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公開番号
2024126228
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-09-20
出願番号
2023034473
出願日
2023-03-07
発明の名称
可溶性が向上したFc結合性タンパク質、当該タンパク質の製造方法および当該タンパク質を用いた抗体吸着剤
出願人
東ソー株式会社
代理人
主分類
C12N
15/12 20060101AFI20240912BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】 従来のヒトFcRnに対して可溶性が向上したFc結合性タンパク質、当該タンパク質の製造方法、および当該タンパク質を用いた抗体吸着剤を提供すること。
【解決手段】 N末端側から、ヒト新生児Fcレセプター(FcRn)β鎖のβ2ミクログロブリン領域、FcRnα鎖の細胞外領域、FcRnβ鎖のβ2ミクログロブリン領域の順に連結した、Fc結合性タンパク質、当該タンパク質の製造方法、および当該タンパク質を用いた抗体吸着剤により、前記課題を解決する。
【選択図】 図3
特許請求の範囲
【請求項1】
N末端側から、ヒト新生児Fcレセプター(FcRn)β鎖のβ2ミクログロブリン領域、FcRnα鎖の細胞外領域、FcRnβ鎖のβ2ミクログロブリン領域の順に連結した、Fc結合性タンパク質。
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【請求項2】
FcRnα鎖の細胞外領域が、以下の(A-1)から(A-3)のいずれかから選択される、請求項1に記載のFc結合性タンパク質;
(A-1)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち24番目のアラニンから297番目のセリンまでのアミノ酸残基を少なくとも含むポリペプチド
(A-2)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち24番目のアラニンから297番目のセリンまでのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該アミノ酸残基において1もしくは数個の位置での1もしくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入および付加のうち、いずれか1つ以上生じ、かつ抗体結合活性を有するポリペプチド
(A-3)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち24番目のアラニンから297番目のセリンまでのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該アミノ酸残基からなるアミノ酸配列に対して70%以上の相同性を有し、かつ抗体結合活性を有するポリペプチド。
【請求項3】
FcRnβ鎖のβ2ミクログロブリン領域が、以下の(B-1)から(B-3)のいずれかから選択される、請求項1に記載のFc結合性タンパク質;
(B-1)配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち21番目のイソロイシンから119番目のメチオニンまでのアミノ酸残基を少なくとも含むポリペプチド
(B-2)配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち21番目のイソロイシンから119番目のメチオニンまでのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該アミノ酸残基において1もしくは数個の位置での1もしくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入および付加のうち、いずれか1つ以上生じ、かつ抗体結合活性を有するポリペプチド
(B-3)配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち21番目のイソロイシンから119番目のメチオニンまでのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該アミノ酸残基からなるアミノ酸配列に対して70%以上の相同性を有し、かつ抗体結合活性を有するポリペプチド。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載のFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチド
【請求項5】
請求項4に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
【請求項6】
請求項5に記載の発現ベクターで宿主を形質転換して得られる、Fc結合性タンパク質を生産可能な形質転換体。
【請求項7】
宿主が大腸菌である、請求項6に記載の形質転換体。
【請求項8】
請求項6に記載の形質転換体を培養することによりFc結合性タンパク質を発現させる工程と、得られた培養物から前記発現させたFc結合性タンパク質を回収する工程とを含む、Fc結合性タンパク質の製造方法。
【請求項9】
不溶性担体と、当該担体に固定化した請求項1から3のいずれかに記載のFc結合性タンパク質とを含む、抗体吸着剤。
【請求項10】
請求項9に記載の吸着剤を充填したカラムに抗体を含む溶液を添加して当該抗体を前記吸着剤に吸着させる工程と、前記吸着剤に吸着した抗体を溶出液を用いて溶出させる工程とを含む、抗体の分離方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫グロブリン(抗体)のFc領域に対し結合親和性を有するFc結合性タンパク質、当該タンパク質の製造方法、および当該タンパク質を不溶性担体に固定化して得られる抗体吸着剤に関する。より詳しくは、従来のFc結合性タンパク質と比較し、可溶性が向上したFc結合性タンパク質、当該タンパク質の製造方法、および当該タンパク質を不溶性担体に固定化して得られる抗体吸着剤に関する。
