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公開番号
2024126894
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-09-20
出願番号
2023035630
出願日
2023-03-08
発明の名称
多層盛り溶接方法
出願人
株式会社ダイヘン
代理人
個人
,
個人
主分類
B23K
9/095 20060101AFI20240912BHJP(工作機械;他に分類されない金属加工)
要約
【課題】溶接継手のじん性低下を軽減しつつ、高入熱溶接により溶接能率を向上させることができる多層盛り溶接方法を提供する。
【解決手段】アシキュラーフェライトを析出させるためにTiを含有した溶接ワイヤを用い、入熱上限値を設けて行う消耗電極式の多層盛り溶接方法であって、先行パスが所定入熱値以下の低入熱条件で溶接された場合、該先行パスに再熱を与える後続パスは、入熱が前記入熱上限値以下、かつ前記先行パスの入熱に15kJ/cmの入熱を加算して得られる入熱以下の条件で溶接を行い、前記先行パスが前記所定入熱値超の高入熱条件で溶接された場合、該先行パスに再熱を与える前記後続パスは、前記入熱上限値を超える入熱を許容した条件で溶接を行う。
【選択図】図5
特許請求の範囲
【請求項1】
アシキュラーフェライトを析出させるためにTiを含有した溶接ワイヤを用い、入熱上限値を設けて行う消耗電極式の多層盛り溶接方法であって、
先行パスが所定入熱値以下の低入熱条件で溶接された場合、該先行パスに再熱を与える後続パスは、入熱が前記入熱上限値以下、かつ前記先行パスの入熱に15kJ/cmの入熱を加算して得られる入熱以下の条件で溶接を行い、
前記先行パスが前記所定入熱値超の高入熱条件で溶接された場合、該先行パスに再熱を与える前記後続パスは、前記入熱上限値を超える入熱を許容した条件で溶接を行う
多層盛り溶接方法。
続きを表示(約 290 文字)
【請求項2】
前記入熱上限値は40kJ/cmであり、前記所定入熱値は30kJ/cmである
請求項1に記載の多層盛り溶接方法。
【請求項3】
前記溶接ワイヤはJIS規格YGW18のワイヤである
請求項2に記載の多層盛り溶接方法。
【請求項4】
前記後続パスは、前記先行パスを再溶融させるパスであり、
前記後続パスが、前記低入熱条件で溶接された前記先行パスを再溶融させない場合、前記後続パスは前記入熱上限値を超える入熱を許容した条件で溶接を行う
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の多層盛り溶接方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層盛り溶接方法に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、高電流条件でのGMA溶接が着目されている(例えば、特許文献1)。高電流溶接では、深い溶込みが得られることや、溶接ワイヤの溶着速度が高いことにより、厚板溶接を高能率化することができる。
しかし、高電流条件での多層溶接においては、高い入熱による溶接金属のじん性低下が問題となる。そのため、溶接入熱及びパス間温度に制限が設けられる場合がある。最も一般的な基準は、溶接入熱40kJ/cm以下、パス間温度350℃以下である。このような場合、埋もれアーク溶接を含む高電流GMA溶接を用いても、入熱制限により、溶接能率を十分に向上させることができない。
ただし、40kJ/cmを超える入熱条件で溶接を行っても、溶接金属のじん性が要求値を満足する場合があり、40kJ/cmを超える高入熱溶接施工はしばしば行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許第6581438号公報
特許第6748556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、40kJ/cmを超える高入熱溶接が許容される場合でも、必ずしも全ての溶接パスの入熱が40kJ/cmを超えるとは限らず、低入熱条件での溶接パスと、比較的高入熱条件での溶接パスが混在することになる。このような場合、特定の条件下においては、溶接金属のじん性が低下する場合がある。
【0005】
本開示の目的は、溶接継手のじん性低下を軽減しつつ、高入熱溶接により溶接能率を向上させることができる多層盛り溶接方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る多層盛り溶接方法は、アシキュラーフェライトを析出させるためにTiを含有した溶接ワイヤを用い、入熱上限値を設けて行う消耗電極式の多層盛り溶接方法であって、先行パスが所定入熱値以下の低入熱条件で溶接された場合、該先行パスに再熱を与える後続パスは、入熱が前記入熱上限値以下、かつ前記先行パスの入熱に15kJ/cmの入熱を加算して得られる入熱以下の条件で溶接を行い、前記先行パスが前記所定入熱値超の高入熱条件で溶接された場合、該先行パスに再熱を与える前記後続パスは、前記入熱上限値を超える入熱を許容した条件で溶接を行う。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、溶接継手のじん性低下を軽減しつつ、高入熱溶接により溶接能率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本実施形態に係る消耗電極式のアーク溶接装置の一構成を示す模式図である。
埋もれアークの溶接条件を示す模式図である。
本実施形態に係る多層盛り溶接方法を示す概念図である。
本実施形態に係る多層盛り溶接方法を示す概念図である。
本実施形態に係る多層盛り溶接方法の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施形態に係る多層盛り溶接方法を、以下に図面を参照しつつ説明する。本実施形態に係る溶接方法は、GMA溶接、具体的には埋もれアーク溶接を用いた厚板の高入熱多層盛り溶接を実現する方法である。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0010】
<アーク溶接装置>
図1は、本実施形態に係る消耗電極式のアーク溶接装置の一構成を示す模式図である。本実施形態に係るアーク溶接装置は、GMA(Gas Metal Arc)を行う溶接半自動溶接機であり、溶接電源1、トーチ2及びワイヤ送給装置3を備える。また、本実施形態に係る多層盛り溶接方法を実施するための温度センサ6を用意する。温度センサ6は、多層盛り溶接におけるパス間温度、具体的には母材4の温度を検出するセンサである。温度センサ6は、半導体温度センサ、赤外線温度センサ、温度によって色が変化するシール又はチョーク等である。
(【0011】以降は省略されています)
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