む、項9に記載の方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シリコーン系高分子材料と、複数のポリロタキサンとが良好に混合又は分散された組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
シリコーン系高分子材料とポリシロキサングラフトポリロタキサンとを含む組成物の、シリルエーテル(-Si-O-Si-)とシラノール(-Si-OH)の間の結合交換を説明する模式図。
シクロデキストリンへポリシロキサンを結合させる反応を説明するスキーム。
PDMS-PR-1のGPC測定。
PDMSグラフト化ポリロタキサンの
1
H-NMRスペクトル。
各種架橋フィルムの写真。
各種フィルムの応力-歪曲線。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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