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公開番号2024137768
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-07
出願番号2024031119
出願日2024-03-01
発明の名称時計用のクラッチ装置
出願人ランゲ ウーレン ゲーエムベーハー
代理人個人,個人,個人
主分類G04F 7/08 20060101AFI20240927BHJP(時計)
要約【課題】構成簡単で、必要とする設置スペースが小さく、時計における針のゼロ設定を支障なく可能にする、時計用クラッチ装置を提供する。
【解決手段】クラッチ出力ホイールを相対回転不可能に支持する軸2上に配置されたクラッチ入力ホイール1と、軸2に対して同軸のクラッチ入力ホイール1のクラッチディスク3であって、軸線方向に変位可能な対抗クラッチディスク4が、クラッチディスク3と摩擦係合的に当接するためにばね力によって負荷されると共に、爪8によって下方から把持可能であり、対抗クラッチディスク4は、クラッチディスク3との結合位置に当接する位置で爪8によってデカップリング位置に持ち上げ可能である、クラッチディスク3とを備え、爪8は、手動で作動可能なデカップリングプッシャにより、負荷が生じない非作動位置から、対抗クラッチディスク4をクラッチディスク3から持ち上げる作動位置に移動可能である。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
時計用のクラッチ装置であって、
・回転駆動可能であると共に、軸線方向に固定され、かつクラッチ出力ホイールを相対回転不可能に支持する軸(2)上に配置された、ムーブメントで回転可能に駆動されるクラッチ入力ホイール(1)と、
・前記軸(2)に対して同軸の前記クラッチ入力ホイール(1)のクラッチディスク(3)であって、前記クラッチディスク(3)に、軸線方向に変位可能な対抗クラッチディスク(4)が同軸に配置され、前記対抗クラッチディスク(4)が、前記クラッチディスク(3)と摩擦係合的に当接するためにばね力によって負荷されると共に、爪(8)によって下方から把持可能であり、前記対抗クラッチディスク(4)が、前記クラッチディスク(3)との結合位置に当接する位置で前記爪(8)によってデカップリング位置に持ち上げ可能である、前記クラッチディスク(3)と、
を備え、
前記爪(8)が、手動で作動可能なデカップリングプッシャにより、負荷が生じない非作動位置から、前記対抗クラッチディスク(4)を前記クラッチディスク(3)から持ち上げる作動位置に移動可能であるクラッチ装置において、
前記対抗クラッチディスク(4)が、前記デカップリングプッシャの部分的な作動が生じると、前記爪(8)により、第1デカップリングストロークだけ、前記クラッチディスク(3)から、ロック装置(15)によってロック可能な第1デカップリング位置に持ち上げ可能であり、その後に前記デカップリングプッシャの完全な作動が生じると、前記爪(8)が、前記第1デカップリングストロークとは反対の第2デカップリングストロークで前記対抗クラッチディスク(4)から下降可能であり、その後に前記デカップリングプッシャが部分的に解放されると、前記対抗クラッチディスク(4)が、前記爪(8)により、前記第2デカップリングストロークから第3デカップリングストロークに上昇可能であり、この場合に前記ロック装置(15)が、ロック解除され、その後に前記デカップリングプッシャが完全に解放されると、前記対抗クラッチディスク(4)が、前記ばね力によって前記結合位置に戻されることを特徴とする、クラッチ装置。
続きを表示(約 1,800 文字)【請求項2】
請求項1に記載のクラッチ装置であって、前記対抗クラッチディスク(4)が、カップ状クラッチスリーブ(6)の底部によって形成され、前記クラッチスリーブ(6)が、前記底部から離れた側の端部に、半径方向に突出するカラー(7)を有することを特徴とする、クラッチ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のクラッチ装置であって、前記爪(8)が、前記軸(2)に対して前記非作動位置と前記作動位置との間で軸線方向に変位可能であることを特徴とする、クラッチ装置。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載のクラッチ装置であって、前記爪(8)が、前記軸(2)に対して平行であると共に前記爪(8)に堅固に配置された爪ピン(10)により、ストローククラウンホイール(9)で移動するよう駆動可能であり、その歯(11,12)に、前記爪ピン(10)における端面の一つが当接し、前記ストローククラウンホイール(9)が、デカップリングプッシャにより、クラウンホイール軸線周りで段階的に順送り可能であることを特徴とする、クラッチ装置。
