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公開番号2024157078
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-07
出願番号2023071183
出願日2023-04-25
発明の名称リチウムイオン二次電池用複合活物質の製造方法
出願人東ソー株式会社
代理人
主分類H01M 4/38 20060101AFI20241030BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】従来の複合活物質の製造方法と比べ、工程長が短く、かつ、高価な原料を必須とすることなく、シリコン系材料と炭素材料とからなり、シリコン系材料が炭素材料に包含され、なおかつ、シリコン系材料と炭素材料の間に空隙を有する構造を有するリチウムイオン二次電池用複合活物質の製造方法を提供する。
【解決手段】金属シリコン及びシリコン化合物の少なくともいずれかからなるシリコン原料を、水系溶媒を用いて粉砕して粉砕シリコン原料を得る工程、粉砕シリコン原料にポリマーを被覆してポリマー被覆シリコン原料を得る工程、ポリマー被覆シリコン原料に炭素前駆体を被覆して前駆体被覆シリコン原料を得る工程、並びに、前駆体被覆シリコン原料を焼成する工程を有する、シリコン系材料10及び非晶質炭素11を含有し、該非晶質炭素が空隙部12を有し、該シリコン系材料が該空隙部に存在する、複合活物質100の製造方法とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
金属シリコン及びシリコン化合物の少なくともいずれかからなるシリコン原料を、水系溶媒を用いて粉砕して粉砕シリコン原料を得る粉砕工程、粉砕シリコン原料にポリマーを被覆してポリマー被覆シリコン原料を得るポリマー被覆工程、ポリマー被覆シリコン原料に炭素前駆体を被覆して前駆体被覆シリコン原料を得る前駆体被覆工程、並びに、前駆体被覆シリコン原料を焼成する焼成工程を有する、シリコン系材料及び非晶質炭素を含有し、該非晶質炭素が空隙部を有し、該シリコン系材料が該空隙部に存在する、リチウムイオン二次電池用複合活物質の製造方法。
続きを表示(約 750 文字)【請求項2】
前記水系溶媒が蒸留水である、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用複合活物質の製造方法。
【請求項3】
前記シリコン原料が金属シリコンである、請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用複合活物質の製造方法。
【請求項4】
前記金属シリコンの純度が98質量%以上である、請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用複合活物質の製造方法。
【請求項5】
前記粉砕工程における粉砕方法が、ビーズミルである、請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用複合活物質の製造方法。
【請求項6】
前記シリコン原料の平均粒径(D50)が、0.01μm以上5μm以下である、請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用複合活物質の製造方法。
【請求項7】
前記前駆体被覆工程におけるポリマー被覆シリコン原料に炭素前駆体を被覆する方法が、ポリマー被覆シリコン原料の表面で炭素前駆体のモノマーを重合させる方法である、請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用複合活物質の製造方法。
【請求項8】
前記ポリマー被覆シリコン原料の表面で炭素前駆体のモノマーを重合させる方法が、ポリマー被覆シリコン原料と、溶媒、前記炭素前駆体のモノマー及び重合開始剤を含む溶液とを混合する方法である、請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用複合活物質の製造方法。
【請求項9】
前記前駆体被覆工程後に、前駆体被覆シリコン原料を乾燥する乾燥工程、及び、乾燥工程の前駆体被覆シリコン原料を成形する球形化工程を含む、請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用複合活物質の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、リチウムイオン二次電池用複合活物質の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
