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公開番号2024152347
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-25
出願番号2023066489
出願日2023-04-14
発明の名称イリジウム-マンガン酸化物複合電極、及びその製造方法
出願人国立研究開発法人理化学研究所,東ソー株式会社
代理人弁理士法人T.S.パートナーズ,個人,個人,個人,個人,個人
主分類C25B 11/081 20210101AFI20241018BHJP(電気分解または電気泳動方法;そのための装置)
要約【課題】 水電解における酸素発生用電極として使用される、安価で、高触媒活性を有するイリジウム-マンガン酸化物複合電極、及びこの製造方法を提供する。
【解決手段】 イリジウム-マンガン酸化物複合材料が、粉末焼結体で構成される導電性基材の少なくとも一部を被覆しているイリジウム-マンガン酸化物複合電極。
【選択図】 なし
特許請求の範囲【請求項1】
イリジウム-マンガン酸化物複合材料が、粉末焼結体で構成される導電性基材の少なくとも一部を被覆している、イリジウム-マンガン酸化物複合電極。
続きを表示(約 470 文字)【請求項2】
前記イリジウム-マンガン酸化物複合材料が、前記導電性基材の幾何面積あたり、0.1mg/cm

以上25mg/cm

以下被覆している、請求項1に記載のイリジウム-マンガン酸化物複合電極。
【請求項3】
前記導電性基材が、白金被覆されたチタン粉末焼結体である、請求項1又は2に記載のイリジウム-マンガン酸化物複合電極。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のイリジウム-マンガン酸化物複合電極と、高分子電解質膜とを有する、膜/電極接合体。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のイリジウム-マンガン酸化物複合電極を有する、水電解装置。
【請求項6】
請求項4に記載の膜/電極接合体を有する、水電解装置。
【請求項7】
請求項1又は2に記載のイリジウム-マンガン酸化物複合電極を使用して水電解する、水素の製造方法。
【請求項8】
請求項4に記載の膜/電極接合体を使用して水電解する、水素の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、イリジウム-マンガン酸化物複合電極、及びその製造方法に関する。より詳しくは、アルカリ性条件下、中性条件下、又は酸性条件下で行われる工業的な水電解や、固体高分子膜(PEM)型電解槽を用いる水電解において、酸素発生用陽極触媒として使用されるイリジウム-マンガン酸化物複合電極、及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
化石燃料の枯渇問題や環境汚染問題から、クリーンなエネルギーとしての水素の利用とその製造手法に注目が集まっている。水電解法は、水を電気分解して陰極から高純度の水素ガスを製造する有効な手段のひとつであるが、この際、対極の陽極からは酸素発生が同時に起こることが特徴である。水電解法において水分解反応を効率よく進行させるには、陰極では水素過電圧の低い電極触媒を、陽極では酸素過電圧の低い電極触媒を用いて、電気分解にかかる電解電圧を低く保ちながら電解する必要がある。このうち、陽極の低酸素過電圧に優れた電極触媒材料として、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)などの希少な白金族金属や、それらの元素を含んだ酸化物をはじめとする化合物が提案されている(特許文献1、2、非特許文献1~3)。
【0003】
中でもイリジウム(Ir)は、非常に高活性な酸素発生電極触媒として広く知られているが、他の貴金属と比べても埋蔵量が極めて少なく、特定地域に偏在している実態から世界生産量も非常に少ないため、将来的に水電解技術が普及しても十分な触媒量を賄いきれないとする危惧が予測されている(非特許文献4)。
このような白金族金属で構成される電極触媒は非常に高価であることから、安価な遷移金属を用いた代替電極触媒の開発が進められてきている。例えば、近年では、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)などで構成される遷移金属材料が提案されている(特許文献3~5、非特許文献5~8)。
【0004】
最近まで、安価な遷移金属で構成され、且つ、PtやIrなどの白金族金属系に匹敵する高い触媒活性を有する酸素発生電極触媒材料は実現されていなかったが、このような課題に対して、マンガン酸化物に少量のIrを導入することで低コストと白金族金属系に匹敵する触媒活性を両立した電極触媒が見出された(特許文献6)。
しかしながら、その実用化に向けて、更なる高電流密度での運転を可能とする電極の開発が求められている。したがって、遷移金属を主成分とする触媒材料であっても、低い電解電圧で高電流密度を示す電極の開発が待ち望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開平8-269761号公報
特表2007-514520号公報
特開2015―192993号公報
国際公開(WO)2009/154753
国際公開(WO)2019/117199
国際公開(WO)2022/264960
【非特許文献】
【0006】
S.Trasatti,G.Buzzanca,J.Electroanal.Chem.,1971,29,A1.
A.Harriman,I.J.Pickering,J.M.Thomas,P.A.Christensen,J.Chem.Soc.,Faraday Trans.1,1988,84,2795.
Y.Zhao,N.M.Vargas-Barbosa,E.A.Hernandez-Pagan,T.E.Mallouk,Small,2011,7,2087.
F.Birol,World Energy Outlook 2016,International Energy Agency (IEA),Paris,2016.
M.M.Najafpour,G.Renger,M.Holynska,A.N.Moghaddam,E.-M.Aro, R.Carpentier,H.Nishihara,J.J.Eaton-Rye,J.-R.Shen,S.I.Allakhverdiev,Chem.Rev.,2016,116,2886.
T.Takashima,K.Ishikawa,H.Irie,J.Phys.Chem.C,2016,120,24827.
J.B.Gerken,J.G.McAlpin,J.Y.C.Chen,M.L.Rigsby,W.H.Casey,R.D.Britt,S.S.Stahl,J.Am.Chem.Soc.,2011,133,14431.
M.Dinca,Y.Surendranath,D.G.Nocera,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,2010,107,10337.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、イリジウム-マンガン酸化物複合材料及び導電性基材から成る電極、並びにその製造方法の提供に関するものである。
より詳しくは、アルカリ性条件下、中性条件下、又は酸性条件下で行われる工業的な水電解や、固体高分子膜(PEM)型電解槽を用いる水電解における酸素発生用電極であって、現行のイリジウム触媒系よりも安価で、かつ高い酸素発生電極触媒活性を有する水分解触媒用のイリジウム-マンガン酸化物複合材料(以下、イリジウム-マンガン酸化物という場合がある。)を用いて得られるイリジウム-マンガン酸化物複合電極、及びそれらの製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、イリジウム-マンガン酸化物複合電極について、粉末焼結体で構成される導電性基材の少なくとも一部が被覆されたイリジウム-マンガン酸化物複合電極が、特に高い酸素発生電極触媒活性と耐久性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は特許請求の範囲の通りであり、その要旨は以下の通りである。
【0009】
[1]イリジウム-マンガン酸化物複合材料が、粉末焼結体で構成される導電性基材の少なくとも一部を被覆している、イリジウム-マンガン酸化物複合電極。
[2]前記イリジウム-マンガン酸化物複合材料が、前記導電性基材の幾何面積あたり、0.1mg/cm

