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公開番号2024126008
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-19
出願番号2024018353
出願日2024-02-09
発明の名称バランスばねの有効長の自律的調整デバイス
出願人ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
代理人個人
主分類G04B 18/06 20060101AFI20240911BHJP(時計)
要約【課題】 単純で、正確で、自律的な形態で、重力の影響、特に発振器のバランスの等時性の阻害、を打ち消す。
【解決手段】 本発明は、ばね仕掛けバランスタイプの発振器(4、5)のための、バランスばね(5)の有効長の自律的調整デバイス(6)に関し、計時器用ムーブメント(2)のプレート(13)に取り付けられるコック(12)と、バランスばね(5)の有効長を変更する手段とを備え、コック(12)において、バランススタッフが回転し、バランスばね(5)には、バランススタッフと一体化された内端と、スタッドホルダー(10)に留められたスタッド(8)と一体化された外端とがあり、スタッドホルダー(10)は、バランススタッフと同心にコック(12)に回転可能に取り付けられる。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
ばね仕掛けバランスタイプの発振器(4、5)のための、バランスばね(5)の有効長の自律的調整デバイス(6)であって、
前記自律的調整デバイス(6)は、計時器用ムーブメント(2)のプレート(13)に取り付けられるコック(12)と、前記バランスばね(5)の有効長を変更する手段とを備え、
前記コック(12)において、バランススタッフが回転し、
前記バランスばね(5)には、前記バランススタッフと一体化された内端と、スタッドホルダー(10)に留められたスタッド(8)と一体化された外端とがあり、
前記スタッドホルダー(10)は、前記バランススタッフと同心に前記コック(12)に回転可能に取り付けられ、
前記バランスばねの有効長を変更する手段は、第1のアーム(60)と、第2のアーム(61)と、弾性応力付与手段(62、63、64、65)と、球状の慣性ブロック(40)とを備え、
前記第1のアーム(60)は、前記自律的調整デバイスの休み位置と補正位置の間を動くことができ、
前記第1のアーム(60)には、第1の自由端(600)と、前記スタッドホルダー(10)に取り付けられた第1の対のピン(19)と連係する第2の端(601)とがあり、
前記第1の対のピン(19)は、前記スタッド(8)に対して角度的にオフセットされており、
前記第2のアーム(61)は、前記自律的調整デバイスの休み位置と補正位置の間を動くことができ、
前記第2のアームには、第1の自由端(610)と、前記スタッドホルダー(10)に取り付けられた第2の対のピン(19’)と連係する第2の端(611)とがあり、
前記第2の対のピン(19’)は、前記第1の対のピン(19)と前記スタッド(8)に対して角度的にオフセットされており、
前記弾性応力付与手段(62、63、64、65)は、前記アーム(60、61)に対して弾性復帰作用を与えるように構成しており、
前記慣性ブロック(40)は、互いに垂直な2つの軸の回りを回転可能であり、
前記慣性ブロック(40)は、重力に応じて動くように構成しており、
前記慣性ブロック(40)の運動は、カム(31)が取り付けられた軸(30)を回転させ、
前記カム(31)の回転は、前記アーム(60)を動かし前記第2のアーム(61) と連係するように構成しているレバー(49)を並進運動させ、前記バランスばねに作用して、同時に前記バランスばね(5)の有効長を変更する
ことを特徴とする自律的調整デバイス(6)。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
前記球状の慣性ブロック(40)には、固体部分(400)と空欠部分(401)があり、
前記固体部分(400)は、アンバランスを形成し、前記球がその休み位置に戻ることを可能にする
ことを特徴とする請求項1に記載の自律的調整デバイス(6)。
【請求項3】
前記球状の慣性ブロックには、前記球状の慣性ブロックの大きな円に第1のリング(41)と、前記球状の慣性ブロックを囲む第2のリング(46)とがあり、各リングは、前記球状の慣性ブロック(40)の回転角度を定める
ことを特徴とする請求項2に記載の自律的調整デバイス(6)。
【請求項4】
前記第1のリング(41)と前記球状の慣性ブロック(40)は、一体化された要素を形成する
ことを特徴とする請求項3に記載の自律的調整デバイス(6)。
【請求項5】
前記第1のリングには、前記レバー(49)と一体化されたフィーラー(48)と連係するように構成している少なくとも1つの空欠部(42)があり、
前記フィーラー(48)が前記空欠部(42)を通り抜けるときに前記レバーは動き、
前記少なくとも1つの空欠部(42)は、補正位置に対応する位置にある