充放電に伴う体積変化が抑制されたシリコン系のリチウムイオン二次電池用負極活物質として、金属シリコンやシリコン化合物などのシリコン系材料と炭素材料とからなり、シリコン系材料が炭素材料に包含され、なおかつ、シリコン系材料と炭素材料の間に空隙に有する構造を有する複合活物質が検討されている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1で開示された複合活物質は、ポリスチレンを被覆したシリコンからポリスチレンを焼成除去することでこのような構造を実現しているが、シリコンにポリスチレンを被覆するために、シリコンの表面を改質する必要があった。
【0004】
そのため、特許文献1では、メタノールやエタノールなどのアルコールや、ヘキサン、トルエンなどの炭化水素系溶剤を溶媒として粉砕した後に、テトラエトキシシラン(以下、「TEOS」ともいう。)の加水分解による表面改質によりシリコン表面を改質していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
国際公開2021/193662
特開2015-195171公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1で開示された製造方法におけるポリスチレンの被覆は、ポリスチレンの被覆に先立つ粉砕工程を経た上で、高価なアルコキシドを使用する必要があり、工程長が長いのみならず、製造コストが高い製法であった。
【0007】
本開示は、このような状況に鑑みて、従来の複合活物質の製造方法と比べ、製造における工程長が短く、なおかつ、高価な原料を必須とすることなく、シリコン系材料と炭素材料とからなり、シリコン系材料が炭素材料に包含され、なおかつ、シリコン系材料と炭素材料の間に空隙に有する構造を有するリチウムイオン二次電池用複合活物質の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示においては、シリコン系材料と炭素材料からなる複合活物質の製造における、シリコン系材料の表面状態と、製造工程との関係について検討した。その結果、従来、適さないとされていた処理をすることで、ポリマー被覆に適した表面状態を有するシリコン系材料が得られることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は特許請求の範囲に記載の通りであり、また、本開示の要旨は以下の通りである。
[1] 金属シリコン及びシリコン化合物の少なくともいずれかからなるシリコン原料を、水系溶媒を用いて粉砕して粉砕シリコン原料を得る粉砕工程、粉砕シリコン原料にポリマーを被覆してポリマー被覆シリコン原料を得るポリマー被覆工程、ポリマー被覆シリコン原料に炭素前駆体を被覆して前駆体被覆シリコン原料を得る前駆体被覆工程、並びに、前駆体被覆シリコン原料を焼成する焼成工程を有する、シリコン系材料及び非晶質炭素を含有し、該非晶質炭素が空隙部を有し、該シリコン系材料が該空隙部に存在する、リチウムイオン二次電池用複合活物質の製造方法。
[2] 前記水系溶媒が蒸留水である、上記[1]に記載のリチウムイオン二次電池用複合活物質の製造方法。
[3] 前記シリコン原料が金属シリコンである、上記[1]又は[2]に記載のリチウムイオン二次電池用複合活物質の製造方法。
[4] 前記金属シリコンの純度が98質量%以上である、上記[3]に記載のリチウムイオン二次電池用複合活物質の製造方法。
[5] 前記粉砕工程における粉砕方法が、ビーズミルである、上記[1]乃至[4]のいずれかひとつに記載のリチウムイオン二次電池用複合活物質の製造方法。
[6] 前記シリコン原料の平均粒径(D50)が、0.01μm以上5μm以下である、上記[1]乃至[5]のいずれかひとつに記載のリチウムイオン二次電池用複合活物質の製造方法。
[7] 前記前駆体被覆工程におけるポリマー被覆シリコン原料に炭素前駆体を被覆する方法が、ポリマー被覆シリコン原料の表面で炭素前駆体のモノマーを重合させる方法である、上記[1]乃至[6]のいずれかひとつに記載のリチウムイオン二次電池用複合活物質の製造方法。
[8] 前記ポリマー被覆シリコン原料の表面で炭素前駆体のモノマーを重合させる方法が、ポリマー被覆シリコン原料と、溶媒、前記炭素前駆体のモノマー及び重合開始剤を含む溶液とを混合する方法である、上記[7]に記載のリチウムイオン二次電池用複合活物質の製造方法。
[9] 前記前駆体被覆工程後に、前駆体被覆シリコン原料を乾燥する乾燥工程、及び、乾燥工程の前駆体被覆シリコン原料を成形する球形化工程を含む、上記[1]乃至[8]のいずれかひとつに記載のリチウムイオン二次電池用複合活物質の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本開示により、工程長及びコストの削減が可能な、シリコン系材料と炭素材料とからなり、シリコン系材料が炭素材料に包含され、なおかつ、シリコン系材料と炭素材料の間に空隙に有する構造を有するリチウムイオン二次電池用複合活物質の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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