以上25mg/cm

以下被覆している、上記[1]のイリジウム-マンガン酸化物複合電極。
[3]前記導電性基材が、白金被覆されたチタン粉末焼結体である、上記[1]又は[2]のイリジウム-マンガン酸化物複合電極。
[4]上記[1]~[3]のいずれかひとつのイリジウム-マンガン酸化物複合電極と、高分子電解質膜とを有する、膜/電極接合体。
[5]上記[1]~[3]のいずれかひとつのイリジウム-マンガン酸化物複合電極を有する、水電解装置。
[6]上記[4]の膜/電極接合体を有する、水電解装置。
[7]上記[1]~[3]のいずれかひとつのイリジウム-マンガン酸化物複合電極を使用して水電解する、水素の製造方法。
[8]上記[4]の膜/電極接合体を使用して水電解する、水素の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明のイリジウム-マンガン酸化物複合電極は、アルカリ性条件下、中性条件下、又は酸性条件下で行われる工業的な水電解や、PEM型電解槽を用いる水電解において、高い活性と耐久性を示し、安価で優れた酸素発生用電極として作用する。
また、本発明のイリジウム-マンガン酸化物複合電極を用いる前記電解系に二酸化炭素を添加等することにより、該二酸化炭素等を陰極において還元して、炭化水素化合物(ギ酸、ホルムアルデヒド、メタノール、メタン、エタン、プロパン等)を製造することもできる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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