【請求項5】
請求項4に記載のクラッチ装置であって、前記ストローククラウンホイール(9)が、第1歯(11)及び第2歯(12)で構成された複数の対を交互に有し、前記第1歯(11)が、前記第2歯(12)よりも高さが小さく、前記爪ピン(10)が、前記第1歯(11)により、前記爪(8)を第1デカップリングストロークに上昇させ、その後に前記デカップリングプッシャの完全な作動が生じると、前記爪ピン(10)が、前記第1歯(11)の後の第1隙間(13)で第2デカップリングストロークに下降可能であり、その後に前記デカップリングプッシャが部分的に解放されると、前記爪ピン(10)及び該爪ピン(10)と一緒に前記爪(8)が、前記第2歯(12)により、第3デカップリングストロークに上昇可能であり、次いで前記爪ピン(10)が、前記第2歯(12)の後の第2隙間(14)に下降可能であると共に、前記爪(8)が、結合位置に下降可能であることを特徴とする、クラッチ装置。
【請求項6】
請求項4に記載のクラッチ装置であって、前記ストローククラウンホイール(9)が、前記デカップリングプッシャによって段階的に回転駆動可能であることを特徴とする、クラッチ装置。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載のクラッチ装置であって、前記ロック装置(15)が、クロー(17)を有し、該クロー(17)が、前記対抗クラッチディスク(4)において、前記軸(2)に対して平行なクロー軸(16)周りで旋回可能に配置され、前記クローが、前記第1デカップリングストロークに達したときに前記軸(2)のロック凹部(18)と係合可能であり、前記第3デカップリングストロークに達したときに前記ロック凹部(18)から係合解除可能であることを特徴とする、クラッチ装置。
【請求項8】
請求項6に記載のクラッチ装置であって、前記クロー(17)が、第1デカップリングストロークの間、軸(2)の外周面上に半径方向内側に弾性的に当接するよう保持され、第1デカップリング位置に達した後、前記軸(2)における前記外周面の周方向のロック凹部(18)に半径方向内側に係合することを特徴とする、クラッチ装置。
【請求項9】
請求項8に記載のクラッチ装置であって、クラッチディスク(3)により近い、前記ロック凹部(18)の第1側壁(26)が、半径方向に延在し、対抗クラッチディスク(4)からより離れた、前記ロック凹部(18)の第2側壁(27)が、前記ロック凹部(18)の開口を拡大するよう傾斜している摺動壁であることを特徴とする、クラッチ装置。
【請求項10】
請求項8及び9に記載のクラッチ装置であって、前記クロー(17)が、第2デカップリングストロークから第3デカップリングストロークへの経路において、前記ロック凹部(18)の前記第2側壁(27)に第1摺動傾斜路(21)によって当接し、前記第2側壁(27)に沿って摺動しながら前記ロック凹部(18)から出るよう移動可能であり、前記軸(2)から、ロック解除位置に離れるよう移動可能であると共に、前記ロック解除位置に保持可能であることを特徴とする、クラッチ装置。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、時計用のクラッチ装置に関し、このクラッチ装置は、回転駆動可能であると共に、軸線方向に固定され、かつクラッチ出力ホイールを相対回転不可能に支持する軸上に配置された、ムーブメントで回転可能に駆動されるクラッチ入力ホイールと、軸に対して同軸のクラッチ入力ホイールのクラッチディスクであって、クラッチディスクに、軸線方向に変位可能な対抗クラッチディスクが同軸に配置され、対抗クラッチディスクは、クラッチディスクと摩擦係合的に当接するためにばね力によって負荷されると共に、爪によって下方から把持可能であり、対抗クラッチディスクは、クラッチディスクとの結合位置に当接する位置で爪によってデカップリング位置(非結合位置)に持ち上げ可能である、上記クラッチディスクとを備え、爪は、手動で作動可能なデカップリングプッシャ(非結合プッシャ)により、負荷が生じない非作動位置から、対抗クラッチディスクをクラッチディスクから持ち上げる作動位置に移動可能である。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
