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公開番号2024161638
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-20
出願番号2023076431
出願日2023-05-08
発明の名称パルスアーク溶接制御方法
出願人株式会社ダイヘン
代理人
主分類B23K 9/08 20060101AFI20241113BHJP(工作機械;他に分類されない金属加工)
要約【課題】磁気吹きの発生を抑制し、かつ、溶接品質を良好に維持すること。
【解決手段】溶接ワイヤを送給すると共に、立上り期間Tu中はベース電流Ibからピーク電流Ipへと上昇する上昇遷移電流を通電し、ピーク期間Tp中はピーク電流Ipを通電し、立下り期間Tk中はピーク電流Ipからベース電流Ibへと下降する下降遷移電流を通電し、ベース期間Tb中はベース電流Ibを通電し、これらの溶接電流Iwの通電を1パルス周期Tfとして繰り返し、溶接電圧Vwの平均値が溶接電圧設定値と等しくなるようにピーク期間Tp又はピーク電流Ipをフィードバック制御して溶接を行うパルスアーク溶接制御方法において、ベース期間Tb中の溶接電圧Vwの上昇によって時刻t12に磁気吹きの発生を判別Adしたときは、パルス周期Tfを磁気吹きが判別される前よりも短い修正値に変更する。
【選択図】 図2
特許請求の範囲【請求項1】
溶接ワイヤを送給すると共に、立上り期間中はベース電流からピーク電流へと上昇する上昇遷移電流を通電し、ピーク期間中は前記ピーク電流を通電し、立下り期間中は前記ピーク電流から前記ベース電流へと下降する下降遷移電流を通電し、ベース期間中は前記ベース電流を通電し、これらの溶接電流の通電を1パルス周期として繰り返し、
溶接電圧の平均値が溶接電圧設定値と等しくなるように前記ピーク期間又は前記ピーク電流をフィードバック制御して溶接を行うパルスアーク溶接制御方法において、
前記ベース期間中の溶接電圧の上昇によって磁気吹きの発生を判別したときは、前記パルス周期を磁気吹きが判別される前よりも短い修正値に変更する、
ことを特徴とするパルスアーク溶接制御方法。
続きを表示(約 330 文字)【請求項2】
前記修正値を、前記パルス周期の開始時点から前記磁気吹きの発生を判別した時点までの時間長さに基づいて行う、
ことを特徴とする請求項1に記載のパルスアーク溶接制御方法。
【請求項3】
前記ピーク期間を前記フィードバック制御しているときに、前記パルス周期を前記修正値に変更したときは、前記ピーク電流を減少させる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のパルスアーク溶接制御方法。
【請求項4】
前記ピーク電流を前記フィードバック制御しているときに、前記パルス周期を前記修正値に変更したときは、前記ピーク期間を減少させる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のパルスアーク溶接制御方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気吹きによる溶接状態の不安定を抑制することができるパルスアーク溶接制御方法に関するものである。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
消耗電極式パルスアーク溶接は、鉄鋼等の溶接に広く使用されている。このパルスアーク溶接では、立上り期間中はベース電流からピーク電流へと上昇する上昇遷移電流を通電し、ピーク期間中はピーク電流を通電し、立下り期間中はピーク電流からベース電流へと下降する下降遷移電流を通電し、ベース期間中はベース電流を通電し、これらの溶接電流の通電を1パルス周期として繰り返して溶接が行われる。また、溶接電圧の平均値が溶接電圧設定値と等しくなるようにピーク期間又はピーク電流をフィードバック制御することによってアーク長を適正値に維持している。パルスアーク溶接では、1パルス周期1溶滴移行状態となるので、溶滴移行状態が安定しているために、スパッタの発生が少なく、美しいビード外観を得ることができる。
【0003】
パルスアーク溶接を含む消耗電極式アーク溶接においては、アーク及び母材に通電する溶接電流によってアーク周辺部に磁界が形成されて、この磁界からアークは力を受けて偏向する場合がある。このような状態を、一般的に磁気吹き又はアークブローと呼んでいる。磁気吹きが発生するかは、母材に通電する溶接電流によって形成される磁界の形態によって決まる。溶接している部分が母材の端部から離れているときには、磁界は対称形状に形成されることが多いために、アークは磁界から偏った力を受けることがないので、磁気吹きは発生しにくい。他方、溶接している部分が母材の端部に近いときは、磁界は非対称形状に形成されるために、アークは磁界から偏った力を受けることになり、磁気吹きが発生しやすくなる。したがって、母材の端部の近くとなることが多い溶接開始部分及び溶接終了部分では、磁気吹きが発生しやすい。消耗電極式アークの中でも、短絡移行溶接では磁気吹きは発生しにくく、パルスアーク溶接では発生しやすい。これは、短絡移行溶接では、アーク長がパルスアーク溶接に比べて短いために、磁界からの影響を受けにくいためである。他方、パルスアーク溶接では、大電流値のピーク電流が通電しているときは強い磁界が形成され、小電流値のベース電流が通電しているときは弱い磁界が形成されている。パルスアーク溶接では、この磁界の強さの変化が大きいこと、かつ、ベース電流が小さいので磁界から偏った力を受けると直ぐにアークが偏向すること、が原因となって磁気吹きが発生しやすい。したがって、パルスアーク溶接では、磁気吹きによるアークの偏向は、ベース期間中に発生しやすい。磁気吹きが発生すると、アークが偏向するために溶接品質が悪くなる。さらには、アークの偏向が大きくなると、アーク切れが発生して溶接欠陥となる場合も生じる。したがって、磁気吹き対策は良好な溶接品質を得るためには重要である。
【0004】
従来からパルスアーク溶接において、種々の磁気吹き対策が提案されている。その代表的なものは、磁気吹きを判別すると、ベース電流を増加させてアークの硬直性を強くすることでアークの偏向を抑制する方法である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特許第4319432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来技術の磁気吹き対策では、ベース電流を増加させているために、溶接ワイヤの溶融が促進されて溶滴を形成することになる。この結果、1パルス周期1溶滴移行状態から外れることになり、スパッタの発生、ビード外観等の溶接品質が悪くなるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明では、磁気吹きの発生を抑制し、かつ、溶接品質を良好に維持することができるパルスアーク溶接制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、
溶接ワイヤを送給すると共に、立上り期間中はベース電流からピーク電流へと上昇する上昇遷移電流を通電し、ピーク期間中は前記ピーク電流を通電し、立下り期間中は前記ピーク電流から前記ベース電流へと下降する下降遷移電流を通電し、ベース期間中は前記ベース電流を通電し、これらの溶接電流の通電を1パルス周期として繰り返し、
溶接電圧の平均値が溶接電圧設定値と等しくなるように前記ピーク期間又は前記ピーク電流をフィードバック制御して溶接を行うパルスアーク溶接制御方法において、
前記ベース期間中の溶接電圧の上昇によって磁気吹きの発生を判別したときは、前記パルス周期を磁気吹きが判別される前よりも短い修正値に変更する、
ことを特徴とするパルスアーク溶接制御方法である。
【0009】
請求項2の発明は、
前記修正値を、前記パルス周期の開始時点から前記磁気吹きの発生を判別した時点までの時間長さに基づいて行う、
ことを特徴とする請求項1に記載のパルスアーク溶接制御方法である。
【0010】
請求項3の発明は、
前記ピーク期間を前記フィードバック制御しているときに、前記パルス周期を前記修正値に変更したときは、前記ピーク電流を減少させる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のパルスアーク溶接制御方法である。
(【0011】以降は省略されています)

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