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【背景技術】
【0002】
Fcレセプターは、免疫グロブリン分子のFc領域に結合する受容体タンパク質であり、抗原と免疫グロブリンとの免疫複合体に結合して細胞内にシグナル伝達を行なう(非特許文献1)。個々の分子は、免疫グロブリンスーパーファミリーに属する認識ドメインによって、単一の、または同じグループの免疫グロブリンイソタイプをFcレセプター上の認識ドメインによって認識している。これにより免疫応答においてどのアクセサリー細胞が動因されるかが決まっている。
【0003】
Fcレセプターはさらにいくつかのサブタイプに分類でき、免疫グロブリンG(IgG)に対するレセプターであるFcγレセプターをはじめ、Fcαレセプター、Fcεレセプター等が存在する。各レセプターはさらに細かく分類されており、Fcγレセプターの場合、FcγRI(CD64)、FcγRIIa(CD32a)、FcγRIIb(CD32b)、FcγRIIc(CD32c)、FcγRIIIa(CD16a)およびFcγRIIIb(CD16b)のサブタイプに分類できる(非特許文献1および2)。
【0004】
一方、ヒト新生児Fcレセプター(FcRn)は免疫グロブリンスーパーファミリーに属するヒトFcγレセプターとは異なる、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスI関連分子であり、重鎖(α鎖)とβ2ミクログロブリン(β鎖)により構成されている(非特許文献3)。FcRnはIgGのリサイクリング機構に関与しており、IgGの分解を抑制する働きをもつ。また、FcRnはpH依存的にIgGと結合し、pH6.5以下で結合する(非特許文献4)。
【0005】
ヒトFcRnのα鎖のアミノ酸配列(配列番号1)は、UniProt(Accession number:P55899)などの公的データベースに公表されている。また、β鎖のアミノ酸配列(配列番号2)も、UniProt(Accession number:P61769)に公表されている。さらに、ヒトFcRnの構造上の機能ドメイン、細胞膜を貫通するためのシグナルペプチド配列、細胞膜貫通領域の位置についても同様に公表されている。図1にヒトFcRnのα鎖の、図2にヒトFcRnのβ鎖の構造略図をそれぞれ示す。なお、図1中のアミノ酸番号は配列番号1に記載のアミノ酸番号に対応する。すなわち、配列番号1中の1番目のメチオニン(M)から23番目のグリシン(G)までがシグナル配列(S)、24番目のアラニン(A)から297番目のセリン(S)までが細胞外領域(EC)、298番目のバリン(V)から321番目のトリプトファン(W)までが細胞膜貫通領域(TM)および322番目のアルギニン(R)から365番目のアラニン(A)までが細胞内領域(C)とされている。また、図2中のアミノ酸番号は配列番号2に記載のアミノ酸番号に対応する。すなわち、配列番号2中の1番目のメチオニン(M)から20番目のアラニン(A)までがシグナル配列(S)、21番目のイソロイシン(I)から119番目のメチオニン(M)までがβ2ミクログロブリン(B2M)とされている。
【0006】
FcRnを産業応用するためには、使用や保存などの観点から可溶性が高く、熱や酸に対して安定性が高いことが好ましい。安定性の高いFcRnは、特許文献1で、変異導入により天然型ヒトFcRnに対し、熱または酸に対する安定性が向上したFcRnを開示している。遺伝子工学的手法を用いたFcRnの発現は、非特許文献5で、HEK293細胞などの動物細胞を宿主として10mg/Lの発現量で発現した例を開示している。しかし、動物細胞に比べて簡便で安価に製造可能な大腸菌を宿主としてFcRnを発現させようとした場合、当該FcRnを可溶性の状態で大量に発現させることは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2018-183087号公報
【非特許文献】
【0008】
Takai T.,Jpn.J.Clin.Immunol.,28,318-326,2005
J.Galon et al.,Eur.J.Immunol.,27,1928-1932,1997
N.E.Simister et al.,Nature,337,184-187,1989
M.Raghavan et al.,Biochemistry,34,14649-14657,1995
Y.Feng et al.,Protein ExprPurif.,79(1),66-71,2011
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、従来のヒトFcRnに対して可溶性が向上したFc結合性タンパク質、当該タンパク質の製造方法、および当該タンパク質を用いた抗体吸着剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討を行なった結果、ヒト新生児Fcレセプター(FcRn)α鎖の細胞外領域および二分子のヒトFcRnβ鎖のβ2ミクログロブリン領域を連結した融合タンパク質とすることで、遺伝子工学的手法を用いて発現させる際、当該タンパク質の可溶性が従来のヒトFcRnよりも向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
(【0011】以降は省略されています)
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