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公開番号2024166533
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-29
出願番号2023082690
出願日2023-05-19
発明の名称ポリエチレン繊維
出願人東ソー株式会社
代理人
主分類D01F 6/04 20060101AFI20241122BHJP(天然または人造の糸または繊維;紡績)
要約【課題】 分子量に二峰性と溶融性とを有する高分子量のエチレン系樹脂、好ましくはポリエチレンとの組成物とすることにより、引張破断応力、弾性率等の機械特性に優れると共に加工性にも優れるポリエチレン繊維を提供する。
【解決手段】 温度190℃、荷重21.6kgにおけるHLMFRが0.01~100g/10min、GPCにより測定される溶出曲線が二峰であるエチレン系樹脂製、好ましくは温度190℃、荷重2.16kgにおけるMFRが0.01~10g/10min、密度が930~980kg/m3であるポリエチレンを含む組成物製、であるポリエチレン繊維。
【選択図】 なし
特許請求の範囲【請求項1】
(1)JIS 6922-2:1997に準拠し、温度190℃、荷重21.6kgにおけるメルトフローレート(HLMFR)が0.01~100g/10min、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される溶出曲線が二峰であるエチレン系樹脂を含むものであることを特徴とするポリエチレン繊維。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
更に、JIS 6922-2:1997に準拠し、温度190℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR)が0.01~10g/10min、JIS K6922-1(1997年)で測定した密度が930~980kg/m

であるポリエチレンを含む組成物製であることを特徴とする請求項1に記載のポリエチレン繊維。
【請求項3】
エチレン系樹脂が、下記の特性(2)を満足するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリエチレン繊維。
(2);ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される溶出曲線が二峰であり、該溶出曲線を微分分子量分布(x軸:Log[M]、y軸:微分分布値)として表し下記式(i)により2つの正規分布にピーク分割した際に下記(2-1)~(2-3)を満足する。
f(x)=a×(1/(2π(σ

))
(1/2)

exp(-((x-μ)

)/(2(σ

))) 式(i)
(ここで、aはピーク強度、σは標準偏差、xは変数、μは平均のそれぞれを示す。)
(2-1);高分子量側のピークによる直鎖状ポリエチレン換算の重量平均分子量が90万~500万、重量平均分子量/数平均分子量で表される分子量分布が2.0~5.0である。
(2-2);低分子量側のピークによる直鎖状ポリエチレン換算の重量平均分子量が1万~50万、分子量分布が2.0~5.0である。
(2-3);高分子量側ピークの重量割合/低分子量側ピークの重量割合が5/95より大きく80/20より小さいものである。
【請求項4】
エチレン系樹脂が、下記の特性(3)をも満足するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリエチレン繊維。
(3);ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される標準ポリエチレン換算の分子量分布が4.0以上50未満である。
【請求項5】
エチレン系樹脂が、下記の特性(4)をも満足するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリエチレン繊維。
(4);示差走査型熱量計を用い、0℃から10℃/分の昇温速度で230℃まで昇温(1stスキャン)して測定される1stスキャンの結晶融解ピーク(Tm)が単峰である。
【請求項6】
23℃で測定した引張弾性率が4.0GPa以上、引張破断強度が300MPa以上の繊維であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリエチレン繊維。
【請求項7】
エチレン系樹脂が、エチレン単独重合体であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリエチレン繊維。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のポリエチレン繊維に関するものであり、さらに詳細には、分子量に二峰性と溶融性とを有する高分子量のエチレン系樹脂を含むことにより、引張破断応力、弾性率等の機械特性に優れると共に加工性にも優れるポリエチレン繊維に関するものである。
続きを表示(約 1,600 文字)【背景技術】
【0002】
ポリエチレンは、広汎な用途に利用されている樹脂であり、各用途に適した樹脂とするために、2種類以上の樹脂成分を組み合わせることにより、分子量分布や組成を制御し、各種物性や外観を改良する技術が提案されている。例えば、より高分子量な成分の増加は、機械強度を向上させる一方で成形性を低下させ、より低分子量な成分の増加は、機械強度を低下させる一方成形性を向上させる。
【0003】
2種類以上のポリエチレン成分を組み合わせる方法として、各成分をそれぞれ重合した後に溶融混練やドライブレンドによりブレンドする方法、多段重合を連続的に行う方法、重合系内に複数の遷移金属触媒を添加して2種以上のポリエチレン成分を同時に生成する方法、及びこれらを組み合わせて行う方法等が提案されている。また、被改質材料にブレンドすることにより、被改質材料の物性や外観等を改質する樹脂用改質材(例えば特許文献1参照。)も提案されている。
【0004】
そして、近年注目されている超高分子量ポリエチレン(例えば特許文献2、3参照。)は、粘度平均分子量(以下、Mvと記す場合がある。)で100万以上に相当する極めて高い分子量を有していることから、耐衝撃性、自己潤滑性、耐摩耗性、耐候性、耐薬品性、寸法安定性等に優れており、エンジニアリングプラスチックに匹敵する高い物性を有している。このため、各種成形方法により、シート、フィルム、高強度繊維、摺動部材、ライニング材、食品工業のライン部品、機械部品、人工関節、スポーツ用品、微多孔膜、セパレータ等の用途への適用が試みられている。
【0005】
また、ポリエチレンよりなるポリエチレン繊維はポリエチレンという汎用の材料よりなるにも関わらず、優れた性能を発現することから注目されており、耐切創性に優れる繊維として、[η]=0.8~4.9dl/gのポリエチレンにアスペクト比3未満、平均粒子径3.0~15.0μmの硬質粒子を配合してなるもの(例えば特許文献4参照。)、耐クリープ性に極めて優れる繊維として、側鎖に特定のエチル分岐を有する超高分子量ポリエチレンよりなるもの(例えば特許文献5参照。)、等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2017-179304号公報
特許第4868853号
特許第6405888号
国際公開特許2018/181309号
特開2021-70902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に提案の改質材は、加工性の改良には一定の効果の見られるものであったが、機械強度の向上効果についてはさらなる改良が求められるものであり、特許文献2、3は、単に超高分子量ポリエチレンを提案するにとどまり、成形加工性については課題を有するものであった。
【0008】
そして、特許文献4に提案されたポリエチレン繊維は、溶融紡糸に適用可能ではあるが、機械特性に課題を有するものであった。また、特許文献5に提案されたポリエチレン繊維は、加工性に優れる溶融紡糸を適用することが困難なものであった。
【0009】
そこで、ゲル紡糸のみならず溶融紡糸も適用可能な加工性に優れ、機械特性にも優れるポリエチレン繊維の出現が期待されてきた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の溶融特性と分子量構成を有するエチレン系樹脂が溶融紡糸の適用が可能であると共に、引張破断応力、弾性率等の引張特性に優れるポリエチレン繊維となりえることを見出し、本発明を完成するに至った。
(【0011】以降は省略されています)

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