このような既知のクロノグラフ用クラッチ装置では、回転可能な部品間の摩擦により、針のゼロ設定(ゼロ調整)が妨げられる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明の課題は、冒頭に述べた時計用クラッチ装置において、構成簡単であり、必要とする設置スペースが小さく、時計における針のゼロ設定を支障なく可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決するため、本発明に係る時計用のクラッチ装置は、対抗クラッチディスクが、デカップリングプッシャの部分的な作動が生じると、爪により、第1デカップリングストローク(第1非結合ストローク)だけ、クラッチディスクから、ロック装置によってロック可能な第1デカップリング位置に持ち上げ可能であり、その後にデカップリングプッシャの完全な作動が生じると、爪が、第1デカップリングストロークとは反対の第2デカップリングストロークで対抗クラッチディスクから下降可能であり、その後にデカップリングプッシャが部分的に解放されると、対抗クラッチディスクが、爪により、第2デカップリングストロークから第3デカップリングストロークに上昇可能であり、この場合にロック装置が、ロック解除され、その後にデカップリングプッシャが完全に解放されると、対抗クラッチディスクが、ばね力によって結合位置に戻されることを特徴とする。
【0005】
本発明に係るこの構成により、対抗クラッチディスクが、デカップリングプッシャの部分的な作動が生じて、爪により、第1デカップリングストロークだけ、クラッチディスクから、ロック装置によってロック可能な第1デカップリング位置に持ち上げられていれば、クラッチ装置は、時計の針をゼロ設定するために、デカップリングプッシャが完全に作動しているときに、開放されたままであると共に、爪の下降によって容易に回転可能である。その後にデカップリングプッシャの完全な作動が生じると、爪が、第1デカップリングストロークとは反対の第2デカップリングストロークで対抗クラッチディスクから下降可能である。その後にデカップリングプッシャが部分的に解放されると、対抗クラッチディスクが、爪により、第2デカップリングストロークから第3デカップリングストロークに上昇可能であり、これによりロック装置が、ロック解除され、その後にデカップリングプッシャが完全に解放されると、対抗クラッチディスクが、ばね力によって結合位置に戻されると共に、再び非作動位置に戻される。
【0006】
対抗クラッチディスクは、カップ状クラッチスリーブの底部によって形成することができ、クラッチスリーブは、底部から離れた側の端部に、半径方向に突出するカラーを有する。
【0007】
爪がその非作動位置と作動位置との間で軸に対して軸線方向に変位可能であれば、爪と対抗クラッチディスクとの間の摩擦損失が回避され、クラッチ装置の動作が円滑になる。
【0008】
爪は、軸に対して平行であると共に爪に堅固に配置された爪ピンにより、ストローククラウンホイールで移動するよう駆動可能とすることができ、その歯に、爪ピンにおける端面の一つが当接し、ストローククラウンホイールは、デカップリングプッシャにより、クラウンホイール軸線周りで段階的に順送り可能である。
【0009】
この場合、簡単な構成は、ストローククラウンホイールが、第1歯及び第2歯で構成された複数の対を交互に有し、第1歯が、第2歯よりも高さが小さく、爪ピンが、第1歯により、爪を第1デカップリングストロークに上昇させ、その後にデカップリングプッシャの完全な作動が生じると、爪ピンが、第1歯の後の第1隙間で第2デカップリングストロークに下降可能であり、その後にデカップリングプッシャが部分的に解放されると、爪ピン及びその爪ピンと一緒に爪が、第2歯により、第3デカップリングストロークに上昇可能であり、次いで爪ピンが、第2歯の後の第2隙間に下降可能であると共に、爪が、結合位置に下降可能であることによって実現される。
【0010】
ストローククラウンホイールは、デカップリングプッシャによって段階的に回転駆動することができる。
(【0011】以降は省略されています)

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