ことを特徴とする請求項3に記載の自律的調整デバイス(6)。
【請求項6】
前記カム(31)は、外側輪郭があるラジアルカムである
ことを特徴とする請求項1に記載の自律的調整デバイス(6)。
【請求項7】
前記自律的調整デバイス(6)が休み位置にあるときには、前記カム(31)の平坦部分が前記第1のアーム(60)と接触しており、前記自律的調整デバイス(6)が補正位置にあるときには、前記カム(31)のコーナーないし角部分が前記第1のアーム(60)と接触している
ことを特徴とする請求項1に記載の自律的調整デバイス(6)。
【請求項8】
前記カム(31)は、前記慣性ブロック(40)の位置にかかわらず、前記第1のアーム(60)の前記自由端(60)と常に接触している
ことを特徴とする請求項1に記載の自律的調整デバイス(6)。
【請求項9】
前記第1のアーム(60)の前記自由端(600)は、弾性変形可能な調整手段を備え、
前記調整手段は、第1の端が前記アームと一体化され他方の端が自由端であるストリップばねの形態であり、
その自由端は、応力を与えられ前記第1のアーム(60)の長さを調整するように構成している
ことを特徴とする請求項1に記載の自律的調整デバイス(6)。
【請求項10】
前記第2のアーム(61)の前記自由端(610)は、弾性変形可能な調整手段を備え、
前記調整手段は、第1の端が前記アームと一体化され他方の端が自由端であるストリップばねの形態であり、
その自由端は、応力を与えられ前記第2のアーム(61)の長さを調整するように構成している
ことを特徴とする請求項1に記載の自律的調整デバイス(6)。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ばね仕掛けバランスタイプの発振器のための、バランスばねの有効長の自律的調整デバイスに関する。
続きを表示(約 3,700 文字)【0002】
本発明は、さらに、バランスばねの有効長の自律的調整を有するデバイスと、ばね仕掛けバランスタイプの発振器とを備える計時器用ムーブメントに関する。
【0003】
本発明は、さらに、前記計時器用ムーブメントを備える、計時器、特に、携行型時計(例、腕時計、懐中時計)、に関する。
【背景技術】
【0004】
ばね仕掛けバランスタイプの機械式発振器が取り付けられた携行型時計において、バランスばねの有効長を手動で調整するための機構が知られている。
【0005】
例えば、通常の手動式の調整機構において、バランスばねの外端は、コックと一体化されたスタッドホルダーに留められたスタッドによって不動化される。スタッドホルダーに対して回転することができるインデックスを用いて、バランスばねの有効長を調整して、ばね仕掛けバランスの振動数を調整することが可能になる。このインデックスは、通常2つのアームを備える、回転レバーであり、このレバーは、バランススタッフの座標を中心とする。インデックスの第1のアームには、例えば、2つのピンがあり、その間にてバランスばねが自由になっている。インデックスの第2のアームを手動で操作して、バランススタッフを中心として特定の角度分インデックスを回転させることができる。これによって、カウント点の実際の位置を変更することができる。インデックスが回転するに従って、バランスばねの有効長が短縮又は増加する。しかし、このような手動調整デバイスには、対応する計時器用ムーブメントの向きに応じて地球の重力がばね仕掛けバランスの発振の振動数に影響を与えてしまうという課題がある。結果として、携行型時計のレートは、特にその水平姿勢と鉛直姿勢の間で、大きく変動する。また、バランスばねがピンの間をそれらの間の遊びに起因して動くときに、ばね仕掛けバランスの振動は、その有効長を変更して、ばね仕掛けバランスのアセンブリーの振動数をわずかにばらつかせてしまう。
【0006】
重力の悪影響を抑えるために、特にスイス特許CH705605B1によって知られている1つの手法は、バランスばねの有効長を調整するためのデバイスを実装しており、これにおいては、バランスばねの有効長を定めるためにバランスばねの端部分をクランプするように設計されているクランプ手段をインデックスが担持している。また、バランスばねの外端は、インデックスに対して運動可能に取り付けられインデックスと連係するように構成している留めシステムと一体化されている。クランプシステムは、例えば、バランスばねの端部分がクランプされているピン/偏心クランプシステムからなり、時計技師が所望のときに緩めたりきつくしたりすることができる。時計技師がピン/偏心クランプシステムを緩めると、工具を用いて留めシステムを動かすことができ、したがって、固定されたままのインデックスに対して、したがって、ピンに対して、バランスばねを動かすことが可能になり、これによって、バランスばねの有効長を変更することができる。そして、時計技師は、クランプシステムをきつくすることによってピンに対してバランスばねをクランプして、調整デバイスをその動作位置に戻すことができる。しかし、このような手法は依然として手動の調整手法であり、このために、重力の影響を打ち消すために用いられる調整の精度を大幅に制限してしまうという課題がある。また、このような手法は、調整を行うために時計技師が行う様々な手動の調整ステップに起因して、実装に多くの労力が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明は、単純で、正確で、自律的な形態で、重力の影響、特に発振器のバランスの等時性の阻害、を打ち消すことを可能にするような、ばね仕掛けバランスタイプの発振器のための、バランスばねの有効長を調整するためのデバイスを提供し、従来技術の前記課題を軽減することを目的とする。
