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公開番号2024151837
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-25
出願番号2023065577
出願日2023-04-13
発明の名称リチウム複合酸化物及びその製造方法
出願人国立大学法人横浜国立大学,東ソー株式会社
代理人弁理士法人T.S.パートナーズ,個人,個人,個人,個人,個人
主分類C01G 45/02 20060101AFI20241018BHJP(無機化学)
要約【課題】電極の電気伝導度向上を目的とし、粒度分布を制御したリチウム複合酸化物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】組成式LixMnO2(但し、0.80≦x≦1.20である)で示され、ジグザグ層状構造を母構造とし、α-NaFeO2型層状構造のドメインを有し、なおかつ、下記計算式(1)で得られるスパン値Sが、1.0以上5.0以下であるリチウム複合酸化物、並びにその製造方法。
S=(D90-D10)/D50(1)
(式(1)中、D10、D50及びD90は、それぞれ体積基準の粒度分布における累積10%粒子径、累積50%粒子径及び累積90%粒子径を示す。)
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
組成式Li

MnO

(但し、0.80≦x≦1.20である)で示され、ジグザグ層状構造を母構造とし、α-NaFeO

型層状構造のドメインを有し、なおかつ、下記計算式(1)で得られるスパン値Sが、1.0以上5.0以下である、リチウム複合酸化物。
S=(D
90
-D
10
)/D
50
(1)
(式(1)中、D
10
、D
50
及びD
90
は、それぞれ体積基準の粒度分布における累積10%粒子径、累積50%粒子径及び累積90粒子%径を示す。)
続きを表示(約 520 文字)【請求項2】
前記式(1)中のD
50
が5μm以上15μm以下である、請求項1に記載のリチウム複合酸化物。
【請求項3】
粉末X線パターン回折において2θ=15.3±1.0°に観測される回折ピーク積分強度(A)と2θ=18.2±1.0°に観測される回折ピーク積分強度(B)との強度比(A/B)が0.5以上である、請求項1又は2に記載のリチウム複合酸化物。
【請求項4】
水酸化リチウム、酸化マンガン又はオキシ水酸化マンガン、及び水を混合してスラリーを調製する工程、得られたスラリーから水を蒸発させて顆粒乾燥粒子を作製する工程、及び、前記工程で得られた顆粒乾燥粒子を不活性ガス中で熱処理する工程を含む、請求項1又は2に記載のリチウム複合酸化物の製造方法。
【請求項5】
顆粒乾燥粒子を作製する工程において噴霧乾燥により水を蒸発させる、請求項4に記載のリチウム複合酸化物の製造方法。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のリチウム複合酸化物を正極活物質として含む、電極。
【請求項7】
請求項6に記載の電極を備えた、リチウム二次電池。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、リチウム複合酸化物及びその製造方法に関するものであり、より詳しくは、粒度分布を制御したリチウム複合酸化物及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
リチウム二次電池用正極活物質としては、一般的にリチウム複合酸化物が使用されている。リチウム複合酸化物、具体的にはコバルト酸リチウム(LiCoO

)、ニッケル酸リチウム(LiNiO

)、マンガン酸リチウム(LiMn



)等、は全世界に流通されているリチウム二次電池用正極活物質として多く使用されている。このようなリチウム複合酸化物は特性改善(高容量化、高出力化、サイクル安定化)や安全性改善に活発な研究が行われている。
【0003】
リチウム二次電池用正極活物質の特性改善を通じた性能向上については、例えば高容量化が注目されており、LiMnO

で表され、結晶構造がジグザグ層状構造を母構造とし、α-NaFeO

型層状構造のドメインを有するリチウム複合酸化物(特許文献1)が開示されている。
特許文献2及び特許文献3には、直方晶及び単斜晶のうちの1種以上からなることを特徴とするLiMnO

型化合物が開示され、当該化合物を用いて作製されたリチウムイオン二次電池の放電容量は170mAh/g程度と低容量であった。特許文献1では、メカニカルミリング後熱処理する工程により結晶構造が変化し、放電容量が260mAh/gまで向上したことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許6956039号公報
特開2003-007297号公報
特開2002-145619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなLiMnO

型化合物は、高容量でありながら安価であるリチウム二次電池用正極活物質だが、LiMnO

型化合物にメカニカルミリング法を適用すると、粒度分布が広範となるため、導電パスの形成が阻害され、電極の電気伝導度が低下する課題がある。
本開示は電極の電気伝導度向上を目的とし、粒度分布が制御されたリチウム複合酸化物及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は特許請求の範囲の記載の通りであり、また、本開示の要旨は以下のとおりである。
[1]組成式Li

MnO

(但し、0.80≦x≦1.20である)で示され、ジグザグ層状構造を母構造としα-NaFeO

型層状構造のドメインを有し、なおかつ、以下の計算式(1)で得られるスパン値Sが、1.0以上5.0以下である、リチウム複合酸化物。
S=(D
90
-D
10
)/D
50
(1)
(式(1)中、D
10
、D
50
及びD
90
は、それぞれ体積基準の粒度分布における累積10%粒子径、累積50%粒子径及び累積90%粒子径を示す。)
[2]上記式(1)中のD
50
が5μm以上15μm以下である、上記[1]に記載のリチウム複合酸化物。
[3]粉末X線回折パターンにおいて2θ=15.3±1.0°に観測される回折ピーク積分強度(A)と2θ=18.2±1.0°に観測される回折ピーク積分強度(B)との強度比(A/B)が0.5以上である、上記[1]又は[2]に記載のリチウム複合酸化物。
[4]水酸化リチウム、酸化マンガン又はオキシ水酸化マンガン、及び、水を混合してスラリーを調製する工程、得られたスラリーから水を蒸発させて顆粒乾燥粒子を作製する工程、及び、前記工程で得られた顆粒乾燥粒子を不活性ガス中で熱処理する工程を含む、上記[1]~[3]のいずれかひとつに記載のリチウム複合酸化物の製造方法。
[5]顆粒乾燥粒子を作製する工程において噴霧乾燥により水を蒸発させる、上記[4]に記載のリチウム複合酸化物の製造方法。
[6]上記[1]~[3]のいずれかひとつに記載のリチウム複合酸化物を正極活物質として含む、電極。
[7]上記[6]に記載の電極を備えた、リチウム二次電池。
【発明の効果】
【0007】
本開示のリチウム複合酸化物は、これをリチウム二次電池用正極活物質に使用することにより、従来に比べて高い電気伝導度を有する電極を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
ジグザグ層状構造を示した模式図である。
層状構造(2a)及び岩塩型構造(2b)を示した模式図である。
例1~例3のリチウム複合酸化物のXRDパターンを示した図である。
例1~例3のリチウム複合酸化物の粒度分布を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について、その一例を挙げて、詳細に説明する。以下の本実施形態は、本開示を説明するための例示であり、本開示を以下の内容に限定する趣旨ではない。本開示は、適宜変形して実施することができる。
本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0010】
本実施形態のリチウム複合酸化物は、組成式Li

MnO

(但し、0.80≦x≦1.20である)で示される。上記組成式中、好ましくは0.90≦x≦1.10であり、より好ましくは0.95≦x≦1.05である。
(【0011】以降は省略されています)

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