【0008】
このために、本発明は、ばね仕掛けバランスタイプの発振器のための、バランスばねの有効長の自律的調整デバイスに関し、前記自律的調整デバイスは、計時器用ムーブメントのプレートに取り付けられるコックと、前記バランスばねの有効長を変更する手段とを備え、前記コックにおいて、バランススタッフが回転し、前記バランスばねには、前記バランススタッフと一体化された内端と、スタッドホルダーに留められたスタッドと一体化された外端とがあり、前記スタッドホルダーは、前記バランススタッフと同心に前記コックに回転可能に取り付けられる。
【0009】
本発明によると、前記バランスばねの有効長を変更する手段は、第1のアームと、第2のアームと、弾性応力付与手段と、球状の慣性ブロックとを備え、前記第1のアームは、前記自律的調整デバイスの休み位置と補正位置の間を動くことができ、前記第1のアームには、第1の自由端と、前記スタッドホルダーに取り付けられた第1の対のピンと連係する第2の端とがあり、前記第1の対のピンは、前記スタッドに対して角度的にオフセットされており、前記第2のアームは、前記自律的調整デバイスの休み位置と補正位置の間を動くことができ、前記第2のアームには、第1の自由端と、前記スタッドホルダーに取り付けられた第2の対のピンと連係する第2の端とがあり、前記第2の対のピンは、前記第1の対のピンと前記スタッドに対して角度的にオフセットされており、前記弾性応力付与手段は、前記アームに対して弾性復帰作用を与えて前記アームを休み位置に戻すように構成しており、前記慣性ブロックは、互いに垂直な2つの軸の回りを回転可能であり、前記慣性ブロックは、重力に応じて動くように構成しており、前記慣性ブロックの運動は、カムが取り付けられた軸を回転させ、前記カムの回転は、前記アームを動かし前記第2のアームと連係するように構成しているレバーを並進運動させ、前記バランスばねに作用して、同時に前記バランスばねの有効長を変更する。
【0010】
本発明の他の有利な実施形態においては、以下の特徴を有する。
- 前記球状の慣性ブロックには、固体部分と空欠部分があり、前記固体部分は、アンバランスを形成し、前記球がその休み位置に戻ることを可能にする。
- 前記球状の慣性ブロックには、前記球状の慣性ブロックの大きな円に第1のリングと、前記球状の慣性ブロックを囲む第2のリングとがあり、各リングは、前記球状の慣性ブロックの回転角度を定める。
- 前記第1のリングと前記球状の慣性ブロックは、一体化された要素を形成する。
- 前記第1のリングには、前記レバーと一体化されたフィーラーと連係するように構成している少なくとも1つの空欠部があり、前記フィーラーが前記空欠部を通り抜けるときに前記レバーは動き、前記少なくとも1つの空欠部は、補正位置に対応する位置にある。
- 前記カムは、外側輪郭があるラジアルカムである。
- 前記自律的調整デバイスが休み位置にあるときには、前記カムの平坦部分が前記第1のアームと接触しており、前記自律的調整デバイスが補正位置にあるときには、前記カムのコーナーないし角部分が前記第1のアームと接触している。
- 前記カムは、前記慣性ブロックの位置にかかわらず、前記第1のアームの前記自由端と常に接触している。
- 前記第1のアームの前記自由端は、弾性変形可能な調整手段を備え、前記調整手段は、第1の端が前記アームと一体化され他方の端が自由端であるストリップばねの形態であり、その自由端は、応力を与えられ前記第1のアームの長さを調整するように構成している。
- 前記第2のアームの前記自由端は、弾性変形可能な調整手段を備え、前記調整手段は、第1の端が前記アームと一体化され他方の端が自由端であるストリップばねの形態であり、その自由端は、応力を与えられ前記第2のアームの長さを調整するように構成している。
- 前記自律的調整デバイスは、弾性応力を調整するための調整手段を備え、前記調整手段は、ねじの形態であり、前記ねじは、前記自由端を通過し、前記アームに支えられる。
- 前記第1の対のピンは、第1の支持体を介して前記スタッドホルダーに留められており、前記第1のアームは、2つの前記ピンの間を前記アームが摺動し補正位置において前記バランスばねの外側コイルと接触するように構成している。
- 前記第2の対のピンは、第2の支持体を介して前記スタッドホルダーに留められており、前記第2のアームは、2つの前記ピンの間を通過し補正位置において前記バランスばねの前記外側コイルと接触するように構成している。
(【0011】以降は省